「イブルチニブ(イムブルビカ)」の記事一覧

再発DLBCLに対するベネトクラクス+イブルチニブ+プレドニゾン+オビヌツズマブ+レナリドミド併用療法
再発DLBCLに対するベネトクラクス+イブルチニブ+プレドニゾン+オビヌツズマブ+レナリドミド併用療法
公開日:2024年6月24日 Melani C, et al. N Engl J Med. 2024; 390: 2143-2155.  びまん性大細胞性B細胞リンパ腫(DLBCL)における発癌変異の特定により、それらをターゲットとする薬剤が次々と開発されている。しかし、複数のターゲットに対する薬剤を併用した場合の有効については不明である。米国・国立がん研究所のChristopher Melani氏らは、再発・難治性DLBCL患者を対象に、ベネトクラクス+イブルチニブ+プレドニゾン+オビヌツズマブ+レナリドミド併用療法の有用性を評価した。The New England Journal of Medicine誌2024年6月20日号の報告。  再発・難治性DLBCL患者を対象に、ベネトクラクス+イブルチニブ+プレドニゾン+オビヌツズマブ+レナリドミド併用(ViPOR)療法に関する単施設第Ib-II相試験を実施した。DLBCLおよび低悪性度リンパ腫患者を含む第Ib相試験では、ベネトクラクスの4段階の用量を評価し、第II相試験での推奨用量を特定した(その他4剤の用量は固定)。胚中心B細胞(GCB)および非GCBのDLBCL患者を対象に、第II相拡大試験を行った。ViPOR療法は、21日ごとに6サイクル実施した。 主な結果は以下のとおり。 ・第 Ib相試験の対象患者20例(DLBCL患者10例を含む)において、グレード3の頭蓋内出血(用量制限毒性作用)が1件発生した。その結果、第II相試験のベネトクラクス推奨用量は、800mgと特定した。 ・第II相試験には、DLBCL患者40例が登録された。 ・毒性作用は、グレード3または4の好中球減少症(24%/サイクル)、血小板減少症(23%/サイクル)、貧血(7%/サイクル)、発熱性好中球減少症(1%/サイクル)であった。 ・評価可能なDLBCL患者48例のうち54%で客観的奏効が認められ、完全奏効(CR)は38%で認められた。CRは、非GCBのDLBCL患者およびMYC遺伝子およびBCL2またはBCL6遺伝子(またはその両方)の再構成を伴う高悪性度B細胞リンパ腫患者で認められた。 ・ViPOR療法終了時、血中内腫瘍循環DNAが検出されなかった患者は33%であった。 ・フォローアップ期間中央値は40ヵ月、2年無増悪生存期間(PFS)は34%(95%信頼区間[CI]:21〜47)、全生存期間は36%(95%CI:23〜49)であった。  著者らは「ViPOR療法は、特定のDLBCLサブタイプ患者の持続的な寛解と関連していたが、可逆的な有害事象との関連も認められた」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Delimpasi S, et al. Am J Hematol. 2024 Jun 10. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38856176 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性CNSリンパ腫に対するイブルチニブ単剤療法の長期評価〜第II相試験
再発・難治性CNSリンパ腫に対するイブルチニブ単剤療法の長期評価〜第II相試験
公開日:2024年7月16日 Grommes C, et al. Clin Cancer Res. 2024 Jul 12. [Epub ahead of print]  ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬イブルチニブは、ファーストインクラスの薬剤である。著者らはこれまで、再発・難治性の中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)または二次性中枢神経系リンパ腫(SCNSL)患者20例におけるイブルチニブの安全性と短期的な抗腫瘍活性を報告した。米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのChristian Grommes氏らは、イブルチニブの長期的な評価を行うため、用量漸増コホートとの複合コホートの結果を報告した。Clinical Cancer Research誌オンライン版2024年7月12日号の報告。  用量漸増コホートには、再発・難治性PCNSLおよびSCNSL患者26例が登録された。拡大コホートと用量漸増コホートを合わせた46例(PCNSL:31例、SCNSL:15例)の患者を対象に、複合コホートを実施した。イブルチニブの投与量は、用量漸増コホートでは560mg/日または840mg/日、拡大コホートでは840mg/日であった。フォローアップ期間中央値は、PCNSL患者で49.9ヵ月、SCNSL患者で62.1ヵ月であった。イブルチニブ治療前および治療中に採取した腫瘍生検および脳脊髄液(CSF)からDNA配列を決定した。 主な結果は以下のとおり。 ・抗腫瘍活性は、PCNSL患者23例(74%)、SCNSL患者9例(60%)で観察された。 ・完全奏効(CR)は、PCNSL患者12例、SCNSL患者7例で認められた。 ・PCNSL患者の無増悪生存期間(PFS)中央値は4.5ヵ月(95%CI:2.8〜9.2)、1年PFSは23.7%(95%CI:12.4〜45.1)であった。 ・PCNSLレスポンダー23例における奏効期間(DOR)中央値は5.5ヵ月であった。 ・SCNSL患者のPFS中央値は5.3ヵ月(95%CI:1.3〜14.5)、レスポンダー9例のDOR中央値は8.7ヵ月であった。 ・探索的バイオマーカー分析では、PCNSL患者におけるイブルチニブの長期的な奏効と関連している因子としてTBL1XR1の変異が示唆された(p=0.0075)。 ・CSFからの循環腫瘍DNAクリアランスは、イブルチニブのCRかつ長期的奏効と関連が認められた。  著者らは「長期的なフォローアップ調査により、再発・難治性の中枢神経系リンパ腫に対するイブルチニブ単剤療法の抗腫瘍活性が確認され、奏効に対する分子的な決定因子が特定された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Grommes C, et al. Clin Cancer Res. 2024 Jul 12. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38995739 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
高齢者DLBCLにR-mini-CHOP+イブルチニブが有効〜第II相ALLG試験/Blood Adv
高齢者DLBCLにR-mini-CHOP+イブルチニブが有効〜第II相ALLG試験/Blood Adv
公開日:2024年9月5日 Verner E, et al. Blood Adv. 2024 Sep 3. [Epub ahead of print]  75歳以上の高齢者の初発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者を対象に、R-mini-CHOP療法にイブルチニブを追加した場合の有効性を評価するため、オーストラリア白血病およびリンパ腫グループ(ALLG)は、多施設共同プロスペクティブコホート試験を実施した。その結果、オーストラリア・Concord Repatriation General HospitalのEmma Verner氏らは、「R-mini-CHOP療法にイブルチニブを追加した本レジメンは、高齢者DLBCL患者に有用である」と報告した。Blood Advances誌オンライン版2024年9月3日号の報告。  R-mini-CHOP+イブルチニブを21日サイクルで6回実施し、その後、リツキシマブ+イブルチニブを21日サイクルで2回実施した。主要エンドポイントは、有効性および2年全生存率(OS)とした。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者79例中、R-mini-CHOP 6サイクルを完了した患者は63例(80%)、レジメン全体の平均相対総用量中央値は97%(IQR:82〜100)、平均相対用量強度中央値は97%(IQR:88〜100)であった。 ・フォローアップ期間中央値は35.5ヵ月、2年OSは68%(95%CI:55.6〜77.4)、2年無増悪生存率(PFS)は60.0%(95%CI:47.7〜70.3)。 ・OS中央値は72ヵ月(95%CI:35〜未達)、PFS中央値は40ヵ月(95%CI:20.4〜未達)であった。 ・全奏効率(ORR)は76%(79例中61例)、完全奏効(CR)は71%(79例中56例)。 ・死亡は79例中34例(43%)でみられ、内訳は病勢進行17例、治療関連死亡5例であった。 ・1つ以上の重篤な有害事象が認められた患者の割合は67%。 ・最も一般的な有害事象は、感染症と下痢であり、そのほとんどがグレード1〜2であった。 ・健康関連QOLは、時間経過とともに改善が認められた。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Verner E, et al. Blood Adv. 2024 Sep 3. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39226464 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
PCNSLに対するR-MPV+レナリドミド/イブルチニブ併用療法〜第Ib/II相試験
PCNSLに対するR-MPV+レナリドミド/イブルチニブ併用療法〜第Ib/II相試験
公開日:2024年9月27日 Marion A, et al. J Hematol Oncol. 2024; 17: 86.  これまでの中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)に対する導入化学療法の結果は、改善の余地がある。BTK阻害薬イブルチニブおよび免疫調整薬レナリドミドは、再発PCNSLへの有効性が示されている薬剤である。フランス・Institut CurieのAlcantara Marion氏らは、新規PCNSL患者を対象に、高用量メトトレキサートベースの化学療法にイブルチニブまたはレナリドミドを併用した際の有効性および安全性を評価するため、第Ib/II相試験を実施した。Journal of Hematology & Oncology誌2024年9月19日号の報告。  本試験は、3+3デザインで実施した。新規PCNSL患者26例を対象に、リツキシマブ+メトトレキサート+プロカルバジン+ビンクリスチン+prednisone(R-MPV療法)とイブルチニブまたはレナリドミドの28日サイクル×4回にランダムに割り付けた。奏効が得られた患者には、リツキサン+シタラビンによる強化療法および自家幹細胞移植による集中化学療法を実施した。第Ib相試験の目的は、最初の導入サイクル中に発生する用量制限毒性(DLT)に基づき、第II相試験の推奨用量を決定することとした。 主な結果は以下のとおり。 ・年齢中央値は、52歳であった。 ・次の4件のDLTが観察された。 ●グレード5のアスペルギルス症およびニューモシスチス症:1件 ●グレード4のカテーテル関連感染症:1件 ●グレード3のALT上昇:2件 ・R-MPV療法と併用した際のイブルチニブおよびレナリドミド推奨用量は、それぞれ560mg /日(day3-14およびday17-28)、15mg /日(day1-21)であった。 ・両群で最も多く認められたグレード3以上の治療関連有害事象は、肝細胞融解、好中球減少、感染症であった。 ・レナリドミド群では、2サイクル目にグレード4のライエル症候群が1件報告された。 ・4サイクル後の全奏効(OR)率は、レナリドミド群76.9%、イブルチニブ群83.3%であった。  著者らは「PCNSLに対しR-MPV療法とレナリドミドまたはイブルチニブとの併用療法は、第1選択治療として利用可能であることが示唆された。安全性については、既知の安全性プロファイルと同様であった」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Marion A, et al. J Hematol Oncol. 2024; 17: 86.▶https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/39300447 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性PCNSLに対する治療選択の現状は?
再発・難治性PCNSLに対する治療選択の現状は?
公開日:2024年10月4日 Primeaux B, et al. Hematol Oncol. 2024; 42: e3313.  中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)は、全身的な病変を伴わずに中枢神経系へ影響を及ぼすアグレッシブリンパ腫である。第1選択治療として、大量メトトレキサート(HDMTX)ベースのレジメンが推奨されるが、その後は、高用量化学療法、全脳放射線療法、テモゾロミド併用または維持療法、自家造血幹細胞移植(auto HSCT)などによる強化療法が行われる。HDMTX+リツキシマブによる治療が進歩したものの、いまだ多くの患者が再発している。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのBrian Primeaux氏らは、再発・難治性PCNSLに対するリアルワールドでの治療の特徴を明らかにするため、本研究を実施した。Hematological Oncology誌2024年11月号の報告。  2016年4月1日〜2022年7月1日にHDMTXベースの第1選択治療を行なった成人PCNSL患者54例を対象に、レトロスペクティブ記述的分析を行なった。二次性中枢神経系リンパ腫、非B細胞由来PCNSL、眼内悪性リンパ腫の治療目的でHDMTXを行なった患者は除外した。再発・難治性PCNSLに対するリアルワールドでの治療の特徴および第1選択治療後の強化療法の特徴について、分析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・31例(57%)の患者には、リツキシマブ+大量シタラビン(R-HD-AraC療法)、全脳放射線療法、またはその両方による強化療法が行われていた。 ・13例(24%)は、auto-HSCTに進んでいた。 ・病勢進行は25例で認められ、17例に対し第2選択治療が行われた。 ・第2選択治療の内訳は、臨床試験(18%)、リツキシマブ+レナリドミド(18%)、HDMTXベースのレジメン(18%)、イブルチニブ+リツキシマブ(12%)、R-HD-AraC療法(12%)。 ・さらに7例で病勢進行が認められ、第3選択治療が行われた。 ・第3選択治療はさまざまであり、リツキシマブ+レナリドミド、イブルチニブ+HDMTX、イブルチニブ、リツキシマブ、メトトレキサート、シタラビン、R-HD-AraC療法、リツキシマブ+ニボルマブ、全脳放射線療法などで治療されていた。 ・5例は第4選択治療として、リツキシマブ、リツキシマブ+レナリドミド、R+HDMTX、ニボルマブが行われた。 ・第5選択治療以降を行った患者は3例、これまでのレジメンに加え、リツキシマブ+テモゾロミド、ペムブロリズマブが用いられていた。  著者らは「再発・難治性PCNSLの治療選択肢は多様であり、医師の好み、臨床試験の適格性、治療歴、PS、臓器機能、治療目的など、患者の要因に大きく影響されていることがわかった。最適なマネジメントを実現するためにも、プロスペクティブ臨床試験の必要性が示唆された」としている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Primeaux B, et al. Hematol Oncol. 2024; 42: e3313.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39340121 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
CLLの第1選択治療、30レジメンを比較〜ネットワークメタ解析
CLLの第1選択治療、30レジメンを比較〜ネットワークメタ解析
公開日:2024年10月18日 Wen T, et al. J Natl Cancer Inst. 2024 Oct 11. [Epub ahead of print]  慢性リンパ性白血病(CLL)の治療戦略は、化学療法や免疫化学療法からchemo-freeレジメン時代に移行した。さまざまな治療法による直接的および間接的な比較は、頻度論的ネットワークメタ分析により可能となった。天津医科大学腫瘤医院のTingyu Wen氏らは、CLLの第1選択治療に関するネットワークメタ解析を実施した。Journal of the National Cancer Institute誌オンライン版2024年10月11日号の報告。  対象は、CLLに対する第1選択治療を評価したランダム化比較試験。アウトカムは、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、検出可能な微小残存病変(MRD)、客観的奏効率、有害事象とした。類似特性を有する研究についても、年齢、併存疾患、免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子(IGHV)変異、細胞遺伝学的異常により層別化を行い、サブグループ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・30研究(1万2,818例)が適格基準を満たし、30種類の治療法を分析対象に含めた。 【有効性】 ・アカラブルチニブは、65歳以上またはIGHV変異なしの患者において、イブルチニブおよびオビヌツズマブ+ベネトクラクスよりもPFSが優れていることが示唆された。 ・併存疾患を有する若年患者では、アカラブルチニブ+オビヌツズマブは、イブルチニブ+オビヌツズマブ、イブルチニブ+ベネトクラクス、オビヌツズマブ+ベネトクラクスよりも優れたPFSが認められた。 ・併存疾患を有する高齢者では、アカラブルチニブ、アカラブルチニブ+オビヌツズマブは、オビヌツズマブ+ベネトクラクスと比較し、いずれも有意な差は認められなかった。 ・併存疾患のない患者では、MRDに基づくイブルチニブ+ベネトクラクスが、オビヌツズマブ+ベネトクラクスよりも有用であった。 ・IGHV変異ありまたはdel(17p)/TP53変異ありの患者では、イブルチニブ+オビヌツズマブは、オビヌツズマブ+ベネトクラクスよりも、PFSの延長が認められた。 【安全性】 ・イブルチニブ+ベネトクラクス、イブルチニブ+オビヌツズマブは、オビヌツズマブ+ベネトクラクスよりも、好中球減少リスクが低かった。 ・イブルチニブ+ベネトクラクスは、アカラブルチニブ、アカラブルチニブ+オビヌツズマブよりも、感染症リスクが低かった。 ・アカラブルチニブ+オビヌツズマブは、イブルチニブ+ベネトクラクスよりも下痢が少なかったが、イブルチニブ+オビヌツズマブ、オビヌツズマブ+ベネトクラクスよりも頭痛が多かった。 ・オビヌツズマブ+ベネトクラクスは、イブルチニブ+オビヌツズマブよりも高血圧が少なかった。 ・イブルチニブ+ベネトクラクスは、アカラブルチニブ+オビヌツズマブよりも関節痛が少なかった。 ・二次性悪性腫瘍のいずれのグレードにおいても、イブルチニブ+ベネトクラクス、オビヌツズマブ+ベネトクラクスは、アカラブルチニブ+オビヌツズマブより低かった。  著者らは「本研究は、年齢、併存疾患、IGHV変異、細胞遺伝学的異常に基づいてカスタマイズされたchemo-freeレジメンの選択、さまざまな奏効スペクトラムを考慮した治療アウトカムの最適化に役立つであろう」としている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Wen T, et al. J Natl Cancer Inst. 2024 Oct 11. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39392788 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性CLLの治療選択、新規薬剤の安全性プロファイル比較〜ネットワークメタ解析
再発・難治性CLLの治療選択、新規薬剤の安全性プロファイル比較〜ネットワークメタ解析
公開日:2024年10月25日 Monica M, et al. Ther Adv Med Oncol. 2024: 16: 17588359241285988.  ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬、ホスファチジルイノシトール-3キナーゼ(PI3K)阻害薬、B細胞性リンパ腫-2(BCL-2)阻害薬など、新たな白血病治療薬の登場により再発・難治性慢性リンパ性白血病(CLL)の治療アウトカムは、有意に改善した。治療薬の進歩にも関わらず、これらの新規薬剤と従来の化学療法や免疫療法に関する総合的な安全性プロファイルは、十分にわかっておらず、直接比較した研究もほとんどない。ポーランド・ヤギェウォ大学のMagdalena Monica氏らは、再発・難治性CLLにおける新規治療薬、化学療法、免疫療法の安全性プロファイルを比較するため、ベイジアンネットワークメタ解析を行った。Therapeutic Advances in Medical Oncology誌2024年10月9日号の報告。 再発・難治性CLLに関するランダム化比較試験(RCT)を特定するため、システマティック文献レビューを実施した。検索には、主要な医療データベース(MEDLINE、Embase、CENTRAL)およびグレード文献を含め、安全性アウトカムを評価するため、ベイジアンNMAフレームワークに統合した。 主な結果は以下のとおり。 ・安全性アウトカムを比較するための、RCT14件が特定された。 ・全体的な有害事象に関しては、治療法により違いが認められなかった。 ・ベンダムスチン+リツキシマブ(BR療法)は、イブルチニブ(リスク比[RR]:0.62 、95%信頼区間[CI]:0.40〜0.86)、アカラブルチニブ(RR:0.69、95%CI:0.45〜0.94)、zanubrutinib(RR:0.64、95%CI:0.42〜0.91)、ベネトクラクス+リツキシマブ(RR:0.87、95%CI:0.79〜0.96)と比較し、グレード3以上の有害事象に対する安全性プロファイルがより良好であった。 ・グレード3以上の有害事象、重篤な有害事象、有害事象による治療中止および死亡率は、アカラブルチニブ、zanubrutinib、ベネトクラクス+リツキシマブでは同等であった。 ・ベネトクラクス+リツキシマブとBTK阻害薬とのほとんどの比較において、血液学的イベント、QOLに影響を及ぼすイベント、感染症関連の安全性プロファイルに有意な差は認められなかった。 ・BTK阻害薬固有のイベントでは、zanubrutinibは、アカラブルチニブよりも高血圧(RR:2.96、95%CI:1.74〜5.16)および出血(RR:1.38、95%CI:1.06〜1.81)のリスクが高かった。 ・アカラブルチニブとzanubrutinibの心房細動リスクには、差が認められなかった(RR:1.56、95%CI:0.74〜3.34)。  著者らは「ベネトクラクス+リツキシマブ、アカラブルチニブ、zanubrutinibの安全性プロファイルは許容可能であり、再発・難治性CLLにおける推奨可能な治療オプションである可能性が示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Monica M, et al. Ther Adv Med Oncol. 2024: 16: 17588359241285988.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39391352 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
ステロイド抵抗性慢性GVHDに対するイブルチニブ〜多施設共同リアルワールド解析/Blood Adv
ステロイド抵抗性慢性GVHDに対するイブルチニブ〜多施設共同リアルワールド解析/Blood Adv
公開日:2024年11月1日 Pidala JA, et al. Blood Adv. 2024 Oct 25. [Epub ahead of print]  米国・H. Lee Moffitt Cancer Center and Research InstituteのJoseph A. Pidala氏らは、ステロイド治療抵抗性の慢性移植片対宿主病(GVHD)に対するイブルチニブ治療のリアルワールドでの有効性および安全性を評価するため、多施設共同レトロスペクティブ研究を実施した。Blood Advances誌オンライン版2024年10月25日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・対象データは、19施設より標準的に収集された270例。 ・慢性GVHDの臓器別内訳は、皮膚(75%)、眼球(61%)、口腔(54%)、筋/関節(47%)、消化管(26%)、肺(27%)、肝臓(19%)、生殖器(7%)、その他(4.4%)。 ・NIHの重症度は、軽症5.7%、中等症42%、重症53%。 ・重複型は39%にみられた。 ・KPSは80%以上が72%であった。 ・プレドニゾロンの用量中央値は0.21mg/kg(0〜2.27)。 ・イブルチニブは、慢性GVHD発症後、18.2ヵ月(中央値)で開始され、より早期の治療ラインで用いられていた(2次:26%、3次:30%、4次:21%、5次:9.6%、6次:10%、7次以降:1.2%)。 ・評価可能な対象患者のうち、6ヵ月のNIH全奏効率(CR/PR)は45%であった(PR:42%、CR:3%)。 ・奏効期間中央値は15ヵ月(1〜46)。 ・肝臓病変と6ヵ月全奏効率との関連が認められた(多変量OR:5.49、95%CI:2.3〜14.2、p<0.001)。 ・Best overall response(BOR)は56%であり、その多くは1〜3ヵ月で達成していた(86%)。 ・生存者のフォローアップ期間中央値は30.5ヵ月。 ・治療成功生存期間(FFS)は、6ヵ月で59%(53〜65)、12ヵ月で41%(36〜48)。 ・多変量解析では、高齢、ベースライン時のプレドニゾロン高用量、肺病変は、FFS不良と関連が認められた。 【高齢】HR:1.01、95%CI:1.00〜1.02、p=0.033 【ベースライン時のプレドニゾロン高用量】HR:1.92、95%CI:1.09〜3.38、p=0.032 【肺病変】HR:1.58、95%CI:1.10〜2.28、p=0.016 ・イブルチニブ中止の主な因子は、慢性GVHDの進行(44%)、毒性(42%)であった。  著者らは「リアルワールドにおけるイブルチニブのステロイド抵抗性慢性GVHDに対する有効性が確認された。本検討により、奏効率やFFSに関連する新たな洞察および治療中止と関連する毒性プロファイルが示された」としている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Pidala JA, et al. Blood Adv. 2024 Oct 25. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39454280 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら