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造血器悪性腫瘍に対するβ-ラクタマーゼ阻害剤配合抗生物質アビバクタム/セフタジジム投与、実臨床での有用性は
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造血器悪性腫瘍に対するβ-ラクタマーゼ阻害剤配合抗生物質アビバクタム/セフタジジム投与、実臨床での有用性は

公開日:2024年12月3日 Tumbarello M, et al. J Antimicrob Chemother. 2024 Nov 15. [Epub ahead of print]  多剤耐性グラム陰性菌感染症治療に対するβ-ラクタマーゼ阻害剤配合抗生物質アビバクタム/セフタジジムの臨床的影響を評価するため、イタリア・シエナ大学のMario Tumbarello氏らは、造血器悪性腫瘍患者の大規模コホートにおける多施設共同観察リアルワールド研究を実施した。The Journal of Antimicrobial Chemotherapy誌オンライン版2024年11月15日号の報告。  対象は、イタリアの17施設の血液病棟で感染症が疑われるまたは確定し、アビバクタム/セフタジジムを投与した造血器悪性腫瘍患者。主要エンドポイントは、感染症発症後30日間における全死亡率とした。副次的エンドポイントには、in vitroでのアビバクタム/セフタジジム耐性の発現、副作用、感染症の再発を含めた。 主な結果は以下のとおり。 ・登録された198例のうち、原因不明の発熱が認められた患者は66例、微生物学的に証明された感染症(MPI:microbiologically proven infection)は132例。 ・MPIの原因としては、腸内細菌目細菌(enterobacterales)が98件、そのうち75%はKPC産生菌であり、MPI の25%はカルバペネム耐性緑膿菌であった。 ・30日以内の死亡率は、全体で17.7%。 ・MPI患者の4例で感染症の再発が認められた。 ・感染症発症から30日以内に死亡した患者には、感染症発症時に脳血管疾患の既往、チャールソン併存疾患指数(CCI)4超、敗血症性ショックを呈し、不適切な初期抗生物質治療の傾向が認められた。 ・30日以内の死亡率は、感染症発症時の敗血症性ショックおよび不適切な初期抗生物質治療との独立した関連が示唆された。  著者らは「造血器悪性腫瘍治療におけるアビバクタム/セフタジジムに関するリアルワールドの有用性が示された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Tumbarello M, et al. J Antimicrob Chemother. 2024 Nov 15. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39545817 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
多発性骨髄腫の3rdライン以降でのCR率、CAR-T細胞療法 vs. 二重特異性抗体
多発性骨髄腫の3rdライン以降でのCR率、CAR-T細胞療法 vs. 二重特異性抗体
公開日:2024年12月2日 Liang X, et al. J Immunother Cancer. 2024; 12: e010064.  CAR-T細胞療法や二重特異性抗体の登場は、多発性骨髄腫(MM)の治療に大きな変革をもたらした。しかし、これら2つの治療アプローチの有効性および安全性を比較した研究は、不足している。中国・首都医科大学のXiaojie Liang氏らは、再発・難治性MMに対する3rdライン以降の介入におけるB細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするCAR-T細胞療法とBCMAとCD3を標的とする二重特異性抗体の有効性および安全性を評価するため、メタ解析を実施した。Journal for Immunotherapy of Cancer誌2024年11月17日号の報告。  2024年5月31日までに公表された研究をPubMed、Embase、Web of Science、Cochrane データベースより検索した。主要アウトカムは完全奏効(CR)、副次的アウトカムは全奏効(OR)率とした。ランダム効果モデルを用いて評価し、関連する共変量で調整したのち、メタ回帰分析を行なった。 主な結果は以下のとおり。 ・適格基準を満たした研究11件、1,269例をメタ解析に含めた。 ・CAR-T細胞療法は、二重特異性抗体と比較し、CR率、OR率ともに有意に高かった。 【CR率】CAR-T細胞療法:0.54(95%CI:0.42〜0.69)vs. 二重特異性抗体:0.35(95%CI:0.30〜0.41)、p<0.01 【OR率】CAR-T細胞療法:0.83(95%CI:0.76〜0.90)vs. 二重特異性抗体:0.65(95%CI:0.59〜0.71)、p<0.01 ・CAR-T細胞療法は、二重特異性抗体と比較し、とくにサイトカイン放出症候群(CRS)などの有害事象の発生率が、より高率であった。 【CRS発生率】CAR-T細胞療法:0.83(95%CI:0.70〜0.97)vs. 二重特異性抗体:0.59(95%CI:0.43〜0.74)、p<0.05 ・グレード3以上の重度のCRSの発生率は、CAR-T細胞療法で0.07(95%CI:0.03〜0.14)であったが、二重特異性抗体(0.01、95%CI:0.00〜0.02)ではほとんど認められなかった(p<0.01)。 ・好中球減少、貧血などの血液学的有害事象の発生率も、CAR-T細胞療法の方が多かった。 【グレード3以上の好中球減少発生率】CAR-T細胞療法:0.88(95%CI:0.81〜0.95)vs. 二重特異性抗体:0.48(95%CI:0.30〜0.67)、p<0.01 【グレード3以上の貧血発生率】CAR-T細胞療法:0.55(95%CI:0.47〜0.62)vs. 二重特異性抗体:0.34(95%CI:0.28〜0.40)、p<0.01 ・CAR-T細胞療法では製品間の有効性にも違いが認められ、シルタカブタゲン オートルユーセル(cilta-cel)は、イデカブタゲン ビクルユーセル(ide-cel)よりもCR率およびOR率が高く、より有効であった。 【CR率】cilta-cel:0.77(95%CI:0.71〜0.84)vs. ide-cel:0.37(95%CI:0.32〜0.41)、p<0.01 【OR率】cilta-cel:0.91(95%CI:0.83〜0.99)vs. ide-cel:0.73(95%CI:0.68〜0.77)、p<0.01  著者らは「MMに対するCAR-T細胞療法は、二重特異性抗体と比較し、重篤な有害事象の増加が認められるものの、CR率が優れていることが確認された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Liang X, et al. J Immunother Cancer. 2024; 12: e010064.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39551604 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
血流感染症に対する適切な抗生物質投与期間はどのくらいか/NEJM
血流感染症に対する適切な抗生物質投与期間はどのくらいか/NEJM
公開日:2024年11月29日 Daneman N, et al. N Engl J Med. 2024 Nov 20. [Epub ahead of print]  血流感染症は、罹患率が非常に高く、死亡リスクに大きな影響を及ぼす。より早期に適切な抗生物質治療を行うことは重要であるが、治療期間についてはよくわかっていない。カナダ・トロント大学のNick Daneman氏らは、血流感染症に対する適切な抗生物質投与期間を明らかにするため、7日間または14日間の抗生物質治療における多施設共同非劣性試験を実施した。NEJM誌オンライン版2024年11月20日号の報告。  集中治療室(ICU)患者を含む血流感染症入院患者を対象に、7日間または14日間の抗生物質治療群にランダムに割り付けた。抗生物質の選択、投与量、投与経路は、治療チームにより決定した。除外対象は、重度の免疫抑制、長期治療が必要な病巣、コンタミの可能性のある単一培養、黄色ブドウ球菌が検出された患者。主要アウトカムは、血流感染症診断後90日以内における、すべての原因による死亡とし、非劣性マージンは4%ポイントに設定した。 主な結果は以下のとおり。 ・7ヵ国74施設により3,608例が登録され、ITT分析に含めた。 ・対象患者は、抗生物質7日間投与群1,814例、14日間投与群1,794例にランダムに割り付けられた。 ・登録時点で、患者の55.0%はICU、45.0%は病棟に入院していた。 ・感染の発生率は、市中で75.4%、病棟で13.4%、ICUで11.2%。 ・菌血症の発生部位は、尿路(42.2%)、腹部(18.8%)、肺(13.0%)、血管カテーテル(6.3%)、皮膚または軟部組織(5.2%)であった。 ・90日までの死亡率は、7日間投与群で14.5%(261例)、14日間投与群で16.1%(286例)であり(群間差:−1.6%ポイント、95.7%信頼区間[CI]:−4.0〜0.8)、短期治療期間の非劣性が示された。 ・割り当て期間よりも抗生物質の長期投与が行われた患者の割合は、7日間投与群で23.1%、14日間投与群で10.7%。 ・プロトコル毎の解析でも、非劣性が示された(群間差:−2.0%ポイント、95%CI:−4.5〜0.6)。 ・これらの結果は、副次的臨床アウトカムおよび患者、病原体、症候群の特性により事前に定義されたサブグループ解析においても、概ね一貫していた。  著者らは「血流感染症入院患者に対する抗生物質治療は、その期間が7日間であっても、14日間治療に劣っていないことが示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Daneman N, et al. N Engl J Med. 2024 Nov 20. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39565030 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性DLBCLに対するglofitamab+GemOx療法 vs. R-GemOx療法/Lancet
再発・難治性DLBCLに対するglofitamab+GemOx療法 vs. R-GemOx療法/Lancet
公開日:2024年11月28日 Abramson JS, et al. Lancet. 2024; 404: 1940-1954.  CD20およびCD3を標的とする二重特異性抗体glofitamabは、2回以上の前治療歴を有する再発または難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対し、持続的な寛解をもたらすことが報告されている。しかし、第2選択治療として評価されたことは、これまでなかった。米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのJeremy S. Abramson氏らは、再発・難治性DLBCL患者を対象に、ゲムシタビン+オキサリプラチン(GemOx)療法にglofitamabを併用したglofitamab+GemOx療法群とリツキシマブを併用したR-GemOx療法群の有効性および安全性を評価した。Lancet誌2024年11月16日号の報告。  本第III相ランダム化非盲検試験であるSTARGLO試験は、アジア、オーストラリア、欧州、北米の13ヵ国62施設で実施された。1回以上の治療後、組織学的に再発または難治性のDLBCLと診断された移植不適格な18歳以上の患者を対象に、glofitamab+GemOx療法群またはR-GemOx療法群に2:1でランダムに割り付けた。治療ラインが1回または2回以上、再発例または難治例で層別化を行った。glofitamab+GemOx療法群は、ゲムシタビン1,000mg /m2+オキサリプラチン100mg/m2+glofitamab 30mg(段階的増量)を8サイクル行い、glofitamab単独療法を4サイクル追加した。R-GemOx療法群は、ゲムシタビン1,000mg /m2+オキサリプラチン100mg/m2+リツキシマブ375 mg/m2を8サイクル行った。治療反応ベースのすべてのエンドポイントを評価した独立審査委員会には、患者割り付けをマスクした。主要エンドポイントは、全生存期間(OS)。有効性解析は、ランダムに割り付けられたすべての患者を対象にITTに基づき実施した。主要解析(カットオフ:2023年3月29日)とすべての患者が治療を完了した後のアップデート解析(カットオフ:2024年2月16日)の結果を報告した。安全性解析には、治療を行なったすべての患者を含めた。 主な結果は以下のとおり。 ・2021年2月23日〜2023年3月14日に274例が登録され、glofitamab+GemOx療法群(183例)またはR-GemOx療法群(91例)にランダムに割り付けられた。 ・対象患者の内訳は、男性158例(58%)、女性116例(42%)、年齢中央値は68歳(IQR:58〜74)。 ・フォローアップ期間中央値11.3ヵ月(95%CI:9.6〜12.7)後の主要解析では、glofitamab+GemOx療法群は、R-GemOx療法群よりもOSの有意な改善が認められた(ハザード比[HR]:0.59、95%CI:0.40〜0.89、p=0.011)。 【glofitamab+GemOx療法群】中央値:推定不能(NE)、95%CI:13.8〜NE 【R-GemOx療法群】中央値:9.0ヵ月、95%CI:7.3〜14.4 ・フォローアップ期間中央値20.7ヵ月(95%CI:19.9〜23.3)後のアップデート解析では、glofitamab+GemOx療法群は、R-GemOx療法群よりも一貫してOSの有意な改善が認められた(HR:0.62、95%CI:0.43〜0.88)。 【glofitamab+GemOx療法群】中央値:25.5ヵ月、95%CI:18.3〜NE 【R-GemOx療法群】中央値:12.9ヵ月、95%CI:7.9〜18.5 ・安全性解析では、試験期間中に1つ以上の有害事象が認められた患者の割合は、glofitamab+GemOx療法群で100%(180例中180例)、R-GemOx療法群で96%(88例中84例)。 ・サイトカイン放出症候群(CRS)は、glofitamab+GemOx療法群の44%(172例中76例)で発生したが、多くは低グレードであった。 ・glofitamabまたはリツキシマブに関連する死亡例は、glofitamab+GemOx療法群で5例(3%)、R-GemOx療法群で1例(1%)にみられた。  著者らは「glofitamab+GemOx療法は、R-GemOx療法と比較し、OS改善に有意なベネフィットが認められた。本結果は、移植不適格な再発・難治性DLBCLの2ndライン以降でのglofitamab+GemOx療法の使用を裏付けるものである」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Abramson JS, et al. Lancet. 2024; 404: 1940-1954.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39550172 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
コーヒーと筋肉量の関係:性別・年代別の最適なコーヒー摂取量は? 他4本≫ Journal Check Vol.127(2024年11月30日号)
コーヒーと筋肉量の関係:性別・年代別の最適なコーヒー摂取量は? 他4本≫ Journal Check Vol.127(2024年11月30日号)
コーヒーと筋肉量の関係:性別・年代別の最適なコーヒー摂取量は? 最近の研究で、コーヒー消費は高齢者のサルコペニアとの逆相関が示されているが、若年成人におけるカフェイン摂取と筋肉量の関連については十分に解明されていない。著者らは、若年および中年層におけるカフェイン摂取量と筋肉量やサルコペニアとの関連を調査するため、横断研究を実施した。BMC Musculoskeletal Disorders誌2024年11月19日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 鶏胸肉×筋トレ 日本人高齢女性における動脈硬化リスクへの効果とは? 動脈硬化リスクに対して、筋トレ(RT)は悪影響を、高タンパク質摂取(HP)は好影響を及ぼす可能性がある。中〜高強度のRTとHPを組み合わせることで、筋肉量や筋力を向上させ、RTによる動脈硬化リスクを相殺できるかは不明である。著者らは、日本人高齢女性を、筋トレと鶏胸肉摂取の有無で4群に分け、並行群間無作為化比較試験を実施した。Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle誌オンライン版2024年11月21日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む GLP-1受容体作動薬の副作用を注視すべき時期は? GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)は、胃内容排出障害(IGE)に起因する誤嚥リスクを高める可能性がある。著者らは、FDA有害事象報告システムのデータを使用し、IGEイベントの累積発生率とGLP-1RA投与から発症までの時間について調査した。British Journal of Anaesthesia誌オンライン版2024年11月21日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 高齢者の筋トレは、加圧トレーニングで代用可能か? 加圧トレーニング(LRT-BFR)はさまざまな集団において筋力・筋肉量を改善する可能性を示すが、サルコペニア患者におけるエビデンスは限られている。著者らは、サルコペニアの高齢患者における、LRT-BFRと従来の高強度レジスタンストレーニングの有効性を比較するため、無作為化比較試験を行った。Scientific Reports誌2024年11月18日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 筋肉は、HIITを遺伝子レベルで覚えている? ヒトの骨格筋は、過去の筋トレによるエピジェネティックメモリーを保持するが、高強度インターバルトレーニング(HIIT)でも同様の仕組みが働くかは分かっていない。著者らは、中断期間を挟んだ反復トレーニング介入により、HIITのエピジェネティックメモリーを評価した。American Journal of Physiology-Cell Physiology誌オンライン版2024年11月21日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ Journal Check Vol.126(2024年11月23日号) この1時間の追加歩行で、寿命は何時間延長する? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.125(2024年11月16日号) カロリー制限で痩せるのは女性だけ!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.124(2024年11月09日号) 睡眠スコア改善で、生物学的年齢は何年若返る? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.123(2024年11月02日号) アルコール摂取で寿命は何年縮むのか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.122(2024年10月26日号) 運動するベストな時間帯は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.121(2024年10月19日号) 長寿も結局は遺伝なのか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.120(2024年10月12日号) 老化を遅らせるために、必要な運動量は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.119(2024年10月05日号) 運動前のカフェイン摂取は、何に効く? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.118(2024年9月28日号) 1日何杯のコーヒーが、心血管代謝性多疾患併存リスク低下に最適か? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.117(2024年9月21日号) 老化を遅らせる薬、メトホルミン!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.116(2024年9月12日号) ご褒美デーが逆効果!?“交互高脂肪食”に潜む動脈硬化のリスク 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.115(2024年9月05日号) 三大栄養素のうち、最も”質”を重視すべきはどれか? 他4本
日本における早期抗CMV療法と慢性GVHDの発生率、ガンシクロビル vs. ホスカルネット
日本における早期抗CMV療法と慢性GVHDの発生率、ガンシクロビル vs. ホスカルネット
公開日:2024年11月27日 Miyao K, et al. Int J Hematol. 2024 Nov 14. [Epub ahead of print]  ガンシクロビルおよびホスカルネットは、代表的な抗サイトメガロウイルス(CMV)薬である。これまでの各地域の研究において、ホスカルネットの早期投与を行った患者では、慢性移植片対宿主病(GVHD)リスクが低いことが報告されている。愛知県・安城更生病院の宮尾 康太郎氏らは、この結果を確認するため、日本造血・免疫細胞療法学会GVHDワーキンググループ研究において、全国規模のレトロスペクティブ研究を実施し、その結果を報告した。International Journal of Hematology誌オンライン版2024年11月14日号の報告。  対象は、初回造血幹細胞移植(HSCT)時にホスカルネット(1,555例)またはガンシクロビル(7,335例)を投与した16歳以上の造血器悪性腫瘍患者8,890例。 主な結果は以下のとおり。 ・ガンシクロビル投与患者の方が、慢性GVHDおよび広範囲慢性GVHDのリスクが高かった。  【慢性GVHD】ハザード比(HR):1.26、95%信頼区間(CI):1.13〜1.40、p<0.001  【広範囲慢性GVHD】HR:1.16、95%CI:1.01〜1.33、p=0.033 ・女性ドナーからのHSCTを行った男性患者では、HSCTから3年後の広範囲慢性GVHDの発生率は、ホスカルネット投与患者(13%、95%CI:9〜16)の方がガンシクロビル投与患者(27%、95%CI:25〜29)よりも明らかに低かった(p<0.001)。 ・女性ドナーからのHSCTを行った男性患者では、ドナーソースの違いや急性GVHD歴の有無に関わらず、ホスカルネット投与患者は、ガンシクロビル投与患者よりも、広範囲慢性GVHDの発生率が有意に低かった。  著者らは「これらの結果は、ホスカルネットが同種免疫に影響を及ぼすことで、慢性GVHDの発生率を低下させている可能性を示唆している」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Miyao K, et al. Int J Hematol. 2024 Nov 14. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39543007 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
HSCT後の再発MDSに対しドナーリンパ球輸注を検討すべき患者像は
HSCT後の再発MDSに対しドナーリンパ球輸注を検討すべき患者像は
公開日:2024年11月26日 Marumo A, et al. Cytotherapy. 2024 Oct 17. [Epub ahead of print]  同種造血幹細胞移植(HSCT)は、骨髄異形成症候群(MDS)の臨床アウトカム改善に寄与するが、再発率は依然として高く、再発後の治療選択肢は限られている。日本医科大学の丸毛 淳史氏らは、HSCT後の再発MDS患者に対するドナーリンパ球輸注(DLI)へ治療反応を示す要因を特定するため、本研究を実施した。Cytotherapy誌オンライン版2024年10月17日号の報告。  2002〜22年に初回HSCTを行い、造血細胞移植登録一元プログラムに登録された再発またはDLI治療実施のMDS患者107例。単変量および多変量生存率解析には、ログランク検定、Cox比例ハザードモデルを用いた。全生存期間(OS)とDLIに対する反応率も分析した。 主な結果は以下のとおり。 ・1年OSは30.0%。 ・単変量解析では、予後不良因子として、58歳以上(p=0.030)、complex karyotype(CK: p=0.026)、血液学的再発(p=0.026)、早期再発(p=0.004)が特定された。 ・アザシチジンとDLIの併用により、予後改善が認められた(p<0.001)。 ・多変量解析でも、58歳以上、血液学的再発、早期再発が予後不良因子として特定された。 ・移植後110日未満で再発した58歳以上の患者における調整済みOSに関して、細胞遺伝学的/分子学的再発患者の1年OSは43.6%であったのに対し、血液学的再発患者では9.4%であった。 ・急性移植片対宿主病(GVHD)は62.3%、慢性GVHDは30.8%でみられたが、マネジメント可能であり、GVHDリスクの予後への影響は最小限であった。  著者らは「若年、細胞遺伝学的/分子学的再発、後期再発のHSCT後の再発MDS患者のOS改善に、DLIが寄与する可能性がある。HSCT後の再発MDSに対する治療オプションは限られているため、DLIを検討する必要性が示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Marumo A, et al. Cytotherapy. 2024 Oct 17. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39503682 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
自家HSCT後の再発・難治性CNSリンパ腫に対するCAR-T細胞療法の可能性は
自家HSCT後の再発・難治性CNSリンパ腫に対するCAR-T細胞療法の可能性は
公開日:2024年11月25日 Wu J, et al. Cancer Immunol Immunother. 2024; 74: 17.  自家造血幹細胞移植(HSCT)後のCAR-T細胞療法は、再発・難治性中枢神経系(CNS)リンパ腫に対する有望な治療戦略であることが報告されているものの、その症例数は限られている。中国・華中科技大学のJiaying Wu氏らは、2019〜24年4月に本施設で自家HSCT後にCAR-T細胞療法を行った再発。難治性CNSリンパ腫患者を対象に、レトロスペクティブコホート研究を実施した。Cancer Immunology Immunotherapy誌2024年11月11日号の報告。  対象患者数は再発・難治性CNSリンパ腫患者38例。連続変数の群間比較には、スチューデントt検定またはマン・ホイットニーU検定を用い、カテゴリ変数は、フィッシャー正確確率検定を用いて分析した。生存曲線の推定には、カプランマイヤー法を用い、群間比較には、ログランク検定を用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・最良全奏効(OR)率は78.9%。 ・サブグループ解析では、乳酸脱水素酵素(LDH)レベルが正常上限を超える患者においてOR率が低かった(60.0% vs. 91.3%、p=0.039)。 ・フォローアップ期間中央値は37.5ヵ月、1年推定全生存(OS)の割合は72.8%、1年推定無増悪生存期間(PFS)の割合は57.4%。 ・PFSに関連するリスク因子は、現在の治療に対する無効であった(調整ハザード比:22.87、p<0.001)。 ・重度のサイトカイン放出症候群(CRS)および免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)の発生率は、いずれも13.2%であった。 ・二次性CNSリンパ腫患者25例の最良OR率、CNS病変のみの患者で91.7%、CNS病変と全身病変を有する患者で61.5%であった(p=0.160)。また、1年推定PFSの割合は、それぞれ83.3%、38.5%であった(p=0.030)。  著者らは「自家HSCT後の再発・難治性CNSリンパ腫に対するCAR-T細胞療法は、有望な治療戦略である可能性が示唆された。さらに、CNS病変と全身病変を有する患者は、CNS病変のみの患者よりも、治療効果が劣ることも確認された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Wu J, et al. Cancer Immunol Immunother. 2024; 74: 17.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39527142 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
この1時間の追加歩行で、寿命は何時間延長する? 他4本≫ Journal Check Vol.126(2024年11月23日号)
この1時間の追加歩行で、寿命は何時間延長する? 他4本≫ Journal Check Vol.126(2024年11月23日号)
この1時間の追加歩行で、寿命は何時間延長する? 身体活動(PA)レベルが低いと死亡率が増加する。著者らは、低PAがどれだけ寿命を短くするか、またPAレベルを高めるとどれだけ寿命をのばすことができるかを推定するために、40歳以上のNHANES参加者のデータを用いてPAレベルに基づく平均余命の分析を行なった。British Journal of Sports Medicine誌オンライン版2024年11月14日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む コーヒー・紅茶を飲むべき最適時間は? これまでの観察研究で、糖尿病患者における食事や栄養素の摂取は生体リズムに合わせる必要があると示唆されているが、全死因死亡率および疾患別死亡率を低下させるためのコーヒーと紅茶の最適な摂取時間は不明である。著者らは、糖尿病患者におけるコーヒーと紅茶の摂取タイミングと長期生存との関連性を調査した。BMC Medicine誌2024年11月11日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む たった0.3%、飽和脂肪酸を魚油に置き換えるだけで死亡率〇%減少!? 脂肪酸摂取量の経時的変化とその後の死亡率との関連は不明である。著者らは、脂肪酸摂取量(総エネルギーに占める割合)の変化と死亡率との関連を調査するために、前向きコホート研究を実施した。The American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2024年11月15日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 鼻炎用点鼻薬のベストはどれか? アレルギー性鼻炎治療の基礎である、鼻腔内投与抗ヒスタミン薬、副腎皮質ステロイド薬およびそれらの配合剤の有効性と安全性を比較するために、系統的レビューとネットワークメタ解析を実施した。Allergy誌オンライン版2024年11月16日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 瞑想で高血圧が改善する!? 心血管系のリスク因子は高齢者にとって重要な健康問題である。これまでの研究から、瞑想トレーニングがこれらのリスク因子に良い影響を与える可能性が示唆されている。著者らは、18か月間の瞑想トレーニングが心血管系の健康に及ぼす影響を検証するため、ランダム化比較試験を実施した。BMC Geriatrics誌2024年11月16日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 知見共有へ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ Journal Check Vol.125(2024年11月16日号) カロリー制限で痩せるのは女性だけ!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.124(2024年11月09日号) 睡眠スコア改善で、生物学的年齢は何年若返る? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.123(2024年11月02日号) アルコール摂取で寿命は何年縮むのか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.122(2024年10月26日号) 運動するベストな時間帯は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.121(2024年10月19日号) 長寿も結局は遺伝なのか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.120(2024年10月12日号) 老化を遅らせるために、必要な運動量は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.119(2024年10月05日号) 運動前のカフェイン摂取は、何に効く? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.118(2024年9月28日号) 1日何杯のコーヒーが、心血管代謝性多疾患併存リスク低下に最適か? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.117(2024年9月21日号) 老化を遅らせる薬、メトホルミン!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.116(2024年9月12日号) ご褒美デーが逆効果!?“交互高脂肪食”に潜む動脈硬化のリスク 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.115(2024年9月05日号) 三大栄養素のうち、最も”質”を重視すべきはどれか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.114(2024年8月29日号) カフェインレスのコーヒーでも利点を享受できるか? 他4本
ダブルエクスプレッサーリンパ腫の第1選択治療、HDAC阻害剤+R-CHOP療法の有用性
ダブルエクスプレッサーリンパ腫の第1選択治療、HDAC阻害剤+R-CHOP療法の有用性
公開日:2024年11月22日 Chen X, et al. Ther Adv Hematol. 2024: 15: 20406207241292446.  アグレッシブB細胞リンパ腫のうち、免疫組織化学でMYC陽性かつBCL2陽性を有するダブルエクスプレッサーリンパ腫(DEL)は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の約20〜30%に認められる。しかし、DELに対する最も効果的な治療戦略は、いまだ明らかになっていない。中国・四川大学のXi Chen氏らは、DEL治療におけるR-CHOP療法と新規ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDAC阻害薬)との併用による有効性を評価するため、レトロスペクティブ研究を実施した。Therapeutic Advances in Hematology誌2024年10月28日号の報告。  対象は、DEL患者62例(2016年12月〜2020年12月)。すべての患者に対し、HDAC阻害薬+R-CHOP療法による第1選択治療を実施した。短期的な有効性、生存状況、副作用を調査し、予後因子の分析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者の年齢中央値は53.9歳(範囲:19〜77)。 ・治療サイクル数は平均6サイクル(範囲:1〜8)、完全奏効(CR)率は79.0%、全奏効(OR)率は88.7%。 ・フォローアップ期間中央値は45.5ヵ月(範囲:1〜82)、無増悪生存期間(PFS)およびOS中央値は未達。 ・3年PFS率は71%(95%CI:61〜83)、3年OS率は87%(95%CI:79〜96)、5年PFS率は67%(95%CI:55〜80)、5年OS率は85%(95%CI:77〜95)。 ・PFSの独立した予測因子は、CRまたは部分奏効(PR)後の年齢および自家造血幹細胞移植であった。一方、OSアウトカムとの関連が認められた因子はなかった。 ・グレード3〜4の主な血液毒性は白血球減少(46.7%)、非血液毒性は感染症(21%)であった。  著者らは「未治療のDELに対するHDAC阻害薬+R-CHOP療法は、短期的な有効性および安全性が良好であり、生存アウトカムの改善にも有望であることが示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Chen X, et al. Ther Adv Hematol. 2024: 15: 20406207241292446.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39494243 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら