ライブラリー 
IVLBCLに対するR-CHOP+大量MTX療法の長期有用性が明らかに〜PRIMEUR-IVL試験
公開日:2025年2月26日
Shimada K, et al. EClinicalMedicine. 2025: 80: 103078.
血管内大細胞型B細胞リンパ腫(IVLBCL)は、稀な節外性大細胞型B細胞リンパ腫であり、診断時期が適切でなければ予後不良となる疾患である。名古屋大学の島田 和之氏らは、中枢神経系(CNS)を標的とした治療と組み合わせた標準化学療法の安全性および有効性を評価するため、診断時にCNS浸潤を認めない未治療IVLBCL患者を対象に、多施設共同シングルアーム第II相試験であるPRIMEUR-IVL試験の長期フォローアップデータの最終解析を報告した。EClinicalMedicine誌2025年1月31日号の報告。
PRIMEUR-IVL試験の事前に指定された最終解析として、5年無増悪生存率(PFS)、5年全生存率(OS)、二次性CNS浸潤の発生率を含む成績を報告した。対象患者は、2011年6月〜2016年7月に登録され、最終解析のデータカットオフは2021年11月16日とした。
主な結果は以下のとおり。
・これまでに報告したPRIMEUR-IVL試験の一次主要解析では、2年PFSは76%、2年OSは92%であり、二次性CNS浸潤の発生率は低かった(3%)。
・フォローアップ期間中央値は7.1年(四分位範囲:5.6〜8.7)。
・対象患者37例における5年PFSは68%(95%CI:50〜80)、5年OSは78%(95%CI:61〜89)であった。
・一次解析後、新たな二次性CNS浸潤の発生は認められなかった。
・一次解析後の重篤な有害事象は、grade4の好中球減少(1例)、特別な治療を必要としないgrade4の骨髄異形成症候群(1例)。
・登録後からのフォローアップ期間中に死亡した患者は8例であり、内訳は原発性疾患(6例)、敗血症(1例)、原因不明の突然死(1例)であった。
著者らは「PRIMEUR-IVL試験の長期フォローアップデータでは、PFSおよびOSの持続性、二次性CNS浸潤の累積発生率の低さが示された。このことからも、未治療IVLBCL患者に対するR-CHOP+大量MTX療法は有用であると考えられる」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)
原著論文はこちら
Shimada K, et al. EClinicalMedicine. 2025: 80: 103078.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39968389
血液内科 Pro(血液内科医限定)へ
アンケート:ご意見箱
※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら