ライブラリー 未治療CLLに対するベネトクラクス+オビヌツズマブ〜第III相CLL14試験の長期フォローアップ結果
公開日:2024年8月1日
Al-Sawaf O, et al. Blood. 2024 Jul 10. [Epub ahead of print]
未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)に対するBCL-2阻害薬ベネトクラクス+抗CD20抗体薬オビヌツズマブ併用療法の有効性および安全性を評価した第III相試験CLL14試験の6年長期フォローアップ結果を、ドイツ・ケルン大学のOthman Al-Sawaf氏らが報告した。Blood誌オンライン版2024年7月10日号の報告。
CLL14試験では、未治療CLL患者を12サイクルのベネトクラクス+オビヌツズマブ群(216例)またはchlorambucil+オビヌツズマブ群(216例)に、ランダムに割り付けた。主要エンドポイントは、無増悪生存期間(PFS)とした。副次的エンドポイントは、次治療開始までの期間(TTNT)、微小残存病変(MRD)陰性率、全生存期間(OS)および有害事象発生率とした。QOL悪化までの期間に関する患者報告アウトカムについても分析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・観察期間中央値76.4ヵ月でのPFSでは、ベネトクラクス+オビヌツズマブ群(PFS中央値:76.2ヵ月)はchlorambucil+オビヌツズマブ群(PFS中央値:36.4ヵ月)よりも、継続的に良好であった(HR:0.40、95%CI:0.31〜0.52、p<0.0001)。
・同様に、TTNTにおいても、ベネトクラクス+オビヌツズマブ群の方が延長された(6年TTNT:65.2% vs. 37.1%、HR:0.44、95%CI:0.33〜0.58、p<0.0001)。
・ベネトクラクス+オビヌツズマブ群において、PFS短縮の独立したリスク因子として、17p欠失あり、免疫グロブリン重鎖可変部体細胞遺伝子変異(IGHV)変異なし、リンパ節サイズ5cm以上が特定された。
・治療から5年後にMRD陰性(末梢血中10〜4未満)を示した患者は、ベネトクラクス+オビヌツズマブ群17例(ITT:7.9%)、chlorambucil+オビヌツズマブ群4例(ITT:1.9%)であった。
・6年OSは、ベネトクラクス+オビヌツズマブ群78.7%、chlorambucil+オビヌツズマブ群69.2%であった(HR:0.69、95%CI:0.48〜1.01、p=0.052)。
・ベネトクラクス+オビヌツズマブ群(中央値:82.1ヵ月)は、chlorambucil+オビヌツズマブ群(中央値:65.1ヵ月)と比較し、全体的な健康状態/QOLの悪化までの期間を有意に延長することが確認された(HR:0.70、95%CI:0.51〜0.97)。
・フォローアップ調査で調整された1,000患者月当たりの二次原発性悪性腫瘍(SPM)の発生率は、ベネトクラクス+オビヌツズマブ群2.3、chlorambucil+オビヌツズマブ群1.4であった。
著者らは「未治療CLLに対する12サイクルのベネトクラクス+オビヌツズマブ併用療法は、持続的な長期生存、MRD陰性化、QOLの維持などにおいて、長期の有用性が示唆された」としている。
(エクスメディオ 鷹野 敦夫)
原著論文はこちら
Al-Sawaf O, et al. Blood. 2024 Jul 10. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39082668
血液内科 Pro(血液内科医限定)へ
※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら