肺MAC症の治療実態 〜専門医/非専門医の比較調査結果をエキスパートが解析!【ヒポクラ医師会員登録で記事全編を無料閲覧可】
臨床強化書

肺MAC症の治療実態 〜専門医/非専門医の比較調査結果をエキスパートが解析!【ヒポクラ医師会員登録で記事全編を無料閲覧可】

医師専用の臨床相談コミュニティであるオンライン医局®「ヒポクラ」にて、呼吸器内科・感染症の医師向けに「肺MAC症」の治療実態を調査(※)しました。(※2023年10月にヒポクラ医師会員に調査、回答数 n=58)

この記事では、同調査結果を呼吸器/感染症関連の専門医等資格の有無でスクリーニングし、有資格医/未資格医による治療実態の違い、データから読み取れる示唆などを、呼吸器/感染症のエキスパート医師2名に考察としてコメントいただきました。

先生方の肺MAC症診療の一助になれば幸いです。

● 名古屋大学医学部附属病院メディカルITセンター   副センター長 古川 大記 先生(呼吸器内科) ● 琉球大学大学院医学研究科   感染症・呼吸器・消化器内科学講座   教授 山本 和子 先生

Q.1 基礎疾患が無く、有症状の78歳の肺MAC症患者が来院されて、確定診断がついた場合、いつから治療を開始しますか? 開始に当たって最も重視する所見を選択してください

70代後半の基礎疾患は無いが有症状の肺MAC症の患者さんに治療を導入するか
※「呼吸器/感染症関連資格取得医」とは、呼吸器内科専門医、感染症専門医、結核非結核性抗酸菌症学会指導医のいずれか1つ以上の資格を持っている医師を指します。
【監修医師の考察】
70代後半の基礎疾患は無いが有症状の肺MAC症の患者さんに治療を導入するか、臨床でもよく遭遇する症例です。

アンケート結果からは、感染症関連資格の有無で、治療開始の指標に対する考え方に違いがあることが明らかになりました。有資格医は画像所見の悪化と有空洞例を重視していますが、未資格医は塗抹陽性を画像所見の悪化と同程度に重視していました。

2020年の国際ガイドラインでは、肺非結核性抗酸菌症(肺NTM症)では喀痰抗酸菌塗抹陽性あるいは有空洞例には治療開始を推奨しています。しかし有資格医では、有空洞例を重視しているものの、より画像所見の悪化を治療開始決定に重視していることがわかりました。

これは本症例が高齢であるものの有症状であり、「日本結核・非結核性抗酸菌症学会 非結核性抗酸菌症対策委員会・日本呼吸器学会 感染症・結核学術部会 成人肺非結核性抗酸菌症化学療法に関する見解― 2023年改訂ー」に明記されている治療開始時期について「画像所見の経時的推移は病勢を個別に把握するために有用であり,できるだけ過去の画像との比較を行う」とあるように、病変が広がる場合に治療対象としていることを示したものと考えられます。

Q.2 治療を開始する場合、リファンピシン、エタンブトールに加えて、どの薬剤で治療を開始しますか?

肺MAC症の治療薬選択におけるマクロライドの選択

【監修医師の考察】
肺MAC症の治療薬選択におけるマクロライドの選択についての質問でした。

未資格医の多くは、クラリスロマイシン(CAM)を選択していますが、有資格医の中には、アジスロマイシン(AZM)を選択する割合がより高いことがわかりました。これは治療経験や、ガイドラインが推奨する治療戦略に関する知識が影響している可能性が考えられます。

2020年にはAZMが保険診療報酬審査において肺NTM症の治療薬として認められるようになりました。有効性はCAMと同等とされますが、忍容性の高さや1日1回投与であることなどから、国際ガイドラインでもAZMが推奨されています。

AZM使用は原則として当該使用例では、単剤使用ではなく他の抗菌薬と併用すること、原則としてCAMの検討後に投与することを示されています。しかし本アンケートで有資格医がAZMを使用する割合からも、第一選択薬となりうる可能性が示唆されました。

現時点で本邦ではAZMの長期使用に関する報告は限られているため、今後のエビデンス構築に期待が高まります。

以上
この後は、下記3つの質問に関する調査結果と考察が続きます。

  • ● Q.3 上記薬剤が使えなかった場合、どの薬剤を追加もしくは変更しますか?
  • ● Q.4 治療の効果判定は、いつ行いますか?
  • ● Q.5 肺MAC症以外の既往が無い場合、アミカシンリポソーム吸入治療を開始する最も良いタイミングはいつだと思いますか?

Q.1〜Q.5までの調査結果と考察をまとめた記事全編(Fullバージョン)は、医師専用の臨床相談コミュニティであるオンライン医局®「ヒポクラ」に会員登録いただくと無料でご覧いただけます。

本記事のFullバージョンは、ヒポクラ医師会員(無料)になると閲覧できます。
医師専用のオンライン医局®「ヒポクラ」で時短と臨床力向上!
医師専用の臨床相談コミュニティであるオンライン医局®「ヒポクラ」には、日本全国から約2,000名の呼吸器/感染症を専門とする医師が集まっています。
専門医同士の症例ディスカッションから、若手医師/非専門医から専門医への素朴な疑問まで、ガイドラインや教科書では解決できないことは、ヒポクラで聞いてみませんか?(見るだけでも勉強になります!)
※既にヒポクラ医師会員の方はこちらからログインしてください。

ヒポクラは会員登録すると便利に!

約7万人の医師が会員登録。ヒポクラへの相談や論文の日本語での検索、勉強会情報などの診療に役立つサービスが全て無料で利用できるようになります。

01知見共有

約7万人が参加する医師限定の相談所。たくさんの相談症例・アドバイスを見ることで、全国の先生の臨床経験を効率的に学べます。

02専門医コンサルト

皮膚悪性腫瘍以外にも、皮膚科・眼科・心不全、心電図・肺などの専門医に1対1のクローズドな環境で相談できます。

03論文検索

PubMedを日本語検索できます。また検索結果のアブストラクトも和訳して表示するため、論文検索の時短に繋がります。

04勉強会まとめ

Web上に公開されている勉強会情報を、診療科別にお届け。「興味あり」を選択した勉強会は、開催前にリマインドメールが届くため見逃しを防ぎ、情報収集を1本化できます。

ヒポクラに会員登録する

「臨床強化書」記事一覧へ戻る