最新の記事すべて

「ビーフ or チキン」アルツハイマー病に影響する食品は?
「ビーフ or チキン」アルツハイマー病に影響する食品は?
公開日:2025年2月15日 Huang Y, et al. Food Funct. 2025 Feb 3. [Epub ahead of print]  食習慣とアルツハイマー病との因果関係を評価するため、中国・The First Affiliated Hospital of Ningbo UniversityのYi Huang氏らは、2サンプルのメンデルランダム化解析を用いて、本研究を実施した。Food & Function誌オンライン版2025年2月3日号の報告。  ゲノムワイド関連研究(GWAS)データと並行し、2サンプルのメンデルランダム化(MR)解析を用いて、17食品の食習慣とアルツハイマー病リスクとの因果関係を包括的に評価した。結果のロバストを保証するため、単変量MR解析および多変量MR解析の両方を使用した。すべての分析には、逆分散重み付け(IVW)法を用いた。感度分析には、最尤法、MR-RAPS法、MR-Egger法を用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・単変量MR解析では、アルツハイマー病リスク上昇と有意な関連が認められた食品は、加工肉、鶏肉、牛肉であった。  【加工肉】オッズ比(OR):1.26、95%信頼区間(CI):1.01〜1.59、p=0.044  【鶏肉】OR:2.06、95%CI:1.18〜3.59、p=0.011  【牛肉】OR:1.79、95%CI:1.25〜2.57、p=0.002 ・感度分析では、加工肉、鶏肉、牛肉の摂取との関連は、各方法において一貫しており、正の相関を示すことが明らかとなった。 ・多変量MR解析では、うつ病で調整した後、加工肉、鶏肉、牛肉の摂取量と正の相関(有意または傾向)が確認された。  【加工肉摂取量】OR:1.376、95%CI:1.015〜1.864、p=0.040  【鶏肉摂取量】OR:2.174、95%CI:1.205〜3.922、p=0.010  【牛肉摂取量】OR:1.428、95%CI:0.866〜2.355、p=0.163  著者らは「加工肉、鶏肉、牛肉の摂取は、アルツハイマー病リスクと相関していることが明らかとなった」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Huang Y, et al. Food Funct. 2025 Feb 3. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39898984 ヒポクラ(医師限定)へ ※新規会員登録はこちら
80歳以上の日本人DLBCLに対する減量Pola-R-CHP療法、実臨床での有用性は
80歳以上の日本人DLBCLに対する減量Pola-R-CHP療法、実臨床での有用性は
公開日:2025年2月14日 Sato S, et al. Blood Res. 2025; 60: 10.  80歳以上で未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者に対するポラツズマブ ベドチンとR-CHP療法(リツキシマブ+シクロホスファミド+ドキソルビシン+プレドニゾロン)の併用療法(Pola-R-CHP療法)の有効性および安全性は、ほとんど調査されていない。神奈川県・湘南鎌倉総合病院の佐藤 淑氏らは、高齢者コホートであるPOLARIX試験の結果を拡張し、リアルワールドにおける80歳以上の日本人DLBCL患者における減量Pola-R-CHP療法の有効性および安全性を評価するため、レトロスペクティブに分析を行った。Blood Research誌2025年2月5日号の報告。  対象は、2022年9月〜2024年2月に当院でPola-R-CHP療法を行った80歳以上のDLBCL患者38例。毒性や病勢進行により早期に治療を中止した患者も含め、1コース以上の化学療法を行った。すべての患者の相対用量強度(RDI)をモニタリングした。Pola-R-CHP療法の用量調整は、主治医の裁量で実施した。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者の年齢中央値は84.3歳(範囲:80〜95)、PS2以上の患者は8例(21%)。 ・MYCおよびBCL2再構成を伴う高悪性度B細胞リンパ腫患者1例も対象に含めた。 ・ステージIII〜IVが30例(79%)、IPIの高リスク群16例(42%)、CNS-IPIの高リスク群4例(10%)。 ・治療コース中央値は5コース(範囲:1〜6)、全6コースを完了した患者は24例(63%)。 ・フォローアップ期間中央値は11.6ヵ月(範囲:1〜24)。 ・12ヵ月後の全生存割合(OS)は86.2%(95%CI:70.0〜94.0)、無増悪生存割合(PFS)は78.5%(95%CI:59.2〜89.5)。 ・発熱性好中球減少症の発生率は、比較的高かったものの(32%)、平均RDIが70%未満の患者では、治療強度が低下してもリスク増加が認められた。 ・末梢神経障害のためにポラツズマブ ベドチンの減量が必要であった患者はいなかった。  著者らは「新たにDLBCLと診断された80歳以上の高齢患者に対し、減量Pola-R-CHP療法は、実行可能な効果的な治療選択肢である可能性が示された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Sato S, et al. Blood Res. 2025; 60: 10.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39907880 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
週末2〜3時間の寝だめは腎臓に好影響、CKD予防の睡眠戦略
週末2〜3時間の寝だめは腎臓に好影響、CKD予防の睡眠戦略
公開日:2025年2月14日 Chen S, et al. Ren Fail. 2025; 47: 2461682.  中国・広西中医薬大学のSheng Chen氏らは、米国成人における週末のキャッチアップ睡眠と慢性腎臓病(CKD)との関連を調査した。Renal Failure誌2025年12月号の報告。  対象は、2017〜20年の国民健康栄養調査(NHANES)データより抽出した20歳以上の成人4,934人。週末のキャッチアップ睡眠と関連したCKDリスクを評価した。週末のキャチアップ睡眠時間に基づくCKDリスクを評価するため、対象者を睡眠時間に応じて4群に分類した。週末のキャチアップ睡眠時間が1時間未満を対照群とし、1〜2時間群、2〜3時間群、3時間以上群との比較を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・完全に調整した多変量ロジスティックモデルでは、CKDと週末のキャッチアップ睡眠のオッズ比(OR)は0.86(95%信頼区間[CI]:0.61〜1.22、p=0.31)であった。 ・2〜3時間群において、CKDとの有意な関連が認められた(OR:0.44、95%CI:0.21〜0.88、p=0.03)。 ・サブグループ解析では、2〜3時間群の男女、60歳未満の成人、BMI 25未満または30以上の人および1〜2時間群のBMI 25〜29.9の人、3時間以上群の女性において有意な関連が認められた。 ・平日の睡眠時間が7時間未満で、週末のキャッチアップ睡眠時間が2〜3時間の人で、より強い相関が認められた(p<0.05)。 ・BMIとの相互作用は、統計学的に有意であった(p for interaction=0.04)。  著者らは「平日の睡眠時間が7時間未満の場合、週末に2〜3時間のキャッチアップ睡眠を行うことで、CKDリスクを低下させる可能性が示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Chen S, et al. Ren Fail. 2025; 47: 2461682.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39910840 ヒポクラ(医師限定)へ ※新規会員登録はこちら
PCNSLに対するイブルチニブ併用HD-MTX+テモゾロミド療法〜第II相試験
PCNSLに対するイブルチニブ併用HD-MTX+テモゾロミド療法〜第II相試験
公開日:2025年2月13日 Gao Y, et al. Blood Cancer Discov. 2025 Feb 6. [Epub ahead of print]  B細胞受容体シグナル伝達の恒常的活性化は、中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)で頻繁に発生する。そのため、B細胞受容体シグナル伝達経路を阻害するブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬は、PCNSLの有望な治療薬として期待されている。中国・Sun Yat-sen University Cancer CenterのYan Gao氏らは、新たに診断されたPCNSLにおける大量メトトレキサート(HD-MTX)+テモゾロミド療法にBTK阻害薬イブルチニブを併用した際の有効性および安全性を評価するため、多施設共同プロスペクティブコホート第II相試験を実施した。Blood Cancer Discovery誌オンライン版2025年2月6日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・登録患者数35例のうち、33例を解析対象に含めた。 ・導入療法における最良全奏効率(best ORR)は93.9%、完全奏効(CR)率は72.7%であった。 ・2年無増悪生存期間(PFS)は57.6%(95%CI:49.0〜66.2)、全生存期間は84.8%(95%CI:78.6〜91.0)。 ・グレードIII以上の有害事象発生率は27.3%(33例中10例)。 ・ベースライン時の腫瘍および脳脊髄液(CFS)サンプルにおけるターゲットリシーケンスで検査した475個の遺伝子の中で、PIM1、MYD88、BTG2、CD79Bの変異が最も高頻度に認められた。 ・CSFおよびまたは血漿中のctDNA消失は一貫しており、画像診断でもCRが確認された。 ・2コース以降にCSF中のctDNA消失が確認された患者において、PFSの有意な延長が認められた(p=0.044)。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Gao Y, et al. Blood Cancer Discov. 2025 Feb 6. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39913173 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
甘くみてはいけない頭痛マネジメント、自殺リスクにも強く影響/JAMA Neurol
甘くみてはいけない頭痛マネジメント、自殺リスクにも強く影響/JAMA Neurol
公開日:2025年2月13日 Elser H, et al. JAMA Neurol. 2025 Feb 3. [Epub ahead of print]  これまでの研究では、片頭痛と自殺リスクとの関連が示唆されているが、さまざまな頭痛疾患と自殺企図および自殺リスクとの関連を評価した研究は限られている。デンマーク・オーフス大学のHolly Elser氏らは、片頭痛、緊張型頭痛、外傷後頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛(TAC)と自殺企図および自殺リスクとの関連を調査した。JAMA Neurology誌オンライン版2025年2月3日号の報告。  1995〜2020年にデンマーク国民を対象に人口ベースコホート研究を実施した。デンマークの人口約560万人を対象に、頭痛と診断された15歳以上の患者を性別および生年月日に基づき1:5でマッチさせた対照者。2023年5月〜2024年5月にデータ分析を行った。頭痛患者は、入院、救急外来、専門外来クリニックにおいてICD-10に基づきはじめて頭痛と診断された患者。主要アウトカムは、自殺企図および自殺リスクとした。自殺企図は、ICD-10診断コードを用いてデンマーク国立患者レジストリおよびデンマーク精神医学中央研究レジストリより特定した。自殺は、デンマーク死因レジストリより特定した。自殺企図および自殺の絶対リスク(AR)とリスク差(RD)は、累積発生率関数を用いて算出した。頭痛診断と関連する自殺企図および自殺のハザード比(HR)は、年齢、性別、年、教育、収入、ベースラインの併存疾患で調整したのち、競合する死亡リスクを考慮して算出した。 主な結果は以下のとおり。 ・対象は、頭痛と診断された患者11万9,486例(女性の割合:69.5%[8万3,046例])と対照群59万7,430例(女性の割合:69.5%[41万5,230例])。 ・年齢中央値は、40.1歳(IQR:29.1〜51.6)。 ・自殺企図の15年ARは、頭痛患者で0.78%(95%CI:0.72〜0.85)、比較コホートで0.33%(95%CI:0.31〜0.35)であった(RD:0.45%、95%CI:0.39〜0.53)。 ・自殺の15年ARは、頭痛患者で0.21%(95%CI:0.17〜0.24)、比較コホートで0.15%(95%CI:0.13〜0.16)であった(RD:0.06%、95%CI:0.02〜0.10)。 ・自殺企図および自殺の危険性は、比較コホートと比較し、頭痛患者で有意に高かった。  【自殺企図の危険性】HR:2.04、95%CI:1.84〜2.27  【自殺の危険性】HR:1.40、95%CI:1.17〜1.68 ・これらの結果は、頭痛の種類を問わず一致しており、TACおよび外傷後頭痛との関連性はより強力であった。  著者らは「頭痛の診断と自殺企図および自殺との間に、強力かつ持続的な関連性が確認された。これは、頭痛患者における行動健康評価および治療の重要性を示唆している」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Elser H, et al. JAMA Neurol. 2025 Feb 3. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39899309 ヒポクラ(医師限定)へ ※新規会員登録はこちら
「ビーフ or チキン」アルツハイマー病に影響する食品は? 他4本≫ Journal Check Vol.136(2025年02月15日号)
「ビーフ or チキン」アルツハイマー病に影響する食品は? 他4本≫ Journal Check Vol.136(2025年02月15日号)
「ビーフ or チキン」アルツハイマー病に影響する食品は? アルツハイマー病(AD)と食習慣との因果関係は明らかではない。著者らは、遺伝データを用いたメンデルランダム化解析を実施し、加工肉・鶏肉・牛肉を含む17種類の食習慣とADの因果関係を包括的に評価した。Food & function誌オンライン版2025年2月3日号の報告。 ≫ヒポクラPLUSで続きを読む 日本人のBMI別 SGLT2阻害薬の腎保護効果は? SGLT2阻害薬の腎機能保護効果が処方開始時のBMIによって変化するかどうかは明らかではない。著者らは、日本の全国規模の疫学データベースを用いて、SGLT2阻害薬またはDPP-4阻害薬を新規処方された2型糖尿病患者を対象に、BMIと腎保護効果の関係を調査する後ろ向きコホート研究を実施した。European Heart Journal - Cardiovascular Pharmacotherapy誌オンライン版2025年2月3日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む ”水分摂取で便秘改善”は本当なのか? 便秘は一般的な消化器疾患でありQOLを低下させる。食事からの水分摂取が腸の健康に影響を与えると考えられているが、長期的な大規模集団研究では十分に調査されていない。著者らは、成人の食事性水分摂取と便秘との相関を明らかにするために、NHANES参加者のデータ解析を実施した。BMC Public Health誌版2025年1月31日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む サプリメントはサッカー選手のパフォーマンスにどのような影響を与える? 著者らは、サッカー選手の健康状態とパフォーマンスに対する、L-アルギニン、BCAA、クレアチン、ビタミンD、B、E、C、鉄などの一般的に使用されているサプリメントの有効性を検討するために、系統的レビューを実施した。Journal of Basic and Clinical Physiology and Pharmacology誌オンライン版2025年2月10日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む ドライニードリング(トリガーポイント)の真価とは!? ドライニードリング(トリガーポイント)は、スポーツや再生医療の分野で広がりを見せる手技であるが、スポーツ選手のパフォーマンスや回復に対する包括的な概要はない。著者らは、PRISMA 2020に基づき、健康な選手および負傷した選手を対象としたドライニードリング研究を系統的にレビューし、エビデンスギャップマップを作成した。Sports Medicine誌オンライン版2025年2月10日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む ヒポクラへ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ Journal Check Vol.135(2025年02月08日号) コーヒー・紅茶の健康効果が高いのはどんな人? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.134(2025年02月01日号) 筋トレの「神話」と「真実」:ジム利用者は正解を知っている? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.133(2025年01月25日号) 結局、赤肉は健康に是か非か? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.132(2025年01月18日号) コーヒーはいつ飲むのがベストか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.131(2025年01月11日号) 結局、アジア人にとって乳製品はCVDリスクを減らすのか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.130(2024年12月21日号) 月1回未満の性行為は、うつ病リスクを高める!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.129(2024年12月14日号) 寒さによる"震え”は、1日〇時間でダイエット効果あり!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.128(2024年12月07日号) 筋トレに最適な時間帯は、午前?午後? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.127(2024年11月30日号) コーヒーと筋肉量の関係:性別・年代別の最適なコーヒー摂取量は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.126(2024年11月23日号) この1時間の追加歩行で、寿命は何時間延長する? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.125(2024年11月16日号) カロリー制限で痩せるのは女性だけ!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.124(2024年11月09日号) 睡眠スコア改善で、生物学的年齢は何年若返る? 他4本
モスネツズマブはリツキシマブを超えられるか、初発DLBCLに対するモスネツズマブ+Pola-CHP療法/Blood Adv
モスネツズマブはリツキシマブを超えられるか、初発DLBCLに対するモスネツズマブ+Pola-CHP療法/Blood Adv
公開日:2025年2月12日 Westin JR, et al. Blood Adv. 2025 Feb 5. [Epub ahead of print]  抗CD20/CD3二重特異性抗体であるモスネツズマブは、本邦において再発・難治性濾胞性リンパ腫(FL)で承認を取得した。本剤は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対する新たな治療選択肢の1つとしても期待され、併用療法による臨床試験も進行している。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのJason R. Westin氏らは、DLBCLに対する第1選択治療の1つであるポラツズマブ ベドチン併用R-CHP(Pola-R-CHP)療法とリツキシマブをモスネツズマブに変更したモスネツズマブ+Pola-CHP療法の有効性および安全性を比較するため、第II相試験を実施し、最終結果を報告した。Blood Advances誌オンライン版2025年2月5日号の報告。  対象は、未治療のDLBC患者62例。モスネツズマブ+Pola-CHP群40例、Pola-R-CHP群22例にランダムに割り付けた。21日間6コースでday1に投与を行った。モスネツズマブは、1コース目にステップアップドーズで30mgまで増量した。主要エンドポイントは、独立審査委員会により評価したPET-CT検査による完全奏効(CR)率とした。 主な結果は以下のとおり。 ・CR率は、両群間で同等であった(モスネツズマブ+Pola-CHP群:72.5%、Pola-R-CHP群:77.3%)。 ・治験責任者により評価した24ヵ月無増悪生存期間(PFS)は、モスネツズマブ+Pola-CHP群で70.8%(95%CI:55.6〜86.1)、Pola-R-CHP群で81.8%(95%CI:65.7〜97.9)であった。 ・モスネツズマブ+Pola-CHP群において最も多かった有害事象は、サイトカイン放出症候群(CRS:68.4%)であり、その多くはグレードI(52.6%)、1コース目に限定的に認められた。 ・Pola-R-CHP群で最も多かった有害事象は、好中球減少症/好中球数減少(54.4%)。 ・好中球減少症/好中球数減少は、両群で最も高頻度に認められたグレードIII以上の有害事象であった(モスネツズマブ+Pola-CHP群:36.8%、Pola-R-CHP群:22.7%)。 ・グレードIII以上の有害事象、重篤な有害事象、治療中止に至る有害事象の発生率は、モスネツズマブ+Pola-CHP群の方が、Pola-R-CHP群よりも高かった。  【グレードIII以上の有害事象】モスネツズマブ+Pola-CHP群:86.8%、Pola-R-CHP群:59.1%  【重篤な有害事象】モスネツズマブ+Pola-CHP群:63.2%、Pola-R-CHP群:13.6%  【治療中止に至る有害事象】モスネツズマブ+Pola-CHP群:13.2%、Pola-R-CHP群:0% ・薬理学的変化は、モスネツズマブの作用機序とPola-CHP療法併用を支持するものであった。  著者らは「初発DLBCLに対する第1選択治療として、モスネツズマブ+Pola-CHP療法は有用であったが、この小規模な研究では、Pola-R-CHP療法を上回る臨床的ベネフィットは示されなかった」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Westin JR, et al. Blood Adv. 2025 Feb 5. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39908481 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
老化予防のポイントは「ω3脂肪酸」、 3年間で約3ヵ月老化が遅延
老化予防のポイントは「ω3脂肪酸」、 3年間で約3ヵ月老化が遅延
公開日:2025年2月12日 Bischoff-Ferrari HA, et al. Nat Aging. 2025 Feb 3. [Epub ahead of print]  観察研究や小規模パイロット試験において、ビタミンD、ω3脂肪酸、運動が生物学的老化を遅延させる可能性が示唆されている。しかし、これらの介入をそれぞれまたは組み合わせた場合の抗老化作用を評価した大規模臨床試験は不十分である。スイス・チューリッヒ大学のHeike A. Bischoff-Ferrari氏らは、DO-HEALTH試験に参加した高齢者を対象に3年間にわたるビタミンD、ω3脂肪酸、運動プログラムが生物学的老化に及ぼす影響について、新たな事後分析結果を報告した。Nature Aging誌オンライン版2025年2月3日号の報告。  DO-HEALTH試験は、高齢者の健康寿命を延長させることを目的とした大規模臨床試験である。対象は、スイス在住の70歳以上の健康高齢者777人。 3年間にわたるビタミンD(2,000IU/日)、ω3脂肪酸(1g/日)、自宅での運動プログラム(週3回30分)の3つの介入と生物学的老化との関連を評価した。生物学的老化の評価には、4種類のDNAメチル化指標(PhenoAge、GrimAge、GrimAge2、DunedinPACE)を用いた。対象高齢者は、対照群、ビタミンD、ω3脂肪酸、運動プログラムのそれぞれ単独または組み合わせた8群に分類し、3年間の介入を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・ω3脂肪酸単独介入だけで、 3つの指標(PhenoAge、GrimAge2、DunedinPACE)において、生物学的老化の延長効果が認められた。  【PhenoAge】d=−0.16(95%CI:−0.02~−0.30)  【GrimAge2】d=−0.32(95%CI:−0.06~−0.59)  【DunedinPACE】d=−0.17(95%CI:−0.04~−0.31) ・ω3脂肪酸とビタミンDおよびまたは運動プログラムを組み合わせた場合、PhenoAgeにおいて相加的な効果が認められた(dの範囲:−0.24~−0.32)。 ・全体として、ベースラインから3年目までの標準化効果は0.16〜0.32単位であり、 3年間で2.9〜3.8ヵ月の抗老化作用が確認された。  著者らは「ω3脂肪酸を3年間摂取することで、生物学的老化を遅延させることが示唆された。さらに、ビタミンDや運動プログラムによる介入を併用することにより、相加的な効果が期待できることが明らかとなった」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Bischoff-Ferrari HA, et al. Nat Aging. 2025 Feb 3. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39900648 ヒポクラ(医師限定)へ ※新規会員登録はこちら
新たな治療戦略となるか!JAK2経路の選択的阻害でCAR-T細胞療法を強化可能
新たな治療戦略となるか!JAK2経路の選択的阻害でCAR-T細胞療法を強化可能
公開日:2025年2月11日 Mitsuno K, et al. Cancer Immunol Immunother. 2025; 74: 79.  分子標的薬とCAR-T細胞療法の組み合わせは、免疫療法の抗腫瘍効果を高めるための新たな治療戦略である。CD19を標的としたCAR-T細胞療法とヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬は、フィラデルフィア染色体(Ph)陽性急性リンパ性白血病(ALL)などの特定のB細胞性白血病に対し、それぞれ有効性を示すが、ルキソリチニブなどのJAK1/2阻害薬の併用は、JAK1依存性T細胞活性化経路を阻害することでCAR-T細胞の作用を減弱させるとされている。京都府立医科大学の三野 耕平氏らは、選択的II型JAK2阻害薬であるCHZ868とCD19標的CAR-T細胞療法との併用を検討した。その結果、JAK2変異状態とは無関係に、B細胞腫瘍モデル全体で、抗白血病活性が相乗的に増強されることを報告した。Cancer Immunology, Immunotherapy誌2025年2月1日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・CHZ868によるJAK2阻害は、CAR-T細胞の疲弊化を誘発することなく、抗腫瘍効果が維持された。 ・JAK2阻害耐性白血病細胞を移植したマウスモデルにおいて、生存率の有意な延長が認められた(生存期間中央値:CD19 CAR-T+CHZ868群:32日、CD19 CAR-T+対照群:26日、p=0.0303)。 ・トランスクリプトーム解析では、CH868がCAR-T細胞の分化を阻害しながら、CAR-T細胞の機能維持に重要な要素である増殖能を維持することが示唆された。  著者らは「JAK2経路の選択的阻害は、CAR-T細胞療法を強化し、耐性B細胞性白血病患者に実行可能な治療戦略となりうる可能性が示唆された」としている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Mitsuno K, et al. Cancer Immunol Immunother. 2025; 74: 79.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39891728 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
男性不妊症に超加工食品が影響、精子濃度低下の可能性
男性不妊症に超加工食品が影響、精子濃度低下の可能性
公開日:2025年2月11日 Soltani M, et al. BMC Res Notes. 2025; 18: 48.  最近の研究では、男性不妊症と不健康な食生活、酸化ストレス、炎症などとの関連が示唆されているが、超加工食品と男性不妊症との潜在的な関連性は、十分に調査されていない。イラン・テヘラン医科大学のMitra Soltani氏らは、超加工食品と男性不妊症との関連を調査するため、精子の質のパラメータを評価した。BMC Research Notes誌2025年2月1日号の報告。  対象は、イラン・エスファハーン州の不妊センターより募集された男性260例。総精子運動性、精子濃度、精子数、精子形態などの4つのパラメータを評価した。対象者の食物摂取量は、検証済みの168項目食物摂取頻度質問票を用いて評価した。超加工食品には、加工肉、ビスケット、ケーキ、キャンディー、菓子、アイスクリーム、塩味スナック、甘味飲料、パン、人工フルーツ飲料、菓子パン、ソース、マーガリン、ソフトドリンク、ドレッシング、フライドポテトなどを含めた。超加工食品指数は、NOVAシステムを用いて算出した。超加工食品の摂取量に基づき三分位に分類した(最高三分位〜最低三分位)。超加工食品と精子パラメータとの関連性の分析には、ロジスティック回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・crude modelでは、超加工食品の第2三分位と最高三分位との間で精子濃度、総精子運動性、精子の形態異常に有意な関連は認められなかった(各々、p>0.05)。 ・年齢、婚姻期間、BMI、身体活動、うつ病、不安、ストレス、エネルギー摂取量、喫煙歴、ミネラルおよびビタミン サプリメントで調整した後、超加工食品の第2三分位と精子濃度の異常との間に有意に強い関連性が認められた(オッズ比: 3.962、95%信頼区間:1.345〜11.670、p=0.013)。  著者らは「超加工食品の摂取量と精子運動性、精子形態との間に有意な関連は認められなかったが、超加工食品の摂取量が多いほど精子濃度が低下することが明らかとなった。今後の研究で、これらの結果がさらに確認されれば、生殖年齢男性の不妊症に対処する介入や予防プログラムの作成に役立つ可能性がある」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Soltani M, et al. BMC Res Notes. 2025; 18: 48.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39891278 ヒポクラ(医師限定)へ ※新規会員登録はこちら
CLLに対する2つのBTK阻害薬、ザヌブルチニブはイブルチニブより優れるのか
CLLに対する2つのBTK阻害薬、ザヌブルチニブはイブルチニブより優れるのか
公開日:2025年2月10日 Fan F, et al. Hematol Oncol. 2025; 43: e70041.  イブルチニブの登場により、慢性リンパ性白血病(CLL)治療は一変した。しかし、有害事象に悩まされることも少なくない。第2世代のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬であるザヌブルチニブは、安全性の向上に期待される薬剤である。中国・青島大学のFuli Fan氏らは、CLLに対する2つのBTK阻害薬、ザヌブルチニブとイブルチニブの安全性プロファイルの比較を行った。Hematological Oncology誌2025年3月号の報告。  本プロスペクティブコホート研究では、CLL患者200例が登録され、ザヌブルチニブ群(100例)、イブルチニブ群(100例)に割り付けられた。年齢、性別、BMI、ECOGのPS、遺伝学的要因などのベースライン特性を比較した。有害事象および重篤な有害事象のフォローアップおよび分類には、有害事象共通⽤語規準(CTCAE)を用いた。重篤な有害事象およびグレードIII以上の有害事象の予測因子を特定するため、多変量ロジスティック回帰モデルを実施した。調整オッズ比(aOR)および95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。 ・平均年齢は、ザヌブルチニブ群49.16歳、イブルチニブ群49.65歳(p=0.285)。 ・ザヌブルチニブ群では、ECOGのPS不良な患者の割合が高かった(71% vs.57%、p=0.039)。 ・ザヌブルチニブ群は、重症有害事象(4% vs.9%、p=0.152)および重篤な有害事象(8% vs.17%、p=0.054)の割合が低かった。 ・好中球減少は、イブルチニブ群のみでみられた(3%)。 ・サブグループ解析では、非難治性患者においてザヌブルチニブ群の合併症発生率が高かった(11.40% vs.5.26、p=0.065)。 ・ステージIIIのCLLは、グレードIII以上の有害事象(aOR:0.007、95%CI:0.0003〜0.1829)および重篤な有害事象(aOR:0.015、95%CI:0.0010〜0.1770)の保護因子であった。 ・ECOSのPS状態(2 vs.3)により、重篤な有害事象リスクの低下がみられ、17p欠損が重篤な有害事象の主なリスク因子であることが示唆された(aOR:6.40、95%CI:1.33〜30.79)。  著者らは「ザヌブルチニブは、イブルチニブよりも安全性プロファイルが良好であり、重症有害事象が少なかったことから、CLL患者、とくにBTK阻害薬による合併症リスクが高い患者では、ザヌブルチニブの方が安全な選択肢であると考えられる。しかし、これらの違いは、ベースライン時の臨床特性のばらつきに起因している可能性があるため、解釈には注意が必要である」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Fan F, et al. Hematol Oncol. 2025; 43: e70041.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39887746 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
メトホルミンの大腸がん腫瘍殺傷効果、そのメカニズムは
メトホルミンの大腸がん腫瘍殺傷効果、そのメカニズムは
公開日:2025年2月10日 Shabkhizan R, et al. Stem Cell Res Ther. 2025; 16: 45.  標準的な2次元細胞培養により有望なアウトカムが得られているにもかかわらず、これらのデータは、in vivoにおける腫瘍実質と完全に類似しているとはいえない。そこで、さまざまな3次元細胞培養システムが開発、製造され、実際の細胞集塊における複雑な細胞間相互作用を部分的に模倣可能となった。イラン・タブリーズ医科大学のRoya Shabkhizan氏らは、in vitroシステムにおける大腸がん腫瘍様細胞に対する、オートファジーの調節を介したメトホルミンの腫瘍殺傷効果を評価した。Stem Cell Research & Therapy誌2025年2月4日号の報告。  大腸がん腫瘍様細胞を、2.5%メチルセルロースを含む培地でヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)、腺がんHT29細胞、線維芽細胞を1:2:1の比率で使用し、作成した。腫瘍様細胞に対し、メトホルミン20〜1,000mMのさまざまな濃度で72時間曝露を行った。細胞生存率の検出には、LDH release assayを用いた。オートファージ関連因子の発現およびタンパク質レベルは、それぞれPCRアレイ、ウエスタンブロッティングを用いて測定した。ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)および免疫組織学的染色(Ki67)を用いて、大腸がん腫瘍様細胞のintegrityおよび増殖率を評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・明視野画像では、本プロトコルで作成された大腸がん腫瘍様細胞は、比較的明るい周辺領域(外層)に囲まれた中央の暗い領域を示す、典型的かつコンパクトな腫瘍様細胞であった。 ・リリースされたLDH含有量にわずかな変化がみられたが、メトホルミン群と対照群の比較において、細胞毒性の関する統計学的な有意差は認められず、腫瘍細胞死に対するメトホルミンの作用は不十分であった(p>0.05)。 ・ウエスタンブロッティング解析では、メトホルミン120mMで曝露された腫瘍様細胞において、LC3II/I比の減少が認められた(p<0.05)。これらのデータは、メトホルミン40mM群および対照群と比較した、メトホルミン120mM群の腫瘍様細胞内p62含有量の減少と一致していた(p<0.05)。 ・PCRアレイ解析では、対照群と比較し、メトホルミン40mM群および120mM群において、オートファジー機構に関連するさまざまなシグナル伝達経路、オートファジーとアポトーシスの共通エフェクターに関連する複数遺伝子の上方および下方制御が確認された(p<0.05)。これらの変化は、メトホルミン120mMで曝露された腫瘍様細胞でより顕著であった。 ・組織学的検査では、メトホルミン曝露群(とくに120mM群)の腫瘍様細胞において、integrityが緩和され、アポトーシスおよびネクローシスの変化による細胞死が増加していることが確認された。 ・メトホルミン120mM群では、線維状マトリックスの残滓を伴う紡錘形状細胞が検出された。 ・メトホルミン濃度を40mMから120mMにすることで、腫瘍様組織内で増殖中のKi67陽性細胞の減少が認められた。  著者らは「メトホルミンにより、大腸がん腫瘍様細胞内で典型的なネクローシスおよびアポトーシス細胞の両方が同時に発生し、腫瘍様細胞で共有されるさまざまなオートファジーやアポトーシス遺伝子が調整されていることがわかった。これは、メトホルミンが過剰なオートファジー反応を刺激し、アポトーシス関連遺伝子を活性化する可能性を示しており、同時に増殖(Ki67陽性細胞)を抑制し、ネクローシス変化を増加させ、大腸がん腫瘍様細胞の崩壊につながることを示唆している。また、これらの効果は、用量依存的に高まることが明らかとなった」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Shabkhizan R, et al. Stem Cell Res Ther. 2025; 16: 45.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39901295 ヒポクラ(医師限定)へ ※新規会員登録はこちら
/ 77