メトホルミンの大腸がん腫瘍殺傷効果、そのメカニズムは
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メトホルミンの大腸がん腫瘍殺傷効果、そのメカニズムは

公開日:2025年2月10日

Shabkhizan R, et al. Stem Cell Res Ther. 2025; 16: 45.
 標準的な2次元細胞培養により有望なアウトカムが得られているにもかかわらず、これらのデータは、in vivoにおける腫瘍実質と完全に類似しているとはいえない。そこで、さまざまな3次元細胞培養システムが開発、製造され、実際の細胞集塊における複雑な細胞間相互作用を部分的に模倣可能となった。イラン・タブリーズ医科大学のRoya Shabkhizan氏らは、in vitroシステムにおける大腸がん腫瘍様細胞に対する、オートファジーの調節を介したメトホルミンの腫瘍殺傷効果を評価した。Stem Cell Research & Therapy誌2025年2月4日号の報告。
 大腸がん腫瘍様細胞を、2.5%メチルセルロースを含む培地でヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)、腺がんHT29細胞、線維芽細胞を1:2:1の比率で使用し、作成した。腫瘍様細胞に対し、メトホルミン20〜1,000mMのさまざまな濃度で72時間曝露を行った。細胞生存率の検出には、LDH release assayを用いた。オートファージ関連因子の発現およびタンパク質レベルは、それぞれPCRアレイ、ウエスタンブロッティングを用いて測定した。ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)および免疫組織学的染色(Ki67)を用いて、大腸がん腫瘍様細胞のintegrityおよび増殖率を評価した。
主な結果は以下のとおり。
・明視野画像では、本プロトコルで作成された大腸がん腫瘍様細胞は、比較的明るい周辺領域(外層)に囲まれた中央の暗い領域を示す、典型的かつコンパクトな腫瘍様細胞であった。 ・リリースされたLDH含有量にわずかな変化がみられたが、メトホルミン群と対照群の比較において、細胞毒性の関する統計学的な有意差は認められず、腫瘍細胞死に対するメトホルミンの作用は不十分であった(p>0.05)。 ・ウエスタンブロッティング解析では、メトホルミン120mMで曝露された腫瘍様細胞において、LC3II/I比の減少が認められた(p<0.05)。これらのデータは、メトホルミン40mM群および対照群と比較した、メトホルミン120mM群の腫瘍様細胞内p62含有量の減少と一致していた(p<0.05)。 ・PCRアレイ解析では、対照群と比較し、メトホルミン40mM群および120mM群において、オートファジー機構に関連するさまざまなシグナル伝達経路、オートファジーとアポトーシスの共通エフェクターに関連する複数遺伝子の上方および下方制御が確認された(p<0.05)。これらの変化は、メトホルミン120mMで曝露された腫瘍様細胞でより顕著であった。 ・組織学的検査では、メトホルミン曝露群(とくに120mM群)の腫瘍様細胞において、integrityが緩和され、アポトーシスおよびネクローシスの変化による細胞死が増加していることが確認された。 ・メトホルミン120mM群では、線維状マトリックスの残滓を伴う紡錘形状細胞が検出された。 ・メトホルミン濃度を40mMから120mMにすることで、腫瘍様組織内で増殖中のKi67陽性細胞の減少が認められた。
 著者らは「メトホルミンにより、大腸がん腫瘍様細胞内で典型的なネクローシスおよびアポトーシス細胞の両方が同時に発生し、腫瘍様細胞で共有されるさまざまなオートファジーやアポトーシス遺伝子が調整されていることがわかった。これは、メトホルミンが過剰なオートファジー反応を刺激し、アポトーシス関連遺伝子を活性化する可能性を示しており、同時に増殖(Ki67陽性細胞)を抑制し、ネクローシス変化を増加させ、大腸がん腫瘍様細胞の崩壊につながることを示唆している。また、これらの効果は、用量依存的に高まることが明らかとなった」と結論付けている。


(鷹野 敦夫)

原著論文はこちら Shabkhizan R, et al. Stem Cell Res Ther. 2025; 16: 45.
https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39901295

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