「Journal Check」の記事一覧

「ビーフ or チキン」アルツハイマー病に影響する食品は?
「ビーフ or チキン」アルツハイマー病に影響する食品は?
公開日:2025年2月15日 Huang Y, et al. Food Funct. 2025 Feb 3. [Epub ahead of print]  食習慣とアルツハイマー病との因果関係を評価するため、中国・The First Affiliated Hospital of Ningbo UniversityのYi Huang氏らは、2サンプルのメンデルランダム化解析を用いて、本研究を実施した。Food & Function誌オンライン版2025年2月3日号の報告。  ゲノムワイド関連研究(GWAS)データと並行し、2サンプルのメンデルランダム化(MR)解析を用いて、17食品の食習慣とアルツハイマー病リスクとの因果関係を包括的に評価した。結果のロバストを保証するため、単変量MR解析および多変量MR解析の両方を使用した。すべての分析には、逆分散重み付け(IVW)法を用いた。感度分析には、最尤法、MR-RAPS法、MR-Egger法を用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・単変量MR解析では、アルツハイマー病リスク上昇と有意な関連が認められた食品は、加工肉、鶏肉、牛肉であった。  【加工肉】オッズ比(OR):1.26、95%信頼区間(CI):1.01〜1.59、p=0.044  【鶏肉】OR:2.06、95%CI:1.18〜3.59、p=0.011  【牛肉】OR:1.79、95%CI:1.25〜2.57、p=0.002 ・感度分析では、加工肉、鶏肉、牛肉の摂取との関連は、各方法において一貫しており、正の相関を示すことが明らかとなった。 ・多変量MR解析では、うつ病で調整した後、加工肉、鶏肉、牛肉の摂取量と正の相関(有意または傾向)が確認された。  【加工肉摂取量】OR:1.376、95%CI:1.015〜1.864、p=0.040  【鶏肉摂取量】OR:2.174、95%CI:1.205〜3.922、p=0.010  【牛肉摂取量】OR:1.428、95%CI:0.866〜2.355、p=0.163  著者らは「加工肉、鶏肉、牛肉の摂取は、アルツハイマー病リスクと相関していることが明らかとなった」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Huang Y, et al. Food Funct. 2025 Feb 3. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39898984 ヒポクラ(医師限定)へ ※新規会員登録はこちら
週末2〜3時間の寝だめは腎臓に好影響、CKD予防の睡眠戦略
週末2〜3時間の寝だめは腎臓に好影響、CKD予防の睡眠戦略
公開日:2025年2月14日 Chen S, et al. Ren Fail. 2025; 47: 2461682.  中国・広西中医薬大学のSheng Chen氏らは、米国成人における週末のキャッチアップ睡眠と慢性腎臓病(CKD)との関連を調査した。Renal Failure誌2025年12月号の報告。  対象は、2017〜20年の国民健康栄養調査(NHANES)データより抽出した20歳以上の成人4,934人。週末のキャッチアップ睡眠と関連したCKDリスクを評価した。週末のキャチアップ睡眠時間に基づくCKDリスクを評価するため、対象者を睡眠時間に応じて4群に分類した。週末のキャチアップ睡眠時間が1時間未満を対照群とし、1〜2時間群、2〜3時間群、3時間以上群との比較を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・完全に調整した多変量ロジスティックモデルでは、CKDと週末のキャッチアップ睡眠のオッズ比(OR)は0.86(95%信頼区間[CI]:0.61〜1.22、p=0.31)であった。 ・2〜3時間群において、CKDとの有意な関連が認められた(OR:0.44、95%CI:0.21〜0.88、p=0.03)。 ・サブグループ解析では、2〜3時間群の男女、60歳未満の成人、BMI 25未満または30以上の人および1〜2時間群のBMI 25〜29.9の人、3時間以上群の女性において有意な関連が認められた。 ・平日の睡眠時間が7時間未満で、週末のキャッチアップ睡眠時間が2〜3時間の人で、より強い相関が認められた(p<0.05)。 ・BMIとの相互作用は、統計学的に有意であった(p for interaction=0.04)。  著者らは「平日の睡眠時間が7時間未満の場合、週末に2〜3時間のキャッチアップ睡眠を行うことで、CKDリスクを低下させる可能性が示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Chen S, et al. Ren Fail. 2025; 47: 2461682.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39910840 ヒポクラ(医師限定)へ ※新規会員登録はこちら
甘くみてはいけない頭痛マネジメント、自殺リスクにも強く影響/JAMA Neurol
甘くみてはいけない頭痛マネジメント、自殺リスクにも強く影響/JAMA Neurol
公開日:2025年2月13日 Elser H, et al. JAMA Neurol. 2025 Feb 3. [Epub ahead of print]  これまでの研究では、片頭痛と自殺リスクとの関連が示唆されているが、さまざまな頭痛疾患と自殺企図および自殺リスクとの関連を評価した研究は限られている。デンマーク・オーフス大学のHolly Elser氏らは、片頭痛、緊張型頭痛、外傷後頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛(TAC)と自殺企図および自殺リスクとの関連を調査した。JAMA Neurology誌オンライン版2025年2月3日号の報告。  1995〜2020年にデンマーク国民を対象に人口ベースコホート研究を実施した。デンマークの人口約560万人を対象に、頭痛と診断された15歳以上の患者を性別および生年月日に基づき1:5でマッチさせた対照者。2023年5月〜2024年5月にデータ分析を行った。頭痛患者は、入院、救急外来、専門外来クリニックにおいてICD-10に基づきはじめて頭痛と診断された患者。主要アウトカムは、自殺企図および自殺リスクとした。自殺企図は、ICD-10診断コードを用いてデンマーク国立患者レジストリおよびデンマーク精神医学中央研究レジストリより特定した。自殺は、デンマーク死因レジストリより特定した。自殺企図および自殺の絶対リスク(AR)とリスク差(RD)は、累積発生率関数を用いて算出した。頭痛診断と関連する自殺企図および自殺のハザード比(HR)は、年齢、性別、年、教育、収入、ベースラインの併存疾患で調整したのち、競合する死亡リスクを考慮して算出した。 主な結果は以下のとおり。 ・対象は、頭痛と診断された患者11万9,486例(女性の割合:69.5%[8万3,046例])と対照群59万7,430例(女性の割合:69.5%[41万5,230例])。 ・年齢中央値は、40.1歳(IQR:29.1〜51.6)。 ・自殺企図の15年ARは、頭痛患者で0.78%(95%CI:0.72〜0.85)、比較コホートで0.33%(95%CI:0.31〜0.35)であった(RD:0.45%、95%CI:0.39〜0.53)。 ・自殺の15年ARは、頭痛患者で0.21%(95%CI:0.17〜0.24)、比較コホートで0.15%(95%CI:0.13〜0.16)であった(RD:0.06%、95%CI:0.02〜0.10)。 ・自殺企図および自殺の危険性は、比較コホートと比較し、頭痛患者で有意に高かった。  【自殺企図の危険性】HR:2.04、95%CI:1.84〜2.27  【自殺の危険性】HR:1.40、95%CI:1.17〜1.68 ・これらの結果は、頭痛の種類を問わず一致しており、TACおよび外傷後頭痛との関連性はより強力であった。  著者らは「頭痛の診断と自殺企図および自殺との間に、強力かつ持続的な関連性が確認された。これは、頭痛患者における行動健康評価および治療の重要性を示唆している」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Elser H, et al. JAMA Neurol. 2025 Feb 3. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39899309 ヒポクラ(医師限定)へ ※新規会員登録はこちら
老化予防のポイントは「ω3脂肪酸」、 3年間で約3ヵ月老化が遅延
老化予防のポイントは「ω3脂肪酸」、 3年間で約3ヵ月老化が遅延
公開日:2025年2月12日 Bischoff-Ferrari HA, et al. Nat Aging. 2025 Feb 3. [Epub ahead of print]  観察研究や小規模パイロット試験において、ビタミンD、ω3脂肪酸、運動が生物学的老化を遅延させる可能性が示唆されている。しかし、これらの介入をそれぞれまたは組み合わせた場合の抗老化作用を評価した大規模臨床試験は不十分である。スイス・チューリッヒ大学のHeike A. Bischoff-Ferrari氏らは、DO-HEALTH試験に参加した高齢者を対象に3年間にわたるビタミンD、ω3脂肪酸、運動プログラムが生物学的老化に及ぼす影響について、新たな事後分析結果を報告した。Nature Aging誌オンライン版2025年2月3日号の報告。  DO-HEALTH試験は、高齢者の健康寿命を延長させることを目的とした大規模臨床試験である。対象は、スイス在住の70歳以上の健康高齢者777人。 3年間にわたるビタミンD(2,000IU/日)、ω3脂肪酸(1g/日)、自宅での運動プログラム(週3回30分)の3つの介入と生物学的老化との関連を評価した。生物学的老化の評価には、4種類のDNAメチル化指標(PhenoAge、GrimAge、GrimAge2、DunedinPACE)を用いた。対象高齢者は、対照群、ビタミンD、ω3脂肪酸、運動プログラムのそれぞれ単独または組み合わせた8群に分類し、3年間の介入を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・ω3脂肪酸単独介入だけで、 3つの指標(PhenoAge、GrimAge2、DunedinPACE)において、生物学的老化の延長効果が認められた。  【PhenoAge】d=−0.16(95%CI:−0.02~−0.30)  【GrimAge2】d=−0.32(95%CI:−0.06~−0.59)  【DunedinPACE】d=−0.17(95%CI:−0.04~−0.31) ・ω3脂肪酸とビタミンDおよびまたは運動プログラムを組み合わせた場合、PhenoAgeにおいて相加的な効果が認められた(dの範囲:−0.24~−0.32)。 ・全体として、ベースラインから3年目までの標準化効果は0.16〜0.32単位であり、 3年間で2.9〜3.8ヵ月の抗老化作用が確認された。  著者らは「ω3脂肪酸を3年間摂取することで、生物学的老化を遅延させることが示唆された。さらに、ビタミンDや運動プログラムによる介入を併用することにより、相加的な効果が期待できることが明らかとなった」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Bischoff-Ferrari HA, et al. Nat Aging. 2025 Feb 3. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39900648 ヒポクラ(医師限定)へ ※新規会員登録はこちら
「ビーフ or チキン」アルツハイマー病に影響する食品は? 他4本≫ Journal Check Vol.136(2025年02月15日号)
「ビーフ or チキン」アルツハイマー病に影響する食品は? 他4本≫ Journal Check Vol.136(2025年02月15日号)
「ビーフ or チキン」アルツハイマー病に影響する食品は? アルツハイマー病(AD)と食習慣との因果関係は明らかではない。著者らは、遺伝データを用いたメンデルランダム化解析を実施し、加工肉・鶏肉・牛肉を含む17種類の食習慣とADの因果関係を包括的に評価した。Food & function誌オンライン版2025年2月3日号の報告。 ≫ヒポクラPLUSで続きを読む 日本人のBMI別 SGLT2阻害薬の腎保護効果は? SGLT2阻害薬の腎機能保護効果が処方開始時のBMIによって変化するかどうかは明らかではない。著者らは、日本の全国規模の疫学データベースを用いて、SGLT2阻害薬またはDPP-4阻害薬を新規処方された2型糖尿病患者を対象に、BMIと腎保護効果の関係を調査する後ろ向きコホート研究を実施した。European Heart Journal - Cardiovascular Pharmacotherapy誌オンライン版2025年2月3日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む ”水分摂取で便秘改善”は本当なのか? 便秘は一般的な消化器疾患でありQOLを低下させる。食事からの水分摂取が腸の健康に影響を与えると考えられているが、長期的な大規模集団研究では十分に調査されていない。著者らは、成人の食事性水分摂取と便秘との相関を明らかにするために、NHANES参加者のデータ解析を実施した。BMC Public Health誌版2025年1月31日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む サプリメントはサッカー選手のパフォーマンスにどのような影響を与える? 著者らは、サッカー選手の健康状態とパフォーマンスに対する、L-アルギニン、BCAA、クレアチン、ビタミンD、B、E、C、鉄などの一般的に使用されているサプリメントの有効性を検討するために、系統的レビューを実施した。Journal of Basic and Clinical Physiology and Pharmacology誌オンライン版2025年2月10日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む ドライニードリング(トリガーポイント)の真価とは!? ドライニードリング(トリガーポイント)は、スポーツや再生医療の分野で広がりを見せる手技であるが、スポーツ選手のパフォーマンスや回復に対する包括的な概要はない。著者らは、PRISMA 2020に基づき、健康な選手および負傷した選手を対象としたドライニードリング研究を系統的にレビューし、エビデンスギャップマップを作成した。Sports Medicine誌オンライン版2025年2月10日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む ヒポクラへ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ Journal Check Vol.135(2025年02月08日号) コーヒー・紅茶の健康効果が高いのはどんな人? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.134(2025年02月01日号) 筋トレの「神話」と「真実」:ジム利用者は正解を知っている? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.133(2025年01月25日号) 結局、赤肉は健康に是か非か? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.132(2025年01月18日号) コーヒーはいつ飲むのがベストか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.131(2025年01月11日号) 結局、アジア人にとって乳製品はCVDリスクを減らすのか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.130(2024年12月21日号) 月1回未満の性行為は、うつ病リスクを高める!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.129(2024年12月14日号) 寒さによる"震え”は、1日〇時間でダイエット効果あり!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.128(2024年12月07日号) 筋トレに最適な時間帯は、午前?午後? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.127(2024年11月30日号) コーヒーと筋肉量の関係:性別・年代別の最適なコーヒー摂取量は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.126(2024年11月23日号) この1時間の追加歩行で、寿命は何時間延長する? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.125(2024年11月16日号) カロリー制限で痩せるのは女性だけ!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.124(2024年11月09日号) 睡眠スコア改善で、生物学的年齢は何年若返る? 他4本
男性不妊症に超加工食品が影響、精子濃度低下の可能性
男性不妊症に超加工食品が影響、精子濃度低下の可能性
公開日:2025年2月11日 Soltani M, et al. BMC Res Notes. 2025; 18: 48.  最近の研究では、男性不妊症と不健康な食生活、酸化ストレス、炎症などとの関連が示唆されているが、超加工食品と男性不妊症との潜在的な関連性は、十分に調査されていない。イラン・テヘラン医科大学のMitra Soltani氏らは、超加工食品と男性不妊症との関連を調査するため、精子の質のパラメータを評価した。BMC Research Notes誌2025年2月1日号の報告。  対象は、イラン・エスファハーン州の不妊センターより募集された男性260例。総精子運動性、精子濃度、精子数、精子形態などの4つのパラメータを評価した。対象者の食物摂取量は、検証済みの168項目食物摂取頻度質問票を用いて評価した。超加工食品には、加工肉、ビスケット、ケーキ、キャンディー、菓子、アイスクリーム、塩味スナック、甘味飲料、パン、人工フルーツ飲料、菓子パン、ソース、マーガリン、ソフトドリンク、ドレッシング、フライドポテトなどを含めた。超加工食品指数は、NOVAシステムを用いて算出した。超加工食品の摂取量に基づき三分位に分類した(最高三分位〜最低三分位)。超加工食品と精子パラメータとの関連性の分析には、ロジスティック回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・crude modelでは、超加工食品の第2三分位と最高三分位との間で精子濃度、総精子運動性、精子の形態異常に有意な関連は認められなかった(各々、p>0.05)。 ・年齢、婚姻期間、BMI、身体活動、うつ病、不安、ストレス、エネルギー摂取量、喫煙歴、ミネラルおよびビタミン サプリメントで調整した後、超加工食品の第2三分位と精子濃度の異常との間に有意に強い関連性が認められた(オッズ比: 3.962、95%信頼区間:1.345〜11.670、p=0.013)。  著者らは「超加工食品の摂取量と精子運動性、精子形態との間に有意な関連は認められなかったが、超加工食品の摂取量が多いほど精子濃度が低下することが明らかとなった。今後の研究で、これらの結果がさらに確認されれば、生殖年齢男性の不妊症に対処する介入や予防プログラムの作成に役立つ可能性がある」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Soltani M, et al. BMC Res Notes. 2025; 18: 48.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39891278 ヒポクラ(医師限定)へ ※新規会員登録はこちら
メトホルミンの大腸がん腫瘍殺傷効果、そのメカニズムは
メトホルミンの大腸がん腫瘍殺傷効果、そのメカニズムは
公開日:2025年2月10日 Shabkhizan R, et al. Stem Cell Res Ther. 2025; 16: 45.  標準的な2次元細胞培養により有望なアウトカムが得られているにもかかわらず、これらのデータは、in vivoにおける腫瘍実質と完全に類似しているとはいえない。そこで、さまざまな3次元細胞培養システムが開発、製造され、実際の細胞集塊における複雑な細胞間相互作用を部分的に模倣可能となった。イラン・タブリーズ医科大学のRoya Shabkhizan氏らは、in vitroシステムにおける大腸がん腫瘍様細胞に対する、オートファジーの調節を介したメトホルミンの腫瘍殺傷効果を評価した。Stem Cell Research & Therapy誌2025年2月4日号の報告。  大腸がん腫瘍様細胞を、2.5%メチルセルロースを含む培地でヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)、腺がんHT29細胞、線維芽細胞を1:2:1の比率で使用し、作成した。腫瘍様細胞に対し、メトホルミン20〜1,000mMのさまざまな濃度で72時間曝露を行った。細胞生存率の検出には、LDH release assayを用いた。オートファージ関連因子の発現およびタンパク質レベルは、それぞれPCRアレイ、ウエスタンブロッティングを用いて測定した。ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)および免疫組織学的染色(Ki67)を用いて、大腸がん腫瘍様細胞のintegrityおよび増殖率を評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・明視野画像では、本プロトコルで作成された大腸がん腫瘍様細胞は、比較的明るい周辺領域(外層)に囲まれた中央の暗い領域を示す、典型的かつコンパクトな腫瘍様細胞であった。 ・リリースされたLDH含有量にわずかな変化がみられたが、メトホルミン群と対照群の比較において、細胞毒性の関する統計学的な有意差は認められず、腫瘍細胞死に対するメトホルミンの作用は不十分であった(p>0.05)。 ・ウエスタンブロッティング解析では、メトホルミン120mMで曝露された腫瘍様細胞において、LC3II/I比の減少が認められた(p<0.05)。これらのデータは、メトホルミン40mM群および対照群と比較した、メトホルミン120mM群の腫瘍様細胞内p62含有量の減少と一致していた(p<0.05)。 ・PCRアレイ解析では、対照群と比較し、メトホルミン40mM群および120mM群において、オートファジー機構に関連するさまざまなシグナル伝達経路、オートファジーとアポトーシスの共通エフェクターに関連する複数遺伝子の上方および下方制御が確認された(p<0.05)。これらの変化は、メトホルミン120mMで曝露された腫瘍様細胞でより顕著であった。 ・組織学的検査では、メトホルミン曝露群(とくに120mM群)の腫瘍様細胞において、integrityが緩和され、アポトーシスおよびネクローシスの変化による細胞死が増加していることが確認された。 ・メトホルミン120mM群では、線維状マトリックスの残滓を伴う紡錘形状細胞が検出された。 ・メトホルミン濃度を40mMから120mMにすることで、腫瘍様組織内で増殖中のKi67陽性細胞の減少が認められた。  著者らは「メトホルミンにより、大腸がん腫瘍様細胞内で典型的なネクローシスおよびアポトーシス細胞の両方が同時に発生し、腫瘍様細胞で共有されるさまざまなオートファジーやアポトーシス遺伝子が調整されていることがわかった。これは、メトホルミンが過剰なオートファジー反応を刺激し、アポトーシス関連遺伝子を活性化する可能性を示しており、同時に増殖(Ki67陽性細胞)を抑制し、ネクローシス変化を増加させ、大腸がん腫瘍様細胞の崩壊につながることを示唆している。また、これらの効果は、用量依存的に高まることが明らかとなった」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Shabkhizan R, et al. Stem Cell Res Ther. 2025; 16: 45.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39901295 ヒポクラ(医師限定)へ ※新規会員登録はこちら
コーヒー・紅茶の健康効果が高いのはどんな人?
コーヒー・紅茶の健康効果が高いのはどんな人?
公開日:2025年2月8日 Hou KC, et al. J Formos Med Assoc. 2025; 124: 178-185.  コーヒーや紅茶の摂取は、認知症と関連していることが示唆されている。しかし、この関連に、性別や心血管リスク因子がどのような影響を及ぼすかは、よくわかっていない。国立台湾大学のKuan-Chu Hou氏らは、コーヒーおよび紅茶の摂取と認知症との関連および性別や心血管合併症による影響を調査した。Journal of the Formosan Medical Association誌2025年2月号の報告。  対象は、3つの医療機関より募集したアルツハイマー病患者278例、血管性認知症患者102例、健康対象者468例。コーヒーと紅茶の摂取頻度および摂取量、心血管合併症の有無を収集した。性別および心血管合併症で層別化し、コーヒーや紅茶の摂取と認知症との関連性を評価するため、多項ロジスティック回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・コーヒーと紅茶の摂取は、さまざまな組み合わせおよび量において、アルツハイマー病および血管性認知症の予防と関連していた。 ・1日当たり3杯以上のコーヒーまたは紅茶の摂取は、アルツハイマー病(調整オッズ比[aOR]:0.42、95%信頼区間[CI]:0.22〜0.78)および血管性認知症(aOR:0.42、95%CI:0. 19〜0.94)の保護因子であることが示唆された。 ・層別化解析では、女性および高血圧患者において、コーヒーや紅茶の摂取量が多いほど、アルツハイマー病に対する保護作用が顕著であることが示された。 ・コーヒーまたは紅茶のいずれかを摂取した場合、糖尿病患者における血管性認知症リスクの低下との関連が認められた(aOR:0.23、95%CI:0.06〜0.98)。 ・脂質異常症は、コーヒーまたは紅茶の摂取とアルツハイマー病および血管性認知症との関連を変化させる因子であった(各々、Pinteraction<0.01)。  著者らは「コーヒーおよび紅茶の摂取量が増加すると、アルツハイマー病および血管性認知症リスクが低下することが明らかとなった。この関連は、性別および高血圧、脂質異常症、糖尿病などの心血管合併症により変化することが示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Hou KC, et al. J Formos Med Assoc. 2025; 124: 178-185.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38714417 ヒポクラ(医師限定)へ ※新規会員登録はこちら
ビールだけではない!高尿酸血症予防に重要な食品はこれ
ビールだけではない!高尿酸血症予防に重要な食品はこれ
公開日:2025年2月7日 Zhang WZ, et al. Medicine (Baltimore). 2025; 104: e41399.  中国・マカオ科技大学のWei-Zheng Zhang氏らは、ライフスタイルや食習慣が高尿酸血症に及ぼす影響を調査した。Medicine誌2025年1月30日号の報告。  対象は、2018年に高尿酸血症でなかった1万883人。質問票を用いて、食習慣およびライフスタイルを収集した。高尿酸血症のリスク因子を特定するため、多変量ロジスティック回帰を用いた。2年前と現在の尿酸値の変化を比較するため、t検定およびスピアマンの順位相関係数を用いた。各変数が尿酸値の変化に及ぼす傾向効果の分析には、線形回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・2年間のフォローアップ期間後、高尿酸血症を発症した人は3,156人、発症しなかった人は7,727人。 ・高尿酸血症の有病率の違いと関連していた因子は、性別、高脂肪食、燻製、揚げ物、牛乳/大豆製品、甘味飲料、睡眠時間、喫煙/飲酒の頻度であった。 ・その中でも、牛乳/大豆製品摂取の低さおよび短時間睡眠は、高尿酸血症のリスク因子であり、男性では2年後の尿酸値の上昇傾向が認められた。  著者らは「高尿酸血症患者は、揚げ物、アルコール、プリン体を多く含む食品摂取を極力減らし、牛乳/大豆製品の摂取量を増やして、睡眠時間を改善し、腎臓および肝臓の機能改善に務めることが推奨される」とまとめている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Zhang WZ, et al. Medicine (Baltimore). 2025; 104: e41399.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39889152 ヒポクラ(医師限定)へ ※新規会員登録はこちら
衝撃の結果!遠隔医療導入で外来待ち時間はどのくらい短縮されるか/BMJ Open
衝撃の結果!遠隔医療導入で外来待ち時間はどのくらい短縮されるか/BMJ Open
公開日:2025年2月6日 Capodici A, et al. BMJ Open. 2025; 15: e088153.  社会の高齢化や慢性疾患の増加は、医療システムの継続に多大な負担を及ぼしている。医療資源のリソース不足は、とくに地方において平等な医療アクセスへの妨げとなり、待ち時間の増加による、罹患率および死亡率のリスク増加を引き起こす可能性がある。遠隔医療は、アクセスギャップを改善し、健康アウトカムを向上させる有望な解決策となりうることが期待される。イタリア・ボローニャ大学のAngelo Capodici氏らは、待ち時間に対する遠隔医療導入の影響を定量的に調査するため、システマティックレビューおよび定量分析を行った。BMJ Open誌2025年1月30日号の報告。  英語で公表された待ち時間に特化した遠隔医療介入に関する研究をPubMed および Scopus データベースよりシステマティックに検索し、レビューを行った。待ち時間の定義は、外来患者の診察予約からサービス提供までの経過時間とした。待ち時間について言及していない研究は除外した。待ち時間の加重平均短縮を算出し、バイアスリスクを評価した。バイアスリスクの評価には、3つのツール(ROBINS-I、AXIS、RoB-2)を用いた。平均値を報告した研究では加重平均アプローチ、中央値を報告した研究では中央値アプローチを用いて、結果を統合した。 主な結果は以下のとおり。 ・遠隔医療介入群および対照群あわせて27万388例を含む53件の研究を分析に含めた。 ・バイアスリスク評価では、低リスクが69.8%、中リスクが26.4%、高リスクが0%。 ・全体での待ち時間の加重平均短縮は、25.4日であった。 ・臨床専門分野に焦点を当てた場合(11万4,042例)、加重平均短縮は34.7日であった。 ・外来患者(15万6,346例)における加重平均短縮は17.3日であった。  著者らは「遠隔医療システムを導入することで、待ち時間が大幅に短縮され、より効率的かつ平等な医療システムとなりうる可能性が示された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Capodici A, et al. BMJ Open. 2025; 15: e088153.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39884707 ヒポクラ(医師限定)へ ※新規会員登録はこちら
コーヒー・紅茶の健康効果が高いのはどんな人? 他4本≫ Journal Check Vol.135(2025年02月08日号)
コーヒー・紅茶の健康効果が高いのはどんな人? 他4本≫ Journal Check Vol.135(2025年02月08日号)
コーヒー・紅茶の健康効果が高いのはどんな人? コーヒー・紅茶の摂取と認知症との関連が示唆されているが、性別や心血管リスク因子がこの関連性に及ぼす作用は十分に解明されていない。著者らは、コーヒーおよび紅茶の摂取量と認知症との関連性、および性別や高血圧、糖尿病、脂質異常症などの心血管合併症がその関連に与える影響について検討した。Journal of the Formosan Medical Association誌2025年2月号の報告。 ≫ヒポクラPLUSで続きを読む COVID-19はインフルエンザより危険か? COVID-19は2022年5月以降減少傾向にあるが、依然として多くの入院や死亡の原因となっている。 著者らは、2022年5月〜2024年6月のデンマークにおけるCOVID-19とインフルエンザによる疾病負担を比較するため、全国データベースを用いた観察コホート研究を実施した。The Lancet Infectious diseases誌オンライン版2025年1月29日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 禁煙には「ニコチン入り」電子タバコの方が効果的!? 電子タバコ(EC)は禁煙補助具として注目されているが、その有効性と安全性については議論が続いている。著者らは、ニコチン入りECの禁煙成功率や副作用の発生率を、ニコチンフリーECやニコチン置換療法(NRT)、無治療群と比較検討するためにシステマティックレビューとメタ解析を実施した。The Cochrane Database of Systematic Reviews誌2025年1月29日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む アイスバス(冷水浴)は健康とウェルビーイングに結びつく!? 冷水浴(CWI)は、健康やウェルビーイング向上の手段として人気があるが、その心理的、認知的、生理的な効果については十分に解明されていない。著者らは、健常な成人におけるCWIがストレス、免疫、睡眠の質、生活の質などに及ぼす影響を評価するために、システマティックレビューとメタ解析を実施した。PLOS ONE誌オンライン版2025年1月29日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む 利用者の医薬品が漏れ出てる!?温泉・プールの意外な水質汚染 医薬品や違法薬物などの微量汚染物質による水質汚染は、環境および公衆衛生上の重要な課題であるが、温泉やプールといったレジャー施設における汚染の実態とその原因は十分に解明されていない。著者らは、温泉・プールの水を分析し、汚染物質の分布パターンとその発生源について調査した。Environmental Pollution誌オンライン版2025年1月29日号の報告。 ≫ヒポクラ論文検索で続きを読む ヒポクラへ アンケート:ご意見箱 ※新規会員登録はこちら ヒポクラ Journal Check Vol.134(2025年02月01日号) 筋トレの「神話」と「真実」:ジム利用者は正解を知っている? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.133(2025年01月25日号) 結局、赤肉は健康に是か非か? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.132(2025年01月18日号) コーヒーはいつ飲むのがベストか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.131(2025年01月11日号) 結局、アジア人にとって乳製品はCVDリスクを減らすのか? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.130(2024年12月21日号) 月1回未満の性行為は、うつ病リスクを高める!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.129(2024年12月14日号) 寒さによる"震え”は、1日〇時間でダイエット効果あり!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.128(2024年12月07日号) 筋トレに最適な時間帯は、午前?午後? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.127(2024年11月30日号) コーヒーと筋肉量の関係:性別・年代別の最適なコーヒー摂取量は? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.126(2024年11月23日号) この1時間の追加歩行で、寿命は何時間延長する? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.125(2024年11月16日号) カロリー制限で痩せるのは女性だけ!? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.124(2024年11月09日号) 睡眠スコア改善で、生物学的年齢は何年若返る? 他4本 ヒポクラ Journal Check Vol.123(2024年11月02日号) アルコール摂取で寿命は何年縮むのか? 他4本
低用量4剤併用による高血圧治療は2剤併用より優れているか
低用量4剤併用による高血圧治療は2剤併用より優れているか
公開日:2025年2月5日 Zhao X, et al. BMC Med. 2025; 23: 56.  高血圧のガイドラインでは、初期降圧療法における2剤併用療法が認められている。一方、これまでの研究では、高血圧患者に対する低用量4剤併用療法は、単剤療法よりも優れていることが報告されている。しかし、低用量4剤併用療法が2剤併用療法よりも優れているかは、明らかとなっていない。中国・The Third Xiangya Hospital of Central South UniversityのXiexiong Zhao氏らは、軽症〜中等症の高血圧患者の初期治療における低用量4剤併用療法と標準用量2剤併用療法の有効性および安全性を比較するため、ランダム化盲検クロスオーバー試験を実施した。BMC Medicine誌2025年1月29日号の報告。  対象は、軽症〜中等症の高血圧患者。初期治療として、低用量4剤併用療法(イルベサルタン75mg+メトプロロール23.75mg+アムロジピン2.5mg+インダパミド1.25mg)と標準用量2剤併用療法(イルベサルタン150mg+アムロジピン5mg)を1錠で行い、その有効性および安全性を比較した。対象患者は、2つのクロスオーバーシーケンスに1:1でランラムに割り付けられた。各シーケンスでは、低用量4剤併用療法または標準用量2剤併用療法を4週間実施し、その後2週間のウォッシュアウト後に4週間のクロスオーバーを行った。対象患者および研究者には盲検化した。主要アウトカムは、血圧低下および安全性アウトカムとした。分析は、ITTに基づき実施した。 主な結果は以下のとおり。 ・2022年7月13日〜2023年4月20日に軽度〜中等度の高血圧患者90例が登録され、ランダム化された。 ・対象患者の平均年齢は43.88±10.31歳、女性の割合は25.6%。 ・ベースライン時の24時間平均血圧は145.59/93.84mmHgであった。 ・低用量4剤併用療法は、標準用量2剤併用療法と比較し、24時間平均血圧、日中平均血圧、夜間平均血圧、診察室平均血圧のさらなる低下が確認された。  【24時間平均血圧】4.72/4.17mmHg低下(各々、p<0.001)  【日中平均血圧】5.52/4.73mmHg低下(各々、p<0.001)  【夜間平均血圧】2.37/2.25mmHg低下(p=0.034、p=0.014)  【診察室平均血圧】2.91/1.73mmHg低下(p<0.001、p=0.014) ・安全性に関しては、低用量4剤併用療法における空腹時血糖(p=0.029)および血清尿酸値(p<0.001)の有意な上昇が認められたが、その他の有害事象および臨床検査値の変化に両群間で有意な差は認められなかった。  結果を踏まえ、著者らは「高血圧患者の初期治療における低用量4剤併用療法は、標準用量2剤併用療法よりも降圧効果に優れており、安全性は同程度であることが確認された」としている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Zhao X, et al. BMC Med. 2025; 23: 56.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39881316 ヒポクラ(医師限定)へ ※新規会員登録はこちら
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