DLBCL

DLBCLに対するCAR-T細胞療法、RTブリッジング療法は支持されるか
DLBCLに対するCAR-T細胞療法、RTブリッジング療法は支持されるか
公開日:2024年10月21日 Bramanti S, et al. Bone Marrow Transplant. 2024 Oct 9. [Epub ahead of print]  びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)におけるCAR-T細胞療法前のブリッジング療法の最適化は、CAR-T細胞療法の有効性およびアウトカムに影響を及ぼす可能性がある。イタリア・Humanitas Research HospitalのStefania Bramanti氏らは、放射線療法(RT)およびその他のブリッジング療法によるCAR-T細胞療法のアウトカムを評価するため、レトロスペクティブ研究を実施した。Bone Marrow Transplantation誌オンライン版2024年10月9日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・CAR-T製造のためにアフェレーシスを行った再発・難治性DLBCL患者148例のブリッジング療法の内訳は、RT群31例、化学療法(CT)群84例、ブリッジングなしまたはステロイドのみ(non-BT)群33例であった。 ・CAR-T細胞の投与率は、RT群96.8%、CT群89.2%、non-BT群78.8%であった(p=0.079)。 ・ブリッジングに対する反応は、概ね不良であったが、RT群では、ブリッジング前後でLDHレベルの有意な低下が確認された(p=0.05)。 ・1年無増悪生存期間(PFS)は、RT群51.2%、CT群28.2%、non-BT群47.6%であった(CT群 vs. RT群:p=0.044)。 ・1年全生存期間(OS)は、RT群86.7%、CT群52.7%、non-BT群69.0%であった(CT群 vs. RT群:p=0.025)。 ・CT群は、他の群と比較し、免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)の発生率が高いことが確認された(CT群20.0%、RT群3.3%、non-BT群7.7%、p=0.05)。  著者らは「RTブリッジング療法は、CAR-T細胞療法の脱落率および毒性が低いことが確認された。局所限局型や症状発現部位が1ヵ所の患者においては、他のブリッジング療法よりもRTブリッジング療法が好ましい可能性が示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Bramanti S, et al. Bone Marrow Transplant. 2024 Oct 9. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39384870 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
DLBCLに対する放射線療法、PFSの改善がOS改善につながるか
DLBCLに対する放射線療法、PFSの改善がOS改善につながるか
公開日:2024年9月24日 Wang J, et al. J Natl Cancer Cent. 2024; 4: 249-259.  放射線療法による無増悪生存期間(PFS)の改善は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者の全生存期間(OS)改善につながるかを評価するため、中国・National Cancer CenterのJingnan Wang氏らが、システマテックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of the National Cancer Center誌2024年4月23日号の報告。  combined-modality therapy(CMT)と単独化学療法を比較したランダム化比較試験(RCT)またはレトロスペクティブ研究を、システマテックに検索した。OSとPFSのメリットの相関を推定するため、加重回帰分析を用いた。DLBCLリスクモデルとPFSパターンの一貫性を評価するため、コーエンのκ係数を用いた。さらに、PFSパターンに従い、線形回帰モデルをプールされたハザード比(HR)に適合させることで、放射線療法のメリットについて傾向分析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・RCT 7件、レトロスペクティブ研究52件が抽出された。 ・トライアルレベルでは、PFSのHRとOSのHRとの間に相関関係が認められ(r=0.639〜0.876)、治療群レベルでは、化学療法レジメンとは無関係にPFSとOSの相関が認められた(r=0.882〜0.964)。 ・化学療法に放射線療法を併用することで、PFSが約18%改善し、異なるOSのベネフィットプロファイルが明らかとなった。 ・化学療法によるPFSパターンにより4群(80%超、60〜80%、40〜60%、40%以下)に層別化され、これらはリスク層別化のサブグループと一致していた(κ>0.6)。 ・放射線療法によるOSの絶対増加率は、5%以下(PFS80%超群)〜約21%(PFS40%以下群)の範囲で、リツキシマブベースの化学療法後のプールされたOSのHRは、0.70(95%CI:0.51〜0.97)〜0.48(95%CI:0.36〜0.63)であった。 ・放射線療法のOSのベネフィットは、PFS80%以下の中〜高リスク患者で顕著であった。  著者らは「本検討により、放射線療法のさまざまなOSのベネフィットプロファイルが示唆された。本結果が、今後の治療決定や臨床試験の設定につながることが望まれる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Wang J, et al. J Natl Cancer Cent. 2024; 4: 249-259.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39281722 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
Richter形質転換DLBCLに対する抗PD-L1抗体アテゾリズマブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブ/Lancet Oncol
Richter形質転換DLBCLに対する抗PD-L1抗体アテゾリズマブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブ/Lancet Oncol
公開日:2024年9月20日 Tedeschi A, et al. Lancet Oncol. 2024 Sep 10. [Epub ahead of print]  Richter形質転換びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、通常、化学療法に抵抗性を示し、予後不良である。イタリア・Niguarda Cancer CenterのAlessandra Tedeschi氏らは、抗腫瘍免疫反応をターゲットとした化学療法なしでの治療レジメンを開発することを目的とし、Richter形質転換DLBCLに対する抗PD-L1抗体アテゾリズマブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブ併用療法の第II相試験を実施した。The Lancet. Oncology誌オンライン版2024年9月10日号の報告。  本第II相試験は、イタリアおよびスイスの15施設において、プロスペクティブ非盲検多施設単群医師主導試験として実施した。対象患者は、IWCLL2008基準に従い、慢性リンパ性白血病(CLL)または小リンパ球性リンパ腫(SLL)と診断され、生検でDLBCLへの形質転換が認められた18歳以上の患者で、CLL治療を実施した可能性はあるが、Richter形質転換DLBCLに対する治療は未実施、ECOGのPSが0〜2であり、過去にアテゾリズマブ、ベネトクラクス、オビヌツズマブのいずれも未使用の患者。患者には、オビヌツズマブ静脈内投与(1サイクル目:day1 100mg、day2 900mg、day8・day15 1,000mg、2〜8サイクル目:day1 1,000mg)、アテゾリズマブ静脈内投与(1サイクル目:day2 1,200mg、2〜18サイクル目:day1 1,200mg)、ベネトクラクス経口投与(CLLの投与スケジュールに従い、1サイクル目:day15 20mg/日から増量し、3〜35サイクルのday21まで400mg/日)を行った。主要エンドポイントは、ITTにおける6サイクル目day21時の全奏効(OR)率とした。OR率が67%以上の場合、臨床的に有効であるとみなし、奏効率が40%以下の場合、帰無仮説を棄却とみなした。 主な結果は以下のとおり。 ・2019年10月9日〜2022年10月19日に、28例(男性:12例[43%]、女性:16例[57%])が登録された。 ・フォローアップ期間中央値は16.8ヵ月(IQR:7.8〜32.0)。 ・6サイクル目に28例中19例で奏効がみられ、OR率は67.9%(95%CI:47.6〜84.1)であった。 ・グレード3以上の治療関連有害事象は、28例中17例(61%、95%CI:40.6〜78.5)で認められ、好中球減少の報告が最も多かった(28例中11例、39%、95%CI:21.5〜59.4)。 ・治療中に発生した重篤な有害事象は8例(29%、95%CI:14.2〜48.7)、感染症が最も多かった(28例中5例、18%、95%CI:6.1〜36.9)。 ・有害事象による死亡例は2例(7%)、その内訳は敗血症1例、真菌性肺炎1例であり、いずれも治療との直接的な関連性は低いと考えられた。 ・免疫関連有害事象は、6例(21.4%)で認められたが、いずれも治療中止には至らなかった。 ・腫瘍崩壊症候群は、認められなかった。  著者らは「Richter形質転換DLBCLに対するアテゾリズマブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブの3剤併用は、有効かつ安全であることが示唆されており、本レジメンが、Richter形質転換DLBCLに対する新たな第1選択治療アプローチとなりうる可能性がある」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Tedeschi A, et al. Lancet Oncol. 2024 Sep 10. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39270702 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
最新データレビューに基づく大細胞型B細胞リンパ腫に対する二重特異性抗体の有用性
最新データレビューに基づく大細胞型B細胞リンパ腫に対する二重特異性抗体の有用性
公開日:2024年9月18日 Bayly-McCredie E, et al. Int J Mol Sci. 2024; 25: 9736.  二重特異性抗体は、大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)の治療において、新たな治療法として期待されている。二重特異性抗体の有効性および安全性に関する現在の研究では、より広範な非ホジキンリンパ腫に焦点が当てられており、成人LBCL患者における研究結果については、依然として不明な点が残っている。オーストラリア・Epworth HealthCareのElena Bayly-McCredie氏らは、成人LBCL患者における二重特異性抗体の有効性および安全性の結果を評価するため、システマティックレビューを実施した。International Journal of Molecular Sciences誌2024年9月9日号の報告。  2024年4月10日までに公表された介入臨床試験の研究を、PubMed、EMBASE、CENTRALよりシステマティックに検索した。観察研究、レビュー、メタ解析は、対象研究より除外した。 主な結果は以下のとおり。 ・RoBANS2によるバイアスリスクでは、対象研究の安全性評価の質は概ね高かったが、有効性評価の質にはばらつきが認められた。 ・対象研究の異質性を考慮し、narrative synthesisで結果を検討した。 ・最終分析には、早期フェーズの研究19件(プールされたサンプルサイズ:1,332例)を含めた。 ・全体では、9つの二重特異性抗体において単剤療法(9件)または併用療法(10件)にて研究が行われていた。 ・サイトカイン放出症候群の発生率は、多様であり、すべてのグレードにおけるイベントの範囲は、0〜72%であった。 ・感染症の報告は、すべての研究で一貫して高かった(範囲:38〜60%)。 ・血球減少が一般的に認められ、とくに貧血(範囲:4.4〜62%)、血小板減少(範囲:3.3〜69%)、好中球減少(範囲:4.4〜70%)が高率で認められた。 ・免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)およびグレード3以上の有害事象の報告は少なかった。 ・有効性の結果は良好であり、全奏効(OR)率中央値の範囲は、初発例で95〜100%、再発・難治例で36〜91%であった。 ・CAR-T細胞療法との比較においては、忍容性は優れているものの、有効性は劣っている可能性が示唆された。  著者らは「これらの結果は、成人LBCL患者に対する二重特異性抗体による治療は、有効であり、忍容性が良好であることを示唆している」とした上で「有効性および安全性に関する今後の研究において、有害事象発生のタイミングとマネジメント、患者QOLへの影響、医療システムへの負担、全生存期間(OS)の評価が明らかになることが望まれる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Bayly-McCredie E, et al. Int J Mol Sci. 2024; 25: 9736.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39273684 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
高齢者DLBCLにR-mini-CHOP+イブルチニブが有効〜第II相ALLG試験/Blood Adv
高齢者DLBCLにR-mini-CHOP+イブルチニブが有効〜第II相ALLG試験/Blood Adv
公開日:2024年9月5日 Verner E, et al. Blood Adv. 2024 Sep 3. [Epub ahead of print]  75歳以上の高齢者の初発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者を対象に、R-mini-CHOP療法にイブルチニブを追加した場合の有効性を評価するため、オーストラリア白血病およびリンパ腫グループ(ALLG)は、多施設共同プロスペクティブコホート試験を実施した。その結果、オーストラリア・Concord Repatriation General HospitalのEmma Verner氏らは、「R-mini-CHOP療法にイブルチニブを追加した本レジメンは、高齢者DLBCL患者に有用である」と報告した。Blood Advances誌オンライン版2024年9月3日号の報告。  R-mini-CHOP+イブルチニブを21日サイクルで6回実施し、その後、リツキシマブ+イブルチニブを21日サイクルで2回実施した。主要エンドポイントは、有効性および2年全生存率(OS)とした。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者79例中、R-mini-CHOP 6サイクルを完了した患者は63例(80%)、レジメン全体の平均相対総用量中央値は97%(IQR:82〜100)、平均相対用量強度中央値は97%(IQR:88〜100)であった。 ・フォローアップ期間中央値は35.5ヵ月、2年OSは68%(95%CI:55.6〜77.4)、2年無増悪生存率(PFS)は60.0%(95%CI:47.7〜70.3)。 ・OS中央値は72ヵ月(95%CI:35〜未達)、PFS中央値は40ヵ月(95%CI:20.4〜未達)であった。 ・全奏効率(ORR)は76%(79例中61例)、完全奏効(CR)は71%(79例中56例)。 ・死亡は79例中34例(43%)でみられ、内訳は病勢進行17例、治療関連死亡5例であった。 ・1つ以上の重篤な有害事象が認められた患者の割合は67%。 ・最も一般的な有害事象は、感染症と下痢であり、そのほとんどがグレード1〜2であった。 ・健康関連QOLは、時間経過とともに改善が認められた。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Verner E, et al. Blood Adv. 2024 Sep 3. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39226464 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
ポラツズマブ併用療法時のG-CSF製剤予防投与はどの程度有用なのか
ポラツズマブ併用療法時のG-CSF製剤予防投与はどの程度有用なのか
公開日:2024年8月29日 Kodama A, et al. Gan To Kagaku Ryoho. 2024; 51: 741-745.  びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療では、ポラツズマブ ベドチン(Pola)併用療法が広く用いられる。Pola併用療法の臨床試験では、90%以上の症例に対しG-CSF製剤が一次予防目的で投与されているが、予防投与のメリットを調査した報告はほとんどない。大阪・市立吹田市民病院の児玉 暁人氏らは、Pola併用療法時における持続型G-CSF製剤による1次予防の有無により、発熱性好中球減少症(FN)の発生率に影響を及ぼすかを調査した。癌と化学療法2024年7月号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・Pola-BP療法によるFN発生率は、G-CSFあり群で0%、G-CSFなし群で9.5%であった。 ・Pola-R-CHP療法によるFN発生率は、G-CSFあり群で0%、G-CSFなし群で31.2%であり、より高くなる傾向が認められた。 ・Pola-BP療法G-CSFあり群の入院期間は11日、G-CSFなし群は18日であり、G-CSF予防投与による入院期間の有意な短縮が認められた(p=0.046)。 ・G-CSF予防投与によりグレード3以上の白血球減少、好中球減少の発生率に減少傾向が認められたが、統計学的に有意な差は認められなかった。 ・Pola併用療法におけるG-CSF製剤の一次予防投与は、血液毒性の軽減に寄与する可能性が示唆された。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Kodama A, et al. Gan To Kagaku Ryoho. 2024; 51: 741-745.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39191692 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
CAR-T細胞療法関連毒性の予防にトシリズマブは推奨されるか
CAR-T細胞療法関連毒性の予防にトシリズマブは推奨されるか
公開日:2024年8月28日 Locke FL, et al. Transplant Cell Ther. 2024 Aug 24. [Epub ahead of print]  再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)に対する抗CD19CAR-T細胞療法薬であるアキシカブタゲン シロルユーセル(axi-cel)で治療を行った患者の多くは、サイトカイン放出症候群(CRS)や有害な神経学的イベントを経験する。axi-celによるCAR-T細胞関連毒性を軽減するための潜在的なアプローチを調査するため、ZUMA-1試験に追加し、安全性拡張コホートが実施された。米国・Moffitt Cancer CenterのFrederick L. Locke氏らは、その結果を報告した。Transplantation and Cellular Therapy誌オンライン版2024年8月24日号の報告。  探索的安全性コホートであるZUMA-1コホート3試験では、axi-cel治療患者におけるCRSおよび神経学的イベントの予防としてのIL-6受容体抗体トシリズマブおよび抗てんかん薬レベチラセタムの使用に関して、調査を行った。再発・難治性LBCL患者を対象に、Day−5~−3に前処置化学療法を実施し、Day0にaxi-cel(2×106cells/kg)を注入した。Axi-cel注入48時間後に、トシリズマブ(8mg/kg)を予防的に投与した。主要エンドポイントは、CRSおよび神経学的イベントの発生率と重症度とした。主な副次的エンドポイントには、有害事象の発生率、客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、バイオマーカー分析(循環CAR-T細胞、サイトカイン、ケモカイン)が含まれた。 主な結果は以下のとおり。 ・本コホート3には42例が登録され、そのうち38例にaxi-celが投与された。 ・24ヵ月の解析では、すべてのグレードのCRS発生率は92%、神経学的イベント発生率は87%であった。グレード3以上のCRSは3%、神経学的イベントは42%で認められた。 ・グレード5の神経学的イベント(脳浮腫)が1件認められた。 ・24ヵ月以上のフォローアップ調査では、ORRは63%、継続的な奏効は39.5%でみられた。 ・48ヵ月のフォローアップ調査では、OS中央値は34.8ヵ月(95%CI:5.4~判定不能)であった。 ・ZUMA-1コホート3試験におけるCAR-T細胞の増殖は、コホート1および2と同等であった。 ・コホート1、2と比較し、トシリズマブによるIL-6受容体阻害にマッチし、血清IL-6レベルの増加が認められた。 ・グレード3以上の神経学的イベントは、脳脊髄液中のIL-6レベル、炎症誘発性サイトカイン、骨髄細胞上昇との関連が認められた。  著者らは「再発・難治性LBCLに対するCAR-T細胞療法関連有害事象の予防において、トシリズマブの使用は推奨されなかった。また、レベチラセタム予防投与の有用性も、依然として不明なままであった」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Locke FL, et al. Transplant Cell Ther. 2024 Aug 24. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39187161 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性DLBCLの2ndライン、CAR-T細胞療法が主流となるのか
再発・難治性DLBCLの2ndライン、CAR-T細胞療法が主流となるのか
公開日:2024年8月5日 Asghar K, et al. Front Oncol. 2024: 14: 1407001.  再発・難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対する2ndライン治療としてCAR-T細胞療法と標準治療(SOC)を比較した最近の第III相試験において、これらの結果に一貫性が認められていない。パキスタン・ダウ健康科学大学のKanwal Asghar氏らは、再発・難治性DLBCLの2ndライン治療におけるCAR-T細胞療法の有効性を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Frontiers in Oncology誌2024年7月18日号の報告。  CAR-T細胞療法とSOCの比較を行うため、ランダム効果メタ解析を用いて、推定値をプールした。混合治療の比較では、頻度論的(frequentist)ネットワークメタ解析を用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・3試験、再発・難治性DLBCL患者865例をメタ解析に含めた。 ・CAR-T細胞療法は、SOCと比較し、無イベント生存期間(EFS)、無増悪生存期間(PFS)の有意な改善を示した。 【EFS】HR:0.51、95%CI:0.27〜0.97、I2=92% 【PFS】HR:0.47、95%CI:0.37〜0.60、I2=0% ・CAR-T細胞療法では、全生存期間(OS)の改善傾向が認められたが、両群間で統計学的に有意な差は認められなかった(HR:0.76、95%CI:0.56〜1.03、I2=29%)。 ・混合治療の比較では、tisa-celと比較し、liso-cel(HR:0.37、95%CI:0.22〜0.61)およびaxi-cel(HR:0.42、95%CI:0.29〜0.61)においてEFSに対するベネフィットが示唆された。  著者らは「再発・難治性DLBCLの2ndラインにおけるCAR-T細胞療法は、SOCと比較し、奏効率が高く、病勢進行を遅らせるうえで効果的な治療法であると考えられる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Asghar K, et al. Front Oncol. 2024: 14: 1407001.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39091918 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
80歳以上のDLBCLに対するR-CHOP-14 vs. R-mini-CHOP
80歳以上のDLBCLに対するR-CHOP-14 vs. R-mini-CHOP
公開日:2024年8月2日 Dilbaz ZG, et al. Eur J Haematol. 2024 Jul 31. [Epub ahead of print]  びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、最も一般的なリンパ腫であり、年齢とともに発症率は増加する。80歳以上のDLBCL患者に対する14日毎のR-CHOP療法(R-CHOP-14)に関するデータは十分とはいえない。ドイツ・ザールラント大学のZelal Guel Dilbaz氏らは、80歳以上のDLBCL患者を対象に、R-CHOP-14と減量R-CHOP療法(R-mini-CHOP)の有用性を比較するため、レトロスペクティブコホート研究を実施した。European Journal of Haematology誌オンライン版2024年7月31日号の報告。  対象は、2005〜19年にドイツの2つの三次医療センターにおいてR-CHOP-14またはR-mini-CHOPを行った80歳以上のDLBCL患者79例。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者の年齢中央値は84歳(範囲:80〜91)であった。 ・R-CHOP-14群は、R-mini-CHOP群と比較し、完全奏効(CR)は高かった(71.4% vs. 52.4%)が、全生存期間(OS、HR:0.94、95%CI:0.47〜1.90、p=0.88)および無増悪生存期間(PFS、HR:0.66、95%CI:0.32〜1.36、p=0.26)は、両群間で統計学的に有意な差は認められなかった。 ・フォローアップ中央期間40ヵ月における2年OSは、R-CHOP-14群で56%、R-mini-CHOP群で53%であった。 ・2年PFSは、R-CHOP-14群で46%、R-mini-CHOP群で50%であった。 ・化学療法の相対的な用量強度とOSとの間に相関は認められなかった(p=0.72)。  著者らは「本研究がレトロスペクティブコホート研究である点を踏まえると、OSに差が認められないことから、80歳以上の未治療DLBCL患者に対する治療は、減量R-CHOPが望ましいと考えられる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Dilbaz ZG, et al. Eur J Haematol. 2024 Jul 31. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39086181 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
R-CHOP+メトホルミン併用療法でDLBCLの臨床アウトカム改善〜第II相試験
R-CHOP+メトホルミン併用療法でDLBCLの臨床アウトカム改善〜第II相試験
公開日:2024年7月30日 Hegazy A, et al. Asian Pac J Cancer Prev. 2024; 25: 2351-2359.  メトホルミンは、さまざまな腫瘍に対し抗腫瘍効果を示すことが報告されている。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)においては、第1選択の化学療法および免疫療法にメトホルミンを併用することにより、臨床アウトカムの改善が示唆されている。エジプト・Menoufia UniversityのAmira Hegazy氏らは、DLBCL患者に対する標準的な初期治療レジメンであるR-CHOP療法にメトホルミンを併用した際の有効性を評価するため、プロスペクティブランダム化第II相試験を実施した。Asian Pacific Journal of Cancer Prevention誌2024年7月1日号の報告。  対象は、DLBCLの組織病理学的所見が認められ、R-CHOPによる第1選択治療の基準に適合し、余命6ヵ月以上、PS2以下の成人患者100例。対象患者は、R-CHOP+メトホルミン併用療法群(50例)またはR-CHOP療法単独を行った標準療法群(50例)のいずれかにランダムに割り付けられた。評価指標には、奏効率、毒性、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を含めた。 主な結果は以下のとおり。 ・メトホルミン併用療法群では、標準療法群よりも、女性の割合が高かった(p=0.016)。 ・メトホルミン併用療法群では、標準療法群よりも、悪心の発生率が高かった(p=0.008)。 ・メトホルミン併用療法群では、標準療法群よりも、治療終了時の完全寛解(CR)率が高く、再発/病勢進行率が低く、全死亡率も低かった。 【CR率】メトホルミン併用療法群:92% vs. 標準療法群:74%(p=0.017) 【再発/病勢進行率】メトホルミン併用療法群:10% vs. 標準療法群:36%(p=0.002) 【全死亡率】メトホルミン併用療法群:4% vs. 標準療法群:20%(p=0.014) ・平均無病生存期間(DFS)は、メトホルミン併用療法群で24.5ヵ月、標準療法群で20.2ヵ月であった(p=0.023)。 ・同様に、平均PFSは、メトホルミン併用療法群で25.91ヵ月、標準療法群で19.81ヵ月(p=0.002)、平均OSは、メトホルミン併用療法群で27.39ヵ月、標準療法群で23.8ヵ月であった(p=0.013)。 ・奏効と再発の多変量解析では、メトホルミンの使用は、CRと再発の独立した予後因子であることが示唆された。  著者らは「R-CHOP+メトホルミン併用療法は、許容可能な安全性プロファイルを有し、DLBCL患者の臨床アウトカム改善に寄与する可能性が示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Hegazy A, et al. Asian Pac J Cancer Prev. 2024; 25: 2351-2359.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39068568 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら