「R-CHOP療法」の記事一覧

DLBCLに対するR-CHOP療法による完全寛解率
DLBCLに対するR-CHOP療法による完全寛解率
公開日:2024年5月7日 Hassan SU, et al. Cureus. 2024; 16: e57368.  びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、臨床症状および治療反応が多岐に渡り、アウトカムの予測や治療戦略の検討に課題が残る。分子サブタイピングや予後評価が進歩したにも関わらず、DLBCLの最適なマネジメントに関しては、依然として不確実性があり、特定の患者集団における治療反応およびアウトカムの理解を促進するためにも、局所的な調査の必要性が浮き彫りとなっている。パキスタン・Hayatabad Medical Complex PeshawarのSani U. Hassan氏らは、特定の成人集団においてR-CHOP療法を受けているDLBCL患者の完全寛解(CR)率を評価するため、本研究を実施した。Cureus誌2024年4月1日号の報告。  本研究は、2022年8月8日〜2023年4月8日に、パキスタン・Hayatabad Medical Complexの腫瘍内科で実施した。対象は、治療歴を有する患者を除く20〜70歳の新規DLBCL患者95例(男性:55例、女性:40例)。人口統計学的特徴、罹病期間、CRに関するデータは、事前に定義したデータ収集フォームを用いて収集した。 主な結果は以下のとおり。 ・R-CHOPによるCR達成率は、84.2%(80例)であった。 ・年齢分布に関しては、45歳以下が45.3%(43例)であった。 ・罹病期間は、3ヵ月以内が63.2%(60例)を占めていた。 ・BMIの分類では、18.5kg/m2未満が9.5%(9例)、18.5〜24.9kg/m2が51.6%(49例)、25〜30kg/m2が38.9%(37例)であった。  著者らは「DLBCLに対するR-CHOP療法は、CR達成に有望な治療法であるが、遅発性の副作用に関する懸念はいまだ残存している。これらDLBCLの課題に対し、新規の予後バイオマーカーを検証し、代替治療アプローチを開発し、患者アウトカムの改善に繋げ、世界的な負担を軽減するためにも、継続的な研究努力が求められる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Hassan SU, et al. Cureus. 2024; 16: e57368.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38694660 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
リツキサン時代における再発・難治性DLBCLの実際の臨床アウトカム〜STRIDER試験
リツキサン時代における再発・難治性DLBCLの実際の臨床アウトカム〜STRIDER試験
公開日:2024年7月22日 Dogliotti I, et al. Cancer Med. 2024; 13: e7448.  R -CHOP療法により、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療成績は大きく改善した。しかし、R-CHOP療法で治療した場合でも、再発率は約40%、難治性率は約15%といわれている。イタリア・A.O.U. Citta della Salute e della ScienzaのIrene Dogliotti氏らは、再発・難治性DLBCLの実際の臨床アウトカムを評価するため、リアルワールドデータのレトロスペクティブ分析を行った。Cancer Medicine誌2024年7月号の報告。  イタリア・トリノの2つの大規模血液センターで治療を行ったDLBCL患者403例を連続登録し、調査した。 主な結果は以下のとおり。 ・フォローアップ期間中央値は50ヵ月、診断から5年間の全生存期間(OS)は66.5%、2年の無増悪生存期間(PFS)は68%であった。 ・再発・難治性DLBCLは134例(34.4%)であった。内訳は、再発した患者46例(11.8%)、難治性と判断された患者88例(22.6%)。 ・サルベージ療法で最も多く採用されたのは、プラチナベースのレジメンで38例(28.4%)、次いでレナリドミド14例(10.4%)であった。 ・再発または病勢進行後のOS中央値は6.7ヵ月、PFS中央値は5.1ヵ月であった。 ・再発・難治性DLBCLにおいて、プラチナベースのレジメンで治療された患者と他のレジメンで治療された患者では、全奏効率(OR)、OS、PFSに有意な差は認められなかった。 ・多変量解析により、再発・難治性DLBCLのOSと関連している因子として、次の3つが挙げられた。 ●年齢:60〜80歳 ●起源:胚中心B細胞型 ●転移:リンパ節外転移2ヵ所未満  著者らは「リツキシマブ時代になった今もなお、再発・難治性DLBCLの臨床アウトカムは、不良であることが改めて確認された。これらを改善するためにも、CAR-T細胞療法や二重特異性抗体などの新たな治療法が、第2選択治療として広く承認されることが望まれる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Dogliotti I, et al. Cancer Med. 2024; 13: e7448.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39030982 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
R-CHOP+メトホルミン併用療法でDLBCLの臨床アウトカム改善〜第II相試験
R-CHOP+メトホルミン併用療法でDLBCLの臨床アウトカム改善〜第II相試験
公開日:2024年7月30日 Hegazy A, et al. Asian Pac J Cancer Prev. 2024; 25: 2351-2359.  メトホルミンは、さまざまな腫瘍に対し抗腫瘍効果を示すことが報告されている。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)においては、第1選択の化学療法および免疫療法にメトホルミンを併用することにより、臨床アウトカムの改善が示唆されている。エジプト・Menoufia UniversityのAmira Hegazy氏らは、DLBCL患者に対する標準的な初期治療レジメンであるR-CHOP療法にメトホルミンを併用した際の有効性を評価するため、プロスペクティブランダム化第II相試験を実施した。Asian Pacific Journal of Cancer Prevention誌2024年7月1日号の報告。  対象は、DLBCLの組織病理学的所見が認められ、R-CHOPによる第1選択治療の基準に適合し、余命6ヵ月以上、PS2以下の成人患者100例。対象患者は、R-CHOP+メトホルミン併用療法群(50例)またはR-CHOP療法単独を行った標準療法群(50例)のいずれかにランダムに割り付けられた。評価指標には、奏効率、毒性、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を含めた。 主な結果は以下のとおり。 ・メトホルミン併用療法群では、標準療法群よりも、女性の割合が高かった(p=0.016)。 ・メトホルミン併用療法群では、標準療法群よりも、悪心の発生率が高かった(p=0.008)。 ・メトホルミン併用療法群では、標準療法群よりも、治療終了時の完全寛解(CR)率が高く、再発/病勢進行率が低く、全死亡率も低かった。 【CR率】メトホルミン併用療法群:92% vs. 標準療法群:74%(p=0.017) 【再発/病勢進行率】メトホルミン併用療法群:10% vs. 標準療法群:36%(p=0.002) 【全死亡率】メトホルミン併用療法群:4% vs. 標準療法群:20%(p=0.014) ・平均無病生存期間(DFS)は、メトホルミン併用療法群で24.5ヵ月、標準療法群で20.2ヵ月であった(p=0.023)。 ・同様に、平均PFSは、メトホルミン併用療法群で25.91ヵ月、標準療法群で19.81ヵ月(p=0.002)、平均OSは、メトホルミン併用療法群で27.39ヵ月、標準療法群で23.8ヵ月であった(p=0.013)。 ・奏効と再発の多変量解析では、メトホルミンの使用は、CRと再発の独立した予後因子であることが示唆された。  著者らは「R-CHOP+メトホルミン併用療法は、許容可能な安全性プロファイルを有し、DLBCL患者の臨床アウトカム改善に寄与する可能性が示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Hegazy A, et al. Asian Pac J Cancer Prev. 2024; 25: 2351-2359.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39068568 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
80歳以上のDLBCLに対するR-CHOP-14 vs. R-mini-CHOP
80歳以上のDLBCLに対するR-CHOP-14 vs. R-mini-CHOP
公開日:2024年8月2日 Dilbaz ZG, et al. Eur J Haematol. 2024 Jul 31. [Epub ahead of print]  びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、最も一般的なリンパ腫であり、年齢とともに発症率は増加する。80歳以上のDLBCL患者に対する14日毎のR-CHOP療法(R-CHOP-14)に関するデータは十分とはいえない。ドイツ・ザールラント大学のZelal Guel Dilbaz氏らは、80歳以上のDLBCL患者を対象に、R-CHOP-14と減量R-CHOP療法(R-mini-CHOP)の有用性を比較するため、レトロスペクティブコホート研究を実施した。European Journal of Haematology誌オンライン版2024年7月31日号の報告。  対象は、2005〜19年にドイツの2つの三次医療センターにおいてR-CHOP-14またはR-mini-CHOPを行った80歳以上のDLBCL患者79例。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者の年齢中央値は84歳(範囲:80〜91)であった。 ・R-CHOP-14群は、R-mini-CHOP群と比較し、完全奏効(CR)は高かった(71.4% vs. 52.4%)が、全生存期間(OS、HR:0.94、95%CI:0.47〜1.90、p=0.88)および無増悪生存期間(PFS、HR:0.66、95%CI:0.32〜1.36、p=0.26)は、両群間で統計学的に有意な差は認められなかった。 ・フォローアップ中央期間40ヵ月における2年OSは、R-CHOP-14群で56%、R-mini-CHOP群で53%であった。 ・2年PFSは、R-CHOP-14群で46%、R-mini-CHOP群で50%であった。 ・化学療法の相対的な用量強度とOSとの間に相関は認められなかった(p=0.72)。  著者らは「本研究がレトロスペクティブコホート研究である点を踏まえると、OSに差が認められないことから、80歳以上の未治療DLBCL患者に対する治療は、減量R-CHOPが望ましいと考えられる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Dilbaz ZG, et al. Eur J Haematol. 2024 Jul 31. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39086181 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
形質転換CLLに対するR-CHOPブリッジング後ブリナツモマブ〜多施設共同第II相試験
形質転換CLLに対するR-CHOPブリッジング後ブリナツモマブ〜多施設共同第II相試験
公開日:2024年8月13日 Guieze R, et al. Nat Commun. 2024; 15: 6822.  慢性リンパ性白血病では、時に組織学的形質転換(Richter症候群)をきたし、急激な病勢進行を示す。フランス・クレルモン フェラン大学のRomain Guieze氏らは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)への転換をきたしたRichter症候群患者を対象に、R-CHOP療法でのブリッジング後における抗CD3/CD19二重特異性T細胞誘導抗体ブリナツモマブの有効性および安全性を評価するため、多施設共同第II相試験を実施した。Nature Communications誌2024年8月9日号の報告。  R-CHOPを2サイクル後に完全奏効(CR)が得られなかったDLBCLへの転換をきたしたRichter症候群患者を対象に、8週間のブリナツモマブ持続静脈注射(112μg/日まで段階的に投与)を行った。主要エンドポイントは、ブリナツモマブ導入後のCR率とし、副次的エンドポイントは、安全性、奏効期間、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)とした。 主な結果は以下のとおり。 ・R-CHOPを開始した39例中、25例にブリナツモマブが投与された。 ・ブリナツモマブ導入後、CR 5例(20%)、部分奏効(PR)4例(16%)、安定(SD)6例(24%)であった。 ・フル解析セットにおける全奏効(OR)率は46%(18例)、14例(36%)はCRを達成した。 ・治療中に発生したすべてのグレードの主な有害事象は、発熱(36%)、貧血(24%)、リンパ球減少(24%)であった。 ・サイトカイン放出症候群(グレード1〜2)は16%、神経毒性は20%で認められた。  著者らは「DLBCLへの転換をきたしたRichter症候群に対するブリナツモマブ治療は、主要エンドポイントを達成する抗腫瘍効果と許容可能な毒性を示した」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Guieze R, et al. Nat Commun. 2024; 15: 6822.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39122717 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
高齢者DLBCLにR-mini-CHOP+イブルチニブが有効〜第II相ALLG試験/Blood Adv
高齢者DLBCLにR-mini-CHOP+イブルチニブが有効〜第II相ALLG試験/Blood Adv
公開日:2024年9月5日 Verner E, et al. Blood Adv. 2024 Sep 3. [Epub ahead of print]  75歳以上の高齢者の初発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者を対象に、R-mini-CHOP療法にイブルチニブを追加した場合の有効性を評価するため、オーストラリア白血病およびリンパ腫グループ(ALLG)は、多施設共同プロスペクティブコホート試験を実施した。その結果、オーストラリア・Concord Repatriation General HospitalのEmma Verner氏らは、「R-mini-CHOP療法にイブルチニブを追加した本レジメンは、高齢者DLBCL患者に有用である」と報告した。Blood Advances誌オンライン版2024年9月3日号の報告。  R-mini-CHOP+イブルチニブを21日サイクルで6回実施し、その後、リツキシマブ+イブルチニブを21日サイクルで2回実施した。主要エンドポイントは、有効性および2年全生存率(OS)とした。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者79例中、R-mini-CHOP 6サイクルを完了した患者は63例(80%)、レジメン全体の平均相対総用量中央値は97%(IQR:82〜100)、平均相対用量強度中央値は97%(IQR:88〜100)であった。 ・フォローアップ期間中央値は35.5ヵ月、2年OSは68%(95%CI:55.6〜77.4)、2年無増悪生存率(PFS)は60.0%(95%CI:47.7〜70.3)。 ・OS中央値は72ヵ月(95%CI:35〜未達)、PFS中央値は40ヵ月(95%CI:20.4〜未達)であった。 ・全奏効率(ORR)は76%(79例中61例)、完全奏効(CR)は71%(79例中56例)。 ・死亡は79例中34例(43%)でみられ、内訳は病勢進行17例、治療関連死亡5例であった。 ・1つ以上の重篤な有害事象が認められた患者の割合は67%。 ・最も一般的な有害事象は、感染症と下痢であり、そのほとんどがグレード1〜2であった。 ・健康関連QOLは、時間経過とともに改善が認められた。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Verner E, et al. Blood Adv. 2024 Sep 3. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39226464 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
PMBCLにおける中枢神経系再発予防の必要性は〜米メイヨークリニック
PMBCLにおける中枢神経系再発予防の必要性は〜米メイヨークリニック
公開日:2024年9月9日 Okcu I, et al. Clin Lymphoma Myeloma Leuk. 2024 Aug 2. [Epub ahead of print]  原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)は、悪性B細胞性非ホジキンリンパ腫の1つである。PMBCLは、結節性硬化型の古典的ホジキンリンパ腫(cHL)と、臨床的および生物学的特徴が類似しているといわれている。cHLでは、中枢神経系(CNS)再発は非常に稀であるといわれており、PMBCLのCNS再発も、少ないと予想される。米国・メイヨークリニックのIzel Okcu氏らは、標準的な化学療法で治療を行ったPMBCL患者におけるCNS再発の発生頻度を調査するため、単施設レトロスペクティブ研究を実施した。Clinical Lymphoma, Myeloma & Leukemia誌オンライン版2024年8月2日号の報告。  対象は、メイヨークリニックで診察された新規PMBCL患者154例(平均年齢:38歳[範囲:18〜77]、女性の割合:60%、65歳以上の割合:8%[12例])。CNS再発率は、競合リスクモデルを用いて算出し、死亡を競合リスクとみなした。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者に対する第1選択治療は、R-CHOP療法51%(78例)、DA-EPOCH-R療法49%(76例)であった。 ・CNS再発予防は、R-CHOP療法で5%(8例)、DA-EPOCH-R療法10%(15例)に実施されていた。 ・フォローアップ中央値は39ヵ月の間に、CNS再発は3例で認められ、いずれの症例もCNSおよび全身性再発が認められた。 ・コホート全体のCNS再発の累積発生率は、1年で1.43%(95%CI:0.3〜4.6)、2および5年で2.21%(95%CI:0.6〜5.8)であった。 ・CNS再発予防を行わなかった患者131例における再発率は、1年で0.85%(95%CI:0.1〜4.2)、2および5年で1.80%(95%CI:0.3〜5.8)であった。 ・CNS再発患者3例には、第1選択治療としてR-CHOP療法が用いられていた。3例中2例は、CNS再発予防を行っていなかったが、1例は腹腔内投与が行われていた。  著者らは「PMBCLにおけるCNS再発リスクは、標準的な化学療法では非常に低いことが示唆された。そのため、定期的なCNS予防は、必要であるとはいえない」と結論づけた。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Okcu I, et al. Clin Lymphoma Myeloma Leuk. 2024 Aug 2. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39232904 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
ダブルエクスプレッサーリンパ腫の第1選択治療、HDAC阻害剤+R-CHOP療法の有用性
ダブルエクスプレッサーリンパ腫の第1選択治療、HDAC阻害剤+R-CHOP療法の有用性
公開日:2024年11月22日 Chen X, et al. Ther Adv Hematol. 2024: 15: 20406207241292446.  アグレッシブB細胞リンパ腫のうち、免疫組織化学でMYC陽性かつBCL2陽性を有するダブルエクスプレッサーリンパ腫(DEL)は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の約20〜30%に認められる。しかし、DELに対する最も効果的な治療戦略は、いまだ明らかになっていない。中国・四川大学のXi Chen氏らは、DEL治療におけるR-CHOP療法と新規ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDAC阻害薬)との併用による有効性を評価するため、レトロスペクティブ研究を実施した。Therapeutic Advances in Hematology誌2024年10月28日号の報告。  対象は、DEL患者62例(2016年12月〜2020年12月)。すべての患者に対し、HDAC阻害薬+R-CHOP療法による第1選択治療を実施した。短期的な有効性、生存状況、副作用を調査し、予後因子の分析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者の年齢中央値は53.9歳(範囲:19〜77)。 ・治療サイクル数は平均6サイクル(範囲:1〜8)、完全奏効(CR)率は79.0%、全奏効(OR)率は88.7%。 ・フォローアップ期間中央値は45.5ヵ月(範囲:1〜82)、無増悪生存期間(PFS)およびOS中央値は未達。 ・3年PFS率は71%(95%CI:61〜83)、3年OS率は87%(95%CI:79〜96)、5年PFS率は67%(95%CI:55〜80)、5年OS率は85%(95%CI:77〜95)。 ・PFSの独立した予測因子は、CRまたは部分奏効(PR)後の年齢および自家造血幹細胞移植であった。一方、OSアウトカムとの関連が認められた因子はなかった。 ・グレード3〜4の主な血液毒性は白血球減少(46.7%)、非血液毒性は感染症(21%)であった。  著者らは「未治療のDELに対するHDAC阻害薬+R-CHOP療法は、短期的な有効性および安全性が良好であり、生存アウトカムの改善にも有望であることが示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Chen X, et al. Ther Adv Hematol. 2024: 15: 20406207241292446.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39494243 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
ダブルエクスプレッサーDLBCL、R-CHOP+BTK阻害薬はレナリドミド併用より有効
ダブルエクスプレッサーDLBCL、R-CHOP+BTK阻害薬はレナリドミド併用より有効
公開日:2024年12月9日 Feng D, et al. Leuk Res. 2024 Nov 9. [Epub ahead of print]  ダブルエクスプレッサーびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は予後不良であり、最適な治療戦略は依然として明らかになっていない。中国・中山大学がんセンターのDemei Feng氏らは、ダブルエクスプレッサーDLBCLに対するR-CHOP療法単独、レナリドミド併用、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬併用の有効性および安全性を評価するため、本研究を実施した。Leukemia Research誌オンライン版2024年11月9日号の報告。  対象は、2019〜24年に治療を行ったダブルエクスプレッサーDLBCL患者213例。治療の内訳は、R-CHOP療法112例、R-CHOP療法+レナリドミド65例、R-CHOP療法+BTK阻害薬36例。各治療群の臨床特性、全奏効率(ORR)、完全奏効率(CR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、有害事象を評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・ベースライン特性は、すべての治療群間で同等であった。 ・ORRは、R-CHOP単独群95.5%、レナリドミド併用群96.9%、BTK阻害薬併用群97.2%。 ・CRは、R-CHOP単独群76.5%、レナリドミド併用群80.0%、BTK阻害薬併用群75.0%。 ・BTK阻害薬併用群では、PFSの有意な改善が認められたが(p=0.033)、OSでは認められなかった(p=0.165)。 ・レナリドミド併用群では、PFS(p=0.153)またはOS(p=0.351)の有意な改善が認められなかった。 ・フォローアップ期間中央値は、R-CHOP単独群20.6ヵ月、レナリドミド併用群23.5ヵ月、BTK阻害薬併用群17.6ヵ月。 ・1年PFSは、R-CHOP単独群73.6%、レナリドミド併用群82.2%、BTK阻害薬併用群93.3%。 ・1年OSは、R-CHOP単独群96.2%、レナリドミド併用群93.2%、BTK阻害薬併用群100.0%。 ・グレード3〜4の有害事象には、白血球減少、好中球減少、貧血、血小板減少が認められ、治療群間に有意な差は認められなかった。  著者らは「とくに進行期のダブルエクスプレッサーDLBCL患者では、R-CHOP療法にBTK阻害薬を併用すると、新たに重篤な有害事象なしでPFSの向上が期待できることが示された。対照的に、レナリドミド併用では、有効性や生存率の向上に寄与しなかった」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Feng D, et al. Leuk Res. 2024 Nov 9. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39549612 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
DLBCLの1stライン、Pola+R-CHPはR-CHOPを超えられるか
DLBCLの1stライン、Pola+R-CHPはR-CHOPを超えられるか
公開日:2024年12月24日 Zhao P, et al. Hematol Oncol. 2025; 43: e70017.  ポラツズマブ ベドチン併用R-CHP(Pola-R-CHP)療法は、国際共同第III相ランダム化二重盲検試験であるPOLARIX試験に基づき、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対する新たな第1選択治療として承認された。しかし、リアルワールドにおける有効性および安全性に関するデータは、十分とはいえない。中国・天津医科大学のPeiqi Zhao氏らは、中国の日常診療におけるPola-R-CHP療法とR-CHOP療法のアウトカムを評価するため、レトロスペクティブコホート研究を実施した。Hematological Oncology誌2025年1月号の報告。  2024年2月までにポラツズマブ ベドチンによる治療を1回以上行ったすべての患者を対象に、多施設レトロスペクティブコホート研究を実施した。6施設より適格患者600例(Pola-R-CHP療法群:131例、R-CHOP療法群:469例)が特定された。1:2の傾向スコアマッチング後、128組が生存および予後分析に含また。 主な結果は以下のとおり。 ・フォローアップ期間中央値は12.8ヵ月、12ヵ月無増悪生存割合(PFS)は、Pola-R-CHP療法群の方がR-CHOP療法群よりも高かった(90.3% vs.84.1%、p=0.18)。 ・分子生物学的サブグループ全体で一貫したベネトットが認められ、とくに進行期、全身状態(ECOG)2以上、リンパ節外病変2以上、non-GCB-DLBCLにおいて顕著であった。 ・完全奏効率は、Pola-R-CHP療法群の方がR-CHOP療法群よりも高かったが、統計学的に有意な差は認められなかった(86.8% vs.79.7%、p=0.09)。 ・安全性プロファイルは、両群間で同等であり、新たな懸念は見当たらなかった。 ・Pola-R-CHP療法群128例のうち、96例でゲノムシーケンス解析を実施した。結果の内訳は、MCDタイプ(25.0%)、EZBタイプ(13.5%)、複合サブタイプ(12.5%)、ST2タイプ(12.5%)、その他/分類不能(30.2%)。 ・25%以上で認められた最も一般的な変異は、PIM1、TP53、BCL-6、KMT2D、SOCS1、BCL-2であった。 ・遺伝子検査の結果では、遺伝子型やPIM1/TP53の遺伝子変異と治療効果との相関関係が示唆された。  著者らは「Pola-R-CHP療法は、リアルワールドの対象集団において、DLBCLに対する有効な第1選択治療であることが裏付けられ、R-CHOP療法よりも持続的な有効性が示された。12ヵ月PFSに有意差は認められなかったものの、サブグループ解析では、Pola-R-CHP療法の方が良好であった」と結論付け「今後は、より大規模な研究、長期フォローアップ研究、より有効な患者群を対象とした研究が求められる」としている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Zhao P, et al. Hematol Oncol. 2025; 43: e70017.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39641321 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら