第87回日本血液学会学術集会 清井大会長インタビュー
医師インタビュー

第87回日本血液学会学術集会 清井大会長インタビュー

掲載日:2025年10月1日


 来る2025年10月10日(金)~12日(日)、神戸国際会議場ほかで開催される第87回日本血液学会学術集会の会長を務める、日本血液学会理事で学術・統計調査委員会なども担当される清井仁氏(名古屋大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学教授)に、今大会への思いや注目のプログラム、国際学会との連携、多様な参加者への期待、そして若手医師やヒポクラ血液内科Proユーザーへのメッセージなどを伺いました。

―大会長をお引き受けになったお気持ちをお聞かせください。

 専門分野の研究を長く続ける中で、学会は非常に大きな節目であり、重要なイベントです。その大役を引き受けることになり、光栄であると同時に、責任の重さも感じています。

―今回のテーマは「めぐりつながる」ですが、そこに込められた思いを教えてください。

 まず大切にしたかったのは「連続性」です。コロナ禍で一度は集まれなくなりましたが、再びオンサイトでフルスペックの学会が開催できるようになってから、会場の熱気や盛り上がりを強く感じました。「やはり学会は、人が集まってこそ」と実感しました。

 今回、本来は名古屋で開催したかったのですが、会場の改修工事がコロナの影響で遅れ、神戸での開催となりました。これも一種の“巡り合わせ”でもあります。私自身が関西出身という縁もあり、これまで出雲、名古屋と移り住む中で、多くの人とのご縁に支えられて今があります。

 また、私たちの教室の創始者である勝沼精蔵先生のご出身が神戸であったことも、今回のテーマ「めぐりつながる」と深く重なっています。難しく考えるより、こうした“偶然のつながり”を大切にしたい。それが過去から未来へと続く連続性につながると考え、このテーマを掲げました。
名古屋大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学教授 清井仁氏

”偶然のつながり”を大切にしたい。

―今回の学会で特に力を入れているセッションや企画はありますか。

 特定の一つというより、シンポジウムや企画はこれまでも学会として大事に続けてきたものです。プログラム企画委員の先生方がそれぞれ工夫して、一流の研究者を招聘し準備してくれています。

 例えば「女性シンポジウム」。コロナで来日できなかった前ASH会長のStephanie J Lee(ステファニー・J・リー)先生に、今回ようやく参加いただけます。海外リーダーを交えたセッションが実現するのは大きな意味があります。偶然にもASHとEHAの現会長がいずれも女性で、ロールモデル的な側面も感じます。さらに、EHAのKonstanze Döhner(コンスタンツェ・ドーナー)先生はご主人ともども白血病分野のトップリーダーで、ご夫婦で特別講演に来ていただけることになりました。これも「縁」ですね。

 ゲノム関連については、今年から「ヘムサイト」パネル検査が保険収載され、臨床で実際に使われるようになりました。その現状を受けて、臨床現場での課題をディスカッションできるセッションを企画しています。

 また、自分が長年関わってきた海外試験のデータや薬に関する研究についても、海外の親しい研究者を招聘してシンポジウムを組んでいます。個人的にも思い入れがあります。

―海外学会との連携についての印象を教えてください。

非常に大事だと思います。ASHやEHAはもちろんですが、アジアとのジョイントセッションも毎回行われています。単に「ドラッグ・ラグ」だけではなく、国によっては治療が受けられない現状もある。逆に中国・韓国・シンガポールなどは日本以上に進んでいる領域もあります。

 そうした「国ごとの事情」を踏まえて議論することは大切です。今回もアジアンジョイントセッションでそうしたテーマを取り上げています。医療の多様性を学べる貴重な機会になると思います。

―若手医師にとって学会はどんな場であってほしいとお考えですか。

 若手にとっては学びの場であると同時に、自分の発表に対して指導を受けられる場でもあります。最先端の研究や臨床に触れることはもちろん、研究者としてのマインドを感じてもらえることも大切です。

 また、普段の職場を離れて交流し、息抜きやリフレッシュの場になることもあります。先輩や他施設の仲間と交流する中で、モチベーションを高めてもらえるといいですね。そうした雰囲気を、毎年の成長につなげてほしいと思います。

―最先端技術(ゲノム・分子分類など)が進む中で、学会はどう機能すべきでしょうか。

 大学病院と市中病院では状況が異なります。ゲノム検査は研究レベルでは以前から行われていますが、日常診療で応用できる施設はまだ限られている。ただし、知識を仕入れておくことは重要です。実際にできなくても、知っていれば「紹介につなげられる」可能性がある。知識を整理し、臨床の意識を高める場になることが大事だと思います。

 また、臨床経験を共有することで新しい臨床試験や研究課題(クリニカルクエスチョン)につながるヒントにもなります。学会はそうした「次の一歩」を考える場でもあると思います。
名古屋大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学教授 清井仁氏

臨床の意識を高め、ヒントにもなる。

―血液内科 Proのようなオンラインコミュニティへの期待について。

 自分たちが当たり前と思っている診療においても、他の方法が有る場合があることを認識することが重要です。だからこそ、多様な立場の先生方との交流は大切です。EBMやガイドラインは基本ですが、地域的・社会的背景によっても治療方針が影響を受けるケースもあります。

 そうした現場の工夫や経験を共有できる場は大変有意義だと思います。学会では声の大きい人ばかりが目立つこともありますが、オンラインコミュニティならざっくばらんに議論できる。

 「病気を治す」のでなく、「病気を持つ患者さんを治す」と考えるには、社会的背景や患者さんの考え方も含めて議論する必要があります。そうした情報交換の場としてぜひ発展してほしいですね。

―最後に今回の学会に参加される先生方へのメッセージをお願いします。

 血液疾患はサンプルを得やすい分、疾患研究や薬の開発が先行してきた分野です。その一方で「一人ひとりの患者を大事に診ること」が極めて重要です。それが次の研究や治療法の改善につながります。

 学会は最新の研究や治療を知る場であると同時に、人と人との交流の場です。そして、参加できるということは、誰かが現場で患者さんを見て支えてくれているからこそ、です。

 参加される皆さまには、知識や経験を「お土産」として持ち帰り、現場で一緒に働く仲間や患者さんに還元していただければと思います。そうした積み重ねが、次の研究や治療につながっていくと信じています。

学会開催概要

名称:第87回日本血液学会学術集会 会期:2025年10月10日(金)~12日(日) 会場:神戸国際会議場・神戸国際展示場・神戸ポートピアホテル 〒650-0046 兵庫県神戸市中央区港島中町6丁目9−1 会長:清井 仁(名古屋大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学) テーマ:めぐり つながる 開催形式:現地中心に開催(一部プログラムをライブ配信・後日オンデマンド予定) 大会HP:https://www.jshem.or.jp/87/index.html


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