ライブラリー 低悪性度B細胞リンパ腫の再発例に対するオビヌツズマブ+レナリドミド併用療法〜第I/II相試験
公開日:2024年8月21日
Gurumurthi A, et al. EClinicalMedicine. 2024: 74: 102747.
リツキシマブ+レナリドミドは、再発の低悪性度B細胞非ホジキンリンパ腫に対する有用な選択肢の1つである。オビヌツズマブは、リツキシマブと比較し、抗体依存性細胞傷害や貪食作用に優れることから、レナリドミドとの併用薬として、有望な候補薬剤と考えられる。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのAshwath Gurumurthi氏らは、再発・難治性低悪性度B細胞非ホジキンリンパ腫における固定用量のオビヌツズマブと併用したレナリドミドの推奨用量を明らかにするため、第II相試験を実施した。EClinicalMedicine誌2024年7月27日号の報告。
テキサス大学MDアンダーソンがんセンターで再発・難治性のWHOグレード1〜3Aの濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫の患者(ECOG PS:0〜2)を対象に、単群非盲検第I/II相試験を実施した。アグレッシブリンパ腫への進行が確認された患者は除外した。フェーズIでは、レナリドミド20mgをフェーズIIの推奨用量とするため、3+3ドーズエスカレーションデザインにより、オビヌツズマブ1,000mg静脈内投与と3つの定義済みレベルのレナリドミド経口を併用した。フェーズIIでは、導入療法として28日サイクルのオビヌツズマブ1,000mg+レナリドミド20mgを6サイクル行った。リツキシマブ+レナリドミド治療によるこれまでの経験に従い、併用療法に治療反応が認められた場合には、最大6サイクル(計12サイクル)の併用療法を行った。治療反応が認められたすべての患者に対し、6サイクル後も2ヵ月毎にオビヌツズマブ投与を継続し、最大30ヵ月継続した。6サイクル以上の併用療法の回数については、治験責任医師の判断に委ね、曝露を最小限としながらも治療反応を最大化するための個別化治療を可能とした。共同主要目的は、安全性および全奏効(OS)の評価とした。OSの定義は、再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫において、導入療法終了時の完全奏効(CR)または部分奏効(PR)を達成した患者の割合とした(Chesoらの2007年基準)。副次的エンドポイントは、導入療法後のCR、無増悪期間(TTP)、無増悪生存期間(PFS)、OSを含むイベント発生までの期間とした。解析は、いずれかの治療を1回以上行ったすべての患者を対象に、有効性(ITT)および安全性(各治療群)を評価した。
主な結果は以下のとおり。
・2014年6月3日〜2019年3月7日に66例(フェーズI:9例、フェーズII:57例)が登録された。
・すべての患者について安全性評価を実施し、フェーズII推奨用量であるレナリドミド20mgで治療された患者60例は、有効性評価可能であった。
・グレード3〜4の血液毒性は、好中球減少21%(66例中14例)、血小板減少11%(66例中7例)であり、発熱性好中球減少は認められなかった。
・グレード3〜4の非血液毒性は、肺感染症8%(66例中5例)、疲労8%(66例中5例)、発疹6%(66例中4例)であった。
・導入療法終了時のOS達成率は90%(60例中54例、95%CI:79〜96)、事前に指定した有効性エンドポイントを満たしていた。
・導入療法終了時のCRは33%(60例中20例、95%CI:22〜47)であった。
・フォローアップ期間中央値41.7ヵ月において、PFS、TTP、OSは中央値に達しなかった。
・推定4年PFSは55%(95%CI:42〜73)、TTPは56%(95%CI:43〜74)、OSは84%(95%CI:74〜95)であった。
著者らは「再発・難治性の低悪性度B細胞非ホジキンリンパ腫に対し、オビヌツズマブ+レナリドミドの併用は、安全かつ有効であり、奏効期間の延長に寄与することが示唆された。本研究は、対照群を採用していないため評価に制限があることを踏まえ、今後はリツキシマブ+レナリドミドと比較したランダム化試験が求められる」としている。
(エクスメディオ 鷹野 敦夫)
原著論文はこちら
Gurumurthi A, et al. EClinicalMedicine. 2024: 74: 102747.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39161543
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