COVID-19;イタリアの状況を日本と比較して考えてみた
監修医コラム

COVID-19;イタリアの状況を日本と比較して考えてみた

北部イタリアに続いて、南部イタリアも移動制限されましたね。結婚式やお葬式も禁止らしいです。イタリアは日本と違い陸で国境を接しているので封じ込めに関しては移動制限が必要になってくると考えれらます。

そんなイタリアの3 月10日のCOVID-19による死者数が168人1ですが、多いか少ないか判断に困りますが、COVID-19に関して理解を深める為にも疫学的に考えてみました。

2018年の日本の人口は1億2601万人
2で2020年のイタリアの人口は6240万人3で大体日本の半分ぐらい。少し古く統計データの取り方もおそらく違うので一概には言えないですが、イタリアの2017年の肺炎による死亡者数は9100人と資料4にあり、2018年の日本の94654人2と比較すると人口が半分と言っても日本と比較すると圧倒的に少ない。

年間を通じて死亡率は一定ではないが、便宜的に一定とすると、イタリアでは例年は1日あたり25人が死亡、日本では326人となるので、今回のCOVID-19の死亡数イタリア的にパニックになる数値ということが理解できると思います。

イタリアの元の肺炎死亡数が日本と比較して少ない理由までははっきりとわからなかったが、統計方法の違いや、死因に関する考え方の違い等あるのかもしれない。イタリアのDemographicsの死因top 10にはpneumonia
5が入っておらず、日本の死亡診断書で言う所の「直接死因」6で統計されていない可能性がある。また、日本の肺炎死亡数も2016年は119300人7、2017年は96807人8と2018年の日本の94654人と揺れがある為たまたま少ない年のデータを見てしまった可能性はある。

日本の3月10日の2名
9という数値に関してもなんとも言えないですが、パニックを起こさせないという意味では日本の数値の出し方は正しいのかもしれません。

感染症に対する恐怖心を和らげるという意味ではないですが、またNHKの回し者ではありませんが、人類が感染症に打ち勝つことができた稀有な例のひとつ天然痘撲滅に関するプロジェクトXの本がキンドルで安売りしていたので、興味があるひとは読んでみると、今回のCOVID-19の状況とは全然違いますが(ワクチンの有無や死亡率、発症率など)なんとなく勇気が出ました。

「決戦 人類最強の敵」~日本人リーダー 天然痘と闘う ―命輝け ゼロからの出発 プロジェクトX~挑戦者たち~
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B008YOIKC4/

*1 AFPBB News
https://www.afpbb.com/articles/-/3272686

*2 平成 30 年(2018) 人口動態統計月報年計(概数)の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai18/dl/gaikyou30.pdf

*3 The world factbook
https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/geos/it.html

*4 https://ec.europa.eu/eurostat/web/products-eurostat-news/-/EDN-20171110-1?inheritRedirect=true

*5 Italy
http://www.healthdata.org/italy

*6 死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル
https://www.mhlw.go.jp/toukei/manual/dl/manual_h30.pdf

*7 平成 28 年(2016)人口動態統計(確定数)の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei16/dl/00_all.pdf

*8 平成 29 年(2017)人口動態統計(確定数)の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei17/dl/00_all.pdf

*9 新型コロナウイルス感染症について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10094.html

筆者:ヒポクラ監修医

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