「リツキシマブ(リツキサン)」の記事一覧

DLBCLに対するR-CHOP療法による完全寛解率
DLBCLに対するR-CHOP療法による完全寛解率
公開日:2024年5月7日 Hassan SU, et al. Cureus. 2024; 16: e57368.  びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、臨床症状および治療反応が多岐に渡り、アウトカムの予測や治療戦略の検討に課題が残る。分子サブタイピングや予後評価が進歩したにも関わらず、DLBCLの最適なマネジメントに関しては、依然として不確実性があり、特定の患者集団における治療反応およびアウトカムの理解を促進するためにも、局所的な調査の必要性が浮き彫りとなっている。パキスタン・Hayatabad Medical Complex PeshawarのSani U. Hassan氏らは、特定の成人集団においてR-CHOP療法を受けているDLBCL患者の完全寛解(CR)率を評価するため、本研究を実施した。Cureus誌2024年4月1日号の報告。  本研究は、2022年8月8日〜2023年4月8日に、パキスタン・Hayatabad Medical Complexの腫瘍内科で実施した。対象は、治療歴を有する患者を除く20〜70歳の新規DLBCL患者95例(男性:55例、女性:40例)。人口統計学的特徴、罹病期間、CRに関するデータは、事前に定義したデータ収集フォームを用いて収集した。 主な結果は以下のとおり。 ・R-CHOPによるCR達成率は、84.2%(80例)であった。 ・年齢分布に関しては、45歳以下が45.3%(43例)であった。 ・罹病期間は、3ヵ月以内が63.2%(60例)を占めていた。 ・BMIの分類では、18.5kg/m2未満が9.5%(9例)、18.5〜24.9kg/m2が51.6%(49例)、25〜30kg/m2が38.9%(37例)であった。  著者らは「DLBCLに対するR-CHOP療法は、CR達成に有望な治療法であるが、遅発性の副作用に関する懸念はいまだ残存している。これらDLBCLの課題に対し、新規の予後バイオマーカーを検証し、代替治療アプローチを開発し、患者アウトカムの改善に繋げ、世界的な負担を軽減するためにも、継続的な研究努力が求められる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Hassan SU, et al. Cureus. 2024; 16: e57368.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38694660 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性MCLに対するリツキシマブ+高用量シタラビン+デキサメタゾン+ボルテゾミブ療法〜ランダム化非盲検第III相試験
再発・難治性MCLに対するリツキシマブ+高用量シタラビン+デキサメタゾン+ボルテゾミブ療法〜ランダム化非盲検第III相試験
公開日:2024年5月20日 Fischer L, et al. Leukemia. 2024 Apr 27. [Epub ahead of print]  再発・難治性マントル細胞リンパ腫(MCL)患者に対する治療は、主要な臨床課題の1つである。ドイツ・ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンのLuca Fischer氏らは、自家造血幹細胞移植の適応なしまたは移植後再発した再発・難治性MCL患者に対するリツキシマブ+高用量シタラビン+デキサメタゾン+ボルテゾミブ療法(R-HAD+B)のランダム化非盲検並行群間第III相試験を実施した。Leukemia誌オンライン版2024年4月27日号の報告。  R-HAD+B療法の有効性を評価するため、ボルテゾミブを併用しないR-HADとの比較を行った。主要エンドポイントは、治療成功期間(TTTF)とし、副次的エンドポイントには、奏効率、無増悪生存期間、全生存期間、安全性を含めた。 主な結果は以下のとおり。 ・128例がR-HAD+B群(64例)またはR-HAD群(64例)にランダムに割り付けられた。 ・TTTF中央値は、R-HAD+B群で12ヵ月、R-HAD群で2.6ヵ月であった(p=0.045、MIPIスコア調整ハザード比[aHR]:0.69、95%CI:0.47〜1.02)。 ・全奏効率は、R-HAD+B群で63%、R-HAD群で45%(p=0.049)であった。 ・完全奏効率は、R-HAD+B群で42%、R-HAD群で19%(p=0.0062)であった。 ・サブグループ解析では、65歳以上の患者(aHR:0.48、95%CI:0.29〜0.79)、自家移植歴のない患者(aHR:0.52、95%CI:0.28〜0.96)において、有意な治療効果が認められた。 ・毒性は、主に血液学的毒性であり、化学療法のバックボーンに起因していた。 ・グレード3以上の白血球減少症およびリンパ球減少症は、R-HAD+B群でより認められたが、両群間で重篤な感染症に差は認められなかった。  著者らは「再発・難治性MCLに対するボルテゾミブと化学療法との併用は、有効である可能性があり、とくにBTK阻害薬による治療が選択肢とならない場合には、さらに評価されるべきであろう」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Fischer L, et al. Leukemia. 2024 Apr 27. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38678093 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
FCR療法による一次治療を行なったCLL患者の長期分析〜ドイツCLL研究グループ
FCR療法による一次治療を行なったCLL患者の長期分析〜ドイツCLL研究グループ
公開日:2024年5月21日 Kutsch N, et al. Eur J Haematol. 2024 May 1. [Epub ahead of print]  臨床試験において、慢性リンパ性白血病(CLL)に対するフルダラビン+シクロホスファミド+リツキシマブによるFCR療法は、長期フォローアップデータからも良好な有効性が示唆されている。ドイツ・ケルン大学のNadine Kutsch氏らは、ドイツCLL研究グループ(GCLLSG)のレジストリより収集したデータを用いて、CLL患者に対するFCR療法の長期データの分析を行なった。European Journal of Haematology誌オンライン版2024年5月1日号の報告。  FCR療法による1次治療を行なったCLL患者417例(臨床試験以外での治療実施患者:293例、70.3%)を分析した。 主な結果は以下のとおり。 ・1次治療からの観察期間の中央値は、95.8ヵ月(四分位範囲:58.7〜126.8)であった。 ・GCLLSGレジストリでデータ収取を開始した2013年以降、FCR療法の1次治療を行なった194例(46.5%)の患者データに焦点を当てたところ、奏効率は85%、非奏効率は15%、データが欠落していた患者は3.6%であった。 ・無イベント生存期間(EFS)の中央値は、60.2ヵ月、5年EFS率は50.6%であった。 ・高リスク患者(IGHV変異なし)78例のEFSの中央値は、45.4ヵ月、5年EFS率は36.3%であった。 ・IGHV変異患者40例のEFSの中央値は、77.5ヵ月、5年EFS率は60.3%であった。 ・全生存期間の5年生存率は92.7%であった。  著者らは「CLLに対する1次治療としてのFCR療法は、とくにIGHV変異患者において、EFSの延長と関連していることが明らかとなった」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Kutsch N, et al. Eur J Haematol. 2024 May 1. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38693677 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性FL、DLBCLに対するポラツズマブ+ベネトクラクス+坑CD20モノクローナル抗体の有効性・安全性
再発・難治性FL、DLBCLに対するポラツズマブ+ベネトクラクス+坑CD20モノクローナル抗体の有効性・安全性
公開日:2024年5月23日 Yuen S, et al. Am J Hematol. 2024 May 3. [Epub ahead of print]  再発・難治性濾胞性リンパ腫(FL)に対するポラツズマブ ベドチン+ベネトクラクス+オビヌツズマブおよび再発・難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対するポラツズマブ ベドチン+ベネトクラクス+リツキシマブの有効性・安全性を評価した非盲検国際多施設共同非ランダム化第Ib/II相試験が行われた。その結果について、オーストラリア・Calvary Mater Newcastle HospitalのSam Yuen氏らが、報告を行った。American Journal of Hematology誌オンライン版2024年5月3日号の報告。  再発・難治性FLには、ポラツズマブ ベドチン(1.8mg/kg)+ベネトクラクス(800mg)+オビヌツズマブ(1,000mg)、再発・難治性DLBCLには、ポラツズマブ ベドチン(1.8mg/kg)+ベネトクラクス(800mg)+リツキシマブ(375mg/m2)の導入療法後(21日サイクル6回)、完全奏効(CR)または部分奏効(PR)を達成した患者に対し、ベネトクラクス+オビヌツズマブまたはリツキシマブによる治療を継続した。主要エンドポイントは、導入療法後のCR率とした。 主な結果は以下のとおり。 ・安全性評価対象患者はFLで74例(年齢中央値:64歳、1次治療24ヵ月以内の疾患進行率:25.7%、FLIPIスコア 3〜5:54.1%、過去の治療歴が2以上:74.3%)、DLBCLで57例(年齢中央値:65歳、IPIスコア 3〜5:54.4%、過去の治療歴が2以上:77.2%)であった。 ・最も一般的な非血液学的有害事象(主にグレード1〜2)は、下痢(FL:55.4%、DLBCL:47.4%)、悪心(FL:47.3%、DLBCL:36.8%)であり、最も一般的な血液毒性(グレード3〜4)は、好中球減少症(FL:39.2%、DLBCL:52.6%)であった。 ・有効性評価対象患者には、推奨される第II相試験の用量で治療を行なった患者を含めた(FL:49例、DLBCL:48例)。 ・導入療法後のCR率は、FLで59.2%、DLBCLで31.3%であった。 ・無増悪生存期間の中央値は、FLで22.8ヵ月(95%信頼区間[CI]:14.5〜評価不能)、DLBCLで4.6ヵ月(95%CI:3.6〜8.1)であった。  著者らは「再発・難治性のFLまたはDLBCLに対するポラツズマブ ベドチン+ベネトクラクス+オビヌツズマブ/リツキシマブは、許容可能な安全性を有しており、とくに高リスク患者を含む再発・難治性FLにおいては、有望な奏効率が認められた」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Yuen S, et al. Am J Hematol. 2024 May 3. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38700035 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
CAR-T細胞療法に移行したLBCL患者の治療成績
CAR-T細胞療法に移行したLBCL患者の治療成績
公開日:2024年5月29日 Iacoboni G, et al. Hemasphere. 2024; 8: e62.  CAR-T細胞療法を行なった再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)患者の60%は、その後の疾患進行を経験する。CAR-T細胞療法後の標準的な治療法はいまだ明らかではなく、情報不足や不均一性が見られる。スペイン・バルデブロン大学のGloria Iacoboni氏らは、スペインと英国でCAR-T細胞療法後に進行した再発・難治性LBCL患者を対象に分析を行った。HemaSphere誌2024年5月21日号の報告。  対象は、2018年7月〜2022年3月にスペインと英国でCAR-T細胞療法後に進行した再発・難治性LBCL患者387例。 主な結果は以下のとおり。 ・全生存期間(OS)中央値は5.3ヵ月、注入と進行の間隔に応じて有意な差が認められた(2ヵ月未満:1.9ヵ月、2〜6ヵ月:5.2ヵ月、6ヵ月以上:未到達)。 ・進行後、237例(61%)が次の治療へ移行し、全(完全)奏効率、12ヵ月無増悪生存率(PFS)およびOSは以下の通りであった。 ●Pola-BR療法:67%(奏功率:38%、PFS:36.2%、OS:51.0%) ●二重特異性抗体:51%(奏功率:36%、PFS:32.0%、OS:50.1%) ●放射線療法:33%(奏功率:26%、PFS:30.8%、OS:37.5%) ●免疫チェックポイント阻害薬:25%(奏功率:0%、PFS:29.9%、OS:27.8%) ●レナリドマイド:25%(奏功率:14%、PFS:7.3%、OS:20.8%) ●化学療法:25%(奏功率:14%、PFS:6.1%、OS:18.3%) ・同種造血幹細胞移植を行った患者は32例(14%)、フォローアップ期間中央値の15.1ヵ月後にOS中央値に達しなかった。  著者らは「CAR-T細胞療法後、最初の2ヵ月以内に進行した再発・難治性LBCL患者のアウトカムは不良であった。ポラツズマブや二重特異性抗体などの新規標的薬による治療は、CAR-T細胞療法後においても、長期生存率の改善が期待できる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Iacoboni G, et al. Hemasphere. 2024; 8: e62.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38774657 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
未治療MCLに対するアカラブルチニブ+ベネトクラクス+リツキシマブの2年間の安全性および有効性
未治療MCLに対するアカラブルチニブ+ベネトクラクス+リツキシマブの2年間の安全性および有効性
公開日:2024年5月31日 Wang ML, et al. Blood Adv. 2024 May 23. [Epub ahead of print]  米国・テキサス大学のMichael L. Wang氏らは、未治療のマントル細胞リンパ腫(MCL)に対するアカラブルチニブ+ベネトクラクス+リツキシマブの安全性および有効性を評価するため、第Ib相試験を実施した。Blood Advances誌オンライン版2024年5月23日号の報告。  疾患の進行または毒性が発現するまで、アカラブルチニブ(1〜24サイクル)、リツキシマブ(1〜6サイクル+24サイクルまで隔サイクル)、ベネトクラクス(2〜24サイクル)を投与した。 主な結果は以下のとおり。 ・21例が登録された。6サイクルが完了した患者は95.2%、アカラブルチニブによる維持療法を継続した患者は47.6%であった。 ・グレード3、4の有害事象は61.9%(13例)に見られた。最も多い有害事象は好中球減少症(33.3%)であった。 ・COVID-19感染患者は7例(33.3%)であった(重篤な有害事象:6例、死亡:5例、すべてワクチン未接種)。 ・グレード3以上の心房細動、心室頻拍、出血、腫瘍崩壊症候群は見られなかった。 ・Lugano基準に基づく全奏効率(ORR)は100%(95%CI:83.9〜100.0)、完全奏功率(CR)は71.4%であった。 ・フォローアップ期間中央値は27.8ヵ月、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)は、中央値に到達しなかった。 ・1年PFSは90.5%(95%CI:67.0〜97.5)、2年PFSは63.2%(95%CI:34.7〜82.0)であった。COVID-19による死亡を除外すると、いずれも95%であった。 ・1年OSは95.2%(95%CI:70.7〜99.3)、2年OSは75.2%(95%CI:50.3〜88.9)であった。COVID-19による死亡を除外すると、いずれも100%であった。 ・全体として、微小残存病変(MRD)を有する患者の87.5%が、治療中にMRD陰性(次世代シーケンス:10-6)を達成した。  著者らは「アカラブルチニブ+ベネトクラクス+リツキシマブは、未治療MCLに対するケモフリーレジメンであり、高いORRおよびMRD陰性率が期待できる治療である」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Wang ML, et al. Blood Adv. 2024 May 23. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38781315 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
日本人DLBCLの適切なエンドポイントは?〜北日本血液研究会
日本人DLBCLの適切なエンドポイントは?〜北日本血液研究会
公開日:2024年6月26日 Izumiyama K, et al. Haematologica. 2024 Jun 13. [Epub ahead of print]  新規びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)治療後のフォローアップ期間に関する情報は重要であるものの、明確なエンドポイントは明らかになっていない。北海道・愛育病院の泉山 康氏らは、北海道の各地域を代表する14施設を含む、集団ベースのコホート研究より、新規DLBCL予後を調査した。Haematologica誌オンライン版2024年6月13日号の報告。  北日本血液研究会は、北海道の各地域を代表する14施設を含む、集団ベースのコホート研究を実施した。対象は、2008〜18年に初回治療としてリツキシマブとアントラサイクリンベースで導入化学療法(ICT)を行った18歳以上の新規DLBCL患者2,182例。全生存期間(OS)は、年齢、性別でマッチした日本人一般集団のデータ(対照群)と比較した。 主な結果は以下のとおり。 ・患者の平均年齢は71歳。 ・フォローアップ期間中央値は3.4年、イベント発生患者は985例、死亡患者は657例であった。 ・36ヵ月無イベント生存期間(EFS)達成患者のOSは、対照群と同等であったが(標準化死亡比[SMR]:1.17、p=0.1324)、24ヵ月EFS達成患者のOSは、対照群と同等ではなかった(SMR:1.26、p=0.0095)。 ・サブグループ解析では、24ヵ月EFS達成患者でマッチした日本人一般集団と同等の平均余命を示す因子として、比較的高齢な患者(60歳以上)、男性、限局期、PS良好、可溶性IL-2受容体低値が抽出された。 ・一方、比較的若年の患者では、36ヵ月EFS達成患者でマッチした日本人一般集団よりも平均余命が短かった。  著者らは「新規DLBCL患者において、36ヵ月EFSは24ヵ月EFSよりも、適切なエンドポイントである可能性が示唆された。注目すべきは、比較的若年の患者では、より長期のEFS期間が必要となることであろう」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Izumiyama K, et al. Haematologica. 2024 Jun 13. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38867578 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
リツキサン時代における再発・難治性DLBCLの実際の臨床アウトカム〜STRIDER試験
リツキサン時代における再発・難治性DLBCLの実際の臨床アウトカム〜STRIDER試験
公開日:2024年7月22日 Dogliotti I, et al. Cancer Med. 2024; 13: e7448.  R -CHOP療法により、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療成績は大きく改善した。しかし、R-CHOP療法で治療した場合でも、再発率は約40%、難治性率は約15%といわれている。イタリア・A.O.U. Citta della Salute e della ScienzaのIrene Dogliotti氏らは、再発・難治性DLBCLの実際の臨床アウトカムを評価するため、リアルワールドデータのレトロスペクティブ分析を行った。Cancer Medicine誌2024年7月号の報告。  イタリア・トリノの2つの大規模血液センターで治療を行ったDLBCL患者403例を連続登録し、調査した。 主な結果は以下のとおり。 ・フォローアップ期間中央値は50ヵ月、診断から5年間の全生存期間(OS)は66.5%、2年の無増悪生存期間(PFS)は68%であった。 ・再発・難治性DLBCLは134例(34.4%)であった。内訳は、再発した患者46例(11.8%)、難治性と判断された患者88例(22.6%)。 ・サルベージ療法で最も多く採用されたのは、プラチナベースのレジメンで38例(28.4%)、次いでレナリドミド14例(10.4%)であった。 ・再発または病勢進行後のOS中央値は6.7ヵ月、PFS中央値は5.1ヵ月であった。 ・再発・難治性DLBCLにおいて、プラチナベースのレジメンで治療された患者と他のレジメンで治療された患者では、全奏効率(OR)、OS、PFSに有意な差は認められなかった。 ・多変量解析により、再発・難治性DLBCLのOSと関連している因子として、次の3つが挙げられた。 ●年齢:60〜80歳 ●起源:胚中心B細胞型 ●転移:リンパ節外転移2ヵ所未満  著者らは「リツキシマブ時代になった今もなお、再発・難治性DLBCLの臨床アウトカムは、不良であることが改めて確認された。これらを改善するためにも、CAR-T細胞療法や二重特異性抗体などの新たな治療法が、第2選択治療として広く承認されることが望まれる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Dogliotti I, et al. Cancer Med. 2024; 13: e7448.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39030982 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
日本人TTP患者の再発予防、カプラシズマブ+早期リツキシマブ投与が有用
日本人TTP患者の再発予防、カプラシズマブ+早期リツキシマブ投与が有用
公開日:2024年8月7日 Imada K, et al. Thromb J. 2024; 22: 72.  日本人患者を対象とした国内第II /III相試験において、後天性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)に対するカプラシズマブ治療の有効性が示され、後天性TTPの再発率低下が報告された。カプラシズマブ治療は、ADAMTS13活性を毎週モニタリングし、症状の消失や活性の低下が持続するまで治療を継続することで、病勢増悪や再発を抑制することができる。大阪赤十字病院の今田 和典氏らは、国内第II/III相試験の対象患者におけるカプラシズマブ治療のADAMTS13活性/インヒビターレベルの変化を評価するため、事後分析を実施した。Thrombosis Journal誌2024年8月2日号の報告。  18歳以上の後天性TTP患者を対象に、血漿交換(TPE)後30日間、TPEおよび免疫抑制薬と併用してカプラシズマブを1日1回10m投与した。アウトカムには、ADAMTS13活性の正常化までの期間、治療終了時のADAMTS13活性レベル、治療中のADAMTS13 inhibitor boostingの発生率、血小板数の正常化までの期間、TPEの日数、安全性を含めた。治療中のADAMTS13インヒビターの再上昇の有無によるアウトカム評価も行なった。 主な結果は以下のとおり。 ・後天性TTP患者19例を分析に含めた。 ・ADAMTS13活性が10、20、60%以上回復するまでの期間は、それぞれ以下の通りであった。 【10%以上回復】14.6日(95%CI:5.9〜24.8) 【20%以上回復】18.5日(95%CI:5.9〜31.8) 【60%以上回復】47.5日(95%CI:18.5〜60.9) ・カプラシズマブ治療終了時のADAMTS13活性レベルの中央値は、62.0%(範囲:29.0〜101.0)であった。 ・ADAMTS13 inhibitor boostingの患者9例では、ADMTS13活性の反応に遅れがみられ、ADAMTS13 inhibitor boostingでなかった患者と比較し、血小板数の正常化までの期間中央値、TPEの日数中央値の短縮が認められた。 ・TPE終了後、ADAMTS13 inhibitor boostingのほぼすべての患者に対し、リツキシマブが投与された(88.9%)。 ・リツキシマブで治療を行ったADAMTS13 inhibitor boostingでなかった患者は、TPE終了前にリツキシマブが投与されていた。 ・再発患者は1例のみであり、有害事象によりカプラシズマブ投与を中止した直後に発現した。  著者らは「後天性TTP患者では、治療早期にリツキシマブを投与し、TPEおよび免疫抑制薬とカプラシズマブの併用を行うことで、ADAMTS13 inhibitor boostingリスクの軽減につながる可能性が示唆された。カプラシズマブに加え、リツキシマブを早期に使用することで、ADAMTS13 inhibitor boostingによる後天性TTP再発の予防が期待できる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Imada K, et al. Thromb J. 2024; 22: 72.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39095866 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
ベンダムスチン療法のリンパ球回復までの期間はどの程度か?
ベンダムスチン療法のリンパ球回復までの期間はどの程度か?
公開日:2024年9月2日 Donzelli L, et al. Ann Hematol. 2024 Aug 30. [Epub ahead of print]  ベンダムスチン+リツキシマブ療法(BR療法)またはベンダムスチン+リツキシマブ+シタラビン療法(R-BAC療法)は、マントル細胞リンパ腫(MCL)の高齢患者、集中治療または自家移植適応のない患者に対する標準的な第1選択化学療法である。ベンダムスチンは、長期にわたるリンパ球減少を引き起こすことが知られているが、MCL患者における持続性に関するエビデンスは乏しい。イタリア・ローマ・ラ・サピエンツァ大学のLivia Donzelli氏らは、CAR-T細胞療法による免疫療法の可能性も考慮し、MCL患者におけるベンダムスチン療法後のリンパ球回復までの期間を推定するため、レトロスペクティブに分析を行った。Annals of Hematology誌オンライン版2024年8月30日号の報告。  対象は、2011年5月~2022年4月にサピエンツァ大学病院血液内科においてベンダムスチンによる第1選択治療(BR療法またはR-BAC療法)を行ったMCL患者44例(連続登録)。患者データを収集し、レトロスペクティブに分析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・BR療法は24例(55%)、R-BAC療法は20例(45%)に用いられた。 ・ベースライン時のリンパ球数中央値は1,795/μL(範囲:370〜1万1,730)であった。 ・治療終了から1ヵ月後には450/μL(範囲:50〜3,300)、3ヵ月後には768/μL(範囲:260〜1,650)であった。 ・リンパ球数中央値は徐々に増加し、6、9ヵ月後には900/μLまで回復した(6ヵ月後:370〜2,560、9ヵ月後:130〜2,770)。 ・12ヵ月後のリンパ球数中央値は、1,256/μL(範囲:240〜4,140)であった。  著者らは「MCL患者におけるベンダムスチン療法後のリンパ球数中央値は、治療後1、3、6、9ヵ月時点ではベースラインより有意に低かったが、12ヵ月後には回復がみられた」とし「MCL患者に対するCAR-T細胞療法を検討する際、ベンダムスチン投与とリンパ球除去との間に9ヵ月以上間隔を空ける必要がある」とまとめている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Donzelli L, et al. Ann Hematol. 2024 Aug 30. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39212720 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら