「放射線療法」の記事一覧

DLBCLに対する放射線療法、PFSの改善がOS改善につながるか
DLBCLに対する放射線療法、PFSの改善がOS改善につながるか
公開日:2024年9月24日 Wang J, et al. J Natl Cancer Cent. 2024; 4: 249-259.  放射線療法による無増悪生存期間(PFS)の改善は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者の全生存期間(OS)改善につながるかを評価するため、中国・National Cancer CenterのJingnan Wang氏らが、システマテックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of the National Cancer Center誌2024年4月23日号の報告。  combined-modality therapy(CMT)と単独化学療法を比較したランダム化比較試験(RCT)またはレトロスペクティブ研究を、システマテックに検索した。OSとPFSのメリットの相関を推定するため、加重回帰分析を用いた。DLBCLリスクモデルとPFSパターンの一貫性を評価するため、コーエンのκ係数を用いた。さらに、PFSパターンに従い、線形回帰モデルをプールされたハザード比(HR)に適合させることで、放射線療法のメリットについて傾向分析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・RCT 7件、レトロスペクティブ研究52件が抽出された。 ・トライアルレベルでは、PFSのHRとOSのHRとの間に相関関係が認められ(r=0.639〜0.876)、治療群レベルでは、化学療法レジメンとは無関係にPFSとOSの相関が認められた(r=0.882〜0.964)。 ・化学療法に放射線療法を併用することで、PFSが約18%改善し、異なるOSのベネフィットプロファイルが明らかとなった。 ・化学療法によるPFSパターンにより4群(80%超、60〜80%、40〜60%、40%以下)に層別化され、これらはリスク層別化のサブグループと一致していた(κ>0.6)。 ・放射線療法によるOSの絶対増加率は、5%以下(PFS80%超群)〜約21%(PFS40%以下群)の範囲で、リツキシマブベースの化学療法後のプールされたOSのHRは、0.70(95%CI:0.51〜0.97)〜0.48(95%CI:0.36〜0.63)であった。 ・放射線療法のOSのベネフィットは、PFS80%以下の中〜高リスク患者で顕著であった。  著者らは「本検討により、放射線療法のさまざまなOSのベネフィットプロファイルが示唆された。本結果が、今後の治療決定や臨床試験の設定につながることが望まれる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Wang J, et al. J Natl Cancer Cent. 2024; 4: 249-259.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39281722 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性PCNSLに対する治療選択の現状は?
再発・難治性PCNSLに対する治療選択の現状は?
公開日:2024年10月4日 Primeaux B, et al. Hematol Oncol. 2024; 42: e3313.  中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)は、全身的な病変を伴わずに中枢神経系へ影響を及ぼすアグレッシブリンパ腫である。第1選択治療として、大量メトトレキサート(HDMTX)ベースのレジメンが推奨されるが、その後は、高用量化学療法、全脳放射線療法、テモゾロミド併用または維持療法、自家造血幹細胞移植(auto HSCT)などによる強化療法が行われる。HDMTX+リツキシマブによる治療が進歩したものの、いまだ多くの患者が再発している。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのBrian Primeaux氏らは、再発・難治性PCNSLに対するリアルワールドでの治療の特徴を明らかにするため、本研究を実施した。Hematological Oncology誌2024年11月号の報告。  2016年4月1日〜2022年7月1日にHDMTXベースの第1選択治療を行なった成人PCNSL患者54例を対象に、レトロスペクティブ記述的分析を行なった。二次性中枢神経系リンパ腫、非B細胞由来PCNSL、眼内悪性リンパ腫の治療目的でHDMTXを行なった患者は除外した。再発・難治性PCNSLに対するリアルワールドでの治療の特徴および第1選択治療後の強化療法の特徴について、分析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・31例(57%)の患者には、リツキシマブ+大量シタラビン(R-HD-AraC療法)、全脳放射線療法、またはその両方による強化療法が行われていた。 ・13例(24%)は、auto-HSCTに進んでいた。 ・病勢進行は25例で認められ、17例に対し第2選択治療が行われた。 ・第2選択治療の内訳は、臨床試験(18%)、リツキシマブ+レナリドミド(18%)、HDMTXベースのレジメン(18%)、イブルチニブ+リツキシマブ(12%)、R-HD-AraC療法(12%)。 ・さらに7例で病勢進行が認められ、第3選択治療が行われた。 ・第3選択治療はさまざまであり、リツキシマブ+レナリドミド、イブルチニブ+HDMTX、イブルチニブ、リツキシマブ、メトトレキサート、シタラビン、R-HD-AraC療法、リツキシマブ+ニボルマブ、全脳放射線療法などで治療されていた。 ・5例は第4選択治療として、リツキシマブ、リツキシマブ+レナリドミド、R+HDMTX、ニボルマブが行われた。 ・第5選択治療以降を行った患者は3例、これまでのレジメンに加え、リツキシマブ+テモゾロミド、ペムブロリズマブが用いられていた。  著者らは「再発・難治性PCNSLの治療選択肢は多様であり、医師の好み、臨床試験の適格性、治療歴、PS、臓器機能、治療目的など、患者の要因に大きく影響されていることがわかった。最適なマネジメントを実現するためにも、プロスペクティブ臨床試験の必要性が示唆された」としている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Primeaux B, et al. Hematol Oncol. 2024; 42: e3313.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39340121 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
MDSに対する非血縁同種移植の前処置、FLU+BU+低用量ATGが有用〜JSTCT成人MDSワーキンググループ
MDSに対する非血縁同種移植の前処置、FLU+BU+低用量ATGが有用〜JSTCT成人MDSワーキンググループ
公開日:2024年10月9日 Fujioka M, et al. Transplant Cell Ther. 2024 Oct 5. [Epub ahead of print]  骨髄異形成症候群(MDS)に対する同種造血幹細胞移植におけるフルダラビン(FLU)+静注ブスルファン(BU)12.8mg /kgによる移植前処置に低用量抗ヒト胸腺細胞免疫グロブリン(ATG:5mg/kg以下)または低線量全身放射線照射(TBI:4Gy以下)を併用した場合の予後への影響に関するデータは限られている。佐世保市総合医療センターの藤岡 真知子氏らは、非血縁同種造血幹細胞移植を行ったMDS患者の臨床アウトカムをレトロスペクティブに評価した。Transplantation and Cellular Therapy誌オンライン版2024年10月5日号の報告。  2009〜18年に非血縁同種造血幹細胞移植を行った自然発症(de novo)の成人MDS患者280例を対象に、臨床アウトカムをレトロスペクティブに評価した。移植前処置の違いにより、FLU+BU(FB4)群、FB4+低用量ATG群、FB4+低線量TBI群に分類し、臨床アウトカムの比較を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者の年齢中央値は61歳(範囲:16〜70)。 ・3年全生存率(OS)は、FB4群で39.9%、FB4+低用量ATG群で64.8%、FB4+低線量TBI群で43.7%。 ・3年非再発死亡率(NRM)は、FB4群で32.1%、FB4+低用量ATG群で22.1%、FB4+低線量TBI群で27.1%。 ・3年再発率は、FB4群で34.7%、FB4+低用量ATG群で21.2%、FB4+低線量TBI群で28.9%。 ・多変量解析では、FB4+低用量ATG群は、FB4群よりもOSが有意に良好であることが示唆された(HR:0.51、95%CI:0.27〜0.95、p=0.032)。 ・FB4+低用量ATG群は、FB4群よりもNRMが低い傾向であった(HR:0.36、95%CI:0.13〜1.06、p=0.063)。 ・FB4+低用量ATG群は、FB4+低線量TBI群と比較し、OS(HR:0.52、95%CI:0.27〜0.99、p=0.049)およびNRM(HR:0.34、95%CI:0.11〜0.92、p=0.034)が良好であった。 ・FB4+低線量TBI群とFB4群との間にOSおよびNRMの有意な差は認められなかった。  著者らは「MDS患者に対する非血縁同種造血幹細胞移植におけるFB4+低用量ATGレジメンによる移植前処置は、OSおよびNRMの改善が期待できることが示唆された。FB4+低線量TBIレジメンは、FB4単独レジメンと比較し、明らかなベネフィットが示されなかった」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Fujioka M, et al. Transplant Cell Ther. 2024 Oct 5. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39374663 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
DLBCLに対するCAR-T細胞療法、RTブリッジング療法は支持されるか
DLBCLに対するCAR-T細胞療法、RTブリッジング療法は支持されるか
公開日:2024年10月21日 Bramanti S, et al. Bone Marrow Transplant. 2024 Oct 9. [Epub ahead of print]  びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)におけるCAR-T細胞療法前のブリッジング療法の最適化は、CAR-T細胞療法の有効性およびアウトカムに影響を及ぼす可能性がある。イタリア・Humanitas Research HospitalのStefania Bramanti氏らは、放射線療法(RT)およびその他のブリッジング療法によるCAR-T細胞療法のアウトカムを評価するため、レトロスペクティブ研究を実施した。Bone Marrow Transplantation誌オンライン版2024年10月9日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・CAR-T製造のためにアフェレーシスを行った再発・難治性DLBCL患者148例のブリッジング療法の内訳は、RT群31例、化学療法(CT)群84例、ブリッジングなしまたはステロイドのみ(non-BT)群33例であった。 ・CAR-T細胞の投与率は、RT群96.8%、CT群89.2%、non-BT群78.8%であった(p=0.079)。 ・ブリッジングに対する反応は、概ね不良であったが、RT群では、ブリッジング前後でLDHレベルの有意な低下が確認された(p=0.05)。 ・1年無増悪生存期間(PFS)は、RT群51.2%、CT群28.2%、non-BT群47.6%であった(CT群 vs. RT群:p=0.044)。 ・1年全生存期間(OS)は、RT群86.7%、CT群52.7%、non-BT群69.0%であった(CT群 vs. RT群:p=0.025)。 ・CT群は、他の群と比較し、免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)の発生率が高いことが確認された(CT群20.0%、RT群3.3%、non-BT群7.7%、p=0.05)。  著者らは「RTブリッジング療法は、CAR-T細胞療法の脱落率および毒性が低いことが確認された。局所限局型や症状発現部位が1ヵ所の患者においては、他のブリッジング療法よりもRTブリッジング療法が好ましい可能性が示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Bramanti S, et al. Bone Marrow Transplant. 2024 Oct 9. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39384870 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
PCNSLの生存率改善に効果的な治療はどの組み合わせか?
PCNSLの生存率改善に効果的な治療はどの組み合わせか?
公開日:2024年11月6日 de Groot FA, et al. Eur J Cancer. 2024 Oct 13. [Epub ahead of print]  中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)は、稀であるため、大量メトトレキサート(MTX)ベースのさまざまな治療レジメンの評価が十分に行われているとはいえない。オランダ・ライデン大学メディカルセンターのFleur A. de Groot氏らは、PCNSLに対する5つの大量MTXベースの多剤化学療法レジメンと2つの地固め療法後の臨床的特徴およびアウトカム(無増悪生存期間[PFS]、全生存期間[OS]、疾患特異的生存率[DSS])を評価するため、レトロスペクティブ多施設共同研究を実施した。European Journal of Cancer誌オンライン版2024年10月13日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・対象は、組織学的にPCNSLと確認され、大量MTXベースの治療(3g/m2/サイクル以上)を1サイクル以上行った患者346例。 ・レジメンには、MATRix(大量MTX+大量シタラビン[AraC]+チオテパ+リツキシマブ)、MBVP±HD-AraC±R(大量MTX+teniposide /エトポシド+カルムスチン+プレドニゾロン±大量AraC±リツキシマブ)、MP±R(大量MTX+プロカルバジン±リツキシマブ)、大量MTX+大量AraCを含めた。 ・導入後の全奏効(OR)率は69%、完全奏効(CR)率は28%、病勢進行は29%(100例)で観察された。 ・地固め療法を行った患者は126例(36%)。内訳は、HD-BCNU-TT/ASCT(大量BCNU/チオテパ+自家幹細胞移植)59例(17%)、全脳放射線療法67例(19%)。 ・多変量予後予測による死亡リスク不良に関連する臨床的特徴は、次のとおりであった。 【60歳超】HR:1.61、p=0.011 【LDH上昇】HR:1.75、p=0.004 【WLOステータス2以上】HR:1.56、p=0.010 ・大量AraCを含む導入レジメンは、含まないレジメンと比較し、生存率に有意なベネフィットをもたらした(HR:0.59、p=0.002)。 ・HD-BCNU-TT/ASCT(HR:0.44)または全脳放射線療法(HR:0.42)のどちらを優先するかに関わらず、地固め療法のベネフィットが確認された(p<0.001)。地固め療法は時間依存変数であった。 ・競合リスク分析では、地固め療法を行った患者と行わなかった患者では、リンパ腫に関連しない死亡率はいずれも低かった。  著者らは「PCNSLの死亡リスクには、年齢、LDH上昇、WHOステータスが関連することが確認された。大量AraCを含むレジメンおよびHD-BCNU-TT/ASCTまたは全脳放射線療法による地固め療法は、良好な生存率との関連が認められた」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら de Groot FA, et al. Eur J Cancer. 2024 Oct 13. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39427440 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら