超肥満患者にはDOACよりもワルファリンで治療すべきなのか
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超肥満患者にはDOACよりもワルファリンで治療すべきなのか

公開日:2025年2月21日

 現在のガイドラインやコンセンサスステートメントなどでは、超肥満患者に直接経口抗凝固薬(DOAC)を使用する際には、注意が必要であるとされており、このような患者に対する治療では、ワルファリンが最も研究されている。ギリシャ・アテネ国立カポディストリィアコ大学のMarios Sagris氏らは、BMIが40kg/m2超の心房細動または静脈血栓塞栓症患者を対象に、DOACとワルファリンの有効性および安全性を比較するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Current Vascular Pharmacology誌オンライン版2025年2月11日号の報告。
 2024年1月4日までに公表された研究をデータベースよりシステマティックに検索した。BMIが40kg/m2超の心房細動または静脈血栓塞栓症患者におけるDOACとワルファリンの有効性および安全性を比較した研究を特定した。全死亡率、大出血・小出血、脳卒中/全身性塞栓、静脈血栓塞栓症およびこれらの複合エンドポイントのアウトカムは、ランダム効果モデルを用いて分析した。
主な結果は以下のとおり。
・24研究、11万9,960例の患者をメタ解析に含めた。 ・DOAC使用患者は5万1,363例(43%)、ワルファリン使用患者は6万8,597例(57%)。 ・DOAC使用は、ワルファリン使用と比較し、全死亡率および大出血リスクの低下と有意な関連が認められた。 ・複合エンドポイント、脳卒中/全身性塞栓、静脈血栓塞栓症のリスクは、DOAC使用患者の方が低かったが、統計学的に有意な差は認められなかった。また、DOAC使用と比較したワルファリンの優位性は示されなかった。 ・小出血イベント、出血性脳卒中、虚血性脳卒中のリスクは、ワルファリン使用と比較し、DOAC使用の方が低かった。 ・抗凝固薬の適応(心房細動または静脈血栓塞栓症)に基づくサブグループ解析でも、評価したすべてのエンドポイントにおいて、DOACはワルファリンよりも優れる傾向がみられた。
 著者らは「心房細動、静脈血栓塞栓症のいずれにおいても、超肥満患者に対するDOAC使用は、ワルファリンよりも潜在的に有効であり、安全性プロファイルも良好であることが示唆された」と結論付けている。


(鷹野 敦夫)

原著論文はこちら Sagris M, et al. Curr Vasc Pharmacol. 2025 Feb 11. [Epub ahead of print]
https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39950453

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