既存治療で効果不十分なPNH患者に対するペグセタコプランの有用性
希少疾患

既存治療で効果不十分なPNH患者に対するペグセタコプランの有用性

公開日:2024年5月27日

Mulherin BP, et al. Drugs R D. 2024 May 10. [Epub ahead of print]
 米国・Hematology Oncology of IndianaのBrian P. Mulherin氏らは、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)に対するペグセタコプランの有効性および安全性を評価した2つの第III相臨床試験(PEGASUS試験、PRINCE試験)におけるヘモグロビン値、乳酸脱水素酵素(LDH)、疲労の正常化の測定を行った。Drugs in R&D誌オンライン版2024年5月10日号の報告。
 対象は、PEGASUS試験よりエクリズマブ治療を3ヵ月以上実施したにもかかわらずPNHおよびヘモグロビン値が10.5g/dL未満の患者、PRINCE試験より補体(C5)阻害薬未使用で支持療法のみを行っているがヘモグロビン値が正常下限未満であった患者。血液学的および疲労正常化に関するエンドポイントは、輸血なしのヘモグロビン値の正常下限値(女性:12g/dL、男性:13.6g/dL)以上、LDH226U/L以下、慢性疾患患者の疲労評価(FACIT-Fatigue)スコア43.6以上(一般集団基準)とした。安全性は、重篤度および重症度の標準化された用語、定義を用いて、研究者により評価した。
主な結果は以下のとおり。
・ペグセタコプラン治療によりヘモグロビン値が正常化した患者の割合は、PEGASUS試験の16週目(ランダム化コントロール期間)で34.1%(41例中14例)であり(エクリズマブ治療患者:0%[39例中0例])、PRINCE試験の26週目で45.7%(35例中16例)であった(支持療法患者:0%[18例中0例])。 ・PEGASUS試験の48週目(非盲検期間)にヘモグロビン値が正常化した患者の割合は、ペグセタコプラン治療患者で24.4%、16週目以降にエクリズマブからペグセタコプランへ切り替えた患者で30.8%であった。 ・PEGASUS試験におけるLDH正常化率は、16週目でペグセタコプラン治療患者70.7%、エクリズマブ治療患者15.4%、48週目でペグセタコプラン治療患者56.1%、エクリズマブからペグセタコプラン切り替え患者51.3%であった。 ・PRINCE試験におけるLDH正常化率は、26週目でペグセタコプラン治療患者67.5%であった。 ・PEGASUS試験におけるFACIT-Fatigueスコア正常化率は、16週目でペグセタコプラン治療患者48.8%、エクリズマブ治療患者10.3%、48週目でペグセタコプラン治療患者34.1%、エクリズマブからペグセタコプラン切り替え患者51.3%であった。 ・PRINCE試験におけるFACIT-Fatigueスコア正常化率は、26週目でペグセタコプラン治療患者68.6%、支持療法患者11.1%であった。 ・ペグセタコプランは、安全性・忍容性が良好であった。 ・ペグセタコプランの最も一般的な有害事象である注射部位反応は、ほとんどが軽度であり、発生率はPEGASUS試験(ランダム化コントロール期間)で36.6%、PRINCE試験で30.4%であった。
 著者らは「エクリズマブ治療を3ヵ月以上行っているにもかかわらずPNHおよび貧血が持続する患者やC5阻害薬未使用で支持療法のみを行っている患者では、ペグセタコプラン治療によりヘモグロビン、LDH、疲労スコアの正常化が期待できるであろう」としている。


(エクスメディオ 鷹野 敦夫)

原著論文はこちら Mulherin BP, et al. Drugs R D. 2024 May 10. [Epub ahead of print]
https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38727860

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