DLBCL

80歳以上の日本人DLBCLに対する減量Pola-R-CHP療法、実臨床での有用性は
80歳以上の日本人DLBCLに対する減量Pola-R-CHP療法、実臨床での有用性は
公開日:2025年2月14日 Sato S, et al. Blood Res. 2025; 60: 10.  80歳以上で未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者に対するポラツズマブ ベドチンとR-CHP療法(リツキシマブ+シクロホスファミド+ドキソルビシン+プレドニゾロン)の併用療法(Pola-R-CHP療法)の有効性および安全性は、ほとんど調査されていない。神奈川県・湘南鎌倉総合病院の佐藤 淑氏らは、高齢者コホートであるPOLARIX試験の結果を拡張し、リアルワールドにおける80歳以上の日本人DLBCL患者における減量Pola-R-CHP療法の有効性および安全性を評価するため、レトロスペクティブに分析を行った。Blood Research誌2025年2月5日号の報告。  対象は、2022年9月〜2024年2月に当院でPola-R-CHP療法を行った80歳以上のDLBCL患者38例。毒性や病勢進行により早期に治療を中止した患者も含め、1コース以上の化学療法を行った。すべての患者の相対用量強度(RDI)をモニタリングした。Pola-R-CHP療法の用量調整は、主治医の裁量で実施した。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者の年齢中央値は84.3歳(範囲:80〜95)、PS2以上の患者は8例(21%)。 ・MYCおよびBCL2再構成を伴う高悪性度B細胞リンパ腫患者1例も対象に含めた。 ・ステージIII〜IVが30例(79%)、IPIの高リスク群16例(42%)、CNS-IPIの高リスク群4例(10%)。 ・治療コース中央値は5コース(範囲:1〜6)、全6コースを完了した患者は24例(63%)。 ・フォローアップ期間中央値は11.6ヵ月(範囲:1〜24)。 ・12ヵ月後の全生存割合(OS)は86.2%(95%CI:70.0〜94.0)、無増悪生存割合(PFS)は78.5%(95%CI:59.2〜89.5)。 ・発熱性好中球減少症の発生率は、比較的高かったものの(32%)、平均RDIが70%未満の患者では、治療強度が低下してもリスク増加が認められた。 ・末梢神経障害のためにポラツズマブ ベドチンの減量が必要であった患者はいなかった。  著者らは「新たにDLBCLと診断された80歳以上の高齢患者に対し、減量Pola-R-CHP療法は、実行可能な効果的な治療選択肢である可能性が示された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Sato S, et al. Blood Res. 2025; 60: 10.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39907880 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
モスネツズマブはリツキシマブを超えられるか、初発DLBCLに対するモスネツズマブ+Pola-CHP療法/Blood Adv
モスネツズマブはリツキシマブを超えられるか、初発DLBCLに対するモスネツズマブ+Pola-CHP療法/Blood Adv
公開日:2025年2月12日 Westin JR, et al. Blood Adv. 2025 Feb 5. [Epub ahead of print]  抗CD20/CD3二重特異性抗体であるモスネツズマブは、本邦において再発・難治性濾胞性リンパ腫(FL)で承認を取得した。本剤は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対する新たな治療選択肢の1つとしても期待され、併用療法による臨床試験も進行している。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのJason R. Westin氏らは、DLBCLに対する第1選択治療の1つであるポラツズマブ ベドチン併用R-CHP(Pola-R-CHP)療法とリツキシマブをモスネツズマブに変更したモスネツズマブ+Pola-CHP療法の有効性および安全性を比較するため、第II相試験を実施し、最終結果を報告した。Blood Advances誌オンライン版2025年2月5日号の報告。  対象は、未治療のDLBC患者62例。モスネツズマブ+Pola-CHP群40例、Pola-R-CHP群22例にランダムに割り付けた。21日間6コースでday1に投与を行った。モスネツズマブは、1コース目にステップアップドーズで30mgまで増量した。主要エンドポイントは、独立審査委員会により評価したPET-CT検査による完全奏効(CR)率とした。 主な結果は以下のとおり。 ・CR率は、両群間で同等であった(モスネツズマブ+Pola-CHP群:72.5%、Pola-R-CHP群:77.3%)。 ・治験責任者により評価した24ヵ月無増悪生存期間(PFS)は、モスネツズマブ+Pola-CHP群で70.8%(95%CI:55.6〜86.1)、Pola-R-CHP群で81.8%(95%CI:65.7〜97.9)であった。 ・モスネツズマブ+Pola-CHP群において最も多かった有害事象は、サイトカイン放出症候群(CRS:68.4%)であり、その多くはグレードI(52.6%)、1コース目に限定的に認められた。 ・Pola-R-CHP群で最も多かった有害事象は、好中球減少症/好中球数減少(54.4%)。 ・好中球減少症/好中球数減少は、両群で最も高頻度に認められたグレードIII以上の有害事象であった(モスネツズマブ+Pola-CHP群:36.8%、Pola-R-CHP群:22.7%)。 ・グレードIII以上の有害事象、重篤な有害事象、治療中止に至る有害事象の発生率は、モスネツズマブ+Pola-CHP群の方が、Pola-R-CHP群よりも高かった。  【グレードIII以上の有害事象】モスネツズマブ+Pola-CHP群:86.8%、Pola-R-CHP群:59.1%  【重篤な有害事象】モスネツズマブ+Pola-CHP群:63.2%、Pola-R-CHP群:13.6%  【治療中止に至る有害事象】モスネツズマブ+Pola-CHP群:13.2%、Pola-R-CHP群:0% ・薬理学的変化は、モスネツズマブの作用機序とPola-CHP療法併用を支持するものであった。  著者らは「初発DLBCLに対する第1選択治療として、モスネツズマブ+Pola-CHP療法は有用であったが、この小規模な研究では、Pola-R-CHP療法を上回る臨床的ベネフィットは示されなかった」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Westin JR, et al. Blood Adv. 2025 Feb 5. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39908481 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
LBCLに対するCAR-T細胞療法、2ndと3rdラインで治療結果はどのくらい違うのか?
LBCLに対するCAR-T細胞療法、2ndと3rdラインで治療結果はどのくらい違うのか?
公開日:2025年2月6日 Corona M, et al. Bone Marrow Transplant. 2025 Feb 1. [Epub ahead of print]  CAR-T細胞療法は、再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)の第2選択治療に利用可能となった。米国・ニューヨークメモリアルスローンケタリングがんセンターのMagdalena Corona氏らは、CAR-T細胞療法を第2選択で実施した患者と第3選択以降で実施した患者における再発リスクおよび進行パターンの比較を行った。Bone Marrow Transplantation誌オンライン版2025年2月1日号の報告。  対象は、アキシカブタゲン シロルユーセル(axi-cel)またはリソカブタゲン マラルユーセル(liso-cel)で治療を行った再発・難治性LBCL患者354例(axi-cel:71%、liso-cel:29%)。治療ラインの内訳は、CAR-T細胞療法を第2選択で実施した患者(早期治療群)80例(23%)、第3選択以降で実施した患者(後期治療群)274例(77%)。 主な結果は以下のとおり。 ・1年全生存率(OS)は、早期治療群の方が良好であった(82%[95%CI:72〜93] vs.71%[95%CI:66〜77]、p=0.048)。 ・多変量Cox回帰モデルおよび傾向スコアマッチングでは、生存率に対するメリットは持続しなかった。 ・再発の1年累積発生率は同程度であり、1年無増悪生存期間(PFS)も同様であった。  【再発の1年累積発生率】37%(95%CI:24〜50) vs.43%(95%CI:37〜49)、p=0.200  【1年PFS】62%(95%CI:50〜76) vs.50%(95%CI:44〜57)、p=0.140 ・早期治療群では、グレードII以上のサイトカイン放出症候群(CRS)の発生率が低く、重度の好中球減少の累積発生率も低下が認められるなど、毒性プロファイルは良好であった。  【グレードII以上のCRS発生率】26%vs.39%、p=0.031  【重度の好中球減少の累積発生率】41%(95%CI:30〜52) vs.55%(95%CI:49〜60)、p=0.027  著者らは「CAR-T細胞療法は、治療ラインとは無関係に、良好なアウトカムを示すことが確認された。病勢制御の同等性が認められたことから、第1選択治療で再発したLBCLにおいて、CAR-T耐性メカニズムが持続している可能性が示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Corona M, et al. Bone Marrow Transplant. 2025 Feb 1. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39893244 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
初発ダブルエクスプレッサーリンパ腫にR-CHOP+ザヌブルチニブが有効〜第II相試験
初発ダブルエクスプレッサーリンパ腫にR-CHOP+ザヌブルチニブが有効〜第II相試験
公開日:2025年2月3日 Yin X, et al. Cancer. 2025; 131: e35697.  ダブルエクスプレッサーリンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の他のサブタイプよりも予後不良である。中国・Shandong Cancer Hospital and InstituteのXia Yin氏らは、ステージIII以上のダブルエクスプレッサーリンパ腫に対してR-CHOP療法にザヌブルチニブを併用した際の有効性および安全性を評価するため、多施設プロスペクティブ単群第II相臨床試験を実施した。Cancer誌2025年1月1日号の報告。  対象は、2020年11月〜2022年7月に新たに診断されたダブルエクスプレッサーリンパ腫患者48例。対象患者には、6ヵ月間のザヌブルチニブ(160mg)1日2回およびR-CHOP療法6〜8サイクルを行った。R-CHOP+ザヌブルチニブ併用療法の有効性・安全性の評価および有効性と関連する因子の予備的調査を実施した。 主な結果は以下のとおり。 ・客観的奏効率(ORR)は89.6%、完全奏効率(CRR)は83.3%であった。 ・フォローアップ期間中央値は29.3ヵ月。 ・無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)の中央値は未達。 ・2年PFSは81.25%、2年OSは93.75%であった。 ・グレードIII以上の有害事象は48例中23例(47.9%)で報告された。 ・次世代シーケンシング(NGS)を実施した33例の結果では、最も一般的な遺伝子変異としてTP53、MYD88、PIM1が特定された。 ・多変量解析では、BCL-6遺伝子の再構成は、PFS(ハザード比[HR]:0.247、95%信頼区間[CI]:0.068〜0.900、p=0.034)およびOS(HR:0.057、95%CI:0.006〜0.591、p=0.016)の予後不良因子であることが明らかとなった。 ・また、リンパ節外病変数もOSに有意な影響を及ぼすことが示唆された(HR:15.12、95%CI:1.070〜213.65、p=0.044)。  著者らは「ダブルエクスプレッサーリンパ腫に対するR-CHOP+ザヌブルチニブ併用療法は、効果的な治療選択肢であり、ザヌブルチニブの毒性は許容可能であった」と報告している。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Yin X, et al. Cancer. 2025; 131: e35697.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39748728 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
ASCT不適格の再発・難治性DLBCL、エプコリタマブ+GemOx療法が有効/Blood
ASCT不適格の再発・難治性DLBCL、エプコリタマブ+GemOx療法が有効/Blood
公開日:2025年1月20日 Brody JD, et al. Blood. 2025 Jan 10. [Epub ahead of print]  再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の予後は不良である。標準的な救援療法の1つであるリツキシマブ+ゲムシタビン+オキサリプラチン併用療法(R-GemOx療法)による完全奏効(CR)率は約30%、全生存期間(OS)中央値は10〜13ヵ月となっている。難治性ではさらに不良であり、CR率は7%、OS中央値は6ヵ月である。2ライン以上の治療歴を有する再発・難治性DLBCLに承認されているCD30およびCD20二重特異性抗体であるエプコリタマブは、さまざまな薬剤との組み合わせにより良好な安全性および有効性が示されている。米国・マウントサイナイ医科大学のJoshua D. Brody氏らは、自家造血幹細胞移植(ASCT)の適応のないまたはASCT治療不成功の再発・難治性DLBCL患者を対象にエプコリタマブ+GemOx療法の有用性を評価するため、第Ib/II相EPCORE NHL-2試験を実施し、その結果を報告した。Blood誌オンライン版2025年1月10日号の報告。  対象は、ASCTの適応のないまたはASCT治療不成功の再発・難治性DLBCL患者103例(2023年12月15日現在)。病勢進行または許容できない毒性が認められるまで3段階のステップアップ用量レジメンによりエプコリタマブ48mgまで増量し、GemOx(q2w for 8 doses)投与した。主要エンドポイントは、全奏効率(ORR)とした。 主な結果は以下のとおり。 ・フォローアップ期間中央値は13.2ヵ月。 ・対象患者の年齢中央値は72歳。 ・2ライン以上の治療歴が62%、CAR-T細胞療法治療歴が28%、primary refractory diseaseが52%、最終治療で難治性が70%。 ・ORRは85%、CR率は61%であった。 ・CR期間中央値は23.6ヵ月、OS期間中央値は21.6ヵ月。 ・主な治療中の有害事象は、血球減少、サイトカイン放出症候群(CRS)であった。 ・CRSは、時期が予測可能であり、主に低グレード(全体:52%、グレードIII:1%)で、治療中止に至ることはなかった。  著者らは「ASCTの適応のないまたはASCT治療不成功の再発・難治性DLBCLに対するエプコリタマブ+GemOx療法は、良好かつ持続的な奏効を示し、長期アウトカムの改善が認められた」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Brody JD, et al. Blood. 2025 Jan 10. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39792928 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
予後不良因子を有するLBCL治療、同種HSCTとCAR-T細胞療法どちらが優れるか〜岡山大学
予後不良因子を有するLBCL治療、同種HSCTとCAR-T細胞療法どちらが優れるか〜岡山大学
公開日:2025年1月6日 Hayashino K, et al. Int J Hematol. 2024 Dec 16. [Epub ahead of print]  これまで、予後不良因子を有する再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)患者においてCAR-T細胞療法が同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)よりも有効であるか、毒性が低いかについては、直接比較で検討されていなかった。岡山大学の林野 健太氏らは、予後不良因子を伴う再発・難治性LBCL患者に対するCAR-T細胞療法チサゲンレクルユーセル(tisa-cel)とallo-HSCTの有効性を調査し、比較を行った。International Journal of Hematology誌オンライン版2024年12月16日号の報告。  対象は、2003年1月〜2023年5月に岡山大学病院でall-HSCTまたはtisa-celによる治療を行った18歳以上の再発・難治性LBCL患者67例(allo-HSCT群:24例、tisa-cel群:43例)。予後不良因子の定義は、PS2以上、複数の節外病変、化学療法抵抗性、血清LDH上昇とした。 主な結果は以下のとおり。 ・全体として、allo-HSCT群は、tisa-cel群と比較し、無増悪生存期間(PFS)が不良であり、非再発死亡率が高かった。再発/病勢進行の割合は、同程度であった。 ・化学療法治療抵抗性患者または高LDH患者では、tisa-cel群は、allo-HSCT群よりもPFSが良好であった。一方、PS2以上または複数の節外病変を有する患者では、PFSは同等であった。 【化学療法治療抵抗性】tisa-cel群:PFS 3.2ヵ月、allo-HSCT群:PFS 2.0ヵ月(p=0.092) 【高LDH】tisa-cel群:PFS 4.0ヵ月、allo-HSCT群:PFS 2.0ヵ月(p=0.018) 【PS2以上】tisa-cel群:PFS 1.6ヵ月、allo-HSCT群:PFS 1.9ヵ月(p=0.56) 【複数の節外病変】tisa-cel群:PFS 3.2ヵ月、allo-HSCT群:PFS 2.0ヵ月(p=0.40) ・予後不良因子を有する患者における細胞療法後の再発後生存期間は、allo-HSCT群で1.6ヵ月、tisa-cel群で4.6ヵ月であった。 ・これらの結果は、傾向スコアマッチングコホートで確認された。  著者らは「予後不良因子を有する再発・難治性LBCL患者において、tisa-celはallo-HSCTよりも良好な生存率をもたらすことが示唆された。しかし、細胞療法後に再発した患者では、いずれの治療でも予後不良であるため、さらなる治療戦略が求められる」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Hayashino K, et al. Int J Hematol. 2024 Dec 16. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39680351 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
DLBCLの1stライン、Pola+R-CHPはR-CHOPを超えられるか
DLBCLの1stライン、Pola+R-CHPはR-CHOPを超えられるか
公開日:2024年12月24日 Zhao P, et al. Hematol Oncol. 2025; 43: e70017.  ポラツズマブ ベドチン併用R-CHP(Pola-R-CHP)療法は、国際共同第III相ランダム化二重盲検試験であるPOLARIX試験に基づき、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対する新たな第1選択治療として承認された。しかし、リアルワールドにおける有効性および安全性に関するデータは、十分とはいえない。中国・天津医科大学のPeiqi Zhao氏らは、中国の日常診療におけるPola-R-CHP療法とR-CHOP療法のアウトカムを評価するため、レトロスペクティブコホート研究を実施した。Hematological Oncology誌2025年1月号の報告。  2024年2月までにポラツズマブ ベドチンによる治療を1回以上行ったすべての患者を対象に、多施設レトロスペクティブコホート研究を実施した。6施設より適格患者600例(Pola-R-CHP療法群:131例、R-CHOP療法群:469例)が特定された。1:2の傾向スコアマッチング後、128組が生存および予後分析に含また。 主な結果は以下のとおり。 ・フォローアップ期間中央値は12.8ヵ月、12ヵ月無増悪生存割合(PFS)は、Pola-R-CHP療法群の方がR-CHOP療法群よりも高かった(90.3% vs.84.1%、p=0.18)。 ・分子生物学的サブグループ全体で一貫したベネトットが認められ、とくに進行期、全身状態(ECOG)2以上、リンパ節外病変2以上、non-GCB-DLBCLにおいて顕著であった。 ・完全奏効率は、Pola-R-CHP療法群の方がR-CHOP療法群よりも高かったが、統計学的に有意な差は認められなかった(86.8% vs.79.7%、p=0.09)。 ・安全性プロファイルは、両群間で同等であり、新たな懸念は見当たらなかった。 ・Pola-R-CHP療法群128例のうち、96例でゲノムシーケンス解析を実施した。結果の内訳は、MCDタイプ(25.0%)、EZBタイプ(13.5%)、複合サブタイプ(12.5%)、ST2タイプ(12.5%)、その他/分類不能(30.2%)。 ・25%以上で認められた最も一般的な変異は、PIM1、TP53、BCL-6、KMT2D、SOCS1、BCL-2であった。 ・遺伝子検査の結果では、遺伝子型やPIM1/TP53の遺伝子変異と治療効果との相関関係が示唆された。  著者らは「Pola-R-CHP療法は、リアルワールドの対象集団において、DLBCLに対する有効な第1選択治療であることが裏付けられ、R-CHOP療法よりも持続的な有効性が示された。12ヵ月PFSに有意差は認められなかったものの、サブグループ解析では、Pola-R-CHP療法の方が良好であった」と結論付け「今後は、より大規模な研究、長期フォローアップ研究、より有効な患者群を対象とした研究が求められる」としている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Zhao P, et al. Hematol Oncol. 2025; 43: e70017.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39641321 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
DLBCL患者における二次性中枢神経系病変の発生率とその特徴は/Blood Adv
DLBCL患者における二次性中枢神経系病変の発生率とその特徴は/Blood Adv
公開日:2024年12月11日 Tolley ER Dr, et al. Blood Adv. 2024 Nov 21. [Epub ahead of print]  二次性中枢神経系病変は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)において、まれな症状で、予後不良因子である。デンマーク・コペンハーゲン大学のElisabeth Reuben Tolley氏らは、二次性中枢神経系病変の発生率および臨床的特徴に関する最新の調査結果を報告した。Blood Advances誌オンライン版2024年11月21日号の報告。  二次性中枢神経系病変の発生率は、二次性中枢神経系病変のない死亡または再発を競合リスクとして考慮し、算出した。二次性中枢神経系病変に関連するリスク因子の特定には、原因別Cox比例ハザードモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・DLBCL患者1,972例のうち、初回再発時に二次性中枢神経系病変が認められた患者は68例(3.4%)であった。 ・二次性中枢神経系病変の粗累積発生率は、1年で2.0%(95%CI:1.5〜2.7)、2年で2.6%(95%CI:2.0〜3.4)であった。 ・高中枢神経系国際予後指数(CNS-IPI)スコアを有する患者における累積発生率は、1年で6.4%、2年で7.5%。 ・二次性中枢神経系病変の最も重要な予測因子は、リンパ節外病変の数と部位であった。 ・リスク増加と関連する部位は、骨髄、心臓、腎臓/副腎、卵巣、精巣、子宮。 ・二次性中枢神経系病変後の全生存期間(OS)中央値は3.2ヵ月。 ・一次治療終了後6ヵ月以内に二次性中枢神経系病変が認められた患者は、6ヵ月以降の場合と比較し、ベースライン時のCNS-IPIスコアが高く、OS不良と関連していた。 ・CNS-IPIスコアが低く、遅発性の二次性中枢神経系病変を認める患者では、予後が最も良好であった。  著者らは「最新の調査結果では、以前の報告よりもDLBCL患者における二次性中枢神経系病変の発生率は低かった。リンパ節外病変の数および部位は、二次性中枢神経系病変の最も重要な予測因子であると考えられる」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Tolley ER, et al. Blood Adv. 2024 Nov 21. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39571170 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
ダブルエクスプレッサーDLBCL、R-CHOP+BTK阻害薬はレナリドミド併用より有効
ダブルエクスプレッサーDLBCL、R-CHOP+BTK阻害薬はレナリドミド併用より有効
公開日:2024年12月9日 Feng D, et al. Leuk Res. 2024 Nov 9. [Epub ahead of print]  ダブルエクスプレッサーびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は予後不良であり、最適な治療戦略は依然として明らかになっていない。中国・中山大学がんセンターのDemei Feng氏らは、ダブルエクスプレッサーDLBCLに対するR-CHOP療法単独、レナリドミド併用、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬併用の有効性および安全性を評価するため、本研究を実施した。Leukemia Research誌オンライン版2024年11月9日号の報告。  対象は、2019〜24年に治療を行ったダブルエクスプレッサーDLBCL患者213例。治療の内訳は、R-CHOP療法112例、R-CHOP療法+レナリドミド65例、R-CHOP療法+BTK阻害薬36例。各治療群の臨床特性、全奏効率(ORR)、完全奏効率(CR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、有害事象を評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・ベースライン特性は、すべての治療群間で同等であった。 ・ORRは、R-CHOP単独群95.5%、レナリドミド併用群96.9%、BTK阻害薬併用群97.2%。 ・CRは、R-CHOP単独群76.5%、レナリドミド併用群80.0%、BTK阻害薬併用群75.0%。 ・BTK阻害薬併用群では、PFSの有意な改善が認められたが(p=0.033)、OSでは認められなかった(p=0.165)。 ・レナリドミド併用群では、PFS(p=0.153)またはOS(p=0.351)の有意な改善が認められなかった。 ・フォローアップ期間中央値は、R-CHOP単独群20.6ヵ月、レナリドミド併用群23.5ヵ月、BTK阻害薬併用群17.6ヵ月。 ・1年PFSは、R-CHOP単独群73.6%、レナリドミド併用群82.2%、BTK阻害薬併用群93.3%。 ・1年OSは、R-CHOP単独群96.2%、レナリドミド併用群93.2%、BTK阻害薬併用群100.0%。 ・グレード3〜4の有害事象には、白血球減少、好中球減少、貧血、血小板減少が認められ、治療群間に有意な差は認められなかった。  著者らは「とくに進行期のダブルエクスプレッサーDLBCL患者では、R-CHOP療法にBTK阻害薬を併用すると、新たに重篤な有害事象なしでPFSの向上が期待できることが示された。対照的に、レナリドミド併用では、有効性や生存率の向上に寄与しなかった」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Feng D, et al. Leuk Res. 2024 Nov 9. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39549612 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性DLBCLに対するglofitamab+GemOx療法 vs. R-GemOx療法/Lancet
再発・難治性DLBCLに対するglofitamab+GemOx療法 vs. R-GemOx療法/Lancet
公開日:2024年11月28日 Abramson JS, et al. Lancet. 2024; 404: 1940-1954.  CD20およびCD3を標的とする二重特異性抗体glofitamabは、2回以上の前治療歴を有する再発または難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対し、持続的な寛解をもたらすことが報告されている。しかし、第2選択治療として評価されたことは、これまでなかった。米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのJeremy S. Abramson氏らは、再発・難治性DLBCL患者を対象に、ゲムシタビン+オキサリプラチン(GemOx)療法にglofitamabを併用したglofitamab+GemOx療法群とリツキシマブを併用したR-GemOx療法群の有効性および安全性を評価した。Lancet誌2024年11月16日号の報告。  本第III相ランダム化非盲検試験であるSTARGLO試験は、アジア、オーストラリア、欧州、北米の13ヵ国62施設で実施された。1回以上の治療後、組織学的に再発または難治性のDLBCLと診断された移植不適格な18歳以上の患者を対象に、glofitamab+GemOx療法群またはR-GemOx療法群に2:1でランダムに割り付けた。治療ラインが1回または2回以上、再発例または難治例で層別化を行った。glofitamab+GemOx療法群は、ゲムシタビン1,000mg /m2+オキサリプラチン100mg/m2+glofitamab 30mg(段階的増量)を8サイクル行い、glofitamab単独療法を4サイクル追加した。R-GemOx療法群は、ゲムシタビン1,000mg /m2+オキサリプラチン100mg/m2+リツキシマブ375 mg/m2を8サイクル行った。治療反応ベースのすべてのエンドポイントを評価した独立審査委員会には、患者割り付けをマスクした。主要エンドポイントは、全生存期間(OS)。有効性解析は、ランダムに割り付けられたすべての患者を対象にITTに基づき実施した。主要解析(カットオフ:2023年3月29日)とすべての患者が治療を完了した後のアップデート解析(カットオフ:2024年2月16日)の結果を報告した。安全性解析には、治療を行なったすべての患者を含めた。 主な結果は以下のとおり。 ・2021年2月23日〜2023年3月14日に274例が登録され、glofitamab+GemOx療法群(183例)またはR-GemOx療法群(91例)にランダムに割り付けられた。 ・対象患者の内訳は、男性158例(58%)、女性116例(42%)、年齢中央値は68歳(IQR:58〜74)。 ・フォローアップ期間中央値11.3ヵ月(95%CI:9.6〜12.7)後の主要解析では、glofitamab+GemOx療法群は、R-GemOx療法群よりもOSの有意な改善が認められた(ハザード比[HR]:0.59、95%CI:0.40〜0.89、p=0.011)。 【glofitamab+GemOx療法群】中央値:推定不能(NE)、95%CI:13.8〜NE 【R-GemOx療法群】中央値:9.0ヵ月、95%CI:7.3〜14.4 ・フォローアップ期間中央値20.7ヵ月(95%CI:19.9〜23.3)後のアップデート解析では、glofitamab+GemOx療法群は、R-GemOx療法群よりも一貫してOSの有意な改善が認められた(HR:0.62、95%CI:0.43〜0.88)。 【glofitamab+GemOx療法群】中央値:25.5ヵ月、95%CI:18.3〜NE 【R-GemOx療法群】中央値:12.9ヵ月、95%CI:7.9〜18.5 ・安全性解析では、試験期間中に1つ以上の有害事象が認められた患者の割合は、glofitamab+GemOx療法群で100%(180例中180例)、R-GemOx療法群で96%(88例中84例)。 ・サイトカイン放出症候群(CRS)は、glofitamab+GemOx療法群の44%(172例中76例)で発生したが、多くは低グレードであった。 ・glofitamabまたはリツキシマブに関連する死亡例は、glofitamab+GemOx療法群で5例(3%)、R-GemOx療法群で1例(1%)にみられた。  著者らは「glofitamab+GemOx療法は、R-GemOx療法と比較し、OS改善に有意なベネフィットが認められた。本結果は、移植不適格な再発・難治性DLBCLの2ndライン以降でのglofitamab+GemOx療法の使用を裏付けるものである」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Abramson JS, et al. Lancet. 2024; 404: 1940-1954.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39550172 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら