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非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬 HFmrEF/HFpEFに有用の可能性
Mineralocorticoid receptor antagonists in heart failure: an individual patient level meta-analysis
Lancet. 2024 Sep 21;404(10458):1119-1131. doi: 10.1016/S0140-6736(24)01733-1. Epub 2024 Sep 1.
上記論文のアブストラクト日本語訳
※ヒポクラ 論文検索による機械翻訳です。
背景:ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)は心不全で駆出率が低下した患者(HFrEF)の入院や死亡を減少させるが、心不全で駆出率が軽度低下した患者(HFmrEF)や心不全で駆出率が維持された患者(HFpEF)における効果は不明である。我々は、駆出率の範囲にわたって心不全患者を登録した4つの試験でMRAの効果を評価した。
方法:本解析は、HFrEF患者を登録したRALES試験(スピロノラクトン)およびEMPHASIS-HF試験(エプレレノン)、ならびにHFmrEFまたはHFpEF患者を登録したTOPCAT試験(スピロノラクトン)およびFINEARTS-HF試験(ファインレノン)の、事前に規定された個々の患者レベルのメタ解析である。このメタ解析の主要アウトカムは、心不全による初回入院または心血管死までの期間の複合であった。また、この複合項目の構成要素、心不全による入院の合計(初回または反復)(心血管死の有無にかかわらず)、および全死亡に対するMRAの効果を推定した。血清クレアチニン、推算糸球体濾過量、血清カリウム、収縮期血圧などの安全性アウトカムも評価した。これらの集団における効果の不均一性を検討するために、試験と治療との間の交互作用が試験された。本研究はPROSPERO(CRD42024541487)に登録されている。
結果:13 846例が4つの試験に組み入れられた。MRAは心血管死または心不全による入院のリスクを減少させた(ハザード比0-77[95%CI 0-72-0-83])。HFmrEFまたはHFpEF(0-87 [0-79-0-95])と比較してHFrEF(0-66 [0-59-0-73])で有効性が高いため、試験および治療による統計学的に有意な交互作用がみられた(交互作用のp=0-0012)。HFrEF試験(0-63 [0-55-0-72])およびHFmrEFまたはHFpEF試験(0-82 [0-74-0-91])では、心不全による入院が有意に減少した。心血管死の有無にかかわらず、心不全による入院総数についても同じパターンが観察された。心血管死はHFrEF試験で減少した(0-72[0-63-0-82])が、HFmrEF試験やHFpEF試験では減少しなかった(0-92[0-80-1-05])。全死亡もHFrEF試験では減少した(0-73[0-65-0-83])が、HFmrEF試験やHFpEF試験では減少しなかった(0-94[0-85-1-03])。MRAの投与により、高カリウム血症のリスクはプラセボと比較して2倍となったが(オッズ比2-27[95%CI 2-02-2-56])、重篤な高カリウム血症(血清カリウム>6-0mmol/L)の発生率は低かった(2-9% vs 1-4%);低カリウム血症(カリウム<3-5mmol/L)のリスクは半減した(0-51[0-45-0-57];7% vs 14%)。
解釈:ステロイドMRAはHFrEF患者における心血管死または心不全による入院のリスクを減少させ、非ステロイドMRAはHFmrEFまたはHFpEF患者におけるこのリスクを減少させる。
資金提供:なし。
第一人者の医師による解説
SGLT2阻害薬の併用率は14%にとどまっており、追加してなお有用性を示すかどうかは不明
藤本 陽 虎の門病院循環器センター内科医長
MMJ.April 2025;21(1):7
本論文は、左室駆出率(LVEF)が低下した心不全(HFrEF)患者を対象としたRALES試験(スピロノラクトン)およびEMPHASIS-HF試験(エプレレノン)、LVEFが軽度低下した心不全(HFmr EF)、または保たれた心不全(HFpEF)患者を対象としたTOPCAT試験( スピロノラクトン)およびFINEARTS-HF試験(フィネレノン)に組み入れられた、合計13,846人の患者を対象にミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)の心不全に対する有用性を検討したメタ解析の報告である。フィネレノンは非ステロイド型、他2剤はステロイド型MRAである。
主要評価項目である心血管死/心不全入院のリスクはMRA群において有意に低下し(ハザード比[HR], 0. 77;95%信頼区間[CI ], 0. 72〜0. 83)、HFrEFに対してより有効であった(HR, 0 .66;95 % CI, 0 .59 〜0 .73)。HFmrEF/HFpEFに対してはHFrEFよりも効果は劣るものの有意な効果を示した(HR, 0 .87;95% CI, 0 .79 〜0 .95)。HFrEFの試験では心血管死のリスクは有意に低下したが(HR, 0 .72;95% CI, 0 .63 〜0 .82)、HFmrEF/HFpEFの試験では有意な低下は認めなかった(HR, 0 .92;95% CI, 0 .80 〜1.05)。全死亡についても心血管死と同様の結果であった。心不全入院のリスクは、HFrEFの試験(HR, 0.63;95% CI, 0.55〜0.72)、HFmrEF/HFpEFの試験(HR, 0.82;95% CI, 0.74〜0.91)のいずれでも有意に低下した。安全性の評価では、MRA群ではプラセボ群に比べ、高カリウム血症のリスクは2.27倍高かったが、重度の高カリウム血症(血清カリウム 6.0mmol/L超)の発生率は2.9%であった(プラセボ群1.4%)。一方、低カリウム血症(血清カリウム 3.5 mmol/L未満)のリスクはMRA群で半減した(7% 対 14%[プラセボ群]:HR, 0.51;95% CI, 0.45〜0.57)。
非ステロイド型MRAはHFmrEF/HFpEF患者の心血管死/心不全入院リスクを低下させた。しかしながら、それはFINEARTS-HF試験ですでに示された結果であり、ステロイド型MRAの効果を検討した3試験と併せてメタ解析を行う意義はあるのか疑問である。しかも、FINEARTS-HF試験におけるSGLT2阻害薬の併用率は14%にとどまっており、現在その有用性が確立されたSGLT2阻害薬に追加してなお非ステロイド型MRAの有用性は示されるかなどの疑問もある。非ステロイド型MRAはHFmrEF/HFpEF患者の心血管死/心不全入院リスクを低下させるのか? さらなる臨床試験による検討が必要な課題である。