「心不全」の記事一覧

女性と比較した男性の心不全治療薬至適用量の特定 前向き観察コホート研究
女性と比較した男性の心不全治療薬至適用量の特定 前向き観察コホート研究
Identifying optimal doses of heart failure medications in men compared with women: a prospective, observational, cohort study Lancet. 2019 Oct 5;394(10205):1254-1263. doi: 10.1016/S0140-6736(19)31792-1. Epub 2019 Aug 22. 原文をBibgraph(ビブグラフ)で読む 上記論文の日本語要約 【背景】左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者にガイドラインが推奨するアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬またはアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)およびβ遮断薬の用量は、薬剤の薬物動態に性差があることが知られているにもかかわらず、男女でほぼ同じである。著者らは、HFrEF患者に用いるACE阻害薬またはARBおよびβ遮断薬の至適用量に性差があると仮定を立てた。 【方法】欧州11カ国で実施した前向き試験BIOSTAT-CHFの事後解析を実施した。この試験は、手順従ってACE阻害薬またはARBおよびβ遮断薬の投与開始と用量漸増を推奨された心不全患者を対象としたものである。著者らは、左室駆出率が40%未満の患者のみを対象とし、試験開始3カ月以内に死亡した患者を除外した。あらゆる原因による死亡または心不全による入院までの期間の複合を主要転帰とした。男性3539例、女性961例のHFrEF患者から成る独立コホートASIAN-HFで結果を検証した。 【結果】BIOSTAT-CHFのHFrEF患者(男性1308例、女性402例)で、女性のほうが男性よりも高齢(74歳vs. 70歳、P<0.0001)、低体重(72kg vs. 85kg、P<0.0001)、低身長(162cm vs. 174cm、P<0.0001)だったが、BMIに有意な差はなかった。ほぼ同じ割合の男女でガイドラインが推奨するACE阻害薬またはARB[99例(25%)vs. 304例(23%)、P=0.61]およびβ阻害薬[57例(14%) vs. 168(13%)例、P=0.54]の目標用量に達していた。死亡または心不全による入院のハザード比が最も低かったのは、男性ではACE阻害薬またはARBおよびβ遮断薬の推奨用量100%を服用していた患者であったが、女性は推奨用量のわずか50%でリスクが約30%も低く、増量してもリスクはそれ以上低下しなかった。この性差は、年齢、体表面積などの変数で補正した後もなお認められた。ASIAN-HFレジストリでは、ACE阻害薬およびβ遮断薬いずれもほぼ同じパターンが見られ、女性は推奨用量の50%でリスクが約30%低く、増量してもそれ以上の便益は見られなかった。 【解釈】この試験から、HFrEF女性患者は男性よりもACE阻害薬またはARBおよびβ遮断薬を減量する必要があることが示唆される。これは、男性と比較した女性の真の至適薬物療法が何であるかという問題を提起するものである。 第一人者の医師による解説 男女により標準治療薬の至適用量に差があることに注意が必要 瀧本 英樹 東京大学医学部附属病院循環器内科講師 MMJ. October 2020; 16 (5):133 左室駆出率(LVEF)が低下した心不全患者に対するガイドラインに準じた治療(guideline-directed medical therapy;GDMT)では現在、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)、β遮断薬を少量から導入し、性別関係なく推奨量まで漸増する。しかし、薬物の体内分布、代謝、病態には性差があり、至適用量は男女で異なる可能性が高い。  本論文はこの仮説を、欧州11カ国のBIOSTATCHF試験 の 事後解析により検証、さらにアジア11地域のASIAN-HF試験で検証した。BIOSTATCHF試験はGDMTが奏効しない要因を調べる前向き観察研究であり、2010~12年に患者登録が行われた。ACE阻害薬 /ARB、β遮断薬投与が不十分な心不全患者について、登録後3カ月間に治療薬を増量・最適化、その後6カ月間は用量を維持して評価した(追跡期間の中央値は21カ月)。対象となったLVEF 40%未満の男性1,308人と女性402人をβ遮断薬、ACE阻害薬 /ARBの推奨量到達度で4群(0%、1~49%、50~99%、100%以上)にわけて全死亡と心不全入院の複合エンドポイントを評価すると、β遮断薬、ACE阻害薬 /ARBとも女性では50~99%、男性では100%以上で最もリスクが低かった。推奨量到達度と相対リスクの関係を解析すると、β遮断薬に関して女性では推奨量の60%でリスクが最も低いU字型曲線を示し、男性では30~100%でリスクが低かった。ACE阻害薬 /ARBに関して、女性では推奨量の40%で最もリスクが低く、それ以上で低下しなかったが、男性は増量に伴ってリスクが低下し、推奨量100%で最もリスクが低くなった。  ASIAN-HF試験に登録されたLVEF40%以下の男性3,539人、女性961人を対象とした解析でもほぼ同様の結果であり、女性においてβ遮断薬は推奨量の40~50%、ACE阻害薬 /ARBは推奨量の60%で十分な相対リスク低下効果を得ることができ、それ以上でリスク低下を認めなかった。一方、男性ではβ遮断薬は推奨量100%で最も相対リスクが低く、ACE阻害薬 /ARBは推奨量50%以上でリスク低下が得られた。  すなわち、女性の心不全治療において、これら薬物は人種によらず推奨量の約半量が適切であることが示された。この機序については検討されていないが、薬物の代謝、血中濃度、副作用、病態形成の性差が考えられよう。これからは性差を考慮した医療を適切に提供することが求められている。
ST上昇は心筋梗塞を疑う 若年なら早期再分極を考えよう
ST上昇は心筋梗塞を疑う 若年なら早期再分極を考えよう
Point v2、v3のstが確かに少し上昇している⇒ v2、v3は2m以上、それ以外は1m以上の場合に心筋梗塞を疑う 20代の心筋梗塞は極めてまれ⇒ 若年男性のST上昇は、無症候性の早期細分極を疑う 結論 ST上昇はまず心筋梗塞を疑って動くこと、特にリスクや症状のない若年のST上昇では良性早期再分極症候群を考える 参考 急性冠症候群ガイドライン(2018 年改訂版) JCS 2018 Guideline on Diagnosis and Treatment of Acute Coronary Syndrome https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2018_kimura.pdf ハトミルさんへの相談はこちら » 心不全の診断や治療法について悩みを抱える医師を循環器専門医がサポートします。 匿名かつ非公開で、専門医と直接やりとりできるので、「こんなこと聞いてもいいの?」という質問でも構わず、なんでも気軽に相談してください。 このチャンネルでは、心不全に関するお悩みを循環器専門医が解決します。医用の診療相談サービス「心不全相談 ハトミルさん」に寄せられた質問を基に、専門医が解説を行っています。ハトミルさんは、医師のための臨床互助ツール「ヒポクラ × マイナビ」を管理する株式会社エクスメディオが運営しています。医師免許をお持ちの方であれば、「ヒポクラ × マイナビ」に会員登録いただくと、無料で使うことができます。 「ヒポクラ × マイナビ」についてはこちら 「株式会社エクスメディオ」についてはこちら
心エコーから見る病態と治療方針
心エコーから見る病態と治療方針
Point EFが40%を切る場合は「HFrEF(ヘフレフ)」であり、ACE阻害薬やMRA(スピロノラクトン等)の追加適応となる HFrEFはペースメーカー心の影響や高血圧性心臓病などが関係している 肺エコーのBラインの線が5本位見られたら、肺水腫を疑うが、息切れ・浮腫・体重増加・肺うっ血等が重なってきた場合に、総合的に心不全を判断する 以下のような自覚症状がある場合に、利尿薬の増量が必要 ・平地歩行でも息が上がる(NYHA Ⅲ) ・体重が日に日に増えていく ・浮腫が悪化していく 結論 ペースメーカを長期留置している人は心機能が低下することがあり、息切れなど心不全症状があれば精査・治療を行う 参考 従来はLVEFの測定にMモード法が用いられてきましたが、局所の二点間からの情報で左室全体の心機能を推定するため,局所壁運動異常や左室伝導障害を認める症例では 測定誤差を生じ、正確性に劣ると考えられるようになっています 現在最も推奨されるLVEFの測定方法は,2D断層心エコー法を用い、左室容積をベースとした disk summation法(modified Simpson法)です。その際には,心尖部四腔像と二腔像の二断面から左室容積を求めてLVEFを算出します 日本で発売されているポケットサイズのエコーでは2点間測定しかできないものが多く、正確な判断を行うにはより高性能なエコーが必要です 2021年改訂版 循環器超音波検査の適応と判読ガイドライン https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2021/03/JCS2021_Ohte.pdf ハトミルさんへの相談はこちら » 心不全の診断や治療法について悩みを抱える医師を循環器専門医がサポートします。 匿名かつ非公開で、専門医と直接やりとりできるので、「こんなこと聞いてもいいの?」という質問でも構わず、なんでも気軽に相談してください。 このチャンネルでは、心不全に関するお悩みを循環器専門医が解決します。医用の診療相談サービス「心不全相談 ハトミルさん」に寄せられた質問を基に、専門医が解説を行っています。ハトミルさんは、医師のための臨床互助ツール「ヒポクラ × マイナビ」を管理する株式会社エクスメディオが運営しています。医師免許をお持ちの方であれば、「ヒポクラ × マイナビ」に会員登録いただくと、無料で使うことができます。 「ヒポクラ × マイナビ」についてはこちら 「株式会社エクスメディオ」についてはこちら
心不全のため入院した高齢患者の身体リハビリテーション
心不全のため入院した高齢患者の身体リハビリテーション
Physical Rehabilitation for Older Patients Hospitalized for Heart Failure N Engl J Med. 2021 Jul 15;385(3):203-216. doi: 10.1056/NEJMoa2026141. Epub 2021 May 16. 原文をBibgraph(ビブグラフ)で読む 上記論文の日本語要約 【背景】急性非代償性心不全のため入院した高齢患者は、身体的フレイル、生活の質の低下、回復の遅れおよび再入院の頻度が高い。この集団の身体的フレイルに対処する介入方法が十分に確立されていない。 【方法】多施設共同無作為化比較試験を実施し、4つの身体機能(筋力、平衡性、可動性および持久力)の強化を目的とした移行期の個別化段階的リハビリテーションによる介入を評価した。介入は、心不全による入院中または入院早期に開始し、退院後も36回の外来リハビリを実施した。主要評価項目は、3ヵ月後のShort Physical Performance Batteryスコア(総スコア0~12点、低スコアほど身体機能障害が重度であることを示す)とした。副次評価項目は、6ヵ月後の原因を問わない再入院率とした。 【結果】計349例を無作為化し、175例をリハビリテーション介入群、174例を通常治療(対照)群に割り付けた。介入前は両群の患者ともに身体機能が顕著に低下しており、97%がフレイルまたはフレイル予備軍であり、平均併存疾患数は両群ともに5疾患であった。介入群の患者継続率が82%であり、リハビリへの参加率が67%であった。介入前のShort Physical Performance Batteryスコアおよびその他の患者データを調整すると、3ヵ月後のShort Physical Performance Batteryスコアの最小二乗平均値(±SE)スコアは、介入群が8.3±0.2、対照群が6.9±0.2であった(平均群間差、1.5;95%信頼区間[CI]、0.9~2.0、P<0.001)。原因を問わない6ヵ月後の再入院率は、介入群が1.18、対照群が1.28であった(率比、0.93;95%CI、0.66~1.19)。介入群の21例(15例が心血管疾患に起因)、対照群の16例(8例が心血管疾患に起因)が死亡した。あらゆる原因による死亡率は、介入群が0.13、対照群が0.10であった(率比、1.17;95%CI、0.61~2.27)。 【結論】急性非代償性心不全のため入院したさまざまな高齢患者の集団で、多数の身体機能強化を目的とした移行期の個別化段階的リハビリテーションによる介入を早期に開始することによって、通常治療よりも身体機能が大きく改善した。 第一人者の医師による解説 死亡率と再入院率の改善には在宅医療を含めた多角的治療戦略が必要 酒向 正春 ねりま健育会病院院長 MMJ. February 2022;18(1):10 急性非代償性心不全で入院する高齢患者では、身体的フレイル、生活の質(QOL)の低下、回復の遅延、繰り返す再入院が高頻度にみられる(1)。しかし、急性心不全の高齢患者群の身体的フレイルに対するリハビリテーション(以下、リハ)治療の有効性は十分に確立されていない(2)。そこで本論文の著者らは、その有効性を検討するために米国で多施設ランダム化対照試験(REHAB-HF試験)を行った。 本試験では、入院患者27,300人のうち適格基準を満たした急性非代償性心不全の高齢患者349人が積極的リハ治療群175人(平均73.1歳)と通常ケア(対照)群174人(平均72.7歳)に無作為に割り付けられ、比較・評価された。積極的リハ治療群では、筋力強度、バランス、可動性、体力耐久性の4つの機能を強化するために、患者別のリハ介入が計画された。その介入は入院後早期に開始され、入院中継続し、退院後も外来で1回60分のセッションが週3日、12週間(計36回)継続された。主要評価項目は3カ月目のShort Physical Performance Battery(SPPB)のスコア(0から12の範囲で、スコアが低いほど重度の身体機能障害を示す)、副次評価項目は6カ月間の原因を問わない再入院率とされた。 両群は、入院時に身体機能が著しく低く、97%がフレイル状態かプレフレイル状態であり、平均5つの合併症を認めた。積極的リハ治療群の入院治療達成率は82%であり、外来を含めた治療順守率は67%であった。入院時 SPPBスコアの平均± SDは積極的リハ治療群6.0±2.8、対照群6.1±2.6であったが、3カ月の時点で積極的リハ治療群8.3±0.2、対照群6.9±0.2(群間差 , 1.5;95%信頼区間[CI], 0.9 ~ 2.0;P<0.001)となり、積極的リハ治療群で有意な改善が認められた。さらに、積極的リハ治療群では歩行バランス・速度・距離、フレイル、QOL、うつ状態が改善する傾向を示した。6カ月間の再入院件数は積極的リハ治療群194件、対照群213件(発生率比 , 0.93;95% CI, 0.66 ~ 1.19)、全死亡数は積極的リハ治療群21人(心血管系原因15人)、対照群16人(心血管系原因8人)(発生率比 , 1.17;95% CI, 0.61~2.27)であり、いずれも有意差は認められなかった。 以上より、急性非代償性心不全で入院した多様な高齢患者群に対して、入院早期から継続的に患者別に調整された積極的リハ治療を行うことにより身体機能面が大きく改善する有効性が明らかになった。死亡率と再入院率の改善には、在宅医療を含めた多角的治療戦略が必要である。 1. Warraich HJ, et al. Circ Heart Fail. 2018;11(11):e005254. 2. Mudge AM, et al. JACC Heart Fail. 2018;6(2):143-152.
心不全にみられる2次性僧帽弁逆流症の負担、治療および転帰:観察コホート試験
心不全にみられる2次性僧帽弁逆流症の負担、治療および転帰:観察コホート試験
Burden, treatment use, and outcome of secondary mitral regurgitation across the spectrum of heart failure: observational cohort study BMJ. 2021 Jun 30;373:n1421. doi: 10.1136/bmj.n1421. 原文をBibgraph(ビブグラフ)で読む 上記論文の日本語要約 【目的】心不全にみられる2次性僧帽弁逆流症(sMR)の有病率、長期転帰および治療基準を定義すること。 【デザイン】大規模コホート試験。 【設定】2010年から2020年までのオーストリア・ウィーン地域病院ネットワークのデータを用いた観察的コホート試験。 【参加者】心不全のサブタイプを問わないsMR患者13,223例。 【主要評価項目】sMRと死亡率の相関。ガイドライン診断基準により、心不全を駆出率低下、中間範囲の駆出率、駆出率維持の3つのサブタイプに分類し、患者を評価した。 【結果】1,317例(10%)が重症sMRの診断を受け、年齢上昇との相関が認められた(P<0.001)。この相関は、心不全のさまざまの重症度に認められ、駆出率が低下した患者が2,619例中656例(25%)と最も多かった。同一地域の同年齢および同性の集団と比較した重症sMR患者の死亡率が予想よりも高かった(ハザード比7.53;95%信頼区間 6.83~8.30;P<0.001)。軽症sMRやsMRがない心不全と比較すると、中等症sMRや重症sMRの死亡率が段階的に増加し、ハザード比が中等症sMRで1.29(95%信頼区間 1.20~1.38;P<0.001)、重症sMRで1.82(同1.64~2.02;P<0.001)であった。重症sMRと超過死亡率の相関は多変量解析後も変わらず、心不全の全サブグループに認められた(中間範囲の駆出率:ハザード比2.53(同2.00~3.19;P<0.001)、駆出率低下:1.70(同1.43~2.03;P<0.001)、駆出率維持:1.52(同1.25~1.85;P<0.001))。最先端の医療が利用でき、心不全の症例数も多く、弁膜疾患プログラムがあったが、重度sMRに対して弁形成術(7%)も弁置換術(5%)もほとんど施行されていなかった。低リスクの経カテーテル弁形成術(4%)もほぼ同じで、ほとんど施行されていなかった。 【結論】2次性僧帽弁逆流は全体的に頻度が高く、年齢とともに増加し、超過死亡率との相関が認められた。有害転帰との相関は心不全全体に認められたが、駆出率が中間範囲の患者と駆出率が低下している患者に特に顕著であった。このように転帰が不良であるが、外科的な弁形成術や弁置換術がほとんど施行されていない。同じく低リスクの経皮的弁形成も、治療による最も大きな便益が期待できる心不全サブタイプにさえほとんど施行されていない。今回のデータは、特に高齢化社会で心不全の増加が予想されることを踏まえて、治療に対する需要が高まっていることを示唆するものである。 第一人者の医師による解説 患者利益に資するにはエビデンス不十分 質の高い無作為化試験が望まれる 児玉 隆秀 虎の門病院循環器センター内科部長 MMJ. February 2022;18(1):11 2次性僧帽弁閉鎖不全症(sMR)は心不全患者に多くみられ、生活の質(QOL)低下や予後悪化につながる。しかし、sMRは罹患頻度が低く、先行研究の主な対象は疾患特異性や疫学的特徴の違う原発性 MRであったため、転帰や標準的治療に関する知見は不十分であった。 本論文は、心不全に合併するsMRの疫学的特徴、心不全サブタイプと予後との関連、最先端施設での治療の現状を明らかにすべく、ウィーン医科大学の医療記録と超音波データベースを用いたコホート研究の報告である。心不全とsMRを合併する患者13,223人を対象とし、心不全はHFpEF(左室駆出率[LVEF]50%以上)、HFmrEF(LVEF 40~49%)、HFrEF(LVEF 40%未満)に分類された。全死亡を主要評価項目とし、sMR重症度別に解析した。中等度以上のsMRは心不全患者の40%を占め、LVEF低下や加齢とともに重症度が増加した。重度 sMRはsMRなし/軽度に比べ、すべての心不全サブタイプで死亡率上昇と関連し、特にHFmrEFで顕著であった。重度 sMRに対する弁形成術、弁置換術または経カテーテル弁形成術の実施率は15.2%にとどまっていた。 心不全患者の予後と直結するsMRに対する介入はもっと行われて然るべきであるが、実際には十分に行われていない理由として高齢患者の併存疾患数の多さが挙げられよう。手術リスク評価において年齢、併存疾患、心不全既往、収縮機能障害は重要な要素であり、ほとんどのsMR患者は手術適応外となる。また、外科的な弁の修復・置換がsMR患者の生存率改善につながるという確かなエビデンスはなく、ガイドラインでも内科的治療の重要性が強調されている。しかし、本研究は内科的治療の恩恵があまり明確でないHFmrEF患者においてsMRの死亡リスクが最も高いことを示し、低侵襲な経カテーテル僧帽弁形成術が可能となっている今日では、このような患者群に対して僧帽弁への介入がもっと行われるべきであることを指摘している。 sMRは心不全の原因ではなく、心不全の原因疾患に起因する心臓の構造的変化により2次的に生じてくるものである。また、体液量や内科的治療によりダイナミックに変化しうる。したがって、sMRへの介入のみでは不十分であり、「弁膜症治療のガイドライン 2020年改訂版」では第1に内科的治療の重要性が明記されている。一方、僧帽弁への介入は十分なエビデンスの蓄積がないことを理由に、虚血性 sMRを除いて推奨度は高くない。今回の結果からsMRに対する僧帽弁インターベンションの無作為化試験の必要性が認識され、最適な治療の方向性が見いだされれば、意義深い研究と思われる。
Ⅰ度房室ブロック・右脚ブロック・左軸変異をみたら?
Ⅰ度房室ブロック・右脚ブロック・左軸変異をみたら?
Point ①レントゲンで肺野と心臓の状況をチェックしましょう ・肺尖部は問題なし ・肺過膨張気味 ・心拡大なし ・肺門中心性の肺血管陰影はやや増強気味 ・左の2・3弓が突出=左房拡大が疑われる ②心電図では肢誘導と胸部誘導を分けてチェックしましょう 【肢誘導】 ・Ⅰ誘導:上向き、Ⅱ誘導:下向き = 異常左軸 ⇒左脚のヘミブロックの可能性が高い 【胸部誘導】 ・P派~QRSの立ち上がりが200ms ⇒Ⅰ度房室ブロックだと考えられる ・小さなQ波が出てRSパターンが出現 ⇒ 右脚ブロック型だと考えられる ①右脚ブロック型、②左脚ヘミブロック、③Ⅰ度房室ブロック ⇒もう一本切れると、「3束ブロック(3肢ブロック)」の可能性がある ⇒全部切れてしまうと、「完全房室ブロック」・「高度房室ブロック」への進展リスクが非常に高い 結論 一度房室ブロック、右脚ブロック、左軸変異をみたら三枝ブロックを疑い、失神に注意する ハトミルさんへの相談はこちら » 心不全の診断や治療法について悩みを抱える医師を循環器専門医がサポートします。 匿名かつ非公開で、専門医と直接やりとりできるので、「こんなこと聞いてもいいの?」という質問でも構わず、なんでも気軽に相談してください。 このチャンネルでは、心不全に関するお悩みを循環器専門医が解決します。医用の診療相談サービス「心不全相談 ハトミルさん」に寄せられた質問を基に、専門医が解説を行っています。ハトミルさんは、医師のための臨床互助ツール「ヒポクラ × マイナビ」を管理する株式会社エクスメディオが運営しています。医師免許をお持ちの方であれば、「ヒポクラ × マイナビ」に会員登録いただくと、無料で使うことができます。 「ヒポクラ × マイナビ」についてはこちら 「株式会社エクスメディオ」についてはこちら
SGLT2阻害薬は心不全を抑制するが 大血管症への効果は2次予防例に限られる
SGLT2阻害薬は心不全を抑制するが 大血管症への効果は2次予防例に限られる
Sodium-Glucose Cotransporter-2 Inhibitors Versus Glucagon-like Peptide-1 Receptor Agonists and the Risk for Cardiovascular Outcomes in Routine Care Patients With Diabetes Across Categories of Cardiovascular Disease Ann Intern Med. 2021 Nov;174(11):1528-1541. doi: 10.7326/M21-0893. Epub 2021 Sep 28. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 【背景】ナトリウム・グルコース共輸送体-2(SGLT2)阻害薬とグルカゴン様ペプチド-1受容体作動薬(GLP-1 RA)は、2型糖尿病(T2D)と確立した心血管疾患(CVD)の患者を対象としたプラセボ対照試験で、いずれも心血管ベネフィットを示した。 【目的】SGLT2阻害薬とGLP-1 RAは、CVDを有するT2D患者と有しないCVD患者で差をつけて心血管ベネフィットに関連しているかを評価すること。 【デザイン】人口ベースコホート研究。 【設定】Medicareおよび米国の2つの商業請求データセット(2013年4月から2017年12月)。 【参加者】1:1の傾向スコアマッチしたCVDのある成人T2D患者およびない成人T2D患者(52 901人と133 139人のマッチペア)がSGLT2阻害剤対GLP-1 RA治療を開始。 【測定】主要アウトカムとして心筋梗塞(MI)や脳卒中の入院および心不全(HHF)による入院を挙げた。曝露前の共変量138個をコントロールして1000人年当たりのプールハザード比(HR)および率差(RD)を95%CIで推定した。 【結果】SGLT2阻害薬とGLP-1 RA療法の開始は、CVD患者におけるMIまたは脳卒中のリスクがわずかに低い(HR、0.90 [95% CI, 0.82 to 0.98]; RD, -2.47 [CI, -4.45 to -0.50])が、CVDのない患者では同等のリスク(HR, 1.07 [CI, 0.97 to 1.18]; RD, 0.38 [CI, -0.30 to 1.07])であった。SGLT2阻害薬とGLP-1 RA療法の開始は,CVD患者(HR,0.71 [CI,0.64~0.79]; RD,-4.97 [CI,-6.55~-3.39] )とCVDのない患者(HR, 0.69 [CI,0.56~0.85]; RD, -0.58 [CI, -0.])のベースラインのCVDと関係なくHHFリスク低減に関連していた。 【結論】SGLT2阻害薬とGLP-1製剤の使用は,CVDを有するT2D患者と有しないT2D患者でHHFリスクの一貫した低下と関連していたが,CVDを有する患者の方が絶対的な有益性が高かった。CVDの有無にかかわらず、T2D患者におけるMIや脳卒中のリスクには大きな違いはなかった。 第一人者の医師による解説 実臨床においてGLP-1受容体作動薬との比較がなされたが議論は続く 笹子 敬洋 東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科助教 MMJ. April 2022;18(2):42 本論文に発表されたコホート研究は、米国の実臨床データを用いて、2型糖尿病においてNa+ /グルコース共役輸送担体2(SGLT2)阻害薬とグルカゴン様ペプチド -1(GLP-1)受容体作動薬が心血管イベントに及ぼす影響を、組み入れ前12カ月間の心血管イベントの有無(1次予防か2次予防か)で層別化し解析したものである。主要評価項目のうち、心筋梗塞・脳卒中による入院は、GLP-1受容体作動薬と比較し、SGLT2阻害薬によって全体としては抑制されず、2次予防でのみ抑制された。一方、心不全による入院は同薬の投与により、1次・2次予防にかかわらず抑制されたが、絶対リスクの低下幅は1次予防ではわずかであった。 このような実臨床のリアルワールドデータを用いた後ろ向きコホート研究は、前向き臨床試験の課題を補うものとして期待がかけられている。例えば、本研究のような糖尿病治療薬同士の直接比較は、前向きの介入試験では難しいであろう。著者らによれば、心不全に関するSGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬の直接比較は初めてとのことだが、両剤が腎機能に及ぼす影響については、リアルワールドデータを用いた先行研究が報告されている(1)。 その一方で本研究では、筆者らが以前他の研究について指摘したのと同様(2)、有害事象についての解析がほとんどなされていない。前向き臨床試験であれば効果のみならず安全性にも十分な配慮が求められるが、現状でのリアルワールドデータを用いた解析では必ずしもその限りでないことに留意されたい。例えば先述のような、1次予防におけるSGLT2阻害薬の心不全に対するわずかな効果が、潜在的な有害事象のリスクを上回るかどうかは不明である。 また本研究では、前向き臨床試験において多く用いられるintention-to-treat解析でなく、薬剤の中止・切り替えも考慮したas-treatedアプローチが採用されたが、その結果マッチング後に解析対象となったのは、1次予防で計26万例以上、2次予防でも計10万例以上に上る規模であったにもかかわらず、追跡期間の中央値はわずか約7カ月であった。このようなリアルワールドデータを用いた解析において、薬剤の治療効果を長期的に評価することは必ずしも容易ではないが(2)、それを改めて目の当たりにさせられる結果でもあった。 最後に、著者らも述べているように、この研究の組み入れは2017年までであり、セマグルチドなどのより新しい薬剤が含められていない。SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬との差が今後縮まっていく可能性も考えられるが、それを明らかにするには今しばらく時間がかかりそうである。 1. Xie Y, et al. Diabetes Care. 2020;43(11):2859-2869. 2. Sasako T, et al. Kidney Int. 2022;101(2):222-224.
ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.34(2023年1月26日号)
ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.34(2023年1月26日号)
環境配慮の食事は、2型糖尿病のリスク低減にも有用か? 2019年、EAT-Lancet委員会は、人間の健康を育み、環境の持続可能性をサポートする、主に植物ベースの食事であるEAT-Lancet食を提案した。著者らは、このEAT-Lancet食と、2型糖尿病(T2D)のリスクとの関連性を調査し、また、その関連性がT2Dの遺伝的素因によって異なるかどうかを評価した。Metabolism誌オンライン版2023年1月19日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 心不全に対するトラセミドvsフロセミドの再評価 フロセミドは心不全患者に最もよく使用されるループ利尿薬であるが、トラセミドの有用性を示唆する研究もある。著者らは、心不全で入院した患者において、トラセミドがフロセミドと比較して死亡率を低下させるかどうかを明らかにするため、米国の60の病院で左室駆出率に関係なく心不全で入院した2,859人の患者を対象に、非盲検の無作為化臨床試験を行った。JAMA誌2023年1月17日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む PCR検査陰性でも、実はSARS-CoV-2の持続感染が起こっている? SARS-CoV-2の感染は臨床的に不均一であり、無症候性から致命的なものまで様々である。COVID-19患者の一部は、SARS-CoV-2 RNAの分子検査で陰性が続くにもかかわらず、病状が進行し、最終的には死亡することがある。そこで著者らは、11~300日間連続して(平均:105.5日)鼻咽頭スワブまたは気管支肺胞洗浄液でウイルス陰性を繰り返したにも関わらず、臨床状態が徐々に悪化した27人の患者の死後分析を行った。The Journal of Pathology誌オンライン版2023年1月18日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 2年間のホルモン投与により、トランスジェンダーの心理に影響はあったか? トランスジェンダーおよびノンバイナリーの若者が性別肯定ホルモン(GAH:テストステロンまたはエストラジオール)を投与された場合の予測結果データは限られている。著者らは、米国のトランスジェンダーおよびノンバイナリーの若者を対象に、2年間のホルモン投与が、外見の一致、抑うつ、不安、肯定的な感情、および人生の満足度にどのような影響を及ぼすか、前向き観察研究を行った。The New England Journal of Medicine誌2023年1月19日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 使用している糖尿病薬の違いにより、ダパグリフロジンの効果に違いはあるか? Dapagliflozin And Prevention of Adverse Outcomes in CKD試験(DAPA-CKD)における2型糖尿病および慢性腎臓病(CKD)患者に対するダパグリフロジン(フォシーガ®)の有用性が、バックグラウンドの血糖降下療法(GLT)によって異なるかどうかを検討した。Diabetes Care誌オンライン版2023年1月20日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.33(2023年1月19日号) 結局どんな食事が健康に良いのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.32(2023年1月12日号) 高タンパクの朝食は、昼食・夕食の食後血糖値にどのように影響するか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.31(2022年12月22日号) 抗生物質が運動のモチベーションを下げる!? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.30(2022年12月15日号) 最も糖尿病リスクを軽減する野菜は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.29(2022年12月8日号) リバウンド予防に効果的な食事とは? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.28(2022年12月1日号) 妊娠で母性が宿るか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.27(2022年11月24日号) 精子数の世界的な減少 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.26(2022年11月17日号) マスクは本当に効果があるのか?:学校における検証 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.25(2022年11月10日号) キツい筋トレは筋肥大に効果があるのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.24(2022年11月3日号) AIによる膵臓がん予後予測は有用か? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.23(2022年10月27日号) 蚊を寄せ付ける体臭は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.22(2022年10月20日号) 片頭痛には有酸素運動、筋トレどちらが有効か? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.21(2022年10月13日号) 妊婦の"超加工食品"摂取は子供の神経心理学的発達に影響を及ぼすか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.20(2022年10月6日号) CRPはがんのバイオマーカーになるか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.19(2022年9月29日号) 免疫チェックポイント阻害剤の奏効率は、食事によって変わるのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.18(2022年9月22日号) メタボを防ぐ腸内細菌に対して、最も悪影響を及ぼす食事は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.17(2022年9月15日号) セレブからも注目されているプチ断食は、ダイエットや心血管代謝に良い影響を及ぼすのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.16(2022年9月8日号) 長生きできる紅茶の摂取量は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.15(2022年9月1日号) 顔が似ていると、遺伝情報も似ている!? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.14(2022年8月25日号) ゼロカロリー甘味料は、耐糖能に影響を及ぼさないのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.13(2022年8月18日号) 運動後の摂取はゆで卵、生卵どちらの摂取が有用か? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.12(2022年8月11日号) 慢性腰痛を軽減する最良の運動オプションとは~RCTのネットワークメタ解析 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.11(2022年8月4日号) サル痘の臨床的特徴~最新症例報告 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.10(2022年7月28日号) 小児におけるオミクロンに対するファイザー社製COVID-19ワクチンの有効性 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.9(2022年7月21日号) 慢性便秘症に効果的な食物繊維摂取量は?:RCTの系統的レビュー&メタ解析 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.8(2022年7月14日号) COVID-19後遺症の有病率、その危険因子とは ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.7(2022年7月7日号) 糖尿病の有無が影響するか、心不全に対するエンパグリフロジンの臨床転帰 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.6(2022年6月30日号) 老化をあざむく方法は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.5(2022年6月23日号) 座位時間と死亡率および心血管イベントとの関連性:低~高所得国での違いはあるか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.4(2022年6月16日号) 乳製品やカルシウム摂取量と前立腺がんの発症リスクの関連性:前向きコホート研究 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.3(2022年6月9日号) 運動は脳内RNAメチル化を改善し、ストレス誘発性不安を予防する ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.2(2022年6月2日号) 6?11歳の子供におけるmRNA-1273Covid-19ワクチンの評価 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.1(2022年5月26日号) SARS-CoV-2オミクロンBA.2株の特性評価と抗ウイルス感受性 ≫その他4本
SGLT-2阻害薬はすべての心不全患者に有用 軽~中等症含むメタ解析
SGLT-2阻害薬はすべての心不全患者に有用 軽~中等症含むメタ解析
SGLT-2 inhibitors in patients with heart failure: a comprehensive meta-analysis of five randomised controlled trials Lancet. 2022 Sep 3;400(10354):757-767. doi: 10.1016/S0140-6736(22)01429-5. Epub 2022 Aug 27. 上記論文のアブストラクト日本語訳 ※ヒポクラ×マイナビ 論文検索(Bibgraph)による機械翻訳です。 [背景]SGLT2 阻害剤は、駆出率が低下した心不全患者を治療するためのガイドラインで強く推奨されていますが、より高い駆出率での臨床的利点は十分に確立されていません。駆出率が軽度に低下または保持されている心不全を対象とした 2 つの大規模な試験 DELIVER および EMPEROR-Preserved が実施されており、駆出率が低下した初期の試験と組み合わせて、心血管死亡率および患者サブグループにおける治療効果を調べる力が得られます。 [METHODS] DELIVER および EMPEROR-Preserved の事前に指定されたメタ分析を行い、その後、駆出率が低下した患者 (DAPA-HF および EMPEROR-Reduced) と心不全が悪化して入院した患者 (駆出に関係なく) を登録した試験を含めました。分数 (SOLOIST-WHF)。エンドポイントの定義が調和した試験レベルのデータを使用して、心不全のさまざまな臨床的エンドポイントに対する SGLT2 阻害剤の効果を推定するために、固定効果のメタ分析を行いました。このメタ分析の主要なエンドポイントは、無作為化から心血管死または心不全による入院の複合。関心のあるサブグループ全体で、主要エンドポイントの治療効果の不均一性を評価しました。この研究は、PROSPERO、CRD42022327527 に登録されています。 [調査結果] DELIVER および EMPEROR-Preserved からの 12,251 人の参加者のうち、SGLT2 阻害剤は複合心血管死または心不全による最初の入院を減少させました (ハザード比 0.80 [95% CI 0.73-0 ·87]) 両方の要素の一貫した減少: 心血管死 (0.88 [0.77-1.00]) と心不全による最初の入院 (0.74 [0.67-0.83])。 21,947 人の参加者を対象とした 5 つの試験のより広い文脈では、SGLT2 阻害剤は複合心血管死または心不全による入院のリスク (0.77 [0.72-0.82])、心血管死 (0.87 [0.0]) を減少させました。 ·79-0.95])、心不全による最初の入院 (0.72 [0.67-0.78])、および全死亡率 (0.92 [0.86-0.99])。調査された各エンドポイントに対するこれらの治療効果は、駆出率が軽度に低下または維持された心不全の試験と、5 つの試験すべてで一貫して観察されました。主要評価項目に対する治療効果は、駆出率を含め、調査した 14 のサブグループ全体で概ね一貫していました。駆出率やケア設定に関係なく、心不全の基礎療法。[資金提供]なし。 第一人者の医師による解説 LVEFの程度、人種、性別、糖尿病の有無に関わらず心不全の予後を改善 ガイドラインにもインパクト 森 保道 虎の門病院内分泌代謝科(糖尿病・代謝部門)部長 MMJ.February 2023;19(1):17 Na+/グルコース共役輸送担体2(SGLT-2)阻害薬の慢性心不全への効果は、従来、左室駆出率(LVEF)が低下した(LVEF 40 % 未満 )心不全(HFrEF)を主な対象とし、DAPA-HF試験およびEMPEROR-Reduced試験のいずれでも心不全による入院の減少、心血管死の減少が確認された。これらの試験は、HFrEFに対する有用性が確立されたアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)、ミネラルコルチコイド受容体阻害薬(MRA)などによる適切な基礎治療にSGLT-2阻害薬のダパグリフロジンやエンパグリフロジンの追加投与の効果を検証したデザインであった。その一方で、LVEFが軽度低下(LVEF 40%以上50%未満)し た 心不全(HFmrEF)、LVEFの保たれた(LVEF 50%以上)心不全(HFpEF)に関しては既存の心不全治療薬の有用性も確立されておらず、SGLT-2阻害薬の効果への関心が高まっていた。 本論文は、LVEF40%を超えるHFmrEF/HFpEFを対象としたDELIVER試験とEMPEROR-Preserved試験を統合したメタ解析を行い、心不全による入院と心血管死の複合エンドポイントをハザード比(HR)で20%抑制したことを主成績として示した。このうち心不全による入院のリスクは26%低下(P<0.0001)、心血管死のリスクは12%低下(P=0.052)していた。 上記の2試験にHFrEFを対象としたDAPA-HF試験 とEMPEROR-Reduced試験、さらに心不全が最近悪化した糖尿病患者へのソタグリフロジンの効果を検討したSOLOIST-WHF試験の計5試験(参加者21,947人)でのメタ解析が追加され、心不全による入院の減少、心血管死の減少に加えて全死亡の減少(HR, 0.92)を明らかにした。特筆すべきは、心不全による入院と心血管死の複合エンドポイントを14のサブカテゴリー(LVEF、年齢、性別、人種、居住する大陸別、NYHA分類、NT-proBNP値、KCCQ-TSSスコア、糖尿病の有無、腎機能、肥満度、1年以内の心不全入院の有無、ARNIやMRAの併用の有無)で解析し、いずれのサブカテゴリーでもSGLT-2阻害薬の有用性が確認された点である。従来から論点となっていたEF 60%以上の集団でもSGLT-2阻害薬の有用性が確認されている。また、NYHA分類別に比較した複合エンドポイントのハザード比はIII~Ⅳ度の患者で0.86、II度の患者で0.72と、心不全の重症度によりSGLT-2阻害薬の有効性が異なる可能性も示唆された。本研究はSGLT-2阻害薬の慢性心不全治療における有用性を軽症から中等症、重症を含む広いスペクトラムで検証し、今後の心不全治療のガイドラインにも大きな影響を与える可能性が考えられる。
ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.20(2022年10月6日号)
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CRPはがんのバイオマーカーになるか? 観察研究では、血清C反応性タンパク(CRP)と肺癌、乳癌、大腸癌のリスクとの関連が報告されているが、他の癌については一貫性がなくエビデンスも示されていない。そこで、英国バイオバンクコホートからの42万964人の癌のない参加者を対象に、CRPと癌リスクの関連を評価するための前向きコホートとメンデルランダム化による汎癌解析が実施された。BMC Medicine誌2022年9月19日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む メトホルミンは、アルツハイマー病の発生率に影響を及ぼすか? メトホルミンの使用は糖尿病患者の認知症発生率の低下と関連があることが、観察研究において示されている。しかし、一般集団における両者の因果関係はよくわかっていない。メンデルランダム化(MR)を用いた本研究で、メトホルミンとアルツハイマー病リスク低下との因果関係、その脳内での作用機序が調査された。Diabetologia誌2022年10月号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 心不全における鉄欠乏症とダパグリフロジンの効果 心不全では鉄欠乏症が一般的であり、転帰の悪化に関連している。DAPA-HF試験(心不全におけるダパグリフロジンの有害転帰の予防)における鉄欠乏の有病率とその結果、鉄代謝マーカーに対するダパグリフロジンの効果、ベースライン時の鉄の状態による心不全に対するダパグリフロジンの効果について、結果が報告された。Circulation誌2022年9月27日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む SDGsは達成されるか:低所得国・中所得国における固体燃料を使用した調理と健康への影響のマッピング 現在でも30億人以上がクリーンエネルギーを利用できず、主に固体燃料を使用して調理している。しかしながら、固体燃料の使用は、死亡に関連する家庭の大気汚染を引き起こすことがわかっている。著者らは 、2000年〜2018年の低所得国および中所得国において、固体燃料使用と有病率をマッピングする地理空間モデリング研究を行った。The Lancet Global Health誌2022年10月1日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む アセタゾラミド(ダイアモックス®)は、急性非代償性心不全に効果的か? 体液過剰(浮腫、胸水、腹水)を伴う急性非代償性心不全患者に対し、炭酸脱水酵素阻害薬アセタゾラミド(ダイアモックス®)をループ利尿薬に追加することで、より迅速なうっ血解消が可能であるかどうかは不明である。アセタゾラミドの急性非代償性心不全への効果を検討した、多施設並行群間二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果が報告された。The New England Journal of Medicine誌2022年9月29日号の報告。 ≫Bibgraphで続きを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.19(2022年9月29日号) 免疫チェックポイント阻害剤の奏効率は、食事によって変わるのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.18(2022年9月22日号) メタボを防ぐ腸内細菌に対して、最も悪影響を及ぼす食事は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.17(2022年9月15日号) セレブからも注目されているプチ断食は、ダイエットや心血管代謝に良い影響を及ぼすのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.16(2022年9月8日号) 長生きできる紅茶の摂取量は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.15(2022年9月1日号) 顔が似ていると、遺伝情報も似ている!? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.14(2022年8月25日号) ゼロカロリー甘味料は、耐糖能に影響を及ぼさないのか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.13(2022年8月18日号) 運動後の摂取はゆで卵、生卵どちらの摂取が有用か? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.12(2022年8月11日号) 慢性腰痛を軽減する最良の運動オプションとは~RCTのネットワークメタ解析 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.11(2022年8月4日号) サル痘の臨床的特徴~最新症例報告 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.10(2022年7月28日号) 小児におけるオミクロンに対するファイザー社製COVID-19ワクチンの有効性 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.9(2022年7月21日号) 慢性便秘症に効果的な食物繊維摂取量は?:RCTの系統的レビュー&メタ解析 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.8(2022年7月14日号) COVID-19後遺症の有病率、その危険因子とは ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.7(2022年7月7日号) 糖尿病の有無が影響するか、心不全に対するエンパグリフロジンの臨床転帰 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.6(2022年6月30日号) 老化をあざむく方法は? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.5(2022年6月23日号) 座位時間と死亡率および心血管イベントとの関連性:低~高所得国での違いはあるか? ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.4(2022年6月16日号) 乳製品やカルシウム摂取量と前立腺がんの発症リスクの関連性:前向きコホート研究 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.3(2022年6月9日号) 運動は脳内RNAメチル化を改善し、ストレス誘発性不安を予防する ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.2(2022年6月2日号) 6〜11歳の子供におけるmRNA-1273Covid-19ワクチンの評価 ≫その他4本 ヒポクラ × マイナビ Journal Check Vol.1(2022年5月26日号) SARS-CoV-2オミクロンBA.2株の特性評価と抗ウイルス感受性 ≫その他4本