axi-celによる再発・難治性LBCLの臨床転帰に対する腫瘍減量療法の影響
DLBCL

axi-celによる再発・難治性LBCLの臨床転帰に対する腫瘍減量療法の影響

公開日:2024年7月18日

van Meerten T, et al. Am J Cancer Res. 2024; 14: 2905-2920.
 CD19を標的としたCAR-T細胞療法アキシカブタゲン シロルユーセル(axi-cel)は、ZUMA-1試験のコホート1+2の結果に基づいて、再発・難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)の治療薬として承認された。サイトカイン放出症候群(CRS)および神経学的イベントの発生率や重症度を軽減することを目的とした安全性マネジメント戦略を調査するため、ZUMA-1試験の拡大コホートが実施された。オランダ・フローニンゲン大学のTom van Meerten氏らは、axi-cel治療患者における免疫化学療法および腫瘍減量療法の影響を評価したプロスペクティブ安全性拡大コホート5の結果を報告した。American Journal of Cancer Research誌2024年6月15日号の報告。
 コホート5では、axi-cel治療を行った再発・難治性LBCL患者を対象に、リツキシマブを含む免疫化学療法レジメンおよび放射線療法を含む腫瘍減量療法の影響を評価した。CRSおよび神経学的イベントのマネジメント戦略は、コホート1+2の戦略と並行していた。
主な結果は以下のとおり。
・コホート5でaxi-cel治療を行った患者50例のうち、40%が3種類以上の化学療法を行なっており、最近の化学療法中に病勢進行が認められた患者は40%であった。 ・腫瘍減量療法が行われていた患者は48例(96%)、放射線療法のみが14例(28%)、全身免疫化学療法が34例(71%)であった。 ・スクリーニング時と比較した腫瘍量減少の中央値は、R-ICE /R-GDPで17.4%、その他の腫瘍減量化学療法で4.3%、放射線療法のみで6.3%であった。 ・すべての患者のフォローアップ期間は、8ヵ月以上であった。 ・CRSは、43例(86%)で報告された。グレード3以上は 1例(2%)のみであった。 ・神経学的イベントは、28例(56%)で報告された。グレード3以上は6例(12%)であった。 ・最も多く認められたグレード3以上の有害事象は、血球減少であった。 【血小板減少】全体:19例(38%)、グレード3以上:18例(36%) 【好中球減少】全体:25例(50%)、グレード3以上:24例(48%) ・全体として、腫瘍減量化学療法を行った患者は、放射線療法のみであった患者よりも、治療中の重篤な有害事象の発生率が高かった。 ・24ヵ月の解析では、客観的腫瘍縮小効果(ORR)は72%、完全奏効(CR)は56%であった。 ・奏効期間中央値は25.8ヵ月、無増悪生存期間(PFS)中央値は3.1ヵ月、全生存期間(OS)中央値は20.6ヵ月であった。
 著者らは「コホート5の本結果は、axi-cel治療前の腫瘍減量療法の実現可能性を示唆しており、現在のリアルワールドでのエビデンスと合わせて、再発・難治性LBCL患者のCRSおよび神経学的イベントの発生や重症度を最低限に抑制するために、腫瘍減量レジメンが役立つ可能性を示唆している。なお、その他の有害事象の発生については、本研究で行われていた腫瘍減量レジメンでは、リスク/ベネフィットプロファイルが改善されなかった」としている。


(エクスメディオ 鷹野 敦夫)

原著論文はこちら van Meerten T, et al. Am J Cancer Res. 2024; 14: 2905-2920.
https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39005691

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