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再発・難治性の慢性GVHDに期待されるCSF1R抗体axatilimabの第II相ピボタル試験/NEJM
ライブラリー

再発・難治性の慢性GVHDに期待されるCSF1R抗体axatilimabの第II相ピボタル試験/NEJM

公開日:2024年9月19日 Wolff D, et al. N Engl J Med. 2024; 391: 1002-1014.  コロニー刺激因子1受容体(CSF1R)依存性の単球およびマクロファージは、同種造血幹細胞移植の長期的合併症の1つである慢性移植片対宿主病(GVHD)の重要なメディエーターである。CSF1R抗体axatilimabは、慢性GVHDに対して有望な臨床活性が示されている薬剤である。ドイツ・レーゲンスブルク大学のDaniel Wolff氏らは、再発または難治性の慢性GVHDに対するaxatilimabの3用量を評価した第II相国際共同ランダム化ピボタル試験を実施し、その結果を報告した。NEJM誌2024年9月19日号の報告。  対象患者241例は、0.3mg群(axatilimabを2週間ごとに0.3mg/kgで静脈投与)80例、1mg群(axatilimabを2週間ごとに1mg/kgで静脈投与)81例、3mg群(axatilimabを4週間ごとに3mg/kgで静脈投与)80例のいずれかにランダムに割り付けられた。主要エンドポイントは、最初の6サイクルにおける全奏効(OR、完全奏効または部分奏効)とした。主要な副次的エンドポイントは、患者が報告した慢性GVHD症状負荷の減少とし、その定義は、Lee慢性GVHD症状評価尺度修正版(0〜100の範囲で、高スコアほど症状悪化を示す)5ポイント以上の減少とした。95%信頼区間(CI)の下限が30%超の場合、主要エンドポイントを達成したとみなした。 主な結果は以下のとおり。 ・主要エンドポイントは、すべての群で達成された。 ・ORは、0.3mg群74%(95%CI:63〜83)、1mg群67%(95%CI:55〜77)、3mg群50%(95%CI:39〜61)であった。 ・Lee慢性GVHD症状評価尺度修正版の5ポイント以上の減少は、0.3mg群60%、1mg群69%、3mg群41%で認められた。 ・最も多い有害事象は、CSF1R阻害に関連する用量依存的な一過性の臨床検査値異常であった。 ・axatilimabの投与中止につながる有害事象は、0.3mg群6%、1mg群22%、3mg群18%で発生した。  著者らは「axatilimabによりCSF1R依存性の単球およびマクロファージをターゲットとすることで、再発または難治性の慢性GVHD患者における奏効率を高めることが可能であった」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Wolff D, et al. N Engl J Med. 2024; 391: 1002-1014.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39292927 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
最新データレビューに基づく大細胞型B細胞リンパ腫に対する二重特異性抗体の有用性
最新データレビューに基づく大細胞型B細胞リンパ腫に対する二重特異性抗体の有用性
公開日:2024年9月18日 Bayly-McCredie E, et al. Int J Mol Sci. 2024; 25: 9736.  二重特異性抗体は、大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)の治療において、新たな治療法として期待されている。二重特異性抗体の有効性および安全性に関する現在の研究では、より広範な非ホジキンリンパ腫に焦点が当てられており、成人LBCL患者における研究結果については、依然として不明な点が残っている。オーストラリア・Epworth HealthCareのElena Bayly-McCredie氏らは、成人LBCL患者における二重特異性抗体の有効性および安全性の結果を評価するため、システマティックレビューを実施した。International Journal of Molecular Sciences誌2024年9月9日号の報告。  2024年4月10日までに公表された介入臨床試験の研究を、PubMed、EMBASE、CENTRALよりシステマティックに検索した。観察研究、レビュー、メタ解析は、対象研究より除外した。 主な結果は以下のとおり。 ・RoBANS2によるバイアスリスクでは、対象研究の安全性評価の質は概ね高かったが、有効性評価の質にはばらつきが認められた。 ・対象研究の異質性を考慮し、narrative synthesisで結果を検討した。 ・最終分析には、早期フェーズの研究19件(プールされたサンプルサイズ:1,332例)を含めた。 ・全体では、9つの二重特異性抗体において単剤療法(9件)または併用療法(10件)にて研究が行われていた。 ・サイトカイン放出症候群の発生率は、多様であり、すべてのグレードにおけるイベントの範囲は、0〜72%であった。 ・感染症の報告は、すべての研究で一貫して高かった(範囲:38〜60%)。 ・血球減少が一般的に認められ、とくに貧血(範囲:4.4〜62%)、血小板減少(範囲:3.3〜69%)、好中球減少(範囲:4.4〜70%)が高率で認められた。 ・免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)およびグレード3以上の有害事象の報告は少なかった。 ・有効性の結果は良好であり、全奏効(OR)率中央値の範囲は、初発例で95〜100%、再発・難治例で36〜91%であった。 ・CAR-T細胞療法との比較においては、忍容性は優れているものの、有効性は劣っている可能性が示唆された。  著者らは「これらの結果は、成人LBCL患者に対する二重特異性抗体による治療は、有効であり、忍容性が良好であることを示唆している」とした上で「有効性および安全性に関する今後の研究において、有害事象発生のタイミングとマネジメント、患者QOLへの影響、医療システムへの負担、全生存期間(OS)の評価が明らかになることが望まれる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Bayly-McCredie E, et al. Int J Mol Sci. 2024; 25: 9736.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39273684 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
老化を遅らせる薬、メトホルミン!? 他4本≫ Journal Check Vol.117(2024年9月21日号)
老化を遅らせる薬、メトホルミン!? 他4本≫ Journal Check Vol.117(2024年9月21日号)
老化を遅らせる薬、メトホルミン!? これまでの研究で、糖尿病治療薬であるメトホルミンの抗老化作用が示唆されている。著者らは、霊長類におけるメトホルミンの老化防止効果を評価するために、成体の雄カニクイザルを対象に、40ヶ月にわたる介入研究を実施した。Cell誌オンライン版2024年9月9日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 「笑い体操」がドライアイの処方箋!? ドライアイ患者における「笑い体操」の有効性と安全性を評価するために、参加者を1日4回、8週間の「笑い体操」群と対照群(0.1%ヒアルロン酸ナトリウム点眼液)に無作為に割り付け、非劣性ランダム化比較試験を行った。BMJ誌2024年9月11日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む コーヒーは本当に万能? 適度なコーヒー摂取は、健康寿命の延長や長寿に寄与する可能性があるとされている。しかし、コーヒー摂取とがんリスクとの関連は依然として議論が続いている。著者らは、コーヒー摂取が、がん全般および特定のがんに与える影響についてレビューを実施した。GeroScience誌オンライン版2024年9月13日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 運動は、強度か量か? 身体活動の量、強度、持続時間、細分化が、全死因死亡および心血管疾患死亡リスクとどのように関連しているかを調べるために、2011~2014年のNHANESに基づく研究を実施した。European Journal of Preventive Cardiology誌オンライン版2024年9月14日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 庭いじりは、認知症患者に有効? 認知症高齢者のアウトカム改善における園芸療法の有効性を評価するために、RCTの系統的レビューとメタ解析を行った。Journal of Clinical Nursing誌オンライン版2024年9月14日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ Journal Check Vol.116(2024年9月12日号) ご褒美デーが逆効果!?“交互高脂肪食”に潜む動脈硬化のリスク 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.115(2024年9月05日号) 三大栄養素のうち、最も”質”を重視すべきはどれか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.114(2024年8月29日号) カフェインレスのコーヒーでも利点を享受できるか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.113(2024年8月22日号) 急激な老化のタイミングは、〇歳と〇歳!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.112(2024年8月17日号) 1日1個のアボカドを半年食べ続けると…? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.111(2024年8月08日号) 〇gの野菜・果物摂取が、超加工食品の悪影響を打ち消す!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.110(2024年8月01日号) 男女別 最も効果的な筋トレ方法は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.109(2024年7月25日号) 10-20-30トレーニングは万人受けする? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.108(2024年7月18日号) バター vs 植物油 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.107(2024年7月11日号) コーヒーの健康効果はどこまで明らかになったか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.106(2024年7月4日号) CVDハイリスク患者の降圧目標:140mmHg vs 120mmHg 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.105(2024年6月27日号) 超加工食品の摂取で筋肉量が減少!? 他4本
アレムツズマブ前処置後HSCT、レテルモビルCMV予防の有用性は
アレムツズマブ前処置後HSCT、レテルモビルCMV予防の有用性は
公開日:2024年9月17日 Muhsen IN, et al. Transplant Cell Ther. 2024 Sep 12. [Epub ahead of print]  アレムツズマブは、生体内のT細胞を除去することで、同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)における移植片対宿主病(GVHD)リスクを低下させる。しかし、アレムツズマブ投与は、allo-HSCT後のサイトメガロウイルス(CMV)を含む感染症リスクを上昇させる。allo-HSCT後のCMV予防には、レテルモビルが承認されているが、アレムツズマブ投与患者におけるレテルモビルの有効性を調査した研究は、これまでほとんどなかった。米国・ベイラー医科大学のIbrahim N. Muhsen氏らは、アレムツズマブ前処置後HSCTを行った患者におけるレテルモビルのCMV予防効果を明らかにするため、単施設レトロスペクティブ研究を実施した。Transplantation and Cellular Therapy誌オンライン版2024年9月12日号の報告。  対象は、アレムツズマブ前処置後allo-HSCT受けたレシピエント84例。主要アウトカムは、移植後100日以内の重大なCMV感染(予防的抗ウイルス療法を要するウイルス血症またはCMV感染症と定義)の累積発生率とした。副次的アウトカムは、グレード2以上の急性GVHDの累積発生率、広範囲慢性GVHDの累積発生率、全生存期間(OS)とした。 主な結果は以下のとおり。 ・84例のうち、レテルモビルが投与された患者は30例(レテルモビル群)、投与されなかった患者は54例(対照群)。 ・平均年齢は、レテルモビル群59歳(範囲:26〜75)、対照群55.5歳(範囲:20〜73)。 ・非血縁ドナーからの移植は66.7%、骨髄性腫瘍による移植が最も多かった。 ・100日以内の重大なCMV感染の累積発症率は、レテルモビル群10%(95%CI:2.5〜23.9)、対照群55.6%(95%CI:41.2〜67.8)であり、レテルモビル群が有意に低かった(p<0.0001)。 ・グレード2以上の急性GVHDの累積発生率、OSは、両群間で差は認められなかった。 ・広範囲慢性GVHDの累積発生率については、レテルモビル群10.5%(95%CI:2.6〜24.9)、対照群36.5%(95%CI:23.6〜49.5)であり、レテルモビル群が有意に低かった(p=0.0126)。  著者らは「アレムツズマブ前処置後allo-HSCTにおけるレテルモビル投与は、重大なCMV感染の予防に有効であることが示された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Muhsen IN, et al. Transplant Cell Ther. 2024 Sep 12. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39277112 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
CAR-T細胞療法後の二次性腫瘍リスクはどの程度か〜メタ解析
CAR-T細胞療法後の二次性腫瘍リスクはどの程度か〜メタ解析
公開日:2024年9月13日 Tix T, et al. Clin Cancer Res. 2024 Sep 11. [Epub ahead of print]  CAR-T細胞療法は、血液悪性腫瘍患者に対する強力な免疫療法として用いられるが、二次性腫瘍などの長期的な有害事象が発生し、罹患率や死亡率に影響を及ぼす可能性がある。ドイツ・LMU KlinikumのTobias Tix氏らは、悪性リンパ腫および多発性骨髄腫におけるCAR-T細胞療法後の二次性腫瘍の頻度およびサブタイプを明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Clinical Cancer Research誌オンライン版2024年9月11日号の報告。  MEDLINE、Embase、CENTRAL(Cochrane)データベースより、該当文献を検索した。二次性腫瘍症例の抽出とその起源を特定後、ランダム効果モデルを用いて、二次性腫瘍ポイント推定値を分析した。 主な結果は以下のとおり。 ・臨床試験18件、リアルワールド研究7件より抽出された患者5,517例のうち、326件の二次性腫瘍が特定された。 ・フォローアップ期間中央値は、21.7ヵ月、全体的な二次性腫瘍ポイント推定値は5.8%(95%CI:4.7〜7.2)であった。 ・二次性腫瘍推定値は、試験設定(臨床試験>リアルワールド研究)、フォローアップ期間、過去の治療ライン数と関連が認められ、いずれも二次性腫瘍の独立した研究レベルのリスク因子であることが、メタ回帰モデルで確認された。 ・CAR-T細胞療法と標準治療でランダム化した4試験のサブグループメタ解析では、どちらの治療戦略も二次性腫瘍リスクは同程度あることが示唆された(p=0.92)。 ・二次性腫瘍のサブタイプ別では、血液悪性腫瘍(37%)が最も多く、次いで固形腫瘍(27%)、非悪性黒色腫の皮膚悪性腫瘍(16%)であった。 ・T細胞悪性腫瘍は、イベントのごく一部であった(1.5%)。 ・二次性腫瘍の分布には、疾患および製品固有の違いは認められなかった。  著者らは「CAR-T細胞療法による二次性腫瘍リスクは、標準治療と比較し、必ずしも高いわけではない」としながらも「本研究結果を、CAR-T細胞療法を行っている患者における長期有害事象としての二次性腫瘍の認識向上に役立てていただくことが望まれる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Tix T, et al. Clin Cancer Res. 2024 Sep 11. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39256908 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
骨髄増殖性腫瘍~知っておきたい希少疾患
骨髄増殖性腫瘍~知っておきたい希少疾患
 骨髄増殖性腫瘍とは、造血幹細胞において後天的遺伝子変異が生じることで、血液細胞が過剰に造られてしまう疾患の総称である。遺伝子変異の種類により、白血球、赤血球、血小板の増殖がみられ、この増殖タイプの違いにより、いくつかの疾患に分類される。今回は、骨髄増殖性腫瘍のうち、真性多血症、本態性血小板血症、原発性骨髄線維症について簡単に紹介する。 赤血球の増加がみられる「真性多血症」血栓症リスクに要注意  真性多血症は、とくに赤血球の増加を呈する疾患であり、90%以上の患者においてJAK2遺伝子変異が認められる。赤血球の増加により、赤ら顔、眼の結膜充血、入浴時の皮膚掻痒感、頭痛、めまい、疲労、倦怠感などの症状がみられる。真性多血症では、血栓症リスク(心筋梗塞、脳梗塞、下肢静脈血栓症、肺塞栓など)が上昇するため、血栓症予防が治療の目標となる。真性多血症は血栓症リスクに応じて、低リスク群と高リスク群に分類される。低リスク群では、高血圧や脂質異常症などの血栓症リスク因子の治療を行った上で、瀉血療法+低用量アスピリン療法を実施し、高リスク群では、これらに加え、細胞減少療法やインターフェロンアルファなどによる治療が行われる。 血小板が増加する「本態性血小板血症」出血傾向にも注意が必要  血小板の増加を主体とする本態性血小板血症は、疾患進行に伴い、血栓傾向や出血傾向がみられる。脳梗塞などの血栓症発症後に診断されるケースだけでなく、無症状の場合が多いため、健康診断などで指摘されて診断に至るケースも少なくない。本態性血小板血症は、直ちに生命予後に影響を及ぼす疾患ではないが、血栓症や出血症状の合併率が高いために、適切な予防を行うことが治療の目的となる。低リスク群では、経過観察が原則となるが、必要に応じて抗血小板薬の使用を検討し、高リスク群では、細胞減少療法が用いられる。 リスクに応じて造血幹細胞移植も検討される「原発性骨髄線維症」  骨髄線維症は、骨髄中の線維(細網線維またはコラーゲン線維)が増加した状態であり、骨髄増殖性腫瘍以外にも悪性リンパ腫などの血液疾患、自己免疫疾患、感染症などと合併することが少なくない。原発性骨髄線維症は、前述のような合併症が否定され、骨髄増殖性腫瘍であると判断された場合に診断される。また、真性多血症や本態性血小板血症患者で、骨髄中の線維増加が認められた場合には、二次性骨髄線維症と診断される。原発性骨髄線維症と二次性骨髄線維症は、骨髄での線維化に加えて、骨髄以外の臓器(脾臓、肝臓など)で造血が起こることもある。主な症状は、倦怠感、掻痒感、寝汗、体重減少などであり、高頻度で貧血を合併する。原発性骨髄線維症は、真性多血症や本態性血小板血症よりも生命予後リスクが不良であるため、疾患のリスク分類を行い、適切な治療を選択する必要がある。現時点で、骨髄線維症に対する根治療法は、造血幹細胞移植が唯一の治療法であり、予後リスクに応じて検討される。 血液検査結果について専門医へ相談できるオンラインサービス「血ミル」開始  毎年9月の第2木曜日は、日本骨髄増殖性腫瘍の日(Japan MPN Day)です。日本では、骨髄増殖性腫瘍患者・家族会(MPN-JAPAN)により2016年に制定された。これに合わせて、2024年9月12日(木)、エクスメディオでは、骨髄増殖性腫瘍の早期発見を目指し、血液検査値の異常や検査結果について経験豊富な専門医へ相談できるオンラインコンサルトサービス「血ミル」を開始した。検査画像や主要な検査結果、相談内容を入力いただくと、血液内科専門医より回答が届くサービスである。専門医への紹介や患者さんへの説明などに迷った際に、ぜひご利用いただきたい。 血液検査値コンサルト 「血ミル」はこちらから ▶ https://hpcr.jp/v/consult/form/chimiru (エクスメディオ 鷹野 敦夫) ヒポクラ × マイナビ無料会員登録はこちら▶https://www.marketing.hpcr.jp/hpcr
初発Ph陽性ALLの第1選択治療、ポナチニブ vs. イマチニブ/JAMA
初発Ph陽性ALLの第1選択治療、ポナチニブ vs. イマチニブ/JAMA
公開日:2024年9月12日 Jabbour E, et al. JAMA. 2024;331:1814-1823.  初発フィラデルフィア染色体(Ph)陽性の急性リンパ性白血病(ALL)では、第1世代または第2世代のBCR-ABL1チロシンキナーゼ阻害薬に対する耐性獲得による病勢進行が一般的であるが、ポナチニブはBCR-ABL1およびT315Iを含むすべての単一変異体を阻害する第3世代のチロシンキナーゼ阻害薬である。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのElias Jabbour氏らは、初発Ph陽性ALL成人患者にに対する第1選択薬であるポナチニブとイマチニブとの比較を行った。JAMA誌2024年6月4日号の報告。  本試験は、18歳以上のPh陽性ALL成人患者を対象に実施した第III相国際共同ランダム化非盲検比較試験「PhALLCON試験」である。2019年1月〜2022年5月に77施設で登録されたPh陽性ALL患者は、ポナチニブ群(1日1回30mg)またはイマチニブ群(1日1回600mg)に2:1でランダムに割り付けられた。両群ともに、強度減弱化学療法と併用投与を行い、20サイクル終了後、それぞれ単剤投与を継続した。有効性の減弱、許容不能な毒性発現、造血幹細胞移植(HSCT)の開始まで継続投与を行った。ポナチニブ群では、導入療法終了後、微小残存病変(MRD)陰性完全寛解(CR)が得られた時点で15mgに減量し、MRD陰性が消失した場合は30mgに漸増した。なお、3サイクル終了時にMRD陰性CRが得られなかった患者は、試験治療を中止した。主要エンドポイントは、寛解導入(3サイクル)終了時のMRD陰性CR(BCR-ABL1≦0.01%[MR4])かつCRが4週以上維持とした。主な副次的エンドポイントは、無イベント生存期間(EFS)とした。2022年8月12日までのフォローアップ調査のデータに基づき、分析を行なった。 主な結果は以下のとおり。 ・ランダム化された245例(年齢中央値:54歳、女性:133例[54.3%])のうち、中央検査にてp190/p210が確認された232例(ポナチニブ群154例、イマチニブ群78例)を主要エンドポイントの解析対象に含めた。 ・フォローアップ期間中央値20.1ヵ月において、主要エンドポイントであるMRD陰性CR率は、ポナチニブ群34.4%(53/154例)、イマチニブ群16.7%(13/78例)であり、ポナチニブ群が有意に高かった(リスク差:0.18、95%CI:0.06~0.29、p=0.002)。 ・EFSは、事前に規定されたイベント数に達しておらず、EFS中央値はポナチニブ群未達、イマチニブ群29.0ヵ月であった。 ・有害事象の発現率は、同程度であった。グレード3〜4の治療下における有害事象(TEAE)は、ポナチニブ群85.3%、イマチニブ群87.7%であり、治療関連有害事象(TRAE)はポナチニブ群65.6%、イマチニブ群59.3%であった。閉塞性動脈イベントの発現は稀であり、ポナチニブ群2.5%、イマチニブ群1.2%であった。  著者らは「初発Ph陽性ALL成人患者において、ポナチニブは、イマチニブと比較し、導入療法終了時のMRD陰性CR率が有意に高いことが示唆された。安全性プロファイルについては、両群間で同等であった」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Jabbour E, et al. JAMA. 2024;331:1814-1823.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38722621 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
ご褒美デーが逆効果!?“交互高脂肪食”に潜む動脈硬化のリスク 他4本≫ Journal Check Vol.116(2024年9月12日号)
ご褒美デーが逆効果!?“交互高脂肪食”に潜む動脈硬化のリスク 他4本≫ Journal Check Vol.116(2024年9月12日号)
ご褒美デーが逆効果!?“交互高脂肪食”に潜む動脈硬化のリスク 高コレステロール血症による全身免疫応答は、アテローム性動脈硬化の進行に寄与する。個人の食習慣は変化することが多く、高脂肪食を交互に摂取することがアテローム性動脈硬化に及ぼす影響は不明である。著者らは、マウスを用いて、交互に、または連続して高脂肪食を摂取した場合の動脈硬化促進作用を比較した。Nature誌オンライン版2024年9月4日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む メンデルランダム化解析には要注意!? メンデルランダム化(MR)は因果推論の強力な疫学的手法だが、近年のMRの人気急上昇により2つの懸念が生じている。著者らは、これらの懸念とその対処法について論じた。Lipids in Health and Disease誌2024年9月7日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 高齢女性の〇人に1人は貧血? 高齢女性患者における貧血とADL[基本的日常生活動作(BADL)および、手段的日常生活動作(IADL)]との関連を調査するため、横断研究を行った。BMC Geriatrics誌2024年9月7日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 運動 vs メトホルミン 血糖への影響 血糖コントロール不良者における、運動、メトホルミン、およびそれらの併用療法が糖代謝に及ぼす効果を比較するために、RCTの系統的レビューおよびネットワークメタ解析を行った。British Journal of Sports Medicine誌オンライン版2024年9月6日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 高地トレーニングの代わりに、CO補給!? 高地トレーニングは、海抜2300~2500メートルで最適な効果が観察されるが、アクセス困難や施設不足、費用が課題となる。最近、一酸化炭素を毎日吸入することで、最適高度以下でも高地トレーニング効果が得られるという新しい方法が提案された。著者らは、31名の男性サイクリストを3つのグループに分けて検証した。Journal of Applied Physiology誌オンライン版2024年9月5日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ Journal Check Vol.115(2024年9月05日号) 三大栄養素のうち、最も”質”を重視すべきはどれか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.114(2024年8月29日号) カフェインレスのコーヒーでも利点を享受できるか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.113(2024年8月22日号) 急激な老化のタイミングは、〇歳と〇歳!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.112(2024年8月17日号) 1日1個のアボカドを半年食べ続けると…? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.111(2024年8月08日号) 〇gの野菜・果物摂取が、超加工食品の悪影響を打ち消す!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.110(2024年8月01日号) 男女別 最も効果的な筋トレ方法は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.109(2024年7月25日号) 10-20-30トレーニングは万人受けする? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.108(2024年7月18日号) バター vs 植物油 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.107(2024年7月11日号) コーヒーの健康効果はどこまで明らかになったか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.106(2024年7月4日号) CVDハイリスク患者の降圧目標:140mmHg vs 120mmHg 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.105(2024年6月27日号) 超加工食品の摂取で筋肉量が減少!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.104(2024年6月20日号) 中高年に最適な睡眠パターンは? 他4本
難治性免疫原性TTPに対してダラツムマブは治療選択肢となりうるか
難治性免疫原性TTPに対してダラツムマブは治療選択肢となりうるか
公開日:2024年9月11日 Weisinger J, et al. Br J Haematol. 2024 Sep 4. [Epub ahead of print]  リツキシマブ付耐または不応性の免疫原性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)患者に対する免疫抑制療法は、依然として議論の的となっている。抗CD38モノクローナル抗体ダラツムマブは、治療選択肢の1つとなりうる可能性が示唆されているが、そのデータは十分ではない。フランス・ソルボンヌ大学のJulia Weisinger氏らは、フランス国内でダラツムマブ治療を行った免疫原性TTP患者について調査を行うため、French Thrombotic Microangiopathies Reference Centerにおいて全国調査を実施した。British Journal of Haematology誌オンライン版2024年9月4日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・免疫原性TTP患者7例より、9つのエピソードが特定された。 ・臨床的奏効がみられADAMTS13再発を呈したケースが8件、リツキシマブ不耐後の急性期ケース1件であった。 ・平均3ライン以上の治療歴が認められた。 ・ダラツムマブ治療後、ADAMTS13活性は8例で改善がみられ、そのうち3例は正常化した。 ・ADAMTS13再発は3例で認められ、そのうち2例はダラツムマブによる再治療で改善した。 ・ADAMTS13無再発生存期間中央値は未達、12ヵ月のADAMTS13無再発生存率は56%であった。 ・ダラツムマブ関連有害事象は5例で発生し、重篤でない注入関連反応が全例で認められた。  著者らは「本結果より、ダラツムマブは、リツキシマブ不耐または難治性の免疫原性TTP患者に対する有効な治療選択肢となりうる可能性が示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Weisinger J, et al. Br J Haematol. 2024 Sep 4. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39228246 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
オビヌツズマブはリツキシマブよりCOVID-19重症化リスクが本当に高いのか〜アジア人対象研究
オビヌツズマブはリツキシマブよりCOVID-19重症化リスクが本当に高いのか〜アジア人対象研究
公開日:2024年9月10日 Shu W, et al. Virol J. 2024; 21: 212.  抗CD20モノクローナル抗体で治療を行った患者では、COVID-19による有害アウトカムリスクが上昇する可能性がある。新規抗CD20モノクローナル抗体であるオビヌツズマブは、リツキシマブと比較し、B細胞減少効果が高く、in vitroでの優れた有効性が示されている。中国・Ningbo Medical Center Li Huili HospitalのWenxiu Shu氏らは、オビヌツズマブがリツキシマブよりもCOVID-19によるアウトカムを悪化させるかを評価するため、レトロスペクティブ単施設コホート研究を実施した。Virology Journal誌2024年9月9日号の報告。  対象は、2022年にNingbo Medical Center Li Huili Hospital に入院し、抗CD20モノクローナル抗体による治療を行ったB細胞リンパ腫患者124例(リツキシマブ群:106例、オビヌツズマブ群:18例)。COVID-19による有害アウトカムを、両群間で比較した。 主な結果は以下のとおり。 ・リツキシマブ群の86.8%はアグレッシブリンパ腫であったのに対し、オビヌツズマブ群の多くはインドレントリンパ腫であった。 ・リツキシマブ群の57.5%、オビヌツズマブ群の88.9%は、COVID-19波の3ヵ月以内に抗CD20モノクローナル抗体治療が行われており、オビヌツズマブ群ではリツキシマブ群よりもベンダムスチンを投与した患者の割合が高かった(22.2% vs. 4.7%、p=0.031)。 ・COVID-19による主な有害アウトカムの比較は次のとおりであり、オビヌツズマブ群はリツキシマブ群よりも高リスクであったが、COVID-19関連死亡率に有意な差は認められなかった。 【入院した患者の割合】55.6% vs. 20.8%(p=0.005) 【SARS-CoV-2の長期感染した患者の割合】38.9% vs. 2.9%(p<0.001) 【重度のCOVID-19を発症した患者の割合】33.3% vs. 4.7%(p<0.001) ・ベンダムスチンの影響を排除するため、ベンダムスチンを使用しなかった患者を対象としたサブグループ解析においても、依然としてオビヌツズマブ群(14例)はリツキシマブ群(101例)よりも高リスクであった。 【入院した患者の割合】50.0% vs. 19.8%(p=0.031) 【SARS-CoV-2の長期感染した患者の割合】28.6% vs. 2.0%(p=0.002) 【重度のCOVID-19を発症した患者の割合】21.4% vs. 4.0%(p=0.038) ・多変量解析の結果では、オビヌツズマブ治療は、SARS-CoV-2感染の長期化(OR:27.05、95%CI:3.75〜195.22、p=0.001)、重症COVID-19の発生率上昇(OR:15.07、95%CI:2.58〜91.72、p=0.003)との関連が示唆された。  著者らは「オビヌツズマブ群は、リツキシマブ群よりもSARS-CoV-2感染の長期化および重症COVID-19のリスクが高いことが示唆された。本研究は、アジア人集団におけるオビヌツズマブとリツキシマブを投与された患者のCOVID-19のアウトカムを比較した最初の研究である」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Shu W, et al. Virol J. 2024; 21: 212.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39252096 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら