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再発・難治性AMLに対するCD33標的CAR-NK細胞療法の可能性〜前臨床/第I相試験
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再発・難治性AMLに対するCD33標的CAR-NK細胞療法の可能性〜前臨床/第I相試験

公開日:2025年1月16日 Huang R, et al. Exp Hematol Oncol. 2025; 14: 1.  再発・難治性急性骨髄性白血病(AML)は、効果的な治療法が不十分なため、依然として予後が不良である。CAR-T細胞療法は、急性リンパ性白血病(ALL)および悪性リンパ腫に対して有効性が示されているが、再発・難治性AMLに対しては、オフターゲット効果による重度の骨髄抑制が懸念されるため制限されている。一方、CAR-NK細胞は、抗腫瘍効果が期待できるだけでなく、安全性および普遍性の向上も認められている。中国・陸軍軍医大学のRuihao Huang氏らは、CD33およびモディファイしたNK細胞を標的とし、造血幹細胞への重度の副作用を軽減した上で、AML細胞を特異的に排除する新たなCAR構造を開発した。Experimental Hematology & Oncology誌2025年1月2日号の報告。  CD33標的ドメインは、CAR-T細胞により選択し、その後CAR産物はレトロウイルスベクターを介して臍帯血由来のNK細胞に導入した。前臨床における有効性および安全性の研究は、in vitroおよびin vivoの両方で実施した。対象は、前処置レジメン後、抗CD33 CAR-NK細胞の注入を1回以上実施した18〜65歳の再発・難治性AML患者10例。CAR-NK細胞注入後の奏効率、治療関連副作用および長期的な有効性を評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・CD33配列は、in vitroおよびin vivoの両方で実施し、CAR-T細胞研究における抗腫瘍効果と安全性に基づき選択した。 ・CD33 CAR-NK細胞は、CD33 CAR-T細胞と同等の有効性を示したが、造血幹細胞に対する毒性は限定的であった。 ・平均5回の治療歴を有する患者10例は、有効性評価を完了した(範囲:3〜8)。 ・骨髄抑制を除き、グレードIII〜IVの有害事象は認められなかった。また、骨髄抑制は、1ヵ月に軽減が認められた。 ・CAR-NK細胞注入後、免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)または移植片対宿主病(GVHD)は認められなかった。 ・1例でグレードIIのサイトカイン放出症候群(CRS)がみられ、持続帝な発熱を呈した。 ・28日までに、10例中6例において、微小残存病変(MRD)陰性の完全寛解(CR)を達成した。  著者らは「再発・難治性AMLに対するCD33 CAR-NK細胞療法の、主要な有効性および安全性が確認された。さらに有効性に関するデータを収集するため、今後は、サンプル数の拡大およびフォローアップ期間の延長が求められる」としている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Huang R, et al. Exp Hematol Oncol. 2025; 14: 1.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39748428 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
コーヒーはいつ飲むのがベストか? 他4本≫ Journal Check Vol.132(2025年01月18日号)
コーヒーはいつ飲むのがベストか? 他4本≫ Journal Check Vol.132(2025年01月18日号)
コーヒーはいつ飲むのがベストか? コーヒーの飲用タイミングと死亡リスクとの関連性は、これまで十分に解明されていない。著者らは、コーヒーを飲む時間帯のパターンを特定し、全死因死亡率および原因別死亡率との関連を評価するため、米国の成人を対象に観察研究を行った。European Heart Journal誌オンライン版2025年1月8日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 「運動すれば大丈夫」は本当…?高脂肪食 × 運動のリスク 運動は食事による肥満予防の重要な手段として知られているが、高脂肪・高カロリー食(HFCD)による心機能障害に対する効果は明らかではない。著者らは、HFCDを摂取したマウスに3つの異なる強度の運動を課し、全身および心臓への影響を調査した。Nature Communications誌2025年1月12日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 結局、牛乳は大腸がんを増やすか、予防するか? 大腸がんの発症における食事の役割には依然として不確実性が残っている。著者らは、54万2,778人の英国の女性を対象に97種類の食事因子と大腸がんリスクとの関連を調査し、特に牛乳やカルシウムを含む乳製品の摂取がどのように影響するのかを評価した。Nature Communications誌2025年1月8日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 植物性タンパク質で、筋肉量は維持できるか? 従来、筋肉量と機能の維持には動物性タンパク質が最適な供給源と考えられてきたが、近年の研究では、植物性タンパク質でも特定の条件下で同様の効果が得られる可能性が示されている。著者らは、植物性タンパク質の質、消化率、必須アミノ酸のプロファイルを評価し、サルコペニアの予防と管理における可能性をレビューした。Current Nutrition Reports誌2025年1月11日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 高血圧患者に推奨すべき目標歩数は? ウォーキングを含む運動の健康効果は広く知られているが、高血圧患者における1日の歩数と死亡率との関連は十分に検討されていない。著者らは、米国の高血圧患者を対象に、加速度計で測定された1日の歩数と全死因および心血管死亡率との関連を評価し、最適な目標歩数を示した。BMC Public Health誌2025年1月11日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ Journal Check Vol.131(2025年01月11日号) 結局、アジア人にとって乳製品はCVDリスクを減らすのか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.130(2024年12月21日号) 月1回未満の性行為は、うつ病リスクを高める!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.129(2024年12月14日号) 寒さによる"震え”は、1日〇時間でダイエット効果あり!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.128(2024年12月07日号) 筋トレに最適な時間帯は、午前?午後? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.127(2024年11月30日号) コーヒーと筋肉量の関係:性別・年代別の最適なコーヒー摂取量は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.126(2024年11月23日号) この1時間の追加歩行で、寿命は何時間延長する? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.125(2024年11月16日号) カロリー制限で痩せるのは女性だけ!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.124(2024年11月09日号) 睡眠スコア改善で、生物学的年齢は何年若返る? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.123(2024年11月02日号) アルコール摂取で寿命は何年縮むのか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.122(2024年10月26日号) 運動するベストな時間帯は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.121(2024年10月19日号) 長寿も結局は遺伝なのか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.120(2024年10月12日号) 老化を遅らせるために、必要な運動量は? 他4本
高腫瘍量初発FLに対するオビヌツズマブ+BEN、日本の実臨床における有用性は
高腫瘍量初発FLに対するオビヌツズマブ+BEN、日本の実臨床における有用性は
公開日:2025年1月15日 Nagata H, et al. Int J Clin Oncol. 2025 Jan 7. [Epub ahead of print]  高腫瘍量の初発濾胞性リンパ腫(FL)では、20年以上にわたりR-CHOP療法が標準治療の中心となっていた。日本では、オビヌツズマブ+ベンダムスチン(BEN)併用療法が2018年に承認され、現在では標準治療の1つとなっている。しかし、日常臨床におけるオビヌツズマブ+BENの長期的な有効性および安全性は、これまで十分に評価されていなかった。京都府立医科大学の長田 浩明氏らは、京都血液臨床研究グループ(KOTOSG)において、高腫瘍量初発FLに対するオビヌツズマブ+BENの実臨床アウトカムを評価するため、多施設共同レトロスペクティブ研究を実施した。International Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2025年1月7日号の報告。  対象は、KOTOSGにおいて2018〜21年にオビヌツズマブ+BENに1stライン治療を行った高腫瘍量の初発FL患者53例。すべての患者に、2年以上のフォローアップ期間を設けた。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者の年齢中央値は67歳。 ・濾胞性リンパ腫国際予後指標(FLIPI)に基づく分類では、60.4%が高リスク群に分類された。 ・オビヌツズマブ+BEN導入療法後の全奏効率(OR)は98%、完全奏効率(CR)は83%。 ・フォローアップ期間中央値は38.5ヵ月、3年無増悪生存期間(PFS)は77.3%、3年全生存率(OS)は91.2%。 ・グレードIII〜IVの血液学的有害事象(AE)は一般的であり、好中球減少(58.5%)、リンパ球減少(98.1%)が含まれた。 ・非血液学的AEは、肺感染症、新型コロナウイルス感染症、敗血症などの感染症が含まれ、そのうち2例(3.8%)は死亡した。 ・傾向スコアマッチング解析では、2001〜19年にKOTOSGにおいてオビヌツズマブ+BEN治療を行った患者46例とR-CHOP療法を行った患者46例におけるPFSに、有意な差は認められなかった。  著者らは「高齢患者が対象となる実臨床においては、患者の背景や病状に基づき慎重な治療選択が求められることが浮き彫りとなった」とまとめている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Nagata H, et al. Int J Clin Oncol. 2025 Jan 7. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39776016 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性CLLに最も有効なレジメンとは〜ネットワークメタ解析
再発・難治性CLLに最も有効なレジメンとは〜ネットワークメタ解析
公開日:2025年1月14日 Kim J, et al. Blood Res. 2025; 60: 1.  再発・難治性慢性リンパ性白血病(CLL)に対する治療の相対的な有効性を評価するため、韓国・仁荷大学のJinchul Kim氏らは、とくに17p欠失もしくはTP53変異を有する患者に焦点を当て、ネットワークメタ解析を実施した。Blood Research誌2025年1月2日号の報告。  2023年12月までに公表されたすべてのランダム化比較試験(RCT)をPubMed、EMBASE、Cochraneデータベースおよび会議録をシステマティックに検索し、文献レビューを実施した。ベイジアンネットワークメタ解析を実施し、無増悪生存期間(PFS)のハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を推定した。含まれた治療レジメンのランク付けを行った。 主な結果は以下のとおり。 ・メタ解析には、13の治療レジメンを対象とした12件の試験(4,437例)を含めた。 ・全体として、再発・難治性CLLに対して最も効果的な治療レジメンは、ベネトクラクス+リツキシマブおよびザヌブルチニブであり、PFSのHRはイブルチニブと比較し最も低く、含まれたすべてのレジメンの中で最上位(SUCRA値:90%未満)にランク付けされた。 【ベネトクラクス+リツキシマブ】PFSのHR:0.62(95%CI:0.32〜1.20) 【ザヌブルチニブ】PFSのHR:0.65(95%CI:0.49〜0.86) ・17p欠失もしくはTP53変異を有する患者では、ザヌブルチニブが最も良好な有効性を示し、SUCRA値も最も高かった(97%)。イブルチニブと比較したHRは0.52(95%CI:0.31〜0.88)。 ・17p欠失もしくはTP53変異のない患者では、ベネトクラクス+リツキシマブが最も効果的であり、SUCRA値は94%であった。イブルチニブと比較したHRは0.49(95%CI:0.26〜0.94)。  著者らは「本結果より、再発・難治性CLLに対するベネトクラクス+リツキシマブとザヌブルチニブの優れた有効性が示され、変異の有無に応じて両レジメンを使い分ける必要性が改めて確認された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Kim J, et al. Blood Res. 2025; 60: 1.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39747710 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
CAR-T細胞療法後の再発多発性骨髄腫に対する二重特異性抗体、その有効性は
CAR-T細胞療法後の再発多発性骨髄腫に対する二重特異性抗体、その有効性は
公開日:2025年1月10日 Merz M, et al. Blood Cancer J. 2024; 14: 214.  再発・難治性多発性骨髄腫(MM)に対するCAR-T細胞療法は、良好な治療アウトカムをもたらしたが、依然として多くの患者は最終的に再発する。BCMAを標的としたCAR-T細胞療法後の再発に対する救援療法に関しては、利用可能なデータが限られている。ドイツ・ライプツィヒ大学のMaximilian Merz氏らは、再発・難治性MM患者におけるCAR-T細胞療法後の再発アウトカムに対する救援療法の影響を分析した。Blood Cancer Journal誌2024年12月5日号の報告。  対象は、国際コホートに登録された再発・難治性MM患者139例(ide-cal:139例、cilta-cel:9例)。救援療法として、talquetamab(28例)、teclistamab(37例)、免疫調整薬(IMiDs)/プロテアソーム阻害薬/CD38モノクローナル抗体の併用(43例)、その他(31例)が選択された。 主な結果は以下のとおり。 ・CAR-T細胞療法後の再発までの期間中央値は5ヵ月であり、再発時に髄外病変が認められた患者(53%)のアウトカムは不良であった(p=0.005)。 ・救援療法後の全奏効率(OR)および完全奏効率(CR)は次のとおりであり、二重特異性抗体の方が良好な反応が認められた(p<0.001)。 【talquetamab】OR:79%、CR:39% 【teclistamab】OR:64%、CR:32% 【IMiDs/プロテアソーム阻害薬/CD38モノクローナル抗体の併用】OR:30%、CR:0% 【その他】OR:26%、CR:3% ・奏効期間および生存期間中央値は、二重特異性抗体により有意な改善が認められた(各々:p<0.001)。 ・二重特異性抗体は、早期再発および髄外病変に関連する予後不良を改善し、多変量解析においても生存率改善の独立した予測因子であることが示唆された。  著者らは「再発・難治性MMにおけるCAR-T細胞療法後の再発に対する二重特異性抗体による治療は、標準治療と比較し、有効であることが示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Merz M, et al. Blood Cancer J. 2024; 14: 214.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39632797 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性AMLの低強度移植前処置、FM140 vs.FBM110〜EBMTレジストリ研究
再発・難治性AMLの低強度移植前処置、FM140 vs.FBM110〜EBMTレジストリ研究
公開日:2025年1月9日 Duque-Afonso J, et al. Bone Marrow Transplant. 2024 Dec 19. [Epub ahead of print]  再発・難治性急性骨髄性白血病(AML)は、予後不良である。同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)は、救援療法として高頻度に用いられる。低強度移植前処置は、毒性を増加させることなく、白血病の負担軽減を目的に開発されたプロトコルである。ドイツ・フライブルク大学のJesus Duque-Afonso氏らは、再発・難治性AMLに対する2つの低強度移植前処置の比較を行った。Bone Marrow Transplantation誌オンライン版2024年12月19日号の報告。  対象は、欧州骨髄移植学会(EBMT)急性白血病ワーキングパーティレジストリより抽出したallo-HSCT前の再発・難治性AML成人患者293例。フルダラビン150mg/m2+メルファラン140mg/m2(FM140群)118例とフルダラビン150mg/m2+carmustine(BCNU)300〜400mg/m2+メルファラン110mg/m2(FBM110群)175例の比較を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・年齢(FM140群:59.5歳、FBM110群:65.1歳、p<0.001)、T細胞除去(TCD)による移植片対宿主病(GVHD)予防(FM140群:39%、FBM110群:75%、p<0.001)など、両群間でいくつかの違いが認められた。 ・FM140群とFBM100群との間で、全生存率(OS)、無増悪生存期間(PFS)、非再発死亡率、再発率に差は認められなかった。 【2年OS】FM140群:39.3%、FBM110群:45.7%(p=0.58) 【2年PFS】FM140群:36.1%、FBM110群:37.3%(p=0.69) 【2年非再発死亡率】FM140群:15.3%、FBM110群:25.7%(p=0.10) 【2年再発率】FM140群:48.6%、FBM110群:37.0%(p=0.70)  著者らは「年齢やGVHD予防に違いがあるにも関わらず、FBM110による移植前処置を行ったAML患者は、FM140と比較し、同様のアウトカムが示された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Duque-Afonso J, et al. Bone Marrow Transplant. 2024 Dec 19. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39702670 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
結局、アジア人にとって乳製品はCVDリスクを減らすのか? 他4本≫ Journal Check Vol.131(2025年01月11日号)
結局、アジア人にとって乳製品はCVDリスクを減らすのか? 他4本≫ Journal Check Vol.131(2025年01月11日号)
結局、アジア人にとって乳製品はCVDリスクを減らすのか? 心血管疾患(CVD)予防における乳製品の役割については、依然として明確ではない。本研究では、China Kadoorie BiobankとUK Biobankの大規模コホートデータを用いて、乳製品の摂取とCVD罹患との関連を調査し、最新の系統的レビューとメタアナリシスによる補完的な評価を行った。Nature Communications誌2025年1月6日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 要注意!薬の効き目を左右する緑茶カテキン 緑茶は健康効果が注目される一方で、薬剤の有効性や安全性に影響を及ぼす可能性がある。緑茶に豊富に含まれるポリフェノール化合物であるカテキンは、薬物の溶解度やトランスポーター、代謝酵素の活性に作用することが報告されている。著者らは、緑茶カテキンが臨床使用される薬剤の薬物動態に及ぼす影響について、関連する臨床研究をレビューした。Clinical Pharmacology and Therapeutics誌オンライン版2025年1月2日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 筋トレは、HFpEF患者にも有効か? 左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)において、持久力トレーニングが効果的とされているが、筋トレの有効性は十分に評価されていない。著者らは、HFpEF患者における、12か月間の持久力トレーニングと筋トレを組み合わせた運動療法の効果を検討するために、多施設無作為化試験を実施した。Nature Medicine誌オンライン版2025年1月2日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 「お米」で高血圧改善!? 腸内細菌叢の異常は高血圧の重要な危険因子であり、食品由来生理活性ペプチドの抗炎症・抗酸化活性は高血圧の改善において注目を集めている。著者らは、ライスペプチドと腸内細菌叢の異常、高血圧を結びつける調節機構を解明するための研究を実施した。Food & Function誌オンライン版2025年1月3日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む ナッツ摂取は本当に健康に良いのか? ナッツの摂取が心血管疾患(CVD)に及ぼす影響については、観察研究で一貫した結果が得られていない。著者らは、さまざまな種類のナッツ摂取とCVDとの因果関係を明らかにするために、2サンプルメンデルランダム化(MR)解析を実施した。また、この関係における心血管代謝因子の媒介効果を定量化するため、2段階MR解析も実施した。Scientific Reports誌2025年1月4日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ Journal Check Vol.130(2024年12月21日号) 月1回未満の性行為は、うつ病リスクを高める!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.129(2024年12月14日号) 寒さによる"震え”は、1日〇時間でダイエット効果あり!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.128(2024年12月07日号) 筋トレに最適な時間帯は、午前?午後? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.127(2024年11月30日号) コーヒーと筋肉量の関係:性別・年代別の最適なコーヒー摂取量は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.126(2024年11月23日号) この1時間の追加歩行で、寿命は何時間延長する? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.125(2024年11月16日号) カロリー制限で痩せるのは女性だけ!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.124(2024年11月09日号) 睡眠スコア改善で、生物学的年齢は何年若返る? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.123(2024年11月02日号) アルコール摂取で寿命は何年縮むのか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.122(2024年10月26日号) 運動するベストな時間帯は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.121(2024年10月19日号) 長寿も結局は遺伝なのか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.120(2024年10月12日号) 老化を遅らせるために、必要な運動量は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.119(2024年10月05日号) 運動前のカフェイン摂取は、何に効く? 他4本
ダブルエクスプレッサーPCNSLの鑑別に役立つMR画像の特徴は〜熊本大学
ダブルエクスプレッサーPCNSLの鑑別に役立つMR画像の特徴は〜熊本大学
公開日:2025年1月8日 Sasaki G, et al. Neuroradiology. 2024 Dec 19. [Epub ahead of print]  2016年のWHO分類においてMYCおよびBCL2タンパク質の過剰発現は、ダブルエクスプレッサーリンパ腫と定義されている。ダブルエクスプレッサー中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)患者は、そうでない患者よりも再発リスクが高く、予後不良であると報告されている。熊本大学の佐々木 剛氏らは、ダブルエクスプレッサーPCNSLの臨床的およびMR画像に特徴的な所見が認められるかを調査した。Neuroradiology誌オンライン版2024年12月19日号の報告。  対象は、ダブルエクスプレッサーPCNSL患者(DE-PCNSL群)16例および非ダブルエクスプレッサーPCNSL患者(非DE-PCNSL群)20例。DE-PCNSL群と非DE-PCNSL群における増強パターン、病変の見かけの拡散係数(ADC)、相対的脳血液量(rCBV)、漏出補正rCBV、K2値を比較した。ADCマップ上のROIの平均値(ADCmean)および最小値(ADCmin)を算出した。rCBV、漏出補正rCBV 、K2値のデータは、DSC法によるMR灌流画像より収集した。無増悪生存期間(PFS)の差の推定には、カプランマイヤー法を用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・DE-PCNSL群は、非DE-PCNSL群と比較し、女性の割合が高かった(12例[75%] vs.7例[35%]、p=0.02)。 ・rCBV(p=0.02)、漏出補正rCBV(p=0.03)は、非DE-PCNSL群と比較しDE-PCNSL群で有意に低かった。 ・増強パターン、ADCmean、ADCmin、K2値には、両群間で有意な差が認められなかった。 ・DE-PCNSL群は、非DE-PCNSL群よりもPFSが短い傾向であったが、有意な差は認められなかった。  結果を踏まえ、著者らは「PCNSL患者のダブルエクスプレッサーの鑑別には、rCBVおよび漏出補正rCBVが役立つ可能性が示唆された」としている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Sasaki G, et al. Neuroradiology. 2024 Dec 19. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39699645 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
痩せているのに代謝異常?!「脂肪萎縮症」の特徴を画像付き解説
痩せているのに代謝異常?!「脂肪萎縮症」の特徴を画像付き解説
ヒポクラでは脂肪萎縮症の無料オンラインコンサルトサービスを提供中です。 会員登録がお済みの方はこちらからご利用ください。会員登録がお済みでない方はこちらより、ご登録いただくことでコンサルトがご利用できます。 ■脂肪萎縮症とは脂肪萎縮症とは皮下脂肪や内臓脂肪などの脂肪組織が減少・消失する希少疾患である。これまでの調査では患者数は我が国で約100人と推定されているが、最近、従来の典型例に当てはまらない脂肪萎縮症の報告例が増えてきている1) 。未診断例がまだ多く存在すると考えられる。また、造血幹細胞移植後に脂肪萎縮症の発症が認められるケースも知られている。 ■指定難病および小児慢性特定疾病2015年、脂肪萎縮症は指定難病に選定され、小児慢性特定疾病にも指定されている。 ■脂肪萎縮症の主な分類と特徴脂肪萎縮症は、先天性/後天性、全身性/部分性の大きく4つに分類される。遺伝子変異による先天性と、自己免疫異常などによる後天性のものがあり、それぞれ摂取エネルギー量とは無関係に全身の脂肪組織が減少・消失する全身性と、四肢などの脂肪組織が減少・消失する部分性に分けられる (図1)。 図1 ■脂肪萎縮症の診断非肥満で重度のインスリン抵抗性、糖尿病、高トリグリセリド血症、脂肪肝などの糖脂質代謝異常が認められる患者では、脂肪萎縮症の可能性を考慮する必要がある。全身MRI T1強調画像検査と血中レプチン濃度の測定は、脂肪萎縮の診断補助手段として有用である1) 。血中レプチン検査は全身性脂肪萎縮症の診断補助を目的として、保険承認されており、血中レプチン濃度が男性で0.6ng/mL未満、女性で1.9ng/mL未満の場合、脂肪萎縮症が疑われる2) 。先天性病因による脂肪萎縮症の場合は、病因遺伝子の変異が検出されれば、診断が確定する。 ■脂肪萎縮症の身体的徴候 1) ・頭頸部:眼、頬、こめかみのくぼみ、頬骨弓の突出 ・上肢:静脈の怒張、骨格筋肥大 ・下肢:非静脈瘤性の静脈の怒張、骨格筋肥大 ・臀部:くぼみ、骨格筋肥大 ・体幹:静脈の怒張、骨格筋肥大 ■関連して見られる特徴的な所見・症状 1) ・食欲亢進 ・黒色表皮腫(腋窩部、項部、肘部等) ・肝腫大 ・多毛 ・性腺機能低下(希発月経、無月経、男性化等) ■脂肪萎縮症の臨床分類 「脂肪萎縮症の新規原因遺伝子の同定と脂肪細胞分化・増殖メカニズムの解明」課題番号26461333(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-26461333/) ■ここをチェック!~青谷 大介先生(名古屋市立大学大学院医学研究科 消化器・代謝内科学分野))からのコメント~全身性脂肪萎縮症は、全身の脂肪が消失しているとはいえ、一般的にイメージされる(げっそりした)「痩せ」とは異なり、全身の骨格筋が際立っているのが特徴です。また外来診療で重要なのは顔貌の視診です。頬の脂肪が無いことで頬骨が突っ張った感じになったり、話す時にほうれい線が目立って見えます。 部分性脂肪萎縮症は、脂肪分布のパターンによって異なります。とくに頭頸部の脂肪が保たれている場合、寧ろ脂肪過多で満月様顔貌のようにさえ見えるときがあります。右の写真の症例は、全身の脂肪の付きかたのアンバランスを見ます。 --> ■脂肪萎縮症の治療現時点では、脂肪萎縮に対する根本的治療法は確立されておらず、主に脂肪萎縮に起因する代謝異常症に対する治療に重点が置かれている。とりわけ近年、脂肪組織由来ホルモンであるレプチンを補充する治療法の有効性が明らかにされている。レプチンを補充することによって、脂肪萎縮症における糖脂質代謝異常や脂肪肝が改善することが分かっており、レプチン製剤は脂肪萎縮症に対する治療薬として既に薬事承認を得ている。レプチン補充治療により脂肪萎縮症患者さんの長期的な生命予後の延伸が期待されている。 脂肪萎縮症のコンサルトサービスヒポクラのコンサルトサービスは、24時間いつでも専門医にご相談ができるため、とても好評をいただいております。匿名かつ、専門医の先生と1対1でご相談できますので、少しでも気になる症状の患者さんがいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。 ご利用方法① https://hpcr.jp/v/consult/form/lipodystrophy へアクセス ② 患者情報、主な検査値を入力 ③ 回答医より返答(回答例)背景疾患から、●●合併の疑いがありますが、△△検査で確認済みでしょうか?あとは★★の疑いもありますので、××を確認してみてください。★★の疑いが認められるならば、内分泌の専門医に紹介してください。 今すぐコンサルトする※ご利用にはヒポクラへのご登録が必要です(無料) 引用:1) 日本内分泌学会雑誌 Vol. 94 Suppl. September 2018 2) 日本内分泌学会「全身性脂肪萎縮症診断における血中レプチン検査の運用指針」3) Brush M et al., J Clin Endocrinol Metab. 2024 May 17:dgae335. 文責:株式会社エクスメディオ監修:青谷 大介先生(名古屋市立大学大学院医学研究科 消化器・代謝内科学分野)
血液検査の結果より気を付けたい症例~巨赤芽球性貧血~
血液検査の結果より気を付けたい症例~巨赤芽球性貧血~
骨髄増殖性腫瘍の早期発見を目指し、血液検査値の異常や検査結果について経験豊富な専門医へ相談できるオンラインコンサルトサービス「血ミル」を開始しました。今回、「血ミル」回答医である照井先生に巨赤芽球性貧血について症例をもとに解説いただきました。 血液領域は、難しいと感じている先生は多いと思います。医師として採血をおこなわない先生はいないと思います。血算で異常な数値をみたときに焦ることがあるかもしれませんが、この血ミルでどのような場合に専門科に紹介するべきかわかることでしょう。 概念巨赤芽球性貧血(きょせきがきゅうせいひんけつ)は、血液中の赤血球が正常に形成されず、異常に大きな赤血球(巨赤芽球)が骨髄に出現する疾患です。この異常は、DNA合成の障害に起因し、細胞分裂が正常に進まないために発生します。その結果、赤血球の成熟が遅れ、機能不全や数の減少(貧血)が生じます。 原因主な原因は、ビタミンB12または葉酸の欠乏です。これらの栄養素はDNA合成において重要な役割を果たしており、不足すると赤血球の前駆細胞が正常に分裂できなくなります。具体的な原因は以下のように分類されます。 1.ビタミンB12欠乏  ・ 胃の萎縮性胃炎や自己免疫疾患による内因子不足(悪性貧血)  ・ 胃切除術後の内因子分泌低下  ・ 腸疾患(例:クローン病、回腸切除)による吸収不良  ・ 食事中のビタミンB12不足(主にベジタリアンやビーガンに多い) 2.葉酸欠乏  ・ 妊娠や慢性疾患による需要増加  ・ アルコール依存症による摂取不足  ・ セリアック病などの吸収障害  ・ 抗てんかん薬やメトトレキサートなどの薬剤による影響 診断方法診断は、臨床症状、血液検査を組み合わせて行います。ヘモグロビン濃度の低下とともにMCVが101以上の場合は疾患を疑い、ビタミンB12や葉酸を測定します。 1.臨床症状  ・ 貧血症状:疲労感、息切れ、めまい  ・ 神経症状(ビタミンB12欠乏の場合):手足のしびれ、歩行困難、記憶力低下  ・ 消化器症状:舌炎、口内炎 2.血液検査  ・ 血球計算:ヘモグロビン低値(12~18以下、男女含め)  ・ MCV(平均赤血球容積)≧101  ・ 血清ビタミンB12および葉酸濃度の測定 治療ビタミンB12や葉酸を補う服薬の治療を行います。貧血が改善されると正常な赤血球が産生されるため、鉄の不足がおこることがあります。治療中は鉄量に確認と、食事の改善も重要になります。 具体的な薬剤  ・ ビタミンB12:メチコバール  ・ 葉酸:フォリアミン 貧血は、赤血球に含まれるヘモグロビンの量が少なくなった状態です。つまり血算でHb値が正常値を下回っていることです。そのような患者さんはではめまいや立ちくらみ、頭痛などのさまざまな症状が現れるようになります。貧血(Hb低値)が見られた場合、赤血球恒数のうち重要なのがMCV(mean corpuscular volume; 平均赤血球容積)で、その値によって小球性貧血、正球性貧血、大球性貧血に分類することができます。大球性貧血の場合、巨赤芽球性貧血あるいは骨髄異形成症候群、網状赤血球増加などが考えられます。まずはビタミンB12と葉酸の検査をお勧めしますが、その上で専門医への紹介を検討していただければ幸いです。