肥満症治療薬を使いこなす!1stチョイスはチルゼパチドかセマグルチドか
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肥満症治療薬を使いこなす!1stチョイスはチルゼパチドかセマグルチドか

公開日:2025年2月3日

Liu L, et al. EClinicalMedicine. 2024: 79: 103020.
 過体重や肥満は、個人だけでなく社会にとっても深刻な健康問題を引き起こす。中国・The Second Xiangya Hospital of Central South UniversityのLeiling Liu氏らは、肥満に対する個別治療の促進を目的として、肥満症治療における体重減少、心代謝への影響、心理的アウトカム、有害事象への影響を調査するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。EClinicalMedicine誌2024年12月27日号の報告。
 2024年6月8日までに公表された研究をWeb of Science、PubMed、Cochrane Central Register of Controlled Trialsよりシステマティックに検索した。対象には、米FDAまたは欧州EMAにより過体重または肥満の治療薬として承認された薬剤を評価したランダム化比較試験(RCT)を含めた。主要アウトカムは、体重変化、心代謝指標、心理的アウトカム、有害事象とした。サマリーデータは、公開されたレポートより抽出した。加重平均差(WMD)、リスク比(RR)、95%信頼区間(CI)の算出には、ランダム効果メタ解析を用いた。各プール分析におけるエビデンスの確実性の評価には、GRADEシステムを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・154件のRCT(11万2,515例)をメタ解析に含めた。 ・体重減少に最も有効であった薬剤はチルゼパチド、次いでセマグルチドであった。  【チルゼパチド】WMD:−11.69、95%CI:−19.22〜−4.15、p=0.0024、I2=100.0%、確実性:中程度  【セマグルチド】WMD:−8.48、95%CI:−12.68〜−4.27、p<0.0001、I2=100.0%、確実性:中程度 ・チルゼパチドは、収縮期血圧および拡張期血圧に対して最も強い降圧作用を示した。さらに、トリグリセライド、空腹時血糖、インスリン、グリコヘモグロビン(HbA1c)を最も低下させた。  【収縮期血圧】WMD:−5.74、95%CI:−9.00〜−2.48、p=0.0006、I2=99.8%、確実性:中程度  【拡張期血圧】WMD:−2.91、95%CI:−4.97〜−0.85、p=0.0056、I2=99.8%、確実性:中程度  【トリグリセライド】WMD:−0.77、95%CI:−0.85〜−0.69、p<0.0001、I2=3.2%、確実性:高  【空腹時血糖】WMD:−3.06、95%CI:−5.53〜−0.59、p=0.0150、I2=100.0%、確実性:中程度  【インスリン】WMD:−4.91、95%CI:−8.15〜−1.68、p=0.0029、I2=97.0%、確実性:中程度  【HbA1c】WMD:−1.27、95%CI:−1.82〜−0.73、p<0.0001、I2=100.0%、確実性:中程度 ・セマグルチドおよびリラグルチドには、主な心血管系有害事象リスクの低下が認められた。  【セマグルチド】RR:0.83、95%CI:0.74〜0.92、p<0.0001、I2=0.0%、確実性:高  【リラグルチド】RR:0.87、95%CI:0.79〜0.96、p=0.0059、I2=0.0%、確実性:高 ・3つの薬剤はいずれも、胃腸に対する有害事象との関連がみられた。 ・naltrexone/bupropionでは、血圧上昇リスクが確認された(RR:1.72、95%CI:1.04〜2.85、p=0.0360、I2=0.0%、確実性:高)。 ・トピラマートでは、うつ病リスクが増大した(RR:1.62、95%CI:1.14〜2.30、p=0.0077、I2=0.0%、確実性:高)。 ・phentermine/topiramateでは、不安、睡眠障害、易怒性の懸念が増加した。  【不安】RR:1.91、95%CI:1.09〜3.35、p=0.0250、I2=29.5%、確実性:高  【睡眠障害】RR:1.55、95%CI:1.24〜1.93、p<0.0001、I2=0.0%、確実性:高  【易怒性】RR:3.31、95%CI:1.69〜6.47、p<0.0001、I2=0.0%、確実性:高 ・重篤な有害事象リスクの増加がみられた薬剤はなかった。
 著者らは「体重減少の第1選択薬としてチルゼパチドが最も有望であり、セマグルチドが次に続いた。心代謝リスクを考慮する場合、チルゼパチドは血圧、血糖値の低下作用が最も強く、セマグルチドとリラグルチドには主な心血管系有害事象リスクの低下が期待できる」と結論付けている。


(鷹野 敦夫)

原著論文はこちら Liu L, et al. EClinicalMedicine. 2024: 79: 103020.
https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39834714

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