専門医による希少疾患の診断や治療法、コラムをお届けいたします。

重症筋無力症②~知っておきたい希少疾患
重症筋無力症②~知っておきたい希少疾患
 重症筋無力症(MG)は、希少性の慢性的かつ症状の変動を予測することが難しい自己免疫性神経筋疾患で、年齢を問わず発症の可能性があり、神経筋接合部の機能不全と損傷に見られる希少疾患である1)2) 。今回は、2022年に改訂された重症筋無力症の診療ガイドラインの改定ポイントと合わせて、2024年2月に発売されたジルビスクⓇ(一般名:ジルコプランナトリウム)を中心に紹介する。 「重症筋無力症/ランバート・イートン筋無力症候群診療ガイドライン2022」改定ポイント  2022年、MGの診療ガイドラインが8年ぶりに改訂された。今回の診療ガイドラインでは、MGと同じ神経筋接合部の自己免疫疾患であるランバート・イートン筋無力症候群(LEMS)を取り上げ「重症筋無力症/ランバート・イートン筋無力症候群診療ガイドライン2022」として公表された3) 。MG患者数は増加の一途をたどっており、日本における疫学調査においても2006年の調査と比較して10年で約2倍となっていることから4) 、今後、MG患者を診察する機会がより一層増加すると予想される。ここでは、以下の改定ポイントについて、簡単に紹介する5) 。 ●MGの新しい分類の提示 ●MG診断基準の改訂 ●早期速効性治療戦略(early fast-acting treatment strategy:EFT)が推奨 ●難治性MGの定義 ●分子標的薬としての補体阻害薬を治療薬として追加  新ガイドラインにおけるMGの病型分類では、最初に眼筋型と全身型に大別する。全身型MGではアセチルコリン受容体(AChR)抗体の有無を鑑別し、AChR抗体陽性は、胸腺腫を伴わない50歳未満発症の早期発症MG、50歳以上発症の後期発症MG、胸腺腫関連MGの3つ、AChR抗体陰性は、筋特異的受容体型チロシンキナーゼ(MuSK)抗体陽性MG、抗体陰性MGの2つに分類した3) 。  MGの診断は、AChR抗体、MuSK抗体が検出されれば診断は比較的容易であるものの、いずれも陰性で神経筋接合部障害の検査所見が認められない場合には、これまでMGと診断することができなかった。今回の改定では、血清浄化療法が有効な他の疾患を除外できれば、治療的診断としてprobableと判定可能となった3) 。このことから、これまでMGでありながら、MG治療を実施できなかった患者に対してもより適切な治療が行われる期待される。  MGの治療目標は、2014年版と同様に「経口プレドニゾロン5mg/日以下(MM-5mg)」となっている3) 。MGの従来治療である経口ステロイドの長期使用は、体重増加、糖尿病、骨粗鬆症などの副作用負担が問題となっていた6)7) 。また、非ステロイド系免疫抑制薬による治療は、効果発現までの期間が長く、治療開始後数ヵ月にわたり、複数の臓器への影響が懸念されていた6) 。長期にわたる治療にもかかわらず、約半数の患者は、疾患コントロールが不十分であるとも報告されている8)9) 。そのため、MG治療の基本的な考え方として、「漸増漸減による高用量経口ステロイド療法は、副作用やQOL低下につながりやすいため推奨しない」ことが明記されている。とくに、早期改善と経口ステロイド量抑制の両立を図るため、非経口速効性治療を積極的に行うEFTが推奨されている3) 。EFTは、経口ステロイドをベースとした従来治療と比較し、治療目標であるMM-5mgの早期達成率が高いことも10) 、重要なポイントの1つである。 また、難治性MGの定義は、「複数の経口免疫治療薬による治療」あるいは「経口免疫治療薬と繰り返す非経口速効性治療を併用する治療」を一定期間行っても「十分な改善が得られない」あるいは「副作用や負担のため十分な治療の継続が困難である」場合とされた3) 。これは、治療による患者負担を考慮した定義といえるであろう。  AChR抗体陽性MGでは、神経筋接合部(NMJ)の伝導障害に補体が関与していることが指摘されている。補体標的薬は、補体終末経路にある補体第5成分(C5)に選択的に結合することにより、膜侵襲複合体(MAC)の形成を阻害し神経筋接合部破壊を抑制すると考えられている。近年、MG治療薬として補体標的薬が承認されたことを受け、分子標的治療薬に関する項目が新たに追加されている3) 。 全身型MGにおける筋力低下のメカニズム  MGでは、一般的に眼球および眼瞼の動きをコントロールする眼筋の筋力低下が初期症状として出現し、多くの場合重症化し、頭部、頸部、体幹、四肢および呼吸筋の筋力低下など全身症状を呈する全身型MGへと進行する11) 。発症の原因として、補体や免疫細胞、病原性IgG自己抗体が関係しているといわれている。全身型MGでは、病原性自己抗体が、シナプス後膜上の特定のタンパク質を標的とすることにより、NMJにおけるシナプス伝達を阻害すると考えられている。MGの病態の1つとして、AChRに対する自己抗体が引き起こす補体活性化が、in-vitro試験で示されている。補体C5は、C5aとC5bに開裂し、C5bは、C6、C7、C8、C9に結合して終末補体系を起点としてMACを形成し、運動終板の破壊を引き起こす12)13) 。これにより、神経が筋肉に連絡する方法が妨げられ、筋肉が収縮しにくくなることで症状を発現する。 全身型MGに対する初めての在宅自己投与可能な補体C5阻害剤ジルビスクⓇ皮下注  2024年2月、全身型MG(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)」を効能・効果として、補体C5阻害剤ジルビスクⓇ皮下注16.6mg / 23.0mg / 32.4mgシリンジが発売された14) 。ジルビスクには、2つの作用機序があり、1つは終末補体経路の構成要素であるC5に結合し、C5が活性成分C5aとC5bに開裂するのを防ぐ作用である15)16) 。さらに、C5bが形成された場合でも、C6との相互作用を立体的に妨げ、MACの形成を阻害する16) 。このような補体C5に対する2つの作用により、ジルビスクは、MACの活性化を阻害し、NMJにおけるAChRの正常なシグナル伝達を促す13)17) 。ジルビスクは、大環状ペプチド製剤で、分子量が治療用抗体と比較して小さいことから、神経筋接合部への透過性が高いと考えられている。また、これまでのモノクローナル抗体C5阻害薬とは異なり、経静脈的免疫グロブリン療法や血漿交換などの治療法と併用することも可能となっている。  ジルビスクは、AChR抗体陽性の全身型MGを対象とした日本人成人患者を含む国際共同試験RAISE試験(第III相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験)において16) 、主要評価項目であるMG-ADL総スコア(症状および日常生活への影響を評価)の12週におけるベースラインからの変化量(最小二乗平均値)において、ジルビスク群はプラセボ群に対して統計学的に有意で臨床的に意義のある改善を示した(ジルビスク0.3mg/kg/日相当群:-4.39 vs.プラセボ群:-2.30[p QOL向上に期待!患者ライフスタイルに合わせた治療選択が可能に  ジルビスクは、補体C5を阻害する1日1回自己投与型皮下注ペプチド製剤であり、全身型MGに対する初めての在宅自己投与可能な補体C5阻害剤である14) 。通院による負担を軽減し、静脈内注射に代わる治療法として期待される。RAISE試験での12週間の治療期間を終えたすべての患者が非盲検継続投与試験であるRAISE-XT試験へ継続以降に同意していることから16) 、ジルビスクの連日自己皮下注射に対する患者満足度を示唆するものであると考えられる。新たな治療選択肢が選択可能となったことで、患者さんのライフスタイルに合わせた治療が実践されることが望まれる。  また、新たな患者サポートプログラムとして個人宅無料配送サービスも開始されている18) 。ジルビスクは、全身型MG患者に対し、在宅による1日1回自己投与が可能な皮下注射剤であるため、患者さんの通院負担を軽減する利点がある。一方、易疲労性を伴うことの多い全身型MG患者にとって、複数回分まとめての持ち帰りや運搬時の温度管理は大きな負担となる。そのような負担が患者さんの治療への積極的関与や薬剤の継続的な適正使用を妨げる要因にもなり得ることが懸念されていた。そこで、ジルビスクは費用面での負担もない「個人宅配送サービス」を実施している。このような患者サポートは、全身型MG患者が前向きに治療に取り組める環境を促すことにつながり、薬剤の治療効果と合わせ、QOLの向上につながるであろう。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 参考資料 1)Juel VC, et al. Orphanet J Rare Dis. 2007; 2: 44.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/17986328/ 2) Punga AR, et al. Lancet Neurol. 2022; 21: 176-88.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/35065040/ 3)日本神経学会 監: 重症筋無力症/ラインバート・イートン筋無力症候群診療ガイドライン2022, 南江堂, 2022. ▶https://www.neurology-jp.org/guidelinem/mg_2022.html 4)Yoshikawa H, et al. PLoS One. 2022; 17: e0274161. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/36129914/ 5)Murai H. Rinsho Shinkeigaku. 2023; 63: 345-349. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/37197966/ 6)Menon D, et al. Front Neurol. 2020: 11:538. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/32714266/ 7)Farmakidis C, et al. Neurol Clin. 2018; 36: 311-337. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/29655452/ 8)Petersson M, et al. Neurology. 2021; 97: e1382-e1391. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/34376512/ 9)Cutter G, et al. Muscle Nerve. 2019; 60: 707-715. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/31487038/ 10)Utsugisawa K, et al. Muscle Nerve. 2017; 55: 794-801. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/27603432/ 11)Meriggioli MN, et al. Lancet Neurol. 2009; 8: 475-90. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/19375665/ 12)Howard JF Jr. Ann N Y Acad Sci. 2018; 1412: 113-128. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/29266249/ 13)Howard JF Jr, et al. Expert Opin Investig Drugs. 2021; 30: 483-493. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/33792453/ 14)ジルビスクⓇ皮下注16.6mg / 23.0mg / 32.4mgシリンジ添付文書▶https://hcp.ucbcares.jp/pdf/zilbrisq/sc166_syringe/package-insert 15)Howard JF Jr, et al. JAMA Neurol. 2020; 77: 582-592. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/32065623/ 16)Howard JF Jr, et al. Lancet Neurol. 2023; 22: 395-406. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/37059508/ 17)Tang GQ, et al. Front Immunol. 2023: 14: 1213920. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/37622108/ 18)プレスリリース:全身型重症筋無力症治療薬「ジルビスク®」個人宅無料配送サービス開始▶https://www.ucbjapan.com/sites/default/files/2024-02/quanshenxingzhongzhengjinwulizhengzhiliaoyaoshiruhisukur_gerenzhaiwuliaopeisongsahisukaishi.pdf ヒポクラ × マイナビ無料会員登録はこちら▶https://www.marketing.hpcr.jp/hpcr
【期間限定アーカイブ配信中】 ~心不全から希少疾患まで~ 若手が困る循環器患者への対応を伝授します
【期間限定アーカイブ配信中】 ~心不全から希少疾患まで~ 若手が困る循環器患者への対応を伝授します
教科書に載ってない心不全治療のコツについて解説します。 この勉強会の視聴はこちら▶︎ ※ご視聴には、Dr.'s Prime の会員登録が必要です。 ※アーカイブ動画の配信は予告なく終了する場合がございます。
メラノーマ(悪性黒色腫)疑いの症例を紹介|顔面・手指部(爪)・足底部などのケース
メラノーマ(悪性黒色腫)疑いの症例を紹介|顔面・手指部(爪)・足底部などのケース
メラノーマ(悪性黒色腫)疑いの症例を顔面、口、眼、上腕、手指部、爪、背部、大腿、陰部。足底部、足趾部に分けて紹介します。先生方の普段の診療にお役立ていただけますと幸いです。症例の詳細・画像はヒポクラ会員のみご確認いただけます。また皮膚がん・メラノーマのケースバイケースの診断・治療で、お悩みの際は皮膚悪性腫瘍指導専門医へオンライン相談できる「皮膚がんエキスパートライン」がオススメです。ぜひご活用ください。 https://hpcr.jp/app/signup ▼メラノーマ(悪性黒色腫)疑いの症例紹介|顔面・口・眼▼メラノーマ(悪性黒色腫)疑いの症例紹介|上腕▼メラノーマ(悪性黒色腫)疑いの症例紹介|手指部・爪▼メラノーマ(悪性黒色腫)疑いの症例紹介|背部▼メラノーマ(悪性黒色腫)疑いの症例紹介|大腿▼メラノーマ(悪性黒色腫)疑いの症例紹介|陰部▼メラノーマ(悪性黒色腫)疑いの症例紹介|足底部・足趾部▼メラノーマ診断のポイントとは~実際の症例で解説~ ・メラノーマとホクロの違い ・メラノーマの診断~ABCDE基準~▼メラノーマ(悪性黒色腫)疑いの症例を見つけたら皮膚がんエキスパートラインで相談 メラノーマ(悪性黒色腫)疑いの症例紹介|顔面・口・眼悪性黒色腫との鑑別に難渋した症例2か月前に左頬部に疣贅様の6mm大の隆起性腫瘤が出現、この2週間で隆起が大きくなっています。https://hpcr.jp/app/knowledge/detail?id=EAjmbMSJLe皮膚癌でしょうか?6ヶ月前から症状が出現し、徐々に悪化しております。皮疹部の掻痒感・疼痛の訴えはありません。https://hpcr.jp/app/knowledge/detail?id=SsGF8cgavj口腔内の黒色斑の症例2年前から右頬粘膜に黒色斑を自覚しました。大きさは3×7mmで境界明瞭、左右やや不対称、浸潤は触れません。拡大傾向は認めないとのことです。https://hpcr.jp/app/knowledge/detail?id=hkS3ytJZmn上眼瞼の所見上眼瞼の所見、母斑で経過観察で大丈夫でしょうか?https://hpcr.jp/app/knowledge/detail?id=LazRxy2UuC メラノーマ(悪性黒色腫)疑いの症例紹介|上腕だんだん大きくなってきた黒いできものの症例10歳頃より上腕に黒色の腫瘤があり「ほくろ」だと考え放置していました。徐々に大きくなり、入院した際に主治医に相談。自発痛や痒みはなく、発熱などのバイタル異常もありません。https://hpcr.jp/app/knowledge/detail?id=k3ptdxQzxf メラノーマ(悪性黒色腫)疑いの症例紹介|手指部・爪指の爪周囲の潰瘍?のような症例抗生剤を内服させて、定期的に処置しておりますが、改善の方向性が見えないでおります。https://hpcr.jp/app/knowledge/detail?id=wts5xBiWg2左第4指の症例脳梗塞、半身麻痺あり、拘縮がとても強い方の左第4指に写真の写っているものが出現しました。https://hpcr.jp/app/knowledge/detail?id=T2XoCSMjByただの色素沈着か?ただの色素沈着かと思いつつ、気になって投稿してしまいました。https://hpcr.jp/app/knowledge/detail?id=Af7p4vUSHW右第I指の皮疹の症例右第I指爪の下の皮膚に黒点様の皮疹。メラノーマなどの悪性病変の可能性はありますか?https://hpcr.jp/app/knowledge/detail?id=cfF5XuyLiH爪の異常が見れらる症例いつからか不明だが、右示指に縦の線が出現しました。https://hpcr.jp/app/knowledge/detail?id=JU5smdSLHr爪に黒い線が出現6ヶ月前から症状が出現し、持続性は不明です。爪に黒い線が出現して半年程放置していたようです。https://hpcr.jp/app/knowledge/detail?id=VOq9CYtGRA メラノーマ(悪性黒色腫)疑いの症例紹介|背部右肩甲骨付近のアザの症例右肩甲骨付近にアザがあると施設職員さんから相談がありました。脂漏性角化症かと思いましたが、辺縁が不正で色素濃淡あり、一部発赤もあります。大きさは変わらず経過してるとのことです。https://hpcr.jp/app/knowledge/detail?id=qXIyDggutK背中の皮疹の症例数ヶ月前より背中に血管腫らしき皮疹があることに自身で気づいていたそうです。疼痛や掻痒感はないものの手先に触るため、無意識につついたり掻きむしって出血したりしています。https://hpcr.jp/app/knowledge/detail?id=QKcGbSAFIV メラノーマ(悪性黒色腫)疑いの症例紹介|大腿黒色の隆起性病変の症例ここ2-3週間で、大腿部に黒色の隆起性病変(1.5cmくらいでしょうか)がどんどん隆起してきたとの訴えがありました。https://hpcr.jp/app/knowledge/detail?id=9FUQsDfPuk メラノーマ(悪性黒色腫)疑いの症例紹介|陰部陰部に黒い腫瘤がある症例下腹部の恥骨上に直径7mm大の表面不整、黒色の腫瘤があります。染み出しあるし悪性黒色腫のように思えます。https://hpcr.jp/app/knowledge/detail?id=6oz6s5yJEw メラノーマ(悪性黒色腫)疑いの症例紹介|足底部・足趾部右足底の黒子について幼少期より、右足底に黒子があります。無症状で、幼少期に皮膚科を受診し経過観察で良いと言われています。最近、黒子の辺縁が薄くなっていることに気づき、悪性黒色腫の可能性について相談を受けました。https://hpcr.jp/app/knowledge/detail?id=K629hDcs2y左足底部に新たなしこりのある褐色の小隆起左足底部に新たなしこりのある褐色の小隆起を認めます。https://hpcr.jp/app/knowledge/detail?id=dkBUigfTva足底に黒色斑点が5個ある症例2週間前に足底に黒色斑点が5箇所でき、悪性黒色腫が心配になり相談です。持続性は不明です。https://hpcr.jp/app/knowledge/detail?id=i8exI4KmRC数ヶ月前には存在しなかったホクロの症例数ヶ月前には存在しなかったホクロに気づいて来院。本人は、メラノーマを心配しています。症状は特にありません。https://hpcr.jp/app/knowledge/detail?id=j9Opsv2KHV足底に黒子がある症例特に既往のない15歳男性。足底に黒子があり、かゆみや発赤はなく、いつからあるかはわからないそうです。https://hpcr.jp/app/knowledge/detail?id=ZJp4GVzXnp以前にはなかったほくろが出現した症例足の裏に以前にはなかったほくろが出現しました。https://hpcr.jp/app/knowledge/detail?id=FbpM084RF2小趾の爪が黒い1年前に両方の小趾の爪が黒くなり、知らない間に右の爪は元に戻りました。左の爪は根元が黒く、爪が伸びても変化がないとのことです。https://hpcr.jp/app/knowledge/detail?id=J8ow3Nt7ME爪の病変20日前から症状が出現し、徐々に悪化しております。現在の症状ですが、皮疹部の掻痒感・疼痛の訴えはありません。https://hpcr.jp/app/knowledge/detail?id=FxX2mAhFR6 メラノーマ診断のポイントとは~実際の症例で解説~メラノーマ診断のポイントは、まずは典型的な症例を頭に入れておくことで、メラノーマの見逃しを防ぐことができます。 メラノーマとホクロの違い ホクロ(良性) メラノーマ(悪性) 肉眼所見 特徴高齢女性、右頬11mm常色で弾性軟の皮膚結節 高齢女性、右頬30mm以上白色~茶褐色色素斑、色むらあり ダーモスコピー画像 特徴ベースは常色のドーム状結節で、中央にpseudonetwork(※1)を認める。 Regression(※2)を思わせる脱色素斑、pseudonetworkを認める。また周辺の境界がやや不明瞭である。 ※1pseudonetwork:偽ネットワークともいい、褐色の線で構成される網目構造のこと。※2Regression:白色消退のこと。上記の画像をメラノーマと診断した理由は、白色〜白色~茶褐色の色むらがあったことです。基本的な診断ポイントさえ押さえておけば難しくはありません。 メラノーマの基本的な診断ポイント~ABCDE基準~ A:Asymmetry(非対称性の病変):形が左右非対称である。 B:Border irregularity(不規則な形):輪郭がギザギザしている。 C:Color variegation(多彩な色調):色むらがある。 D: Diameter enlargement(大型の病変):直径が6㎜以上である。 E:Evolution(経過の変化):大きさや形、色、症状に変化がある。 Abbasi NR, et al. JAMA 2004; 292(22): 2771-2776. 引用:【皮膚がん専門医が解説】メラノーマ(悪性黒色腫)の診断ポイント①~ダーモスコピーでも見逃しやすいホクロ、メラノーマと診断できる?~ メラノーマ(悪性黒色腫)疑いの症例を見つけたら皮膚がんエキスパートラインで相談 メラノーマ疑いの症例を紹介しましたが、似たようなケースのご経験はありましたでしょうか? メラノーマ疑いの症例に遭遇し、診断に自信が持てない時はヒポクラの「皮膚がんエキスパートライン」をご活用ください。皮膚悪性腫瘍専門医が疑問に回答します。完全無料でお使いいただけますので、気軽に相談をお送りください。 匿名で1対1で相談できます。 今すぐ会員登録する 皮膚がんエキスパートラインを利用する 会員登録するとオンライン相談は無制限で無料。会員登録すると「たくさんの先生の症例が見れる知見共有」「時短日本語論文検索」「皮膚悪性腫瘍以外も質問できるコンサルト」等のサービスを全て無料で利用できるようになります。※本サービスは予告なく変更または終了する場合がございますので、あらかじめご了承ください。
重症筋無力症~知っておきたい希少疾患
重症筋無力症~知っておきたい希少疾患
 重症筋無力症(MG)は、自己抗体が出現することにより発症する希少性の自己免疫疾患の1つである。多くの場合、末梢神経と神経筋接合部において、筋肉側の受容体が自己抗体により破壊され、神経から筋肉への信号が障害されるため、全身の筋力低下や易疲労性が出現する。とくに、眼瞼下垂や複視などの眼の症状を起こしやすいことが特徴である。症状が眼だけの場合は眼筋型MG、全身症状が認められる場合は全身型MGと分類される。今回は、全身型MGおよびその治療薬として2023年11月に発売されたリスティーゴⓇ[一般名:ロザノリキシズマブ(遺伝子組換え)]を中心に紹介する。 初期症状は「眼症状」「四肢筋力低下」、診断から2年以内に筋無力症クリーゼを経験  MGの最も特徴的な症状である骨格筋の易疲労感を伴う筋力低下は、運動を繰り返すことにより低下し、休息することで回復する1)。初発症状として最も高頻度で発現するのは眼症状で、国内の調査によると眼瞼下垂が71.9%、複視が47.3%にみられる。診断時、眼筋型MGであった患者のうち約20%が全身型MGに移行すると報告されている。眼症状に次いで初発時に頻度の高い症状は、四肢筋力低下(23.1%)、構音障害、嚥下障害、咀嚼障害などの球症状(14.9%)、顔面筋力低下(5.3%)、呼吸困難(2.3%)である2) 。筋力低下が進行すると、重篤な合併症である筋無力症クリーゼ(気管挿管や人工呼吸器などが必要な呼吸不全となった状態)を起こすこともある。MG患者の約15~20%は、診断から最初の2年以内に筋無力症クリーゼを経験すると報告されている3)4) 。このようにMGはさまざまな症状を呈する疾患であり、球症状や生命を脅かすような呼吸困難が先行して出現する場合や眼症状や四肢筋力低下が認められない場合もあるため、注意が必要である。 約10年間で患者数は約2倍に、50歳以上での発症が増加  MGの有病率は、全世界で100万人当たり100~350人5) 、米国、EU、日本で約20万人であるといわれている6)7) 。日本における2018年の全国疫学調査では、MG患者数は29,210人、人口10万人あたりの有病率は23.1人と推定されている。男性よりも女性がやや多く、女性では40~72歳(中央値:58歳)、男性では49~69歳(中央値:60歳)で発症すると報告されている8) 。2006年の前回調査と比較すると、約10年間でMG患者数は約2倍に増加しており、また近年は男女ともに50歳以上で発症する後期発症MG患者が増加している。 完全寛解は難しい重症筋無力症、QOL改善を目指した経口ステロイド量抑制が推奨  MGは、厚生労働省の指定難病の中でも告示番号11に指定される疾患であり、早くから指定難病に認定され、医療費助成の対象となっている疾患の1つである。新規治療法の開発などが促進されているものの、依然として長期にわたる完全寛解は稀である。MG患者の寛解達成率は、完全寛解が4.2~8.9%、薬理学的寛解が7.6~9.7%と報告されており、健康な生活に支障のない軽微症状のみまで改善を含めてた達成率は、経口ステロイドを中心とした治療が行われていた2010年、2012年の調査において、それぞれ49.5%、50.8%にとどまっている9)10) 。そして、治療により一旦寛解レベルに達したとしても、長期的に持続しないことが多いことも問題である。  また、MG患者に対する従来の経口ステロイドを中心とした治療では、十分なQOLが得られておらず、経口ステロイドの減量が不十分のまま長期化することは、抑うつ症状を含む重大なQOL阻害因子となりうる9-12) 。さらに、社会的活動が制限されることで、雇用や収入面での問題を抱えている患者も少なくないことから13) 、長期経口ステロイドは少量とすべきであると考えられる9-11)13) 。現在の国内ガイドラインにおいても、MG治療における最初の治療目標は、「経口プレドニゾロン5mg/日以下(MM-5mg)」であり、これを早期に達成するよう治療戦略を考えることが推奨されている20) 。また、MM-5mgの早期達成に有効な治療戦略として、早期速効性治療戦略(EFT)が推奨されおり、非経口速効性治療を積極的に行うEFTにより、早期改善と経口ステロイド量抑制の両立を図ることが可能となっている20) 。  長期予後に関しては、免疫抑制剤の普及により改善が認められており、死因のうちクリーゼなどのMGに関連する死亡は2%以下まで大きく減少している14)。近年、高齢発症のMGが増加しており、予後に影響を及ぼす悪性腫瘍の合併、肺疾患、心疾患、骨折、QOL低下などを考慮した治療戦略の構築が急がれている。  このように、全身型MG患者の負担は、疾病そのものが原因となる「疾患負担」だけでなく、従来の治療やそれらに付随する治療に起因する「治療負担」があると考えられる15) 。これまでの治療では、全身型MG患者の約半数は十分な疾患コントロールができていないことからも16-18) 、新たな治療選択肢の登場が待ち望まれていた。 病態メカニズム:病原性IgG自己抗体、FcRnを介したIgGリサイクリング機構  MGは、神経細胞から筋肉へのシナプス伝達に関与する神経筋接合部の機能不全と損傷により引き起こされる。MGの病態と関連する因子の1つに、病原性IgG自己抗体がある15) 。病原性IgG自己抗体の標的となるタンパク質には、神経筋接合部に存在するアセチルコリン受容体(AChR)、筋特異的受容体型チロシンキナーゼ(MuSK)などがあり、近年、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質4(LRP4)も有力な候補の1つである可能性が示唆されている19) 。国内ガイドラインによると、AChRに対する自己抗体は、MG患者全体の約80~85%、MuSKに対する自己抗体は約5%に見られるとされている20) 。  抗AChR抗体は、同時に次の3つの機序を介して病態を招くことが知られている。 (1)自己抗体がAChRと結合を妨げ、その後に続く神経伝達を阻害する21) (2)IgG自己抗体がAChRと架橋を形成することで、AChRのエンドサイトーシスが促進され、受容体濃度が低下し、シグナル伝達能が減弱する21) (3)抗AChR交代により補体カスケードが活性化されることで、補体タンパク質であるC5の開裂を引き起こし、他の補体タンパク質を動員して、膜侵襲複合体(MAC)を形成する。MACは、細孔を形成して、そこから筋細胞内へイオンを流入させ、神経筋接合部の破壊とAChRの減少を引き起こす15) 。補体の活性化によるMAC形成は神経筋接合部破壊の重要な要因であり、抗AChR抗体陽性の全身型MGにおける主要な病態メカニズムの1つである22)。  MGの病態に対するMuSK抗体については、アグリン-LRP4複合体がMuSKに結合し、活性化されると、AChRのクラスター形成により、アセチルコリン結合後のシグナル伝達の効率が高まる19) 。抗MuSK抗体は、補体と結合することなく、AChRの減少を促進し、シナプス機能不全をもたらす23)24) 。  抗AChR抗体や抗MuSK抗体といった全身型MGの病原性自己抗体は、内皮細胞のリサイクルにより維持されるが、これは、内皮細胞内で病原性自己抗体を含むIgGと胎児性Fc受容体(FcRn)が結合し、リソソームによるIgGの分解を防いでいるためである。これにより病原性自己抗体の半減期が延長し、循環血中にリサイクルされ、再び病原性を発揮すると考えられる25) 。 新たな全身型MG治療薬リスティーゴⓇが登場  2023年11月、全身型MG(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)」を効能・効果として、抗FcRnモノクローナル抗体製剤リスティーゴⓇ皮下注280mgが発売された26) 。リスティーゴは、FcRnに結合し、IgG自己抗体を含む血中のIgG濃度を減少させるヒト化IgG4モノクローナル抗体であり27) 、全身型MGの最も一般的なサブタイプである抗AChR抗体陽性および抗MuSK抗体陽性の全身型MGに対し有効性が認められ、またこれまで定量的な評価がなされていなかった疲労感など、全身型MG患者の自覚症状に対する改善も期待される。  全身型MGを対象とした日本人成人患者を含む国際共同試験MycarinG試験(第III相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験)において28) 、リスティーゴは、主要評価項目であるMG-ADL総スコア(症状および日常生活への影響を評価)の43日時点におけるベースラインからの変化量(最小二乗平均値)が、プラセボ群と比較し統計学的に有意で臨床的に意義のある改善を示した(リスティーゴ7mg/kg相当群:-3.37 vs.-0.78[p<0.001]、同10mg/kg相当群:-3.40 vs.-0.78[p<0.001])。また、副次評価項目であるQMG総スコア(易疲労性を含む重症度を評価)の43日時点におけるベースラインからの変化量(最小二乗平均値)においても、リスティーゴはプラセボ群と比較し統計学的に有意で臨床的に意義のある改善を示した(リスティーゴ7mg/kg相当群:-5.40 vs.-1.92[p<0.001]、10mg/kg相当群:-6.67 vs.-1.92[p<0.001])。 症状改善と合わせてQOL改善を目指した治療戦略が求められる  これまでの治療法では、全身型MG患者の疾患負担や治療負担を減少させ、臨床アウトカムを改善することが困難な場合も少なくなかった。そのため、全身型MGの病態メカニズムに応じた、有効性と忍容性を有する治療法が今なお求められている。そして治療効果と合わせて、QOL面での高い患者満足度を早期に達成し、メンタルヘルスなどを良好に保つことも重要な治療目標となっている20) 。新規治療薬の発売により、全身型MG患者の疾患負担や治療負担改善されることが期待される。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 参考資料 1)Drachman. N Engl J Med. 1994; 330: 1797-810. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/8190158/ 2)Murai H, et al. J Neurol Sci. 2011; 305: 97-102.  ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/21440910/ 3)Wendell LC, et al. Neurohospitalist 2011; 1: 16-22. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/23983833/ 4)Murthy JMK. Ann Indian Acad Neurol. 2019; 22: 472-473. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/31736572/ 5)Punga AR, et al. Lancet Neurol. 2022; 21: 176-188. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/35065040/ 6)Chen J, et al. Lancet Reg Health West Pac. 2020: 5: 100063. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/34327399/ 7)Gilhus NE. N Engl J Med. 2016; 375: 2570-2581. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/28029925/ 8)Yoshikawa H, et al. PLoS One. 2022; 17: e0274161. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/36129914/ 9) Utsugisawa K, et al. Muscle Nerve. 2014; 50: 493-500. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/24536040/ 10)Utsugisawa K, et al. Muscle Nerve. 2017; 55: 794-801. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/27603432/ 11)Masuda M, et al. Muscle Nerve. 2012; 46: 166-73. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/22806364/ 12)Imai T, et al. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2018; 89: 513-517. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/29175893/ 13)Nagane Y, et al. BMJ Open. 2017; 7: e013278. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/28235967/ 14)Basta I, et al. Muscle Nerve. 2018; 58: 708-712. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/29572981/ 15)Meriggioli MN, et al. Lancet Neurol. 2009; 8: 475-90. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/19375665/ 16)Menon D, et al. Front Neurol. 2020; 11: 538. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/32714266/ 17)Mantegazza R, et al. Ther Adv Neurol Disord. 2018: 11: 1756285617749134. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/29403543/ 18)Cutter G, et al. Muscle Nerve. 2019; 60: 707-715. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/31487038/ 19)Lazaridis K, et al. Front Immunol. 2020: 11: 212. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/32117321/ 20)日本神経学会 監: 重症筋無力症/ラインバート・イートン筋無力症候群診療ガイドライン2022, CQ1-1, 南江堂, 2022. ▶https://www.neurology-jp.org/guidelinem/mg_2022.html 21)Koneczny I, et al. Cells. 2019; 8: 671. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/31269763/ 22)Howard JF Jr. Ann N Y Acad Sci. 2018; 1412: 113-128. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/29266249/ 23)Phillips WD, et al. F1000Res. 2016: 5: F1000 Faculty Rev-1513. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/27408701/ 24)Burden SJ, et al. Cold Spring Harb Perspect Biol. 2013; 5: a009167. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/23637281/ 25)Gable KL, et al. Front Immunol. 2020: 10: 3052. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/31998320/ 26)リスティーゴⓇ皮下注280mg添付文書▶https://hcp.ucbcares.jp/pdf/rystiggo/sc280mg/package-insert 27)Smith B, et al. MAbs. 2018; 10: 1111-1130. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/30130439/ 28)Bril V, et al. Lancet Neurol. 2023; 22: 383-394. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/37059507/ ヒポクラ × マイナビ無料会員登録はこちら▶https://www.marketing.hpcr.jp/hpcr
真性多血症~知っておきたい希少疾患
真性多血症~知っておきたい希少疾患
 真性多血症は、骨髄の造血幹細胞の遺伝子変異により、赤血球が過剰に産生される慢性骨髄増殖性腫瘍である。今回は、真性多血症およびその治療薬として2023年6月に発売されたベスレミ Ⓡ[一般名:ロペグインターフェロンアルファ-2b]についての取材内容を紹介する。 「真性多血症」赤血球、白血球、血小板の増加がみられる人は要注意  真性多血症は、造血幹細胞中のヤヌスキナーゼ2(JAK2)遺伝子に主に「JAK2 V617F」と称される変異が生じることで、赤血球が過剰に産生される慢性骨髄増殖性腫瘍である。真性多血症では、典型的な特徴である赤血球増加だけでなく、白血球や血小板の産生亢進がみられ、末梢血の3種類の血球成分のすべてが増加することが多い。日本における発症率は、人口10万あたり年間約2人とされており1)、全体の患者数は約2万人と考えられている。発症年齢は、60代が最も多いが、若年(30代)でも発症することもある。真性多血症は、男性で若干多く認められる。一方、本態性血小板増加症は、女性に多いといわれている。 赤ら顔や入浴時の皮膚掻痒感がサイン、進行すると骨髄線維症や白血病のリスクも  真性多血症は、症状が発現する前に健康診断時などで赤血球数の増加、ヘモグロビン濃度やヘマトクリット値の上昇といった検査値異常として発見されることが比較的多い疾患である。しかし、疾患が進行すると赤血球数の著しい増加により、皮膚が赤くなる(とくに赤ら顔)、眼の結膜充血、入浴後の皮膚掻痒感、血圧上昇、尿酸値上昇などの所見や頭痛、頭重感、疲労、脱力感、浮動性めまいなどのさまざまな症状が出現する。赤血球を産生するために鉄の需要が増加するため,鉄欠乏症が発生することもある。さらに、心筋梗塞や脳梗塞などの血栓症を合併することがあり、その場合には生命にかかわる危険性がある。また、一部の患者さんでは疾患が進行し、骨髄線維症(10~20%)や急性白血病(5~10%)に移行することもある2)3)4)。 これまでの治療目標は血栓症予防だが、患者ニーズとのギャップあり  真性多血症の予後は、未治療の場合は18ヵ月(中央値)であるが、治療を行うことで14年(中央値)に延長するといわれている。治療により10年以上の生存期間が期待できるため、合併する血栓症の予防が重要視されている。そのため、真性多血症のリスク分類では、血栓症のリスクに応じて、低リスク群(60歳未満かつ血栓症の既往歴なし)と高リスク群(60歳以上または血栓症の既往歴あり)に分けられる5)。造血器腫瘍診療ガイドライン(2023年版)においても、血栓症の一般的なリスク因子である高血圧、脂質異常症、肥満、糖尿病などがある場合には、これらの治療を行ったうえで、低リスク群では瀉血療法+低用量アスピリン療法、高リスク群では瀉血療法+低用量アスピリン療法に加え細胞減少療法を行うと記載されている6)。なお、欧州ガイドラインでは、高リスク群に対しインターフェロンアルファまたはヒドロキシウレアが第1選択薬として推奨されている(低用量アスピリン、インターフェロンアルファ-2a:真性多血症に対しては国内未承認)7)。  このように、真性多血症の治療では、血栓症予防を目標とし、ヘマトクリット値をコントロールするさまざまな治療が行われてきた。しかしその一方で、真性多血症患者は、疾患進行の抑制・遅延を強く望んでいることも明らかになっており8) 、アンメットニーズに対する新たな治療の選択肢となる薬剤の登場が待ち望まれていた。 新たな真性多血症治療薬ベスレミ Ⓡが登場  2023年6月、真性多血症(既存治療が効果不十分又は不適当な場合に限る)の治療薬としてベスレミ Ⓡ皮下注250μgシリンジ、同500μgシリンジ(製造販売元:ファーマエッセンジアジャパン株式会社)が発売された9) 。ベスレミ Ⓡは、新規の長時間作用型モノペグ化プロリンインターフェロンであり、従来のペグ化インターフェロンよりも安定した体内動態が得られ、投与間隔の延長が可能となった。これには革新的な部位選択的モノペグ化技術が用いられており、ペグ化を行ったタンパク質医薬品は体内における分解が抑制され、半減期の延長と長時間にわたる効果の持続につながっている。なお、標準的な治療が困難な真性多血症患者を対象とした国内第II相試験(A19-201試験)において、ベスレミ Ⓡの有効性および安全性が示された10) 。従来のインターフェロンでは、インフルエンザ様症状や抑うつ症状・自殺企図などの問題が懸念されていたが、これらのリスク軽減も期待される。 真性多血症の長期予後改善のためにも、早期発見・早期治療介入が望まれる  日本国内でも真性多血症に対する新たな治療薬が利用可能になったものの、罹病期間が長くなると十分な治療効果が期待できなくなる可能性もある。そのため、早期発見や早期治療介入がますます重要になってくると考えられる。  今回取材に応じていただいたファーマエッセンシアジャパン株式会社取締役会長であり、順天堂大学の小松 則夫特任教授は「真性多血症は、これまで治癒に近づけられる治療方法がなく、血栓症予防をターゲットとした対症療法が行われてきた。しかし、患者さんの多くは疾患進行の抑制・遅延といった治癒に近づく治療を強く望んでおり、医療者とのギャップが問題となっていた。ベスレミ Ⓡは、真性多血症患者に存在しているJAK2 V617F遺伝子変異のアレルバーデン(遺伝子変異割合)を低下させることから、長期予後の改善も期待され、患者と医療者とのギャップ解消につながるのではないか」とし「できる限り治癒に近づけるためにも、早期に血液内科医や専門医療機関への受診に結び付けることが、真性多血症の予後改善に重要であろう」と述べている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 参考資料 1) Ma X et al. Am J Hematol. 2008; 83: 359-62.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/18181200/ 2) Tefferi A, et al. Blood. 2014;124:2507-13. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/25037629/ 3) Tefferi A, et al. Leukemia. 2013;27:1874-81. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/23739289/ 4) Gangat N, et al. Leukemia. 2007;21:270-6. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/17170720/ 5) Barbui T, et al. J Clin Oncol. 2011; 29: 761-70.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/21205761/ 6) 造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版補訂版▶http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/1_4.html 7) Vannucchi AM et al. Ann Oncol. 2015: 26 Suppl 5: v85-99. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/26242182/ 8) Mesa RA et al. Cancer. 2017; 123: 449-458.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/27690182/ 9) ベスレミ Ⓡ皮下注250μgシリンジ、同500μgシリンジ添付文書▶https://hcp.jp.pharmaessentia.com/besremi/di/ 10) Edahiro Y et al. Int J Hematol. 2022; 116: 215-227.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/35430707/ ヒポクラ × マイナビ無料会員登録はこちら▶https://www.marketing.hpcr.jp/hpcr
メラノーマ(悪性黒色腫)の診断ポイントを皮膚がんの専門医が解説②~ダーモスコピーでも鑑別が難しい良性腫瘍、メラノーマと診断できる?~
メラノーマ(悪性黒色腫)の診断ポイントを皮膚がんの専門医が解説②~ダーモスコピーでも鑑別が難しい良性腫瘍、メラノーマと診断できる?~
悪性黒色腫とも呼ばれるメラノーマは、悪性度が高く転移しやすいがんとして知られており、早期発見・治療が重要です。近年ではダーモスコープを用いたダーモスコピー検査の普及により、メラノーマの診断精度は肉眼所見のみと比較して格段に向上していますが、なかにはメラノーマと鑑別が難しい良性腫瘍もあります。そこで、今回の企画では2記事にわたり、国立がん研究センター東病院 皮膚悪性腫瘍指導専門医 陣内駿一先生に、皮膚科の先生方が知りたいメラノーマ診断のポイントについて、解説いただいています!こちらの記事では、メラノーマと良性腫瘍との見分け方について説明いただきます。 ■監修:陣内駿一 医師 国立がん研究センター東病院 皮膚腫瘍科 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医 日本皮膚科学会認定皮膚悪性腫瘍指導専門医 ■あわせて読みたい メラノーマ(悪性黒色腫)の診断ポイントを皮膚がんの専門医が解説①~ダーモスコピーでも見逃しやすいホクロ、メラノーマと診断できる?~ メラノーマと良性腫瘍の鑑別技術の習得が重要 ― メラノーマと間違いやすい皮膚疾患にはどのようなものがありますか?陣内先生:メラノーマと間違いやすい典型的な良性腫瘍としては、まずは色素性母斑、そして脂漏性角化症、化膿性肉下種などが挙げられます。隆起している腫瘍は鑑別が難しいと感じられる先生が多く、診断精度が下がる印象です。特に脂漏性角化症とメラノーマの診断は難しいようですね。 メラノーマと脂漏性角化症の診断ポイントとは~実際の症例で解説~ ― 陣内先生が今まで診断された症例をもとに、メラノーマと脂漏性角化症を鑑別するポイントを教えてください。陣内先生:脂漏性角化症には1㎝を超える病変もあるため、大きさだけで診断することは難しいです。そのため他のパラメーターを見ながら総合的に判断する必要があります。 脂漏性角化症(良性) メラノーマ(悪性) 肉眼所見 特徴中年女性、左腰部 色素斑 約25mm 色むらあり 中年男性、右頬色素斑 約20mm 色むらあり ダーモスコピー 特徴全体的に境界明瞭Milia like cyst(※1)あり 全体的に不明瞭Pseudonetwork(※2)あり Blue-whitish vei(※3)あり ※1Milia like cyst:稗粒腫様嚢腫ともいい、様々な大きさの白~黄色調の円形袋状の構造物を指す。主に脂漏性角化症に見られるが、ときに乳頭腫状の真皮母斑や先天性母斑、極めてまれにメラノーマでも観察されることがある。※2Pseudonetwork:偽ネットワークともいい、褐色の線で構成される網目構造のこと。※3Blue-whitish veil:メラノーマの代表的な所見の一つで、すりガラス様の淡白色調を通じて青色調の色素斑で構成される不均一な無構造領域をさす。病変内の隆起した部分に認められる。陣内先生:こちらの脂漏性角化症とメラノーマの症例について、一見どちらも臨床的には色むらのある色素斑のため、メラノーマを思わせますが、左の症例はダーモスコピーで脂漏性角化症の所見を認めたため診断することができました。 ― その他に陣内先生が重要視されている診断のポイントはありますか?陣内先生:臨床所見やダーモスコピー所見から病理像をイメージして診断しています。また、病変全体に良性腫瘍の所見しかなければ、良性と診断してよいと思いますが、少しでも悪性所見を認めたときには、閾値を下げて診察することをお勧めします。メラノーマと診断できなくても、まずは良性か悪性かだけでも判断することが大切です。悪性であれば経過で拡大傾向や隆起を認めてきます。この病変の変化のスピードも診断の一助になります。また、メラノーマは一般的に60代以降の高齢者に多いですが、若年者にも起こりうる疾患です。若年者というだけで、メラノーマをすぐに除外しない方がよいです。いつもニュートラルな頭で診察する必要があります。メラノーマの診断精度を上げるためには症例の経験数を増やすことが大切 ― メラノーマの診断精度を上げるコツはありますか?陣内先生:症例数をこなすことが大切だと感じます。私は国立がん研究センターに就職してから、数多くの症例を他の先生と一緒に共有していきました。また当院に保存されている皮膚腫瘍画像をすべて見返しました。学会にも足を運び講義を聞くことで学習し、経験を積むことができたと考えています。メラノーマに限らず、基底細胞癌や他の皮膚がんでも、基本的な所見は教科書を見て勉強すれば8割方は診断が可能です。もちろん、患者さんの中には、すぐに診断の難しい症状の方もいらっしゃいますけどね。自施設での皮膚腫瘍の臨床画像やダーモスコピー画像を掘り起こし、自己学習していくことで診断のスキルが自然と向上してくると思います。 ― メラノーマの診断について勉強する上でおすすめの勉強法や書籍はありますか?陣内先生:個人的には『ダーモスコピーのすべて 改訂第2版(南江堂出版)』や『大原アトラス 1ダーモスコピー(学研メディカル秀潤社出版)』がおすすめです。このような書籍も参考に、典型的なダーモスコピー画像をきちんと頭に入れておくとよいでしょう。もちろん、ダーモスコピー検査ですべて解決されるわけではありません。前回の記事でもお話したように、肉眼所見で見たときの違和感にも気づくことが大切です。 ■あわせて読みたい メラノーマ(悪性黒色腫)の診断ポイントを皮膚がんの専門医が解説①~ダーモスコピーでも見逃しやすいホクロ、メラノーマと診断できる?~ ― 2記事にわたり、メラノーマの診断のポイントについて解説いただきありがとうございました。皮膚悪性腫瘍指導専門医が、豊富な診療経験と高度な技術に基づき、メラノーマを診断されていることがよくわかりました。約7万人の医師が登録するオンライン医局®「ヒポクラ」では、クリニック勤務などで周りに相談できる環境が無い先生方向けに、メラノーマ診断・治療のコンサルトサービスを行っています。皮膚悪性腫瘍専門医の先生にオンラインでご相談されたい方はご利用ください。 メラノーマかどうか診断の難しいホクロ。紹介して生検すべきかどうか悩んだことはありませんか? 医師が、患者さんに自信を持って向き合えるように、皮膚悪性腫瘍指導専門医に、オンラインで気軽にアドバイスをもらってみませんか?(完全無料) 今すぐ会員登録して相談 会員登録しないで初回相談 会員登録するとオンライン相談は無制限で無料。会員登録すると「たくさんの先生の症例が見れる知見共有」「時短日本語論文検索」「皮膚悪性腫瘍以外も質問できるコンサルト」等のサービスを全て無料で利用できるようになります。 ※2回目からのご利用には会員登録が必要になります--> ※本サービスは予告なく変更または終了する場合がございますので、あらかじめご了承ください。
【皮膚がん専門医が解説】メラノーマ(悪性黒色腫)の診断ポイント①~ダーモスコピーでも見逃しやすいホクロ、メラノーマと診断できる?~
【皮膚がん専門医が解説】メラノーマ(悪性黒色腫)の診断ポイント①~ダーモスコピーでも見逃しやすいホクロ、メラノーマと診断できる?~
悪性黒色腫とも呼ばれるメラノーマは、悪性度が高く転移しやすいがんとして知られており、早期発見・治療が重要です。近年ではダーモスコープを用いたダーモスコピー検査の普及により、メラノーマの診断精度は肉眼所見のみと比較して格段に向上していますが、なかには鑑別が難しく見逃しやすいホクロもあります。そこで今回の記事では、皮膚科専門医の先生方が知っておきたいメラノーマ診断のポイントについて、国立がん研究センター東病院 皮膚悪性腫瘍指導専門医 陣内駿一先生に解説いただきました! ■監修:陣内駿一 医師 国立がん研究センター東病院 皮膚腫瘍科 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医 日本皮膚科学会認定皮膚悪性腫瘍指導専門医 ■あわせて読みたい メラノーマ(悪性黒色腫)の診断ポイントを皮膚がんの専門医が解説②~ダーモスコピーでも鑑別が難しい良性腫瘍、メラノーマと診断できる?~ ― 陣内先生のメラノーマ診断に関するご経歴を教えてください。陣内先生:国立がん研究センター中央病院にて、5年間で800~900名のメラノーマ症例をカンファレンスで共有し、さらに担当レジデントとしても診療を行っていました。一般の皮膚科クリニックだと1年に2~3名来院される程度であるため、多くの症例を経験してきたと自負しています。また、AI(人工知能)に1,600枚のメラノーマ画像を含む5,800枚の皮膚腫瘍画像を学習させ、皮膚腫瘍判定システムの開発を行った実績もあります。メラノーマの診断精度を上げるためにはやはり症例の数をこなすことが大切だと考えています。 メラノーマ診断のポイントとは~実際の症例で解説~ ― 先生が今まで診断された症例をもとに、メラノーマ診断のポイントついて教えてください。陣内先生:まずは典型的な症例を頭に入れておくことで、メラノーマの見逃しを防ぐことができます。 ホクロ(良性) メラノーマ(悪性) 肉眼所見 特徴高齢女性、右頬11mm常色で弾性軟の皮膚結節 高齢女性、右頬30mm以上白色~茶褐色色素斑、色むらあり ダーモスコピー画像 特徴ベースは常色のドーム状結節で、中央にpseudonetwork(※1)を認める。 Regression(※2)を思わせる脱色素斑、pseudonetworkを認める。また周辺の境界がやや不明瞭である。 ※1pseudonetwork:偽ネットワークともいい、褐色の線で構成される網目構造のこと。※2Regression:白色消退のこと。 陣内先生:メラノーマと診断した理由としては、大型の病変であるほかに、白色~茶褐色の色むらがあったことです。基本的な診断ポイントさえ押さえておけば難しくはありません。 メラノーマの基本的な診断ポイント~ABCDE基準~ A:Asymmetry(非対称性の病変):形が左右非対称である。 B:Border irregularity(不規則な形):輪郭がギザギザしている。 C:Color variegation(多彩な色調):色むらがある。 D: Diameter enlargement(大型の病変):直径が6㎜以上である。 E:Evolution(経過の変化):大きさや形、色、症状に変化がある。 Abbasi NR, et al. JAMA 2004; 292(22): 2771-2776. 陣内先生:次の症例は、一見ホクロかメラノーマか臨床診断が付けきれなかった症例です。2か所に見られる色素斑にはどちらともPFPパターン(※3)を認めます。しかし一方にはPRPも認めました。臨床診断はホクロだと9割方思いましたが、診断的治療のため全切除生検を行いました。結果としては幸い、ホクロ(色素性母斑)でした。 肉眼所見 ダーモスコピー画像 特徴 中年女性、右足小指内側に2か所色素斑あり。両方にPEPパターンを認め、左側の色素斑にはPRP(※4)も認められる。 ※3PFP:皮溝平行パターンのこと。※4PRP:皮丘平行パターンのこと。※3・4:一般にPFPはホクロ、PRPはメラノーマに多い特徴とされるが、診断特異度は100%ではないことに注意する。 メラノーマの診断には対象の皮疹だけでなく周辺もよく視診することがポイント ― その他に陣内先生が重要視されている診断のポイントはありますか?陣内先生:対象の皮疹(色素斑)を視診した際に、良性腫瘍と言える根拠しか出てこなければ、恐らくそれは良性腫瘍だと思います。しかしながら少しでも疑問に思う所見を認めた時には、正直に患者さんに「自分は●●と思う」と説明するといいと思います。また対象の皮疹だけを見るのではなく周辺も視診してください。周囲に色素性母斑や脂漏性角化症などの良性腫瘍があり、大きさや濃さを比較して異質ではないかを確認することが重要です。つまり、対象となる皮疹に異質な印象を受けるどうかが大事なポイントだと思います。隆起や出血、痂皮等認めた場合には診断の閾値を下げる必要があります。 ― メラノーマと判断がつきにくく生検も困難な場合はどう対応されますか?陣内先生:臨床診断で判断に迷った場合、病理診断に頼ることになりますが、患者さん全員にできるわけではないので、その場合は経過を追うことで皮疹の経時的な変化で診断を付けていきます。また色素性母斑と診断していても、定期的な診察を希望される方もいらっしゃいます。私は患者さんと相談し3~6か月ごとに定期的に通院してもらっています。その際には、過去のデータと比較できるように、必ず写真を撮るようにしています。症例の中には1年以上観察をして、明確な悪性所見が出てきて分かったケースもあります。カルテに所見の記述のみを残して経過を追っていくのでは、診療としては不十分です。記述の内容だけでは比較できません。また患者さんが気にしてご自身のスマートフォン等で写真を撮っている場合もあり、それも手助けになります。他に臨床診断でメラノーマと想定し生検をしても、確定診断ができない場合もあります。その場合は臨床診断と天秤にかけながら最終的な診断を行っていきます。患者さんを家族と思い、メラノーマと疑わしい症例は生検や他の医師への相談が大切 ― メラノーマと疑われる症例を見るときに先生が意識されていることはありますか?陣内先生:メラノーマではないかと常に考えて診察を行うようにしています。患者さんの希望があれば、医師が不要と感じた場合でも生検・切除を行うべきだと個人的には考えています。理由は、まれにその中に皮膚がんが隠れていることがあるからです。トレーニングを積んだ我々でも見分けがつきにくい症例が必ず存在します。患者さんが不安を感じていて、切除希望があるのに安易に「大丈夫ですよ」と言って返しては、いつか痛い目に合います。医師は自身の限られた診断精度から、無意識的に陽性的中率を上げようと診察していると思っています。しかしながら偽陽性でも(メラノーマでないものをメラノーマと思っても)いいんです。偽陽性が増えたとしても見逃されるメラノーマの数は減りません。偽陽性を恐れないことでメラノーマの見逃しを防ぐことができます。もちろん結果として、偽陽性と判明するまで、一時的に患者さんにストレスを与えてしまうかもしれませんが、見逃されるよりはまだマシです。患者さんを家族だと思って、疑わしき症例は他の医師に相談する、または(積極的に)生検を行うことが大切です。 ■あわせて読みたい メラノーマ(悪性黒色腫)の診断ポイントを皮膚がんの専門医が解説②~ダーモスコピーでも鑑別が難しい良性腫瘍、メラノーマと診断できる?~ ― ありがとうございました。皮膚悪性腫瘍指導専門医が、豊富な診療経験と高度な技術に基づき、メラノーマを診断されていることがよくわかりました。約7万人の医師が登録するオンライン医局®「ヒポクラ」では、クリニック勤務などで周りに相談できる環境が無い先生方向けに、メラノーマ診断・治療のコンサルトサービスを行っています。皮膚悪性腫瘍専門医の先生にオンラインでご相談されたい方はご利用ください。 メラノーマかどうか診断の難しいホクロ。紹介して生検すべきかどうか悩んだことはありませんか? 医師が、患者さんに自信を持って向き合えるように、皮膚悪性腫瘍指導専門医に、オンラインで気軽にアドバイスをもらってみませんか?(完全無料) 今すぐ会員登録して相談 会員登録しないで初回相談 会員登録するとオンライン相談は無制限で無料。会員登録すると「たくさんの先生の症例が見れる知見共有」「時短日本語論文検索」「皮膚悪性腫瘍以外も質問できるコンサルト」等のサービスを全て無料で利用できるようになります。 ※2回目からのご利用には会員登録が必要になります --> ※本サービスは予告なく変更または終了する場合がございますので、あらかじめご了承ください。
先天性胆汁酸代謝異常症~知っておきたい希少疾患
先天性胆汁酸代謝異常症~知っておきたい希少疾患
 先天性胆汁酸代謝異常症は、肝臓において胆汁酸の生合成を担う酵素群のいずれかの遺伝子が欠損している先天性疾患である。毒性のある中間代謝物(異常胆汁酸または胆汁アルコール)が肝細胞内に蓄積する進行性の疾患であり、適切な治療を行わなければ重度の肝疾患により生命を脅かす可能性がある。今回は、先天性胆汁酸代謝異常症およびその治療薬であるオファコル Ⓡ[一般名:コール酸]についての取材内容を紹介する。 肝障害を呈する「先天性胆汁酸代謝異常症」  先天性胆汁酸代謝異常症は、胆汁酸生合成の過程に関与するいずれかの酵素が遺伝的に欠損することにより、毒性のある中間代謝物(異常胆汁酸または胆汁アルコール)が肝細胞内に蓄積し、肝機能障害を生じる進行性の疾患であること、また生命活動において必要不可欠な胆汁酸を自ら生合成することができないことから、適切な治療を行わなければ死亡に至るケースも少なくない。先天性胆汁酸代謝異常症は12種類の疾患に分類されるが、本邦で報告されている症例は、HSD3B欠損症、AKR1D1欠損症、CYP7B1欠損症、脳腱黄色腫症(CTX)の4種類である1~5) 。早期に治療されれば予後は比較的良好であるが、発見が遅れれば肝移植の適応となり予後が悪いと言われている。 非常に稀な疾患も新生児~成人にかけて診断される可能性あり  先天性胆汁酸代謝異常症は、非常に稀な疾患であり、本邦における先天性胆汁酸代謝異常症患者数は、HSD3B欠損症、AKR1D1欠損症、CYP7B1欠損症の3疾患合わせて10人未満、CTXで60人程度の報告にとどまっており、欧米と比較し本邦では報告症例が少なく、これまで発見されていない症例もあると考えられる。拡大新生児スクリーニングの普及や今回の治療薬の承認を機に、今後の診断率の向上による早期発見が期待される。 原因不明の肝障害や黄疸、尿検体から異常胆汁酸を測定  以下のような所見がみられる場合には先天性胆汁酸代謝異常症を疑う。  ・原因不明の肝障害、肝疾患  ・家族性の肝疾患(特に兄弟例など)  ・新生児肝炎と診断された後、症状の改善が見られない  ・胆汁うっ滞があるにもかかわらず‘かゆみ’ がない  ・慢性下痢を伴う発育不全のある乳児(軟便のこともあり)  ・脂溶性ビタミン欠乏症状(頭蓋内出血、原因不明のくる病など)  ・若年性白内障、黄色腫  注目すべきは閉塞性黄疸が存在するにかかわらず血清総胆汁酸とγ-GTP が正常か低値という特徴がみられる点である。異常胆汁酸の測定には、液体クロマトグラフ質量分析法による胆汁酸分析が有用である。検体には、血清、尿、便、胆汁などが用いられるが、採取の容易さと排出量からも尿検体が最も適切であると考えられる。また、異常胆汁酸が検出された場合には、遺伝子解析を実施し、確定診断を行う。 先天性胆汁酸代謝異常症の標準治療薬「コール酸」、承認までの道のり  海外では、コール酸は先天性胆汁酸代謝異常症の治療薬としての使用実績があり、古くから臨床研究報告が発表され経験的に有効性及び安全性が確認されてきた歴史がある。このことから欧米では、コール酸が先天性胆汁酸代謝異常症の適応で承認されており、標準的治療法とされている6~9)。 一方、日本ではコール酸製剤は無く、ケノデオキシコール酸は胆石溶解薬としてのみ承認されていた。そのため、日本小児栄養消化器肝臓学会および日本先天代謝異常学会からの要望を受け、厚生労働省の「未承認薬・適応外薬検討会議」より開発企業の募集が行われ、株式会社レクメドは仏CTRS社(現:THERAVIA社)と共同で本剤の国内開発に着手し、2020年8月に先天性胆汁酸代謝異常症に対し希少疾患用医薬品指定を受け、2023年3月に本邦で初めて「先天性胆汁酸代謝異常症」を効能効果とするオファコル Ⓡカプセル50mg(製造販売元:株式会社レクメド)が承認された。 日本初の先天性胆汁酸代謝異常症治療薬オファコルⓇカプセルが登場  オファコル Ⓡは、コレステロールから胆汁酸への生合成ステップを促進する最初の酵素(Cholesterol-7 α-hydroxylase)に対して負のフィードバックをかけて毒性のある中間代謝物の生成を抑制する。また、欠乏するコール酸を補充することで、胆汁流量を増加させ、肝臓内に蓄積した毒性物質の排出を促進し、胆汁うっ滞を改善する。さらに、脂溶性ビタミンと脂肪の吸収を促進し、成長障害等を改善する。  承認にあたり、4名の日本人患者を対象にオファコル Ⓡを5~15mg/kg/日、74週間経口投与を行う国内第III相臨床試験を実施した。4名とも既にケノデオキシコール酸による治療を受けており、治験開始時にコール酸への切換えを行った。4名中1名でコール酸投与開始後に尿中および血清中の異常胆汁酸濃度の低下、肝機能検査値の改善、血清中ビタミンD濃度の上昇が認められた。他の3名では、ケノデオキシコール酸の治療により治験開始時に既に症状が安定しており、コール酸への切換え後も尿中および血清中の異常胆汁酸濃度は概ね安定して推移し、AST、ALTおよび血清中ビタミンD濃度も概ね基準値範囲で維持した。臨床試験における副作用は、一過性の低カルシウム血症が1名で認められた10) 。オファコルの安全性および有効性については、使用成績調査(全例調査)により引き続き情報収集が行われている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 参考資料 1) Ueki I, et al. J Gastroenterol Hepatol. 2009; 24: 776-85.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/19175828/ 2) Mizuochi T, et al. Pediatr Res. 2010; 68: 258-63.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/20531254/ 3) Nittono H, et al. Pediatr Int. 2010; 52: e192-5.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/20958862/ 4) Seki Y, et al. J Inherit Metab Dis. 2013; 36: 565-73. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/23160874/ 5) Mizuochi T, et al. Liver Transpl. 2011; 17: 1059-65.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/21567895/ 6) Setchell K, et al. Cambridge University Press. 2007; 736-66. 7) Gonzales E, et al. Gastroenterology. 2009; 137: 1310-1320.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/19622360/ 8) Sundaram SS, et al. Nat Clin Pract Gastroenterol Hepatol. 2008; 5: 456-68. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/18577977/ 9) Gonzales E, et al. Orphanet J Rare Dis. 2018; 13: 190.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/30373615/ 10) オファコルⓇカプセル50mg添付文書 ▶https://www.reqmed.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2023/06/オファコルカプセル50mg-添付文書_v2.pdf ヒポクラ × マイナビ無料会員登録はこちら▶https://www.marketing.hpcr.jp/hpcr
ムコ多糖症II型~知っておきたい希少疾患
ムコ多糖症II型~知っておきたい希少疾患
 ムコ多糖症は、細胞内でのムコ多糖の分解に必要なライソゾーム酵素の先天的な欠損により、全身の細胞にムコ多糖が蓄積する先天代謝異常症である。ムコ多糖症は症状の異なる7つの型に分類され、現在、本邦ではI型、II型、IV型、VI型に対する酵素製剤が使用可能となっている。今回は、ムコ多糖症II型およびその治療薬であるヒュンタラーゼ Ⓡ [一般名:イデュルスルファーゼ ベータ(遺伝子組換え)]についての取材内容を紹介する。 男児の約5万人に1人が発症するムコ多糖症II型  ムコ多糖症II型(ハンター症候群)はライソゾーム病の1つであり、日本においてはムコ多糖症の中で最も頻度の高い疾患である。ムコ多糖症の中でもII型は、X染色体連鎖潜性遺伝であり(その他の病型は常染色体)、ほとんどは男児のみに発症する。本邦では、男児53,000人に1人発症すると推測されている。岐阜大学の調査では国内症例数は255例と報告されているものの、診断に至っていない症例や定期受診をしていない症例もある 1)。そのため、ムコ多糖症II型の正確な患者数を把握することが困難とされている。 “言葉の遅れ”などの中枢神経症状が重症型のサイン  ムコ多糖症II型は、ライソゾーム酵素の1つであるイズロン酸-2-スルファターゼの先天的な欠損により、細胞内に未分化のデルマタン硫酸やヘパラン硫酸といったムコ多糖が過剰に蓄積した結果、多臓器が同時に障害される進行性の疾患である。知的障害の有無によって重症型と軽症型に大別され、患者の約70%は中枢神経症状を伴うと言われている。乳児期によくみられる症状として、広範な蒙古斑・異所性蒙古斑、反復性の中耳炎、臍ヘルニア・鼠径ヘルニアが挙げられる。また、腰椎部の突背も重症型では早期からよくみられる所見である。重症型の場合、言葉の遅れなどの中枢神経症状に気づき来院されることが多く、6~7歳をピークに発達退行がみられ、徐々に進行する。幼児期には、過成長傾向を示す(3歳児Hunter病24例の平均身長98.0 cm、体重20.1 kg)ため、注意が必要である。  ムコ多糖症II型の主な臨床症状 2) 【皮膚症状】特徴的顔貌(ムクムクした顔貌、巨舌など) 【耳鼻科領域の症状】反復性中耳炎、難聴 【骨・関節症状】椎骨の変形、関節拘縮 【腹部の症状】ヘルニア(鼠径・臍)、肝腫大 【循環器症状】心雑音(心臓弁膜症) 【中枢神経症状】精神発達遅延(言葉の遅れなど) 小児神経科、耳鼻科、整形外科、外科の先生も遭遇する可能性があるムコ多糖症II型  ムコ多糖症II型の診療は、小児科の中でも、遺伝や代謝、施設によっては内分泌を専門とされる先生方が中心となっている。しかし、重症型では神経症状を呈することから、小児神経の専門医が診療に携わる場合や、蒙古斑、繰り返す中耳炎、臍ヘルニア・鼠径ヘルニア、骨・関節の異常などを機に、かかりつけ医の先生や耳鼻科、整形外科、外科などのさまざまな科の先生からの紹介で診断にいたるケースもある。診断は、欠損酵素の測定と蓄積物の有無によりなされる。 これまでは中枢神経症状に対する治療効果に課題も  ムコ多糖症II型のこれまでの治療は、個々の症状に対応した対症療法と侵襲臓器にイズロン酸-2-スルファターゼを供給することを目的とした原因療法がおこなわれてきた。原因療法として本邦で保険収載されていた治療法は、静脈内投与の酵素補充療法と造血幹細胞移植であった。静脈内投与の酵素補充療法は、酵素製剤を週に1回点滴静注し、不足している酵素を補う治療であり、肝脾腫、呼吸機能、歩行障害、皮膚所見、関節拘縮などの症状改善が確認されている。一方、従来の静脈内投与の酵素補充療法は、血液脳関門(BBB)を通過しないため、約70%の患者さんに認められる精神発達遅滞や神経退行症状に対して、基本的に治療効果が期待できないことが課題であった。また、造血幹細胞移植に関しては、中枢神経症状の改善の報告はあるものの、その効果は明確になっておらず、ドナーの確保やGVHDの予防も課題となっていた。 中枢神経症状をターゲットとした 世界初のムコ多糖症II型に対する脳室内投与製剤ヒュンタラーゼ Ⓡ  2021年、ムコ多糖症II型に対する酵素補充療法に使用される世界で初めての脳室内投与製剤としてヒュンタラーゼ Ⓡ脳室内注射液15mg(製造販売元:クリニジェン株式会社)が承認された。ヒュンタラーゼは、頭にリザーバを留置し、そこから4週に1回、脳室に直接薬剤を送達させる新しい治療法を有する薬剤である。脳室内に直接投与することで、従来治療では効果不十分であった中枢神経症状に対する治療が可能となった 3)。 2021年4月の上市以来、重症型の患者さんに処方が開始され、2023年11月現在、国内35例の患者さんがヒュンタラーゼによる治療を行っている。 新生児スクリーニングの普及と専門医への早期紹介が望まれる  ムコ多糖症は進行性の疾患であるため、早期診断・早期治療を開始した症例では、薬剤のより高い有効性が期待できると言われている。近年、本邦においても、ムコ多糖症II型を含む拡大新生児スクリーニングが普及しつつあるが、都道府県・自治体・医療機関によって実施の有無に差があり、出生児にスクリーニングを受ける機会がなかった患者さんでは、診断が遅れてしまう可能性がある。このような患者さんにおいては、受診時に診療にあたった先生が典型的な症状に気付き、できるだけ早期に専門医への紹介となることが望まれる。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 参考資料 1) Khan SA, et al. Mol Genet Metab. 2017; 121: 227-240.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/28595941 2) ムコ多糖症サーチ▶https://muco-tatosho.com/ 3) ヒュンタラーゼ Ⓡ脳室内注射液15mg添付文書▶http://www.clinigen.co.jp/medical/pdf/hunterase_pi_20210426.pdf 4) 用語解説(教えて!ムコタ先生)▶https://mukota-sensei.com/term ヒポクラ × マイナビ無料会員登録はこちら▶https://www.marketing.hpcr.jp/hpcr
遺伝性血管性浮腫~BIBGRAPH SEARCH(2022年10月14日号)
遺伝性血管性浮腫~BIBGRAPH SEARCH(2022年10月14日号)
エクスメディオでは定期的に遺伝性血管性浮腫(Hereditary Angioedema:HAE)の情報提供を行っています。今回は、HAE関連の最新論文をまとめてご紹介します。見逃されがちな稀な疾患ですが、原因不明の浮腫や腹痛、薬物アレルギーが疑われる場合など、鑑別診断を行うことが求められます。HAE発作抑制薬ラナデルマブ(タクザイロ)に関する情報もお届けしていますので、参考にしてください。(エクスメディオ 鷹野 敦夫) 『BIBGRAPH SEARCH』では、エクスメディオが提供する文献検索サービス「Bibgraph」より、注目キーワードで検索された最新論文をまとめてご紹介しています。 HAE治療に関する最新レビュー Valerieva A, et al. Front Allergy. 2022; 3: 952233. ≫Bibgraphを読む 女性HAEの妊娠、母親と子供への影響は~ITACAコホート研究 Triggianese P, et al. Front Med (Lausanne). 2022; 9: 930403. ≫Bibgraphを読む HAE患者の急性腹部発作の診断に対する画像検査の有用性 Obtulowicz P, et al. Postepy Dermatol Alergol. 2022; 39: 749-756. ≫Bibgraphを読む 薬物アレルギーとの誤診に注意!HAE患者調査 Wong JCY, et al. Front Allergy. 2022; 3: 953117. ≫Bibgraphを読む HAE発作抑制薬ラナデルマブ(タクザイロ)の第III相臨床試験、人種間での違いは? Craig TJ, et al. Allergy Asthma Clin Immunol. 2022; 18: 85. ≫Bibgraphを読む 参考:HAEが疑われる患者さんのご相談はこちら(医師限定) 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら
希少疾患~BIBGRAPH SEARCH(2022年10月3日号)
希少疾患~BIBGRAPH SEARCH(2022年10月3日号)
エクスメディオが提供する文献検索サービス「Bibgraph」より、注目キーワードで検索された最新論文をまとめてご紹介する『BIBGRAPH SEARCH』をはじめました。今回は、希少疾患に関する最新論文をいくつか取り上げました。小児短腸症候群、潰瘍性大腸炎、ムコ多糖症II型、神経内分泌腫瘍、特発性樹枝状肺骨化症に関する情報です。日常診療にお役立ていただけますと幸いです。(エクスメディオ 鷹野 敦夫) 日本の実臨床における小児短腸症候群の病因と治療 Tazuke Y, et al. Pediatr Int. 2022; 64: e15258. ≫Bibgraphを読む 潰瘍性大腸炎に対する4つの生物学的製剤の比較 Cassinotti A, et al. Eur J Gastroenterol Hepatol. 2022 Sep 23. [Online ahead of print] ≫Bibgraphを読む ムコ多糖症II型に対する酵素補充療法開始のタイミングと認知機能への影響 Yee KS, et al. J Health Econ Outcomes Res. 2022; 9: 67-76. ≫Bibgraphを読む ガストリン産生の臨床症状を伴わない十二指腸神経内分泌腫瘍21例の報告 De Jorge Huerta L, et al. J Dig Dis. 2022 Sep 28. [Online ahead of print] ≫Bibgraphを読む 日本における特発性樹枝状肺骨化症患者の分析結果 Nishioka Y, et al. BMJ Open Respir Res. 2022; 9: e001337. ≫Bibgraphを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら
再発を繰り返す浮腫、その患者さん希少疾患かも
再発を繰り返す浮腫、その患者さん希少疾患かも
遺伝性血管性浮腫(HAE)コンサルトでは、むくみや腫れに関するご相談を通じて、希少疾患(HAE)の早期診断に貢献できればと考えています。 \まずは動画をご覧ください/ 原因不明の浮腫、浮腫発作などでお困りの際には、ぜひご利用ください 遺伝性血管性浮腫(HAE)コンサルトはこちら >> 遺伝性血管性浮腫(HAE)とは 遺伝性血管性浮腫(HAE)は世界中で5万人にひとりが罹患していると推定されています。(※1) 日本には2,000人から3,000人の患者さんが存在すると推定されていますが、この疾患に対する日本での認知度の低さから診断されている患者さんは約450名に留まっており、未診断の患者さんが多くおられます。(※2) また、初めての発作が起きてから確定診断までに日本では平均13.8年かかるといわれています。(※3)米国では平均10年(※4)、欧州では平均8.5年(※5)との報告があります。 ※1  Longhurst HJ, Bork K. Hereditary angioedema: causes, manifestations, and treatment. Br J Hosp Med.2006;67(12):654-657.※2  Hide M, Horiuchi T, et al. Management of hereditary angioedema in Japan: Focus on icatibant for the treatment of acute attacks. Allergology International 70 (2021) 45-54.※3 Ohsawa I et al: Ann Allergy Asthma Immunol 2015; 114: 492-498※4 Banerji et al., Allergy Asthma Proc. 2018 May-Jun; 39(3): 212–223※5 Zanichelli et al., Allergy, Asthma & Clinical Immunology 2013, 9 :29. { "@context": "http://schema.org", "@type": "VideoObject", "name": "再発を繰り返す浮腫、その患者さん希少疾患かも", "description": "遺伝性血管性浮腫(HAE)の具体的な症状とは", "thumbnailUrl": "https://xmdio-cms.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/HAE_Plus_v3_0fda854151.png", "uploadDate": "2022-03-14T08:00:00+09:00", "duration": "PT4M16S", "embedUrl": "https://www.youtube.com/embed/ITpK8XSFYmk" }