「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)」の記事一覧

80歳以上のDLBCLに対するR-CHOP-14 vs. R-mini-CHOP
80歳以上のDLBCLに対するR-CHOP-14 vs. R-mini-CHOP
公開日:2024年8月2日 Dilbaz ZG, et al. Eur J Haematol. 2024 Jul 31. [Epub ahead of print]  びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、最も一般的なリンパ腫であり、年齢とともに発症率は増加する。80歳以上のDLBCL患者に対する14日毎のR-CHOP療法(R-CHOP-14)に関するデータは十分とはいえない。ドイツ・ザールラント大学のZelal Guel Dilbaz氏らは、80歳以上のDLBCL患者を対象に、R-CHOP-14と減量R-CHOP療法(R-mini-CHOP)の有用性を比較するため、レトロスペクティブコホート研究を実施した。European Journal of Haematology誌オンライン版2024年7月31日号の報告。  対象は、2005〜19年にドイツの2つの三次医療センターにおいてR-CHOP-14またはR-mini-CHOPを行った80歳以上のDLBCL患者79例。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者の年齢中央値は84歳(範囲:80〜91)であった。 ・R-CHOP-14群は、R-mini-CHOP群と比較し、完全奏効(CR)は高かった(71.4% vs. 52.4%)が、全生存期間(OS、HR:0.94、95%CI:0.47〜1.90、p=0.88)および無増悪生存期間(PFS、HR:0.66、95%CI:0.32〜1.36、p=0.26)は、両群間で統計学的に有意な差は認められなかった。 ・フォローアップ中央期間40ヵ月における2年OSは、R-CHOP-14群で56%、R-mini-CHOP群で53%であった。 ・2年PFSは、R-CHOP-14群で46%、R-mini-CHOP群で50%であった。 ・化学療法の相対的な用量強度とOSとの間に相関は認められなかった(p=0.72)。  著者らは「本研究がレトロスペクティブコホート研究である点を踏まえると、OSに差が認められないことから、80歳以上の未治療DLBCL患者に対する治療は、減量R-CHOPが望ましいと考えられる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Dilbaz ZG, et al. Eur J Haematol. 2024 Jul 31. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39086181 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発DLBCLに対するベネトクラクス+イブルチニブ+プレドニゾン+オビヌツズマブ+レナリドミド併用療法
再発DLBCLに対するベネトクラクス+イブルチニブ+プレドニゾン+オビヌツズマブ+レナリドミド併用療法
公開日:2024年6月24日 Melani C, et al. N Engl J Med. 2024; 390: 2143-2155.  びまん性大細胞性B細胞リンパ腫(DLBCL)における発癌変異の特定により、それらをターゲットとする薬剤が次々と開発されている。しかし、複数のターゲットに対する薬剤を併用した場合の有効については不明である。米国・国立がん研究所のChristopher Melani氏らは、再発・難治性DLBCL患者を対象に、ベネトクラクス+イブルチニブ+プレドニゾン+オビヌツズマブ+レナリドミド併用療法の有用性を評価した。The New England Journal of Medicine誌2024年6月20日号の報告。  再発・難治性DLBCL患者を対象に、ベネトクラクス+イブルチニブ+プレドニゾン+オビヌツズマブ+レナリドミド併用(ViPOR)療法に関する単施設第Ib-II相試験を実施した。DLBCLおよび低悪性度リンパ腫患者を含む第Ib相試験では、ベネトクラクスの4段階の用量を評価し、第II相試験での推奨用量を特定した(その他4剤の用量は固定)。胚中心B細胞(GCB)および非GCBのDLBCL患者を対象に、第II相拡大試験を行った。ViPOR療法は、21日ごとに6サイクル実施した。 主な結果は以下のとおり。 ・第 Ib相試験の対象患者20例(DLBCL患者10例を含む)において、グレード3の頭蓋内出血(用量制限毒性作用)が1件発生した。その結果、第II相試験のベネトクラクス推奨用量は、800mgと特定した。 ・第II相試験には、DLBCL患者40例が登録された。 ・毒性作用は、グレード3または4の好中球減少症(24%/サイクル)、血小板減少症(23%/サイクル)、貧血(7%/サイクル)、発熱性好中球減少症(1%/サイクル)であった。 ・評価可能なDLBCL患者48例のうち54%で客観的奏効が認められ、完全奏効(CR)は38%で認められた。CRは、非GCBのDLBCL患者およびMYC遺伝子およびBCL2またはBCL6遺伝子(またはその両方)の再構成を伴う高悪性度B細胞リンパ腫患者で認められた。 ・ViPOR療法終了時、血中内腫瘍循環DNAが検出されなかった患者は33%であった。 ・フォローアップ期間中央値は40ヵ月、2年無増悪生存期間(PFS)は34%(95%信頼区間[CI]:21〜47)、全生存期間は36%(95%CI:23〜49)であった。  著者らは「ViPOR療法は、特定のDLBCLサブタイプ患者の持続的な寛解と関連していたが、可逆的な有害事象との関連も認められた」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Delimpasi S, et al. Am J Hematol. 2024 Jun 10. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38856176 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
日本人DLBCLの適切なエンドポイントは?〜北日本血液研究会
日本人DLBCLの適切なエンドポイントは?〜北日本血液研究会
公開日:2024年6月26日 Izumiyama K, et al. Haematologica. 2024 Jun 13. [Epub ahead of print]  新規びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)治療後のフォローアップ期間に関する情報は重要であるものの、明確なエンドポイントは明らかになっていない。北海道・愛育病院の泉山 康氏らは、北海道の各地域を代表する14施設を含む、集団ベースのコホート研究より、新規DLBCL予後を調査した。Haematologica誌オンライン版2024年6月13日号の報告。  北日本血液研究会は、北海道の各地域を代表する14施設を含む、集団ベースのコホート研究を実施した。対象は、2008〜18年に初回治療としてリツキシマブとアントラサイクリンベースで導入化学療法(ICT)を行った18歳以上の新規DLBCL患者2,182例。全生存期間(OS)は、年齢、性別でマッチした日本人一般集団のデータ(対照群)と比較した。 主な結果は以下のとおり。 ・患者の平均年齢は71歳。 ・フォローアップ期間中央値は3.4年、イベント発生患者は985例、死亡患者は657例であった。 ・36ヵ月無イベント生存期間(EFS)達成患者のOSは、対照群と同等であったが(標準化死亡比[SMR]:1.17、p=0.1324)、24ヵ月EFS達成患者のOSは、対照群と同等ではなかった(SMR:1.26、p=0.0095)。 ・サブグループ解析では、24ヵ月EFS達成患者でマッチした日本人一般集団と同等の平均余命を示す因子として、比較的高齢な患者(60歳以上)、男性、限局期、PS良好、可溶性IL-2受容体低値が抽出された。 ・一方、比較的若年の患者では、36ヵ月EFS達成患者でマッチした日本人一般集団よりも平均余命が短かった。  著者らは「新規DLBCL患者において、36ヵ月EFSは24ヵ月EFSよりも、適切なエンドポイントである可能性が示唆された。注目すべきは、比較的若年の患者では、より長期のEFS期間が必要となることであろう」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Izumiyama K, et al. Haematologica. 2024 Jun 13. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38867578 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
CAR-T細胞療法により再発・難治性LBCLの予後は変化したか
CAR-T細胞療法により再発・難治性LBCLの予後は変化したか
公開日:2024年7月5日 Yagi Y, et al. J Clin Exp Hematop. 2024; 64: 107-118.  初回化学療法に奏効しないまたは早期再発の再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)患者のアウトカムは不良である。3rdライン以降でのCAR-T細胞療法に関する有効性は報告されているが、これらのアウトカムが、3rdラインCAR-T細胞療法で一貫しているかは、よくわかっていない。東京・都立駒込病院の八木 悠氏らは、再発・難治性LBCL患者107例を対象に、レトロスペクティブに解析を行い、その結果を報告した。Journal of Clinical and Experimental Hematopathology誌2024年号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・初回化学療法後12ヵ月以上経過したのち再発した患者(後期再発群:25例)では、難治性または12ヵ月以内の早期再発患者(早期再発群:82例)よりも、全生存期間(OS)が有意に延長された(OS中央値:未達 vs. 18.4ヵ月、p<0.001)。 ・自家造血幹細胞移植(auto-HSCT)を行なった患者のうち、後期再発群は、早期再発群よりも無イベント生存期間(EFS)が有意に延長された(EFS中央値:26.9ヵ月 vs. 3.1ヵ月、p=0.012)。 ・CAR-T細胞療法を行った患者では、EFSに統計学的に有意な差が認められなかった(EFS中央値:未達 vs. 11.8ヵ月、p=0.091)。 ・制限付き三次スプラインCox回帰モデルでは、再発のタイミングは、auto-HSCT患者のEFSに有意な影響を及ぼしたが、CAR-T細胞療法患者では影響を及ぼさないことが示唆された。 ・CAR-T細胞療法が予定されていた患者のうち、後期再発患者は早期再発患者よりも、CAR-T細胞療法を行える可能性が有意に高かった(90% vs. 57%、p=0.008)。  著者らは「3rdライン以降でのCAR-T細胞療法が承認された後でも、早期再発患者におけるアウトカムは不良であった」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Yagi Y, et al. J Clin Exp Hematop. 2024; 64: 107-118.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38925972 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
悪性リンパ腫患者のHRQoLはどの程度悪化しているのか〜REALYSAコホート
悪性リンパ腫患者のHRQoLはどの程度悪化しているのか〜REALYSAコホート
公開日:2024年7月17日 Anota A, et al. Eur J Cancer. 2024 Jul 4. [Epub ahead of print]  近年、悪性リンパ腫の治療は、著しく進歩を遂げている。そのため、悪性リンパ腫患者の健康関連QOL(HRQoL)の評価は、臨床研究や日常診療において重要なポイントとなっている。しかし、診断時における悪性リンパ腫特有のHRQoLプロファイルに関するデータは、十分ではない。フランス・Centre Leon BerardのAmelie Anota氏らは、フランスのプロスペクティブ非介入多施設コホートであるREALYSAコホートの登録患者を対象に、新規悪性リンパ腫患者における診断時のHRQoLの評価を行った。European Journal of Cancer誌オンライン版2024年7月4日号の報告。  対象は、REALYSAコホートに含まれる成人悪性リンパ腫患者3,922例。高悪性度非ホジキンリンパ腫(NHL-HG)患者1,994例、低悪性度非ホジキンリンパ腫(NHL-LG)患者1,053例、ホジキンリンパ腫(HL)患者875例の診断時のHRQoLを評価した。疾患特有のHRQoLを評価するため、3つの検証済みEORTC質問票をそれぞれ用いた(NHL-HG:QLQ-NHL-HG29、NHL-LG:QLQ-NHL-LG20、HL:QLQ-HL27)。 主な結果は以下のとおり。 ・本コホートにおける質問票の完了率は高く、QLQ-HG29の84%からQLQ-HL27の88%にまで達していた。 ・全般的な健康状態が悪化している患者の割合は、T細胞リンパ腫67%、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)62%、バーキットリンパ腫61%、HL 53%、辺縁帯リンパ腫49%、マントル細胞リンパ腫48%、濾胞性リンパ腫(FL)47%であった。 ・DLBCL、FL、HLの多変量回帰分析では、性別、PS、B症状がすべてのHRQoLと独立して関連していることが示唆された。ただし、各サブタイプ間で、年齢とステージによるさまざまな影響が観察された。  著者らは「本研究により、各悪性リンパ腫患者の診断時におけるHRQoLプロファイルが明らかとなった。本研究で使用した最近検証されたEORTC質問票は、今後の研究でHRQoL結果の解釈を促進する上で役立つであろう」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Anota A, et al. Eur J Cancer. 2024 Jul 4. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39002346 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
axi-celによる再発・難治性LBCLの臨床転帰に対する腫瘍減量療法の影響
axi-celによる再発・難治性LBCLの臨床転帰に対する腫瘍減量療法の影響
公開日:2024年7月18日 van Meerten T, et al. Am J Cancer Res. 2024; 14: 2905-2920.  CD19を標的としたCAR-T細胞療法アキシカブタゲン シロルユーセル(axi-cel)は、ZUMA-1試験のコホート1+2の結果に基づいて、再発・難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)の治療薬として承認された。サイトカイン放出症候群(CRS)および神経学的イベントの発生率や重症度を軽減することを目的とした安全性マネジメント戦略を調査するため、ZUMA-1試験の拡大コホートが実施された。オランダ・フローニンゲン大学のTom van Meerten氏らは、axi-cel治療患者における免疫化学療法および腫瘍減量療法の影響を評価したプロスペクティブ安全性拡大コホート5の結果を報告した。American Journal of Cancer Research誌2024年6月15日号の報告。  コホート5では、axi-cel治療を行った再発・難治性LBCL患者を対象に、リツキシマブを含む免疫化学療法レジメンおよび放射線療法を含む腫瘍減量療法の影響を評価した。CRSおよび神経学的イベントのマネジメント戦略は、コホート1+2の戦略と並行していた。 主な結果は以下のとおり。 ・コホート5でaxi-cel治療を行った患者50例のうち、40%が3種類以上の化学療法を行なっており、最近の化学療法中に病勢進行が認められた患者は40%であった。 ・腫瘍減量療法が行われていた患者は48例(96%)、放射線療法のみが14例(28%)、全身免疫化学療法が34例(71%)であった。 ・スクリーニング時と比較した腫瘍量減少の中央値は、R-ICE /R-GDPで17.4%、その他の腫瘍減量化学療法で4.3%、放射線療法のみで6.3%であった。 ・すべての患者のフォローアップ期間は、8ヵ月以上であった。 ・CRSは、43例(86%)で報告された。グレード3以上は 1例(2%)のみであった。 ・神経学的イベントは、28例(56%)で報告された。グレード3以上は6例(12%)であった。 ・最も多く認められたグレード3以上の有害事象は、血球減少であった。 【血小板減少】全体:19例(38%)、グレード3以上:18例(36%) 【好中球減少】全体:25例(50%)、グレード3以上:24例(48%) ・全体として、腫瘍減量化学療法を行った患者は、放射線療法のみであった患者よりも、治療中の重篤な有害事象の発生率が高かった。 ・24ヵ月の解析では、客観的腫瘍縮小効果(ORR)は72%、完全奏効(CR)は56%であった。 ・奏効期間中央値は25.8ヵ月、無増悪生存期間(PFS)中央値は3.1ヵ月、全生存期間(OS)中央値は20.6ヵ月であった。  著者らは「コホート5の本結果は、axi-cel治療前の腫瘍減量療法の実現可能性を示唆しており、現在のリアルワールドでのエビデンスと合わせて、再発・難治性LBCL患者のCRSおよび神経学的イベントの発生や重症度を最低限に抑制するために、腫瘍減量レジメンが役立つ可能性を示唆している。なお、その他の有害事象の発生については、本研究で行われていた腫瘍減量レジメンでは、リスク/ベネフィットプロファイルが改善されなかった」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら van Meerten T, et al. Am J Cancer Res. 2024; 14: 2905-2920.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39005691 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
リツキサン時代における再発・難治性DLBCLの実際の臨床アウトカム〜STRIDER試験
リツキサン時代における再発・難治性DLBCLの実際の臨床アウトカム〜STRIDER試験
公開日:2024年7月22日 Dogliotti I, et al. Cancer Med. 2024; 13: e7448.  R -CHOP療法により、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療成績は大きく改善した。しかし、R-CHOP療法で治療した場合でも、再発率は約40%、難治性率は約15%といわれている。イタリア・A.O.U. Citta della Salute e della ScienzaのIrene Dogliotti氏らは、再発・難治性DLBCLの実際の臨床アウトカムを評価するため、リアルワールドデータのレトロスペクティブ分析を行った。Cancer Medicine誌2024年7月号の報告。  イタリア・トリノの2つの大規模血液センターで治療を行ったDLBCL患者403例を連続登録し、調査した。 主な結果は以下のとおり。 ・フォローアップ期間中央値は50ヵ月、診断から5年間の全生存期間(OS)は66.5%、2年の無増悪生存期間(PFS)は68%であった。 ・再発・難治性DLBCLは134例(34.4%)であった。内訳は、再発した患者46例(11.8%)、難治性と判断された患者88例(22.6%)。 ・サルベージ療法で最も多く採用されたのは、プラチナベースのレジメンで38例(28.4%)、次いでレナリドミド14例(10.4%)であった。 ・再発または病勢進行後のOS中央値は6.7ヵ月、PFS中央値は5.1ヵ月であった。 ・再発・難治性DLBCLにおいて、プラチナベースのレジメンで治療された患者と他のレジメンで治療された患者では、全奏効率(OR)、OS、PFSに有意な差は認められなかった。 ・多変量解析により、再発・難治性DLBCLのOSと関連している因子として、次の3つが挙げられた。 ●年齢:60〜80歳 ●起源:胚中心B細胞型 ●転移:リンパ節外転移2ヵ所未満  著者らは「リツキシマブ時代になった今もなお、再発・難治性DLBCLの臨床アウトカムは、不良であることが改めて確認された。これらを改善するためにも、CAR-T細胞療法や二重特異性抗体などの新たな治療法が、第2選択治療として広く承認されることが望まれる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Dogliotti I, et al. Cancer Med. 2024; 13: e7448.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39030982 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
CAR-T細胞療法後の最適なモニタリング期間は
CAR-T細胞療法後の最適なモニタリング期間は
公開日:2024年7月25日 Ahmed N, et al. Blood Adv. 2024 Jul 23. [Epub ahead of print]  CD19を標的としたCAR-T細胞療法として、アキシカブタゲン シロルユーセル(axi-cel)、チサゲンレクル ユーセル(tisa-cel)、リソカブタゲン マラルユーセル(liso-cel)などが承認されたことにより、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)治療は一変し、有効な治療法として確立されつつある。その一方で、サイトカイン放出症候群(CRS)や免疫細胞関連神経毒性症候群(ICANS)などの毒性リスクが問題となっている。米FDAは、リスク評価および緩和戦略の一環として、毒性リスクのモニタリングのために患者を治療センターの近隣に4週間滞在することを義務付けている。しかし、このような慎重な対策は、治療費の増加、患者および介護者の負担増加、患者アクセスや社会経済的格差などの課題をもたらす可能性がある。米国・カンザス大学のNausheen Ahmed氏らは、CAR-T細胞療法を行った患者におけるCRS、ICANSの発生や持続期間、非再発死亡率(NRM)の原因を調査した。Blood Advances誌オンライン版2024年7月23日号の報告。  2018〜23年に9施設でaxi-cel、tisa-cel、liso-celによる治療を行った患者475例を対象に、リアルワールドにおけるCAR-T細胞療法実施患者のCRS、ICANSの発生や持続期間、NRMの原因を調査するため、レトロスペクティブ研究を実施した。 主な結果は以下のとおり。 ・製品間でCRS、ICANSの発生率や持続期間に違いが認められたが、注入後2週間以降で新規に発生したCRS(0%)、ICANS(0.7%)は極めて稀であった。 ・2週間後にCRSの新規発生は認められず、ICANSの新規発生は、3週間後に1例のみで認められた。 ・NRMは、フォローアップ初期にICANS(28日目までで1.1%)、その後3ヵ月間で感染症(1.2%)により発生していた。  著者らは「本研究結果は、CAR-T細胞療法のモニタリングを最適化する上で重要であり、今後は患者の身体的および経済的制約を軽減するための仕組みが求められるであろう」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Ahmed N, et al. Blood Adv. 2024 Jul 23. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39042880 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
R-CHOP+メトホルミン併用療法でDLBCLの臨床アウトカム改善〜第II相試験
R-CHOP+メトホルミン併用療法でDLBCLの臨床アウトカム改善〜第II相試験
公開日:2024年7月30日 Hegazy A, et al. Asian Pac J Cancer Prev. 2024; 25: 2351-2359.  メトホルミンは、さまざまな腫瘍に対し抗腫瘍効果を示すことが報告されている。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)においては、第1選択の化学療法および免疫療法にメトホルミンを併用することにより、臨床アウトカムの改善が示唆されている。エジプト・Menoufia UniversityのAmira Hegazy氏らは、DLBCL患者に対する標準的な初期治療レジメンであるR-CHOP療法にメトホルミンを併用した際の有効性を評価するため、プロスペクティブランダム化第II相試験を実施した。Asian Pacific Journal of Cancer Prevention誌2024年7月1日号の報告。  対象は、DLBCLの組織病理学的所見が認められ、R-CHOPによる第1選択治療の基準に適合し、余命6ヵ月以上、PS2以下の成人患者100例。対象患者は、R-CHOP+メトホルミン併用療法群(50例)またはR-CHOP療法単独を行った標準療法群(50例)のいずれかにランダムに割り付けられた。評価指標には、奏効率、毒性、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を含めた。 主な結果は以下のとおり。 ・メトホルミン併用療法群では、標準療法群よりも、女性の割合が高かった(p=0.016)。 ・メトホルミン併用療法群では、標準療法群よりも、悪心の発生率が高かった(p=0.008)。 ・メトホルミン併用療法群では、標準療法群よりも、治療終了時の完全寛解(CR)率が高く、再発/病勢進行率が低く、全死亡率も低かった。 【CR率】メトホルミン併用療法群:92% vs. 標準療法群:74%(p=0.017) 【再発/病勢進行率】メトホルミン併用療法群:10% vs. 標準療法群:36%(p=0.002) 【全死亡率】メトホルミン併用療法群:4% vs. 標準療法群:20%(p=0.014) ・平均無病生存期間(DFS)は、メトホルミン併用療法群で24.5ヵ月、標準療法群で20.2ヵ月であった(p=0.023)。 ・同様に、平均PFSは、メトホルミン併用療法群で25.91ヵ月、標準療法群で19.81ヵ月(p=0.002)、平均OSは、メトホルミン併用療法群で27.39ヵ月、標準療法群で23.8ヵ月であった(p=0.013)。 ・奏効と再発の多変量解析では、メトホルミンの使用は、CRと再発の独立した予後因子であることが示唆された。  著者らは「R-CHOP+メトホルミン併用療法は、許容可能な安全性プロファイルを有し、DLBCL患者の臨床アウトカム改善に寄与する可能性が示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Hegazy A, et al. Asian Pac J Cancer Prev. 2024; 25: 2351-2359.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39068568 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
Richter形質転換DLBCLに対する抗PD-L1抗体アテゾリズマブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブ/Lancet Oncol
Richter形質転換DLBCLに対する抗PD-L1抗体アテゾリズマブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブ/Lancet Oncol
公開日:2024年9月20日 Tedeschi A, et al. Lancet Oncol. 2024 Sep 10. [Epub ahead of print]  Richter形質転換びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、通常、化学療法に抵抗性を示し、予後不良である。イタリア・Niguarda Cancer CenterのAlessandra Tedeschi氏らは、抗腫瘍免疫反応をターゲットとした化学療法なしでの治療レジメンを開発することを目的とし、Richter形質転換DLBCLに対する抗PD-L1抗体アテゾリズマブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブ併用療法の第II相試験を実施した。The Lancet. Oncology誌オンライン版2024年9月10日号の報告。  本第II相試験は、イタリアおよびスイスの15施設において、プロスペクティブ非盲検多施設単群医師主導試験として実施した。対象患者は、IWCLL2008基準に従い、慢性リンパ性白血病(CLL)または小リンパ球性リンパ腫(SLL)と診断され、生検でDLBCLへの形質転換が認められた18歳以上の患者で、CLL治療を実施した可能性はあるが、Richter形質転換DLBCLに対する治療は未実施、ECOGのPSが0〜2であり、過去にアテゾリズマブ、ベネトクラクス、オビヌツズマブのいずれも未使用の患者。患者には、オビヌツズマブ静脈内投与(1サイクル目:day1 100mg、day2 900mg、day8・day15 1,000mg、2〜8サイクル目:day1 1,000mg)、アテゾリズマブ静脈内投与(1サイクル目:day2 1,200mg、2〜18サイクル目:day1 1,200mg)、ベネトクラクス経口投与(CLLの投与スケジュールに従い、1サイクル目:day15 20mg/日から増量し、3〜35サイクルのday21まで400mg/日)を行った。主要エンドポイントは、ITTにおける6サイクル目day21時の全奏効(OR)率とした。OR率が67%以上の場合、臨床的に有効であるとみなし、奏効率が40%以下の場合、帰無仮説を棄却とみなした。 主な結果は以下のとおり。 ・2019年10月9日〜2022年10月19日に、28例(男性:12例[43%]、女性:16例[57%])が登録された。 ・フォローアップ期間中央値は16.8ヵ月(IQR:7.8〜32.0)。 ・6サイクル目に28例中19例で奏効がみられ、OR率は67.9%(95%CI:47.6〜84.1)であった。 ・グレード3以上の治療関連有害事象は、28例中17例(61%、95%CI:40.6〜78.5)で認められ、好中球減少の報告が最も多かった(28例中11例、39%、95%CI:21.5〜59.4)。 ・治療中に発生した重篤な有害事象は8例(29%、95%CI:14.2〜48.7)、感染症が最も多かった(28例中5例、18%、95%CI:6.1〜36.9)。 ・有害事象による死亡例は2例(7%)、その内訳は敗血症1例、真菌性肺炎1例であり、いずれも治療との直接的な関連性は低いと考えられた。 ・免疫関連有害事象は、6例(21.4%)で認められたが、いずれも治療中止には至らなかった。 ・腫瘍崩壊症候群は、認められなかった。  著者らは「Richter形質転換DLBCLに対するアテゾリズマブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブの3剤併用は、有効かつ安全であることが示唆されており、本レジメンが、Richter形質転換DLBCLに対する新たな第1選択治療アプローチとなりうる可能性がある」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Tedeschi A, et al. Lancet Oncol. 2024 Sep 10. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39270702 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら