「ボルテゾミブ(ベルケイド)」の記事一覧

再発・難治性MCLに対するリツキシマブ+高用量シタラビン+デキサメタゾン+ボルテゾミブ療法〜ランダム化非盲検第III相試験
再発・難治性MCLに対するリツキシマブ+高用量シタラビン+デキサメタゾン+ボルテゾミブ療法〜ランダム化非盲検第III相試験
公開日:2024年5月20日 Fischer L, et al. Leukemia. 2024 Apr 27. [Epub ahead of print]  再発・難治性マントル細胞リンパ腫(MCL)患者に対する治療は、主要な臨床課題の1つである。ドイツ・ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンのLuca Fischer氏らは、自家造血幹細胞移植の適応なしまたは移植後再発した再発・難治性MCL患者に対するリツキシマブ+高用量シタラビン+デキサメタゾン+ボルテゾミブ療法(R-HAD+B)のランダム化非盲検並行群間第III相試験を実施した。Leukemia誌オンライン版2024年4月27日号の報告。  R-HAD+B療法の有効性を評価するため、ボルテゾミブを併用しないR-HADとの比較を行った。主要エンドポイントは、治療成功期間(TTTF)とし、副次的エンドポイントには、奏効率、無増悪生存期間、全生存期間、安全性を含めた。 主な結果は以下のとおり。 ・128例がR-HAD+B群(64例)またはR-HAD群(64例)にランダムに割り付けられた。 ・TTTF中央値は、R-HAD+B群で12ヵ月、R-HAD群で2.6ヵ月であった(p=0.045、MIPIスコア調整ハザード比[aHR]:0.69、95%CI:0.47〜1.02)。 ・全奏効率は、R-HAD+B群で63%、R-HAD群で45%(p=0.049)であった。 ・完全奏効率は、R-HAD+B群で42%、R-HAD群で19%(p=0.0062)であった。 ・サブグループ解析では、65歳以上の患者(aHR:0.48、95%CI:0.29〜0.79)、自家移植歴のない患者(aHR:0.52、95%CI:0.28〜0.96)において、有意な治療効果が認められた。 ・毒性は、主に血液学的毒性であり、化学療法のバックボーンに起因していた。 ・グレード3以上の白血球減少症およびリンパ球減少症は、R-HAD+B群でより認められたが、両群間で重篤な感染症に差は認められなかった。  著者らは「再発・難治性MCLに対するボルテゾミブと化学療法との併用は、有効である可能性があり、とくにBTK阻害薬による治療が選択肢とならない場合には、さらに評価されるべきであろう」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Fischer L, et al. Leukemia. 2024 Apr 27. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38678093 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
未治療で移植適応のないMM患者に対するISA+BLd療法〜国際オープンラベル第III相試験
未治療で移植適応のないMM患者に対するISA+BLd療法〜国際オープンラベル第III相試験
公開日:2024年6月12日 Facon T, et al. N Engl J Med. 2024 Jun 3. [Epub ahead of print]  ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(BLd療法)は、未治療MM患者に対する好ましい第1選択治療である。抗CD38モノクローナル抗体イサツキシマブ(ISA)のBLd療法への追加が、移植適応のないMM患者の病勢進行または死亡リスクの軽減に寄与するかは、不明である。フランス・リール大学のThierry Facon氏らは、未治療で移植適応のないMM患者に対するISA+BLd療法の有効性を評価するため、国際オープンラベル第III相試験を実施した。NEJM誌オンライン版2024年6月3日号の報告。  本研究は、国際オープンラベル第III相試験として実施した。対象は、未治療で移植適応のない18〜80歳のMM患者446例。対象患者は、ISA+BLd療法群とBLd療法群に3:2でランダムに割り付けた。有効性の主要エンドポイントは無増悪生存期間(PFS)とし、副次的エンドポイントには完全奏効(CR)またはそれ以上の奏効、CR患者における微小残存病変(MRD)陰性率を含めた。 主な結果は以下のとおり。 フォローアップ期間(中央値:59.7ヵ月)における60ヵ月時点でのPFS推定値は、ISA+BLd療法群で63.2%、BLd療法群で45.2%であった(病勢進行または死亡のハザード比:0.60、98.5%信頼区間:0.41〜0.88、p<0.001)。 ・CR以上の奏効を示した患者の割合は、ISA+BLd療法群の方が、BLd療法群よりも有意に高く(74.7% vs.64.1%、p=0.01)、MRD陰性でCRを示した患者の割合も同様であった(55.5% vs.40.9%、p=0.003)。 ・ISA+BLd療法レジメンでは、新たな安全性シグナルは観察されなかった。 ・治療中の重篤な有害事象発生率および治療中止につながる有害事象発生率は、両群間で同程度であった。  著者らは「移植適応のない18〜80歳の未治療MM患者の初期療法として、ISA+BLd療法は、BLd療法よりも効果的であった」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Tagami N, et al. Int J Hematol. 2024 May 29. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38811413 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
MMに対するbelantamab+Bd療法 vs. DBd療法〜DREAMM-7試験
MMに対するbelantamab+Bd療法 vs. DBd療法〜DREAMM-7試験
公開日:2024年6月11日 Hungria V, et al. N Engl J Med. 2024 Jun 1. [Epub ahead of print]  belantamab mafodotinは、再発・難治性の多発性骨髄腫(MM)に対し、単剤療法で有効であり、この結果は、標準療法と併用したbelantamabの更なる評価を支持するものである。ブラジル・Clinica Sao GermanoのVania Hungria氏らは、1ライン以上の前治療歴がある再発・難治性MM患者を対象にbelantamabを併用したボルテゾミブ+デキサメタゾン(Bd療法)の有効性および安全性を評価した第III相オープンラベルランダム化試験(DREAMM-7試験)の結果を報告した。NEJM誌オンライン版2024年6月1日号の報告。  対象は、1ライン以上の治療後に病勢が進行したMM患者494例。対象患者は、belantamab+Bd療法群またはダラツムマブ+ボルテゾミブ+デキサメタゾン(DBd療法)群にランダムに割り付け、両群の比較評価を行った。主要エンドポイントは、無増悪生存期間(PFS)とした。主要副次的エンドポイントは、全生存期間(OS)、奏効期間、微小残存病変(MRD)陰性化率とした。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者は、belantamab+Bd療法群243例、DBd療法群251例にランダムに割り付けられた。 ・フォローアップ期間中央値は28.2ヵ月(範囲:0.1〜40.0)。 ・PFS中央値は、belantamab+Bd療法群で36.6ヵ月(95%CI:28.4〜未達)、DBd療法群で13.4ヵ月(95%CI:11.1〜17.5)であった(病勢進行または死亡のハザード比:0.41、95%CI:0.31〜0.53、p<0.001)。 ・18ヵ月時点でのOS率は、belantamab+Bd療法群で84%、DBd療法群で73%であった。 ・境界内平均奏効期間の分析では、belantamab+Bd療法群はDBd療法群よりも優れていた(p<0.001)。 ・完全奏効(CR)以上のMRD陰性化率は、belantamab+Bd療法群で25%、DBd療法群で10%に認められた。 ・グレード3以上の有害事象の発生率は、belantamab+Bd療法群で95%、DBd療法群で78%であった。 ・眼の有害事象の発生率は、belantamab+Bd療法群で79%、DBd療法群で29%であった。belantamab+Bd療法群における眼の有害事象は、belantamabの用量調節により大部分は管理可能であった。  著者らは「belantamab+Bd療法は、DBd療法と比較し、1ライン以上の前治療歴がある再発・難治性MM患者に対しPFSに関して有意なベネフィットを示した。一方で、ほとんどの患者においてグレード3以上の有害事象が発現することには注意が必要である」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Hungria V, et al. N Engl J Med. 2024 Jun 1. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38828933 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
移植適応のある新規MMに対するダラツムマブの有用性〜CASSIOPEIA試験長期フォローアップの結果
移植適応のある新規MMに対するダラツムマブの有用性〜CASSIOPEIA試験長期フォローアップの結果
公開日:2024年6月28日 Moreau P, et al. Lancet Oncol. 2024 Jun 14. [Epub ahead of print]  CASSIOPEIA試験PART1では、移植適応のある新規多発性骨髄腫(MM)患者における寛解導入療法として、ボルテゾミブ+サリドマイド+デキサメタゾン(BTD療法)と比較し、ダラツムマブ+BTD療法の良好な奏功率および無増悪生存期間(PFS)の延長が示された。続くCASSIOPEIA試験PART2では、ダラツムマブによる維持療法により、経過観察の場合と比較し、PFSが有意に延長し、微小残存病変(MRD)陰性化率が上昇することが報告された。今回、フランス・University Hospital Hotel-DieuのPhilippe Moreau氏らは、CASSIOPEIA試験長期フォローアップの結果を報告した。The Lancet. Oncology誌オンライン版2024年6月14日号の報告。  CASSIOPEIA試験は、欧州のAcademic Community Center 111施設で、移植適応のある新規MM患者を対象とした非盲検第III相試験である。対象は、移植適応のある新規MM患者(ECOGのPS:0〜2、18〜65歳)。PART1では、移植前の寛解導入療法と移植後の地固め療法において、ダラツムマブ+BTD療法群とBTD療法群にランダムに割り付けた。地固め療法後、部分奏効(PR)以上の患者は、ダラツムマブ維持療法(8週間ごとに16mg/kg)群または2年以内の経過観察群にランダムに割り付けた。ランダム化には、インタラクティブWebベースシステムを用い、4群を順に使用するよう、バランスをとった。最初のランダム化(寛解導入および地固め療法)の層別化因子は、所属施設、国際病期分類の病期、細胞遺伝学的リスクであった。2回目のランダム化(維持療法)の層別化因子は、寛解導入療法と寛解導入および地固め療法による奏効の深さであった。寛解導入および地固め療法の主要エンドポイントは、厳格な完全奏効(sCR)とし、この結果はこれまでの報告と同様であった。維持療法の主要エンドポイントは、2回目のランダム化以降のPFSとした。寛解導入および地固め療法の有効性評価は、最初のランダム化を行ったすべての患者を含むITI集団で実施した。維持療法の有効性評価は、2回目のランダム化で割り付けられたすべての患者を含む維持療法におけるITI集団で実施した。 主な結果は以下のとおり。 ・2015年9月22日〜2017年8月1日に対象患者1,085例が、ダラツムマブ+BTD療法群(543例)またはBTD療法群(542例)にランダムに割り付けられ、2016年5月30日〜2018年6月18日に886例が、ダラツムマブ維持療法群(442例)または経過観察群(444例)の再度ランダム化された。 ・2023年9月1日(クリニカルカットオフ日)時点で、フォローアップ期間中央値は最初のランダム化から80.1ヵ月(IQR:75.7〜85.6)、2回目のランダム化から70.6ヵ月(IQR:66.4〜76.1)であった。 ・2回目のランダム化後のPFSは、ダラツムマブ維持療法群(中央値未達[95%CI:79.9〜NE])で経過観察群(中央値45.8ヵ月 [95%CI:41.8〜49.6])よりも有意に延長した(HR:0.49[95%CI:0.40〜0.59]、p<0.0001)。 ・ダラツムマブ+BTD療法とダラツムマブ維持療法を行った場合(中央値未達[95%CI:74.6〜NE])、ダラツムマブ+BTD療法と経過観察の場合(中央値72.1ヵ月 [95%CI:52.8〜NE])と比較し、ベネフィットが示唆された(HR:0.76[95%CI:0.58〜1.00]、p=0.048)。 ・BTD療法とダラツムマブ維持療法を行った場合(中央値未達[95%CI: 66.9〜NE])、BTD療法と経過観察の場合(中央値32.7ヵ月 [95%CI:27.2〜38.7])と比較し、ベネフィットが示唆された(HR:0.34[95%CI:0.26〜0.44]、p<0.0001)。  著者らは「CASSIOPEIA試験長期フォローアップの結果から、導入寛解療法および地固め療法と維持療法の両方にダラツムマブを使用することで、PFSの延長が期待できることが示唆された。本結果は、移植適応のある新規MM患者に対し、寛解導入および地固め療法としてダラツムマブ+BTD療法、その後の維持療法としてダラツムマブ維持療法を用いることを支持するものである」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Moreau P, et al. Lancet Oncol. 2024 Jun 14. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38889735 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら