「アテゾリズマブ(テセントリク)」の記事一覧

Richter形質転換DLBCLに対する抗PD-L1抗体アテゾリズマブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブ/Lancet Oncol
Richter形質転換DLBCLに対する抗PD-L1抗体アテゾリズマブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブ/Lancet Oncol
公開日:2024年9月20日 Tedeschi A, et al. Lancet Oncol. 2024 Sep 10. [Epub ahead of print]  Richter形質転換びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、通常、化学療法に抵抗性を示し、予後不良である。イタリア・Niguarda Cancer CenterのAlessandra Tedeschi氏らは、抗腫瘍免疫反応をターゲットとした化学療法なしでの治療レジメンを開発することを目的とし、Richter形質転換DLBCLに対する抗PD-L1抗体アテゾリズマブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブ併用療法の第II相試験を実施した。The Lancet. Oncology誌オンライン版2024年9月10日号の報告。  本第II相試験は、イタリアおよびスイスの15施設において、プロスペクティブ非盲検多施設単群医師主導試験として実施した。対象患者は、IWCLL2008基準に従い、慢性リンパ性白血病(CLL)または小リンパ球性リンパ腫(SLL)と診断され、生検でDLBCLへの形質転換が認められた18歳以上の患者で、CLL治療を実施した可能性はあるが、Richter形質転換DLBCLに対する治療は未実施、ECOGのPSが0〜2であり、過去にアテゾリズマブ、ベネトクラクス、オビヌツズマブのいずれも未使用の患者。患者には、オビヌツズマブ静脈内投与(1サイクル目:day1 100mg、day2 900mg、day8・day15 1,000mg、2〜8サイクル目:day1 1,000mg)、アテゾリズマブ静脈内投与(1サイクル目:day2 1,200mg、2〜18サイクル目:day1 1,200mg)、ベネトクラクス経口投与(CLLの投与スケジュールに従い、1サイクル目:day15 20mg/日から増量し、3〜35サイクルのday21まで400mg/日)を行った。主要エンドポイントは、ITTにおける6サイクル目day21時の全奏効(OR)率とした。OR率が67%以上の場合、臨床的に有効であるとみなし、奏効率が40%以下の場合、帰無仮説を棄却とみなした。 主な結果は以下のとおり。 ・2019年10月9日〜2022年10月19日に、28例(男性:12例[43%]、女性:16例[57%])が登録された。 ・フォローアップ期間中央値は16.8ヵ月(IQR:7.8〜32.0)。 ・6サイクル目に28例中19例で奏効がみられ、OR率は67.9%(95%CI:47.6〜84.1)であった。 ・グレード3以上の治療関連有害事象は、28例中17例(61%、95%CI:40.6〜78.5)で認められ、好中球減少の報告が最も多かった(28例中11例、39%、95%CI:21.5〜59.4)。 ・治療中に発生した重篤な有害事象は8例(29%、95%CI:14.2〜48.7)、感染症が最も多かった(28例中5例、18%、95%CI:6.1〜36.9)。 ・有害事象による死亡例は2例(7%)、その内訳は敗血症1例、真菌性肺炎1例であり、いずれも治療との直接的な関連性は低いと考えられた。 ・免疫関連有害事象は、6例(21.4%)で認められたが、いずれも治療中止には至らなかった。 ・腫瘍崩壊症候群は、認められなかった。  著者らは「Richter形質転換DLBCLに対するアテゾリズマブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブの3剤併用は、有効かつ安全であることが示唆されており、本レジメンが、Richter形質転換DLBCLに対する新たな第1選択治療アプローチとなりうる可能性がある」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Tedeschi A, et al. Lancet Oncol. 2024 Sep 10. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39270702 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら