「ベネトクラクス(ベネクレクスタ)」の記事一覧

再発CLLに対するアカラブルチニブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブ療法〜CLL2-BAAG試験の最終分析
再発CLLに対するアカラブルチニブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブ療法〜CLL2-BAAG試験の最終分析
公開日:2024年5月14日 Furstenau M, et al. Blood. 2024 Apr 15. [Epub ahead of print]  再発または難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)患者を対象とした第II相CLL2-BAAG試験では、ベンダムスチン減量オプション後のアカラブルチニブ、ベネトクラクス、オビヌツズマブの3剤併用療法による微小残像病変(MRD)の変化が調査された。ドイツ・ケルン大学のMoritz Furstenau氏らは、CLL2-BAAG試験の最終的な有効性および循環腫瘍DNA(ctDNA)解析結果の報告を行った。Blood誌オンライン版2024年4月15日号の報告。  対象は再発または難治性CLL患者45例(除外基準に違反したため、解析からは1例除外)。MRDは末梢血中のフローサイトメトリー(FCM)を用いて測定し(検出可能なMRD<10-4)、循環腫瘍DNA(ctDNA)は、血漿中のVDJ遺伝子再構成およびCLL関連変異のデジタルPCR(ddPCR)により測定した。MRD再発の定義は、MRD陰性/ctDNA陰性を達成したのち、ctDNA陽性および/またはMRD≧10-4の場合と定義した。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者における過去の治療回数の中央値は1回(範囲:1〜4)、18例(40%)は本試験前にBTK阻害薬および/またはベネトクラクスによる治療を行なっていた。14例(31.8%)はTP 53遺伝子の異常が見られ、34例(75.6%)はIGHV変異なしであった。 ・フォローアップ期間は36.3ヵ月(中央値)、治療中止までの期間は21.9ヵ月(中央値)であった。 ・末梢血におけるMRD陰性は、全体として45例中42例(93.3%)で達成された。BTK阻害薬/ベネトクラクスの治療歴を有する患者では18例中17例(94.4%)、TP53遺伝子異常が認められる患者では14例中13例(92.9%)において、MRD陰性が達成された。 ・3年間の無増悪生存期間は85.0%、全生存率は93.8%であった。 ・全体でFCM /ctDNAサンプル585件を分析したところ、治療終了後のMRD再発は18件で認められた(臨床的進行あり:5件、臨床的進行なし:13件)。最初にctDNAで検出された検体は12件、FCMが3件、同時に検出された検体は3件であった。 ・ctDNAにより早期に検出された患者は、遺伝的リスクが高い特徴を有しているようであった。  著者らは「本試験では、再発または難治性のCLL患者に対するアカラブルチニブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブ療法は、MRD陰性において多くの患者で寛解を達成することが可能であった。MRDの評価では、FCMにctDNAを追加することで、再発の早期発見の向上が期待できる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Furstenau M, et al. Blood. 2024 Apr 15. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38620072 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性FL、DLBCLに対するポラツズマブ+ベネトクラクス+坑CD20モノクローナル抗体の有効性・安全性
再発・難治性FL、DLBCLに対するポラツズマブ+ベネトクラクス+坑CD20モノクローナル抗体の有効性・安全性
公開日:2024年5月23日 Yuen S, et al. Am J Hematol. 2024 May 3. [Epub ahead of print]  再発・難治性濾胞性リンパ腫(FL)に対するポラツズマブ ベドチン+ベネトクラクス+オビヌツズマブおよび再発・難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対するポラツズマブ ベドチン+ベネトクラクス+リツキシマブの有効性・安全性を評価した非盲検国際多施設共同非ランダム化第Ib/II相試験が行われた。その結果について、オーストラリア・Calvary Mater Newcastle HospitalのSam Yuen氏らが、報告を行った。American Journal of Hematology誌オンライン版2024年5月3日号の報告。  再発・難治性FLには、ポラツズマブ ベドチン(1.8mg/kg)+ベネトクラクス(800mg)+オビヌツズマブ(1,000mg)、再発・難治性DLBCLには、ポラツズマブ ベドチン(1.8mg/kg)+ベネトクラクス(800mg)+リツキシマブ(375mg/m2)の導入療法後(21日サイクル6回)、完全奏効(CR)または部分奏効(PR)を達成した患者に対し、ベネトクラクス+オビヌツズマブまたはリツキシマブによる治療を継続した。主要エンドポイントは、導入療法後のCR率とした。 主な結果は以下のとおり。 ・安全性評価対象患者はFLで74例(年齢中央値:64歳、1次治療24ヵ月以内の疾患進行率:25.7%、FLIPIスコア 3〜5:54.1%、過去の治療歴が2以上:74.3%)、DLBCLで57例(年齢中央値:65歳、IPIスコア 3〜5:54.4%、過去の治療歴が2以上:77.2%)であった。 ・最も一般的な非血液学的有害事象(主にグレード1〜2)は、下痢(FL:55.4%、DLBCL:47.4%)、悪心(FL:47.3%、DLBCL:36.8%)であり、最も一般的な血液毒性(グレード3〜4)は、好中球減少症(FL:39.2%、DLBCL:52.6%)であった。 ・有効性評価対象患者には、推奨される第II相試験の用量で治療を行なった患者を含めた(FL:49例、DLBCL:48例)。 ・導入療法後のCR率は、FLで59.2%、DLBCLで31.3%であった。 ・無増悪生存期間の中央値は、FLで22.8ヵ月(95%信頼区間[CI]:14.5〜評価不能)、DLBCLで4.6ヵ月(95%CI:3.6〜8.1)であった。  著者らは「再発・難治性のFLまたはDLBCLに対するポラツズマブ ベドチン+ベネトクラクス+オビヌツズマブ/リツキシマブは、許容可能な安全性を有しており、とくに高リスク患者を含む再発・難治性FLにおいては、有望な奏効率が認められた」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Yuen S, et al. Am J Hematol. 2024 May 3. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38700035 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
未治療MCLに対するアカラブルチニブ+ベネトクラクス+リツキシマブの2年間の安全性および有効性
未治療MCLに対するアカラブルチニブ+ベネトクラクス+リツキシマブの2年間の安全性および有効性
公開日:2024年5月31日 Wang ML, et al. Blood Adv. 2024 May 23. [Epub ahead of print]  米国・テキサス大学のMichael L. Wang氏らは、未治療のマントル細胞リンパ腫(MCL)に対するアカラブルチニブ+ベネトクラクス+リツキシマブの安全性および有効性を評価するため、第Ib相試験を実施した。Blood Advances誌オンライン版2024年5月23日号の報告。  疾患の進行または毒性が発現するまで、アカラブルチニブ(1〜24サイクル)、リツキシマブ(1〜6サイクル+24サイクルまで隔サイクル)、ベネトクラクス(2〜24サイクル)を投与した。 主な結果は以下のとおり。 ・21例が登録された。6サイクルが完了した患者は95.2%、アカラブルチニブによる維持療法を継続した患者は47.6%であった。 ・グレード3、4の有害事象は61.9%(13例)に見られた。最も多い有害事象は好中球減少症(33.3%)であった。 ・COVID-19感染患者は7例(33.3%)であった(重篤な有害事象:6例、死亡:5例、すべてワクチン未接種)。 ・グレード3以上の心房細動、心室頻拍、出血、腫瘍崩壊症候群は見られなかった。 ・Lugano基準に基づく全奏効率(ORR)は100%(95%CI:83.9〜100.0)、完全奏功率(CR)は71.4%であった。 ・フォローアップ期間中央値は27.8ヵ月、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)は、中央値に到達しなかった。 ・1年PFSは90.5%(95%CI:67.0〜97.5)、2年PFSは63.2%(95%CI:34.7〜82.0)であった。COVID-19による死亡を除外すると、いずれも95%であった。 ・1年OSは95.2%(95%CI:70.7〜99.3)、2年OSは75.2%(95%CI:50.3〜88.9)であった。COVID-19による死亡を除外すると、いずれも100%であった。 ・全体として、微小残存病変(MRD)を有する患者の87.5%が、治療中にMRD陰性(次世代シーケンス:10-6)を達成した。  著者らは「アカラブルチニブ+ベネトクラクス+リツキシマブは、未治療MCLに対するケモフリーレジメンであり、高いORRおよびMRD陰性率が期待できる治療である」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Wang ML, et al. Blood Adv. 2024 May 23. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38781315 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発DLBCLに対するベネトクラクス+イブルチニブ+プレドニゾン+オビヌツズマブ+レナリドミド併用療法
再発DLBCLに対するベネトクラクス+イブルチニブ+プレドニゾン+オビヌツズマブ+レナリドミド併用療法
公開日:2024年6月24日 Melani C, et al. N Engl J Med. 2024; 390: 2143-2155.  びまん性大細胞性B細胞リンパ腫(DLBCL)における発癌変異の特定により、それらをターゲットとする薬剤が次々と開発されている。しかし、複数のターゲットに対する薬剤を併用した場合の有効については不明である。米国・国立がん研究所のChristopher Melani氏らは、再発・難治性DLBCL患者を対象に、ベネトクラクス+イブルチニブ+プレドニゾン+オビヌツズマブ+レナリドミド併用療法の有用性を評価した。The New England Journal of Medicine誌2024年6月20日号の報告。  再発・難治性DLBCL患者を対象に、ベネトクラクス+イブルチニブ+プレドニゾン+オビヌツズマブ+レナリドミド併用(ViPOR)療法に関する単施設第Ib-II相試験を実施した。DLBCLおよび低悪性度リンパ腫患者を含む第Ib相試験では、ベネトクラクスの4段階の用量を評価し、第II相試験での推奨用量を特定した(その他4剤の用量は固定)。胚中心B細胞(GCB)および非GCBのDLBCL患者を対象に、第II相拡大試験を行った。ViPOR療法は、21日ごとに6サイクル実施した。 主な結果は以下のとおり。 ・第 Ib相試験の対象患者20例(DLBCL患者10例を含む)において、グレード3の頭蓋内出血(用量制限毒性作用)が1件発生した。その結果、第II相試験のベネトクラクス推奨用量は、800mgと特定した。 ・第II相試験には、DLBCL患者40例が登録された。 ・毒性作用は、グレード3または4の好中球減少症(24%/サイクル)、血小板減少症(23%/サイクル)、貧血(7%/サイクル)、発熱性好中球減少症(1%/サイクル)であった。 ・評価可能なDLBCL患者48例のうち54%で客観的奏効が認められ、完全奏効(CR)は38%で認められた。CRは、非GCBのDLBCL患者およびMYC遺伝子およびBCL2またはBCL6遺伝子(またはその両方)の再構成を伴う高悪性度B細胞リンパ腫患者で認められた。 ・ViPOR療法終了時、血中内腫瘍循環DNAが検出されなかった患者は33%であった。 ・フォローアップ期間中央値は40ヵ月、2年無増悪生存期間(PFS)は34%(95%信頼区間[CI]:21〜47)、全生存期間は36%(95%CI:23〜49)であった。  著者らは「ViPOR療法は、特定のDLBCLサブタイプ患者の持続的な寛解と関連していたが、可逆的な有害事象との関連も認められた」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Delimpasi S, et al. Am J Hematol. 2024 Jun 10. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38856176 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
未治療CLLに対するベネトクラクス+オビヌツズマブ〜第III相CLL14試験の長期フォローアップ結果
未治療CLLに対するベネトクラクス+オビヌツズマブ〜第III相CLL14試験の長期フォローアップ結果
公開日:2024年8月1日 Al-Sawaf O, et al. Blood. 2024 Jul 10. [Epub ahead of print]  未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)に対するBCL-2阻害薬ベネトクラクス+抗CD20抗体薬オビヌツズマブ併用療法の有効性および安全性を評価した第III相試験CLL14試験の6年長期フォローアップ結果を、ドイツ・ケルン大学のOthman Al-Sawaf氏らが報告した。Blood誌オンライン版2024年7月10日号の報告。  CLL14試験では、未治療CLL患者を12サイクルのベネトクラクス+オビヌツズマブ群(216例)またはchlorambucil+オビヌツズマブ群(216例)に、ランダムに割り付けた。主要エンドポイントは、無増悪生存期間(PFS)とした。副次的エンドポイントは、次治療開始までの期間(TTNT)、微小残存病変(MRD)陰性率、全生存期間(OS)および有害事象発生率とした。QOL悪化までの期間に関する患者報告アウトカムについても分析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・観察期間中央値76.4ヵ月でのPFSでは、ベネトクラクス+オビヌツズマブ群(PFS中央値:76.2ヵ月)はchlorambucil+オビヌツズマブ群(PFS中央値:36.4ヵ月)よりも、継続的に良好であった(HR:0.40、95%CI:0.31〜0.52、p<0.0001)。 ・同様に、TTNTにおいても、ベネトクラクス+オビヌツズマブ群の方が延長された(6年TTNT:65.2% vs. 37.1%、HR:0.44、95%CI:0.33〜0.58、p<0.0001)。 ・ベネトクラクス+オビヌツズマブ群において、PFS短縮の独立したリスク因子として、17p欠失あり、免疫グロブリン重鎖可変部体細胞遺伝子変異(IGHV)変異なし、リンパ節サイズ5cm以上が特定された。 ・治療から5年後にMRD陰性(末梢血中10〜4未満)を示した患者は、ベネトクラクス+オビヌツズマブ群17例(ITT:7.9%)、chlorambucil+オビヌツズマブ群4例(ITT:1.9%)であった。 ・6年OSは、ベネトクラクス+オビヌツズマブ群78.7%、chlorambucil+オビヌツズマブ群69.2%であった(HR:0.69、95%CI:0.48〜1.01、p=0.052)。 ・ベネトクラクス+オビヌツズマブ群(中央値:82.1ヵ月)は、chlorambucil+オビヌツズマブ群(中央値:65.1ヵ月)と比較し、全体的な健康状態/QOLの悪化までの期間を有意に延長することが確認された(HR:0.70、95%CI:0.51〜0.97)。 ・フォローアップ調査で調整された1,000患者月当たりの二次原発性悪性腫瘍(SPM)の発生率は、ベネトクラクス+オビヌツズマブ群2.3、chlorambucil+オビヌツズマブ群1.4であった。  著者らは「未治療CLLに対する12サイクルのベネトクラクス+オビヌツズマブ併用療法は、持続的な長期生存、MRD陰性化、QOLの維持などにおいて、長期の有用性が示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Al-Sawaf O, et al. Blood. 2024 Jul 10. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39082668 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性FLT3変異陽性AMLに対するギルテリチニブ+VEN+AZAは第1選択に支持されるか
再発・難治性FLT3変異陽性AMLに対するギルテリチニブ+VEN+AZAは第1選択に支持されるか
公開日:2024年8月27日 Fu Q, et al. Leuk Res. 2024 Aug 22. [Epub ahead of print]  FLT3阻害薬ギルテリチニブは、再発・難治性FLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病(AML)に対する標準治療薬として用いられるが、全生存期間(OS)は20%程度であり、深い奏効や持続的な奏効を達成する患者は限られている。中国・北京大学のQiang Fu氏らは、ギルテリチニブ+ベネトクラクス(VEN)+アザシチジン(AZA)による3剤併用療法で治療を行った再発・難治性FLT3変異陽性AML患者29例をレトロスペクティブに分析した。Leukemia Research誌オンライン版2024年8月22日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者29例中、FLT3阻害薬治療歴を有していた患者は19例(65.5%)であった。 ・modified複合的寛解率(mCRc)は62.1%(18例)であった(完全寛解[CR]:4例[13.8%]、正常な血球回復が不完全な寛解[CRi]:6例[20.7%]、形態学的に白血病細胞がない状態[MLFS]:8例[27.6%])。 ・mCRcを達成した18例のうち、FLT3-PCR陰性は94.4%(17例)、フローサイトメトリー陰性は77.7%(14例)であった。 ・mCRc 率は、FLT3チロシンキナーゼ阻害薬治療歴のない患者で70%(10例中7例)、治療歴のある患者で57.8%(19例中11例)であった(p=0.52)。 ・1サイクル目終了時点での治療反応者におけるANC 0.5×109/L超までの期間中央値は38日、血小板 50×109/L超までの期間中央値は31日であったが、60日間の死亡率は0%であった。 ・すべての患者における推定2年OSは60.9%であった。 ・1年OSは、FLT3チロシンキナーゼ阻害薬治療歴のない患者で80%、治療歴のある患者で58.8%(p=0.79)。 ・3剤併用療法後に同種造血幹細胞移植を行った19例(65.5%)における推定2年OSは62%、移植を行わなかった10例における推定2年OSは37%であった(p=0.03)。  著者らは「ギルテリチニブ+VEN+AZAによる3剤併用療法は、効果的かつ安全であり、再発・難治性FLT3変異陽性AMLに対する第1選択治療として有望であることが示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Fu Q, et al. Leuk Res. 2024 Aug 22. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39180903 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
Richter形質転換DLBCLに対する抗PD-L1抗体アテゾリズマブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブ/Lancet Oncol
Richter形質転換DLBCLに対する抗PD-L1抗体アテゾリズマブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブ/Lancet Oncol
公開日:2024年9月20日 Tedeschi A, et al. Lancet Oncol. 2024 Sep 10. [Epub ahead of print]  Richter形質転換びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、通常、化学療法に抵抗性を示し、予後不良である。イタリア・Niguarda Cancer CenterのAlessandra Tedeschi氏らは、抗腫瘍免疫反応をターゲットとした化学療法なしでの治療レジメンを開発することを目的とし、Richter形質転換DLBCLに対する抗PD-L1抗体アテゾリズマブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブ併用療法の第II相試験を実施した。The Lancet. Oncology誌オンライン版2024年9月10日号の報告。  本第II相試験は、イタリアおよびスイスの15施設において、プロスペクティブ非盲検多施設単群医師主導試験として実施した。対象患者は、IWCLL2008基準に従い、慢性リンパ性白血病(CLL)または小リンパ球性リンパ腫(SLL)と診断され、生検でDLBCLへの形質転換が認められた18歳以上の患者で、CLL治療を実施した可能性はあるが、Richter形質転換DLBCLに対する治療は未実施、ECOGのPSが0〜2であり、過去にアテゾリズマブ、ベネトクラクス、オビヌツズマブのいずれも未使用の患者。患者には、オビヌツズマブ静脈内投与(1サイクル目:day1 100mg、day2 900mg、day8・day15 1,000mg、2〜8サイクル目:day1 1,000mg)、アテゾリズマブ静脈内投与(1サイクル目:day2 1,200mg、2〜18サイクル目:day1 1,200mg)、ベネトクラクス経口投与(CLLの投与スケジュールに従い、1サイクル目:day15 20mg/日から増量し、3〜35サイクルのday21まで400mg/日)を行った。主要エンドポイントは、ITTにおける6サイクル目day21時の全奏効(OR)率とした。OR率が67%以上の場合、臨床的に有効であるとみなし、奏効率が40%以下の場合、帰無仮説を棄却とみなした。 主な結果は以下のとおり。 ・2019年10月9日〜2022年10月19日に、28例(男性:12例[43%]、女性:16例[57%])が登録された。 ・フォローアップ期間中央値は16.8ヵ月(IQR:7.8〜32.0)。 ・6サイクル目に28例中19例で奏効がみられ、OR率は67.9%(95%CI:47.6〜84.1)であった。 ・グレード3以上の治療関連有害事象は、28例中17例(61%、95%CI:40.6〜78.5)で認められ、好中球減少の報告が最も多かった(28例中11例、39%、95%CI:21.5〜59.4)。 ・治療中に発生した重篤な有害事象は8例(29%、95%CI:14.2〜48.7)、感染症が最も多かった(28例中5例、18%、95%CI:6.1〜36.9)。 ・有害事象による死亡例は2例(7%)、その内訳は敗血症1例、真菌性肺炎1例であり、いずれも治療との直接的な関連性は低いと考えられた。 ・免疫関連有害事象は、6例(21.4%)で認められたが、いずれも治療中止には至らなかった。 ・腫瘍崩壊症候群は、認められなかった。  著者らは「Richter形質転換DLBCLに対するアテゾリズマブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブの3剤併用は、有効かつ安全であることが示唆されており、本レジメンが、Richter形質転換DLBCLに対する新たな第1選択治療アプローチとなりうる可能性がある」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Tedeschi A, et al. Lancet Oncol. 2024 Sep 10. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39270702 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
強力化学療法が適応とならないAML、VEN+AZAはVEN+低用量AraCより優れているのか
強力化学療法が適応とならないAML、VEN+AZAはVEN+低用量AraCより優れているのか
公開日:2024年10月8日 Amador-Medina LF, et al. Hematol Transfus Cell Ther. 2024 Sep 23. [Epub ahead of print]  2020年、米国FDAは、VIALE-A研究およびVIALE-C研究の結果に基づき強力化学療法が適応とならない急性骨髄性白血病(AML)の治療に対し、ベネトクラクス(VEN)+アザシチジン(AZA)またはベネトクラクス+低用量シタラビン(AraC)併用療法を承認した。両研究結果発表後、VEN+AZAは、VEN+低用量AraCよりも優れていると考えられてきたが、これらの研究は、VEN+AZA併用療法の優位性を証明するようには設計されていなかった。そのため、メキシコ・グアナファト大学のLauro Fabian Amador-Medina氏らは、強力化学療法が適応とならない新たに診断されたAMLに対するこれら2つのレジメンの全生存期間(OS)、完全寛解(CR)、複合完全寛解(CRc)を明らかにするため、システマティックレビューを実施した。Hematology, Transfusion and Cell Therapy誌オンライン版2024年9月23日号の報告。  PubMed、Web of Scienceデータベースよりレトロスペクティブ研究を検索し、CR、CRc、OSデータを収集した。 主な結果は以下のとおり。 ・特定された815件のうち、適格基準を満たした研究は11件(VEN+AZA:10件、VEN+低用量AraC:1件)のみであった。 ・OS期間中央値は、VEN+AZAで10.75ヵ月、VEN+低用量AraCで未達(研究発表時点)であった。 ・CRcは、VEN+AZAで63.3%、VEN+低用量AraCで90%であった。 ・有害事象は、両群で同様であった。  著者らは「VEN+低用量AraCを調査した研究は非常に限られているものの、入手可能なデータに基づくと、強力化学療法が適応とならないAMLに対し、VEN+AZAがVEN+低用量AraCより優れているとは言い切れなかった。そのため、VEN+低用量AraCは依然として選択肢の1つとなりうる」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Amador-Medina LF, et al. Hematol Transfus Cell Ther. 2024 Sep 23. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39366887 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性AMLに対するベネトクラクス併用療法、より良い組み合わせは?〜メタ解析
再発・難治性AMLに対するベネトクラクス併用療法、より良い組み合わせは?〜メタ解析
公開日:2024年10月17日 Jiao N, et al. BMC Cancer. 2024; 24: 1271.  再発・難治性の急性骨髄性白血病(AML)における患者の臨床アウトカム改善のために今後の研究の方向性、臨床上の意思決定、治療戦略の継続的な進化などを目指し、中国・Zibo Traditional Chinese Medicine HospitalのNing Jiao氏らは、ベネトクラクス併用療法に関するシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。BMC Cancer誌2024年10月13日号の報告。  2023年11月までに公表された再発・難治性AMLに対するベネトクラクス併用療法に関する英語の研究を、PubMed、Embase、Cochraneデータベースより、システマティックに検索した。重複した研究、不完全な研究、動物実験、文献レビュー、システマテック研究などは対象より除外した。メタ解析には、STATA 15.1を用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・特定された58研究のうち、7研究をメタ解析に含めた。 ・プールされた完全寛解(CR)率は15.4%、複合完全寛解(CRc)率は35.7%、部分寛解(PR)率は2.6%、非寛解(NR)率は24.4%であった。 ・CRc患者における微小残存病変(MRD-CRc)率は39.4%、形質学的無白血病状態(MLFS)率は10.3%。 ・主な有害事象の発生率は、下痢10.0%、悪心4.3%、嘔吐2.6%、低カリウム血症16.4%、低マグネシウム血症0.8%、食欲減退4.2%、疲労9.1%、発熱性好中球減少39.6%、血小板減少28.4%。 ・併用薬に基づくカテゴリ分析では、CR率とCRc率に違いが認められた。 ・ベネトクラクスと併用した際のCR率およびCRc率は、アザシチジンとの併用が最も優れており、idasanutlinは中程度、mivebresibは最も低かった。 【ベネトクラクス+アザシチジン】CR率:31.3%、CRc率:62.7% 【ベネトクラクス+idasanutlin】CR率:6.1%、CRc率:26.5% 【ベネトクラクス+mivebresib】CR率:3.3%、CRc率:8.0%  著者らは「ベネトクラクスとアザシチジンの併用療法は、再発・難治性AMLの良好な治療反応を達成する上で有望であるが、安全性プロファイルの包括的な評価が不可欠である。とくに発熱性好中球減少、血小板減少には注意が必要である」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Jiao N, et al. BMC Cancer. 2024; 24: 1271.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39396935 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
CLLの第1選択治療、30レジメンを比較〜ネットワークメタ解析
CLLの第1選択治療、30レジメンを比較〜ネットワークメタ解析
公開日:2024年10月18日 Wen T, et al. J Natl Cancer Inst. 2024 Oct 11. [Epub ahead of print]  慢性リンパ性白血病(CLL)の治療戦略は、化学療法や免疫化学療法からchemo-freeレジメン時代に移行した。さまざまな治療法による直接的および間接的な比較は、頻度論的ネットワークメタ分析により可能となった。天津医科大学腫瘤医院のTingyu Wen氏らは、CLLの第1選択治療に関するネットワークメタ解析を実施した。Journal of the National Cancer Institute誌オンライン版2024年10月11日号の報告。  対象は、CLLに対する第1選択治療を評価したランダム化比較試験。アウトカムは、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、検出可能な微小残存病変(MRD)、客観的奏効率、有害事象とした。類似特性を有する研究についても、年齢、併存疾患、免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子(IGHV)変異、細胞遺伝学的異常により層別化を行い、サブグループ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・30研究(1万2,818例)が適格基準を満たし、30種類の治療法を分析対象に含めた。 【有効性】 ・アカラブルチニブは、65歳以上またはIGHV変異なしの患者において、イブルチニブおよびオビヌツズマブ+ベネトクラクスよりもPFSが優れていることが示唆された。 ・併存疾患を有する若年患者では、アカラブルチニブ+オビヌツズマブは、イブルチニブ+オビヌツズマブ、イブルチニブ+ベネトクラクス、オビヌツズマブ+ベネトクラクスよりも優れたPFSが認められた。 ・併存疾患を有する高齢者では、アカラブルチニブ、アカラブルチニブ+オビヌツズマブは、オビヌツズマブ+ベネトクラクスと比較し、いずれも有意な差は認められなかった。 ・併存疾患のない患者では、MRDに基づくイブルチニブ+ベネトクラクスが、オビヌツズマブ+ベネトクラクスよりも有用であった。 ・IGHV変異ありまたはdel(17p)/TP53変異ありの患者では、イブルチニブ+オビヌツズマブは、オビヌツズマブ+ベネトクラクスよりも、PFSの延長が認められた。 【安全性】 ・イブルチニブ+ベネトクラクス、イブルチニブ+オビヌツズマブは、オビヌツズマブ+ベネトクラクスよりも、好中球減少リスクが低かった。 ・イブルチニブ+ベネトクラクスは、アカラブルチニブ、アカラブルチニブ+オビヌツズマブよりも、感染症リスクが低かった。 ・アカラブルチニブ+オビヌツズマブは、イブルチニブ+ベネトクラクスよりも下痢が少なかったが、イブルチニブ+オビヌツズマブ、オビヌツズマブ+ベネトクラクスよりも頭痛が多かった。 ・オビヌツズマブ+ベネトクラクスは、イブルチニブ+オビヌツズマブよりも高血圧が少なかった。 ・イブルチニブ+ベネトクラクスは、アカラブルチニブ+オビヌツズマブよりも関節痛が少なかった。 ・二次性悪性腫瘍のいずれのグレードにおいても、イブルチニブ+ベネトクラクス、オビヌツズマブ+ベネトクラクスは、アカラブルチニブ+オビヌツズマブより低かった。  著者らは「本研究は、年齢、併存疾患、IGHV変異、細胞遺伝学的異常に基づいてカスタマイズされたchemo-freeレジメンの選択、さまざまな奏効スペクトラムを考慮した治療アウトカムの最適化に役立つであろう」としている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Wen T, et al. J Natl Cancer Inst. 2024 Oct 11. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39392788 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら