「レナリドミド(レブラミド)」の記事一覧

MMに対するASCT後のエロツズマブ+レナリドマイド維持療法〜第I相試験
MMに対するASCT後のエロツズマブ+レナリドマイド維持療法〜第I相試験
公開日:2024年5月15日 Coffey DG, et al. Cancer. J Immunother Cancer. 2024; 12: e008110.  導入療法後の自家造血幹細胞移植(ASCT)は、多発性骨髄腫(MM)患者の無病生存期間を改善する。ASCTの目的は、病状を最小限に抑えることだが、免疫抑制細胞の根絶と関連しており、ASCT後の免疫療法の早期導入が治療効果の向上に寄与する可能性がある。米国・マイアミ大学のDavid G. Coffey氏らは、導入療法後のMM患者におけるASCT後の自己リンパ球注入とヒト化抗ヒトSLAMF7モノクローナル抗体エロツズマブの適用を調査するため、第I相臨床試験を実施した。Journal for Immunotherapy of Cancer誌2024年4月12日号の報告。  対象は、導入療法を行った未治療のMM患者15例。CD40陽性細胞に加え、免疫再構成を促進しエロツズマブの機序に不可欠な自己NK細胞を提供するため、移植前に末梢血単核細胞を摂取し、幹細胞移植3日目に輸注した。4日目よりエロツズマブ投与を開始し、その後1年間は28日ごとに投与した。4〜12サイクル目に、標準治療のレナリドマイド維持療法を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・すべての対象患者の安全性を評価した。治療プロトコルを完了した患者は13例であった。 ・ASCT1年後時点での対象患者の状態は、厳格な完全奏効(sCR)5例、完全奏効(CR)1例、最良部分奏効(VGPR)6例、部分奏効(PR)1例、進行(PD)2例であった。 ・忍容性は高く、グレード3および4の有害事象のほとんどは、ASCTに関連する血液毒性であると考えられた。 ・免疫微小環境の相関分析では、CR達成患者は、移植後最初の3ヵ月間で制御性T細胞が減少し、その後NK細胞および単球が増加する傾向が認められた。  著者らは「本第I相試験において、ASCT後のMM患者に対するエロツズマブ免疫療法の早期導入は、忍容性が高く、免疫微小環境の良好な変化を伴う疾患コントロールに有望である可能性が示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Coffey DG, et al. Cancer. J Immunother Cancer. 2024; 12: e008110.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38609316 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性MMに対するILd療法の有効性に対するレナリドミドまたはプロテアソーム阻害薬曝露の影響
再発・難治性MMに対するILd療法の有効性に対するレナリドミドまたはプロテアソーム阻害薬曝露の影響
公開日:2024年5月17日 Lee HC, et al. Eur J Haematol. 2024 Apr 23. [Epub ahead of print]  米国・テキサス大学のHans C. Lee氏らは、再発・難治性の多発性骨髄腫(MM)におけるイキサゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(ILd)の有効性および安全性に対するレナリドミドまたはプロテアソーム阻害薬の治療歴と難治性への影響を評価した。European Journal of Haematology誌オンライン版2024年4月23日号の報告。  INSIGHT MM試験、UVEA-IXA試験、REMIX試験より、2ライン以上の治療でIRd療法を行った成人再発・難治性MM患者562例を対象に、統合解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。 ・全体として、治療歴別の患者の内訳は、次の通りであった。 【レナリドミド】未治療:391例、治療歴:100例、不応:68例 【プロテアソーム阻害薬】未治療:37例、治療歴:411例、不応:110例 ・治療期間(DOT)中央値の治療歴別の患者の内訳は、次の通りであった。 【レナリドミド】未治療:15.3ヵ月、治療歴:15.6ヵ月、不応:4.7ヵ月 【プロテアソーム阻害薬】未治療:20.4ヵ月、治療歴:15.2ヵ月、不応:6.9ヵ月 ・無増悪生存期間(PFS)中央値の治療歴別の患者の内訳は、次の通りであった。 【レナリドミド】未治療:21.6ヵ月、治療歴:25.8ヵ月、不応:5.6ヵ月 【プロテアソーム阻害薬】未治療:未達、治療歴:19.8ヵ月、不応:11.4ヵ月 ・INSIGHT MM試験において、有害事象により治療薬を中止した患者の割合は、治療歴別で次の通りであった。 ●イキサゾミブ治療中止 【レナリドミド】未治療:31.6%、治療歴:28.2%、不応:28.0% 【プロテアソーム阻害薬】未治療:44.4%、治療歴:28.8%、不応:27.8% ●レナリドミド治療中止 【レナリドミド】未治療:21.9%、治療歴:28.2%、不応:16.0% 【プロテアソーム阻害薬】未治療:33.3%、治療歴:22.0%、不応:19.4% ●デキサメタゾン治療中止 【レナリドミド】未治療:18.4%、治療歴:20.5%、不応:16.0% 【プロテアソーム阻害薬】未治療:33.3%、治療歴:17.4%、不応:16.7% ・UVEA-IXA試験において、有害事象により治療薬を中止した患者の割合は、治療歴別で次の通りであった。 ●イキサゾミブ治療中止 【レナリドミド】未治療:18.6%、治療歴:6.7%、不応:10.5% 【プロテアソーム阻害薬】未治療:22.2%、治療歴:16.7%、不応:15.7% ●レナリドミド治療中止 【レナリドミド】未治療:16.1%、治療歴:6.7%、不応:10.5% 【プロテアソーム阻害薬】未治療:16.7%、治療歴:15.9%、不応:11.8% ●デキサメタゾン治療中止 【レナリドミド】未治療:10.6%、治療歴:0%、不応:10.5% 【プロテアソーム阻害薬】未治療:16.7%、治療歴:9.5%、不応:7.8% ・REMIX試験では、有害事象により治療薬を中止した患者の割合は、入手できなかった。  著者らは「IRd療法は、過去の治療歴とは無関係に、再発・難治性MM患者の日常的な臨床診療において有効であり、レナリドミド/プロテアソーム阻害薬に対する不応性がなくとも良好なアウトカムが期待できることが示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Lee HC, et al. Eur J Haematol. 2024 Apr 23. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38654611 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
未治療で移植適応のないMM患者に対するISA+BLd療法〜国際オープンラベル第III相試験
未治療で移植適応のないMM患者に対するISA+BLd療法〜国際オープンラベル第III相試験
公開日:2024年6月12日 Facon T, et al. N Engl J Med. 2024 Jun 3. [Epub ahead of print]  ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(BLd療法)は、未治療MM患者に対する好ましい第1選択治療である。抗CD38モノクローナル抗体イサツキシマブ(ISA)のBLd療法への追加が、移植適応のないMM患者の病勢進行または死亡リスクの軽減に寄与するかは、不明である。フランス・リール大学のThierry Facon氏らは、未治療で移植適応のないMM患者に対するISA+BLd療法の有効性を評価するため、国際オープンラベル第III相試験を実施した。NEJM誌オンライン版2024年6月3日号の報告。  本研究は、国際オープンラベル第III相試験として実施した。対象は、未治療で移植適応のない18〜80歳のMM患者446例。対象患者は、ISA+BLd療法群とBLd療法群に3:2でランダムに割り付けた。有効性の主要エンドポイントは無増悪生存期間(PFS)とし、副次的エンドポイントには完全奏効(CR)またはそれ以上の奏効、CR患者における微小残存病変(MRD)陰性率を含めた。 主な結果は以下のとおり。 フォローアップ期間(中央値:59.7ヵ月)における60ヵ月時点でのPFS推定値は、ISA+BLd療法群で63.2%、BLd療法群で45.2%であった(病勢進行または死亡のハザード比:0.60、98.5%信頼区間:0.41〜0.88、p<0.001)。 ・CR以上の奏効を示した患者の割合は、ISA+BLd療法群の方が、BLd療法群よりも有意に高く(74.7% vs.64.1%、p=0.01)、MRD陰性でCRを示した患者の割合も同様であった(55.5% vs.40.9%、p=0.003)。 ・ISA+BLd療法レジメンでは、新たな安全性シグナルは観察されなかった。 ・治療中の重篤な有害事象発生率および治療中止につながる有害事象発生率は、両群間で同程度であった。  著者らは「移植適応のない18〜80歳の未治療MM患者の初期療法として、ISA+BLd療法は、BLd療法よりも効果的であった」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Tagami N, et al. Int J Hematol. 2024 May 29. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38811413 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発DLBCLに対するベネトクラクス+イブルチニブ+プレドニゾン+オビヌツズマブ+レナリドミド併用療法
再発DLBCLに対するベネトクラクス+イブルチニブ+プレドニゾン+オビヌツズマブ+レナリドミド併用療法
公開日:2024年6月24日 Melani C, et al. N Engl J Med. 2024; 390: 2143-2155.  びまん性大細胞性B細胞リンパ腫(DLBCL)における発癌変異の特定により、それらをターゲットとする薬剤が次々と開発されている。しかし、複数のターゲットに対する薬剤を併用した場合の有効については不明である。米国・国立がん研究所のChristopher Melani氏らは、再発・難治性DLBCL患者を対象に、ベネトクラクス+イブルチニブ+プレドニゾン+オビヌツズマブ+レナリドミド併用療法の有用性を評価した。The New England Journal of Medicine誌2024年6月20日号の報告。  再発・難治性DLBCL患者を対象に、ベネトクラクス+イブルチニブ+プレドニゾン+オビヌツズマブ+レナリドミド併用(ViPOR)療法に関する単施設第Ib-II相試験を実施した。DLBCLおよび低悪性度リンパ腫患者を含む第Ib相試験では、ベネトクラクスの4段階の用量を評価し、第II相試験での推奨用量を特定した(その他4剤の用量は固定)。胚中心B細胞(GCB)および非GCBのDLBCL患者を対象に、第II相拡大試験を行った。ViPOR療法は、21日ごとに6サイクル実施した。 主な結果は以下のとおり。 ・第 Ib相試験の対象患者20例(DLBCL患者10例を含む)において、グレード3の頭蓋内出血(用量制限毒性作用)が1件発生した。その結果、第II相試験のベネトクラクス推奨用量は、800mgと特定した。 ・第II相試験には、DLBCL患者40例が登録された。 ・毒性作用は、グレード3または4の好中球減少症(24%/サイクル)、血小板減少症(23%/サイクル)、貧血(7%/サイクル)、発熱性好中球減少症(1%/サイクル)であった。 ・評価可能なDLBCL患者48例のうち54%で客観的奏効が認められ、完全奏効(CR)は38%で認められた。CRは、非GCBのDLBCL患者およびMYC遺伝子およびBCL2またはBCL6遺伝子(またはその両方)の再構成を伴う高悪性度B細胞リンパ腫患者で認められた。 ・ViPOR療法終了時、血中内腫瘍循環DNAが検出されなかった患者は33%であった。 ・フォローアップ期間中央値は40ヵ月、2年無増悪生存期間(PFS)は34%(95%信頼区間[CI]:21〜47)、全生存期間は36%(95%CI:23〜49)であった。  著者らは「ViPOR療法は、特定のDLBCLサブタイプ患者の持続的な寛解と関連していたが、可逆的な有害事象との関連も認められた」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Delimpasi S, et al. Am J Hematol. 2024 Jun 10. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38856176 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
低リスクMDSの非輸血依存患者に対する低用量レナリドミド早期介入〜SintraREV試験
低リスクMDSの非輸血依存患者に対する低用量レナリドミド早期介入〜SintraREV試験
公開日:2024年7月23日 Diez-Campelo M, et al. Lancet Haematol. 2024 Jul 18. [Epub ahead of print]  レナリドミドは、5番染色体長腕部欠失(5q欠損)を伴う骨髄異形成症候群(MDS)の輸血依存患者に対する標準治療薬である。非輸血依存の貧血患者に対する2年間の低用量レナリドミド投与による早期介入が、その後の輸血依存を遅延させるかを検討するため、スペイン・サラマンカ大学のMaria Diez-Campelo氏らは、プラセボ対照ランダム化二重盲検第III相試験であるSintraREV試験を実施した。The Lancet. Haematology誌オンライン版2024年7月18日号の報告。  SintraREV試験には、スペイン、フランス、ドイツの22施設(大学病院)が参加した。対象は、低リスクまたは中等度1リスクの5q欠損MDS診断され、非輸血依存貧血を呈し、エリスロポエチン未治療、ECOGのPS2以上であった18歳以上の患者。対象患者は、レナリドミド群(2年間、28日サイクルで5mg /日)またはプラセボ群に、電話システムにより2:1でランダムに割り付けられた。主要エンドポイントは、中央判定(BICR)に基づく輸血依存までの期間とした。intent-to-treat(ITT)と評価可能な集団による分析を行った。安全性分析の対象には、1回以上治療を行ったすべての患者を含めた。 主な結果は以下のとおり。 ・2010年2月15日〜2018年2月21日の期間で、61例がレナリドミド群40例(2例は治療を受けなかった)、プラセボ群21例にランダムに割り付けられた。 ・年齢中央値は77.2歳(四分位範囲[IQR]:65.4〜81.9)、女性は50例(82%)、男性は11例(18%)であった。 ・フォローアップ期間中央値は60.6ヵ月(IQR:31.1〜73.9)であった。 ・主要エンドポイントに関しては、輸血依存までの期間中央値は、レナリドミド群で未達であったのに対し、プラセボ群では11.6ヵ月(95%CI:0.00〜30.11)であった(p=0.0046)。 ・レナリドミド群では、輸血依存リスクの有意な減少(69.8%減)が認められた(ハザード比:0.302、95%CI:0.132〜0.692、p=0.0046)。 ・最も頻度の高い治療関連有害事象は、好中球減少であった。レナリドミド群では38例中24例(63%)に発生し(グレード3:17例[45%]、グレード4:1例[3%])、プラセボ群では21例中4例に認められた(グレード3:2例[5%])。 ・レナリドミド群38例中7例(18%)で血小板減少がみられた(グレード3:2例[5%])。 ・非血液毒性に関しては、レナリドミド群で皮膚障害(発疹:38例中9例[23%])の頻度が最も高かった(グレード3:1例[3%])。 ・13例で19件(レナリドミド群:18件、プラセボ群:1例)の重篤な有害事象が報告された。そのうち5件は、試験薬に関連している可能性があった。 ・治療関連の死亡は認められなかった。  著者らは「5q欠損の低リスクMDS に対する2年間の低用量レナリドミドによる早期介入は、輸血依存までの期間を延長し、奏効率や奏効の質の改善が期待でき、マネジメント可能な安全性プロファイルを有していることが示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Diez-Campelo M, et al. Lancet Haematol. 2024 Jul 18. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39033767 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
高リスクくすぶり型多発性骨髄腫の治療戦略
高リスクくすぶり型多発性骨髄腫の治療戦略
公開日:2024年7月24日 Mateos MV, et al. J Clin Oncol. 2024 Jul 22. [Epub ahead of print]  スペイン・サラマンカ大学のMaria-Victoria Mateos氏らは、2年時点での進行リスクが50%超となる高リスクくすぶり型多発性骨髄腫(MM)の移植適応のある患者を対象に、カルフィルゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(KLd療法)による寛解導入療法6サイクル後、大量メルファランによる自家幹細胞移植(HDM-ASCT)、KLd療法による地固め療法2サイクルおよび維持療法として2年間のLd療法の有効性を評価した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2024年7月22日号の報告。  主要エンドポイントは、ASCT後のnext-generation flowによる検出不能な測定可能病変(uMRD)の割合とした。副次的エンドポイントは、ASCT4年後時点でのuMRDの継続とした。 主な結果は以下のとおり。 ・2015年6月〜2017年6月、対象患者90例が登録された。登録患者の31%は、CRAB症状を認めた。 ・ASCTの3ヵ月後(フォローアップ期間中央値70.1ヵ月)、ITT集団では、90例中56例(62%)においてuMRDがみられた。4年後、29例(31%)においてuMRDの継続が認められた。 ・MMへ進行した患者は5例、70ヵ月進行率は94%(95%CI:84〜89)であった。 ・CRAB症状は、MMへの進行の予測因子であった(5例中4例、ハザード比:0.12、95%CI:0.14〜1.13、p=0.03)。 ・36例で生化学的進行が認められ、その予測因子は、治療終了時のuMRD未達であった。 ・70ヵ月の全生存率は92%(95%CI:82〜89)であった。 ・治療中に最も発生した有害事象は、好中球減少と感染症であり、治療関連の死亡は、1件報告された。 ・二次原発性悪性腫瘍は、3件報告された。  著者らは「より長期にわたるフォローアップ調査が必要ではあるものの、31%の患者において、4年後もuMRDが継続していることからも本治療法は有望であり、活動性のMMよりも効果的な可能性が示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Mateos MV, et al. J Clin Oncol. 2024 Jul 22. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39038268 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
低悪性度B細胞リンパ腫の再発例に対するオビヌツズマブ+レナリドミド併用療法〜第I/II相試験
低悪性度B細胞リンパ腫の再発例に対するオビヌツズマブ+レナリドミド併用療法〜第I/II相試験
公開日:2024年8月21日 Gurumurthi A, et al. EClinicalMedicine. 2024: 74: 102747.  リツキシマブ+レナリドミドは、再発の低悪性度B細胞非ホジキンリンパ腫に対する有用な選択肢の1つである。オビヌツズマブは、リツキシマブと比較し、抗体依存性細胞傷害や貪食作用に優れることから、レナリドミドとの併用薬として、有望な候補薬剤と考えられる。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのAshwath Gurumurthi氏らは、再発・難治性低悪性度B細胞非ホジキンリンパ腫における固定用量のオビヌツズマブと併用したレナリドミドの推奨用量を明らかにするため、第II相試験を実施した。EClinicalMedicine誌2024年7月27日号の報告。  テキサス大学MDアンダーソンがんセンターで再発・難治性のWHOグレード1〜3Aの濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫の患者(ECOG PS:0〜2)を対象に、単群非盲検第I/II相試験を実施した。アグレッシブリンパ腫への進行が確認された患者は除外した。フェーズIでは、レナリドミド20mgをフェーズIIの推奨用量とするため、3+3ドーズエスカレーションデザインにより、オビヌツズマブ1,000mg静脈内投与と3つの定義済みレベルのレナリドミド経口を併用した。フェーズIIでは、導入療法として28日サイクルのオビヌツズマブ1,000mg+レナリドミド20mgを6サイクル行った。リツキシマブ+レナリドミド治療によるこれまでの経験に従い、併用療法に治療反応が認められた場合には、最大6サイクル(計12サイクル)の併用療法を行った。治療反応が認められたすべての患者に対し、6サイクル後も2ヵ月毎にオビヌツズマブ投与を継続し、最大30ヵ月継続した。6サイクル以上の併用療法の回数については、治験責任医師の判断に委ね、曝露を最小限としながらも治療反応を最大化するための個別化治療を可能とした。共同主要目的は、安全性および全奏効(OS)の評価とした。OSの定義は、再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫において、導入療法終了時の完全奏効(CR)または部分奏効(PR)を達成した患者の割合とした(Chesoらの2007年基準)。副次的エンドポイントは、導入療法後のCR、無増悪期間(TTP)、無増悪生存期間(PFS)、OSを含むイベント発生までの期間とした。解析は、いずれかの治療を1回以上行ったすべての患者を対象に、有効性(ITT)および安全性(各治療群)を評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・2014年6月3日〜2019年3月7日に66例(フェーズI:9例、フェーズII:57例)が登録された。 ・すべての患者について安全性評価を実施し、フェーズII推奨用量であるレナリドミド20mgで治療された患者60例は、有効性評価可能であった。 ・グレード3〜4の血液毒性は、好中球減少21%(66例中14例)、血小板減少11%(66例中7例)であり、発熱性好中球減少は認められなかった。 ・グレード3〜4の非血液毒性は、肺感染症8%(66例中5例)、疲労8%(66例中5例)、発疹6%(66例中4例)であった。 ・導入療法終了時のOS達成率は90%(60例中54例、95%CI:79〜96)、事前に指定した有効性エンドポイントを満たしていた。 ・導入療法終了時のCRは33%(60例中20例、95%CI:22〜47)であった。 ・フォローアップ期間中央値41.7ヵ月において、PFS、TTP、OSは中央値に達しなかった。 ・推定4年PFSは55%(95%CI:42〜73)、TTPは56%(95%CI:43〜74)、OSは84%(95%CI:74〜95)であった。  著者らは「再発・難治性の低悪性度B細胞非ホジキンリンパ腫に対し、オビヌツズマブ+レナリドミドの併用は、安全かつ有効であり、奏効期間の延長に寄与することが示唆された。本研究は、対照群を採用していないため評価に制限があることを踏まえ、今後はリツキシマブ+レナリドミドと比較したランダム化試験が求められる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Gurumurthi A, et al. EClinicalMedicine. 2024: 74: 102747.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39161543 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
イキサゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン療法を用いる最適なタイミングは?
イキサゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン療法を用いる最適なタイミングは?
公開日:2024年8月30日 Fric D, et al. Eur J Haematol. 2024 Aug 26. [Epub ahead of print]  実臨床において、ダラツムマブによる治療歴を有する再発・難治性多発性骨髄腫(MM)に対してイキサゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン療法(ILd療法)を行った患者における有用性を評価するため、チェコ・マサリク大学のDominik Fric氏らは、レトロスペクティブに分析を行った。European Journal of Haematology誌オンライン版2024年8月26日号の報告。  本研究は、ダラツムマブによる治療歴を有する再発・難治性MM患者に対するILd療法の有効性を評価し、ILd療法によるメリットが最も大きい患者サブタイプを明らかにすることを目的として実施した。全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)のハザード比(HR)の評価も行った。 主な結果は以下のとおり。 ・対象は、ダラツムマブによる治療歴を有する再発・難治性MM患者43例。 ・最小奏効(MR)以上を達成した患者は53.3%であった。 ・PFS中央値は4.56ヵ月(95%CI:2.56~8.03)、OS中央値は28.92ヵ月(95%CI:5.4~未達)であった。 ・奏効持続期間(DOR)の評価が可能であった28例におけるDOR中央値は21.3ヵ月(95%CI:6.85~未達)に達した。 ・3クラス抵抗性でない患者(HR:0.39、95%CI:0.14~1.10、p=0.07)および前治療歴が3ライン未満の患者(HR:0.13、95%CI:0.03~0.6、p=0.003)で、OSの改善が認められた。 ・OSと同様に、3クラス抵抗性でない患者(HR:0.52、95%CI:0.25~1.10、p=0.08)において、PFSの改善も認められた。  著者らは「ダラツムマブによる治療歴を有する再発・難治性MM患者においてILd療法が最も有効であった患者は、3クラス抵抗性でなく、前治療歴が3ライン未満の患者であることが示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Fric D, et al. Eur J Haematol. 2024 Aug 26. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39187373 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
PCNSLに対するR-MPV+レナリドミド/イブルチニブ併用療法〜第Ib/II相試験
PCNSLに対するR-MPV+レナリドミド/イブルチニブ併用療法〜第Ib/II相試験
公開日:2024年9月27日 Marion A, et al. J Hematol Oncol. 2024; 17: 86.  これまでの中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)に対する導入化学療法の結果は、改善の余地がある。BTK阻害薬イブルチニブおよび免疫調整薬レナリドミドは、再発PCNSLへの有効性が示されている薬剤である。フランス・Institut CurieのAlcantara Marion氏らは、新規PCNSL患者を対象に、高用量メトトレキサートベースの化学療法にイブルチニブまたはレナリドミドを併用した際の有効性および安全性を評価するため、第Ib/II相試験を実施した。Journal of Hematology & Oncology誌2024年9月19日号の報告。  本試験は、3+3デザインで実施した。新規PCNSL患者26例を対象に、リツキシマブ+メトトレキサート+プロカルバジン+ビンクリスチン+prednisone(R-MPV療法)とイブルチニブまたはレナリドミドの28日サイクル×4回にランダムに割り付けた。奏効が得られた患者には、リツキサン+シタラビンによる強化療法および自家幹細胞移植による集中化学療法を実施した。第Ib相試験の目的は、最初の導入サイクル中に発生する用量制限毒性(DLT)に基づき、第II相試験の推奨用量を決定することとした。 主な結果は以下のとおり。 ・年齢中央値は、52歳であった。 ・次の4件のDLTが観察された。 ●グレード5のアスペルギルス症およびニューモシスチス症:1件 ●グレード4のカテーテル関連感染症:1件 ●グレード3のALT上昇:2件 ・R-MPV療法と併用した際のイブルチニブおよびレナリドミド推奨用量は、それぞれ560mg /日(day3-14およびday17-28)、15mg /日(day1-21)であった。 ・両群で最も多く認められたグレード3以上の治療関連有害事象は、肝細胞融解、好中球減少、感染症であった。 ・レナリドミド群では、2サイクル目にグレード4のライエル症候群が1件報告された。 ・4サイクル後の全奏効(OR)率は、レナリドミド群76.9%、イブルチニブ群83.3%であった。  著者らは「PCNSLに対しR-MPV療法とレナリドミドまたはイブルチニブとの併用療法は、第1選択治療として利用可能であることが示唆された。安全性については、既知の安全性プロファイルと同様であった」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Marion A, et al. J Hematol Oncol. 2024; 17: 86.▶https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/39300447 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
多発性骨髄腫に対する第1選択治療、BLd療法 vs. BCd療法
多発性骨髄腫に対する第1選択治療、BLd療法 vs. BCd療法
公開日:2024年9月25日 Kastritis E, et al. Clin Lymphoma Myeloma Leuk. 2024 Aug 21. [Epub ahead of print]  ボルテゾミブ+シクロホスファミド+デキサメタゾン(BCd療法)は、抗腫瘍効果と低毒性の観点から、依然として汎用されているレジメンであるが、欧米では、ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(BLd療法)が広く用いられている。いずれも抗CD38モノクローナル抗体を併用薬として用いているが、十分な検出力を有するプロスペクティブ研究において、BCd療法とBLd療法を直接比較した研究は行われていない。ギリシャ・アテネ国立カポディストリアン大学のEfstathios Kastritis氏らは、リアルワールドにおけるBCd療法とBLd療法で治療を行った患者の臨床アウトカムを比較した。Clinical Lymphoma, Myeloma & Leukemia誌オンライン版2024年8月21日号の報告。  対象は、リアルワールドでBCd療法を行った患者690例、BLd療法を行った患者526例。すべての患者の臨床アウトカムを比較した。 主な結果は以下のとおり。 ・BCd療法群は、重度の腎機能障害、ISS-III、高カルシウム血症、LDH上昇、貧血、血小板減少、パフォーマンス不良がより多かった。 ・BLd療法群は、より高齢で、自家移植の頻度は低く、維持療法を行う割合は高かったものの、導入期間は同様であった。 ・BLd療法群は、とくに標準リスク群、腎機能障害が認められない患者、高齢者において、導入療法に対する全奏効(OR)および完全奏効(CR)/最良部分奏効(VGPR)率が有意に高く(p<0.001)、単変量解析においても無増悪生存期間(PFS)およびOSの改善が認められた。しかし、多変量解析では、PFSまたはOSについて統計学的に有意な差は認められなかった。 ・主要な予測変数に関して、厳密に1:1でマッチした患者(両群それぞれ188例)では、奏効率および奏効の深さについてBLd療法の優位性が確認されたが、PFSまたはOSについては、有意な差が認められなかった。  著者らは「BLd療法は、BCd療法よりも積極的な導入療法であるが、レナリドミド維持療法は、PFSまたはOSに対するメリットが減少する可能性がある。BCd療法は、特別な状況において、依然として選択肢の1つとなりうる。モノクローナル抗体の導入により、BLd療法を利用できない患者や不耐性の患者では、BCd療法を検討する余地がある」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Kastritis E, et al. Clin Lymphoma Myeloma Leuk. 2024 Aug 21. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39304364 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら