「デキサメタゾン」の記事一覧

再発・難治性MCLに対するリツキシマブ+高用量シタラビン+デキサメタゾン+ボルテゾミブ療法〜ランダム化非盲検第III相試験
再発・難治性MCLに対するリツキシマブ+高用量シタラビン+デキサメタゾン+ボルテゾミブ療法〜ランダム化非盲検第III相試験
公開日:2024年5月20日 Fischer L, et al. Leukemia. 2024 Apr 27. [Epub ahead of print]  再発・難治性マントル細胞リンパ腫(MCL)患者に対する治療は、主要な臨床課題の1つである。ドイツ・ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンのLuca Fischer氏らは、自家造血幹細胞移植の適応なしまたは移植後再発した再発・難治性MCL患者に対するリツキシマブ+高用量シタラビン+デキサメタゾン+ボルテゾミブ療法(R-HAD+B)のランダム化非盲検並行群間第III相試験を実施した。Leukemia誌オンライン版2024年4月27日号の報告。  R-HAD+B療法の有効性を評価するため、ボルテゾミブを併用しないR-HADとの比較を行った。主要エンドポイントは、治療成功期間(TTTF)とし、副次的エンドポイントには、奏効率、無増悪生存期間、全生存期間、安全性を含めた。 主な結果は以下のとおり。 ・128例がR-HAD+B群(64例)またはR-HAD群(64例)にランダムに割り付けられた。 ・TTTF中央値は、R-HAD+B群で12ヵ月、R-HAD群で2.6ヵ月であった(p=0.045、MIPIスコア調整ハザード比[aHR]:0.69、95%CI:0.47〜1.02)。 ・全奏効率は、R-HAD+B群で63%、R-HAD群で45%(p=0.049)であった。 ・完全奏効率は、R-HAD+B群で42%、R-HAD群で19%(p=0.0062)であった。 ・サブグループ解析では、65歳以上の患者(aHR:0.48、95%CI:0.29〜0.79)、自家移植歴のない患者(aHR:0.52、95%CI:0.28〜0.96)において、有意な治療効果が認められた。 ・毒性は、主に血液学的毒性であり、化学療法のバックボーンに起因していた。 ・グレード3以上の白血球減少症およびリンパ球減少症は、R-HAD+B群でより認められたが、両群間で重篤な感染症に差は認められなかった。  著者らは「再発・難治性MCLに対するボルテゾミブと化学療法との併用は、有効である可能性があり、とくにBTK阻害薬による治療が選択肢とならない場合には、さらに評価されるべきであろう」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Fischer L, et al. Leukemia. 2024 Apr 27. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38678093 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
日本における新規MM患者に対する治療、最も選択される治療は?
日本における新規MM患者に対する治療、最も選択される治療は?
公開日:2024年10月1日 Moribe T, et al. PLoS One. 2024; 19: e0310333.  日本における新たに診断された多発性骨髄腫(MM)に対する治療は、これまで十分に評価されていなかった。また、再発・難治性MMにおいてトリプルクラス曝露患者の予後は不良であり、治療選択肢も限られている。ファイザーの森部 豊輝氏らは、日本におけるMM患者の特徴、治療傾向、トリプルクラス曝露の現状を明らかにするため、レトロスペクティブ非介入研究を実施した。PLoS ONE誌2024年9月30日号の報告。  2015〜22年の日本のレセプトデータよりMM患者のデータを抽出した。本研究では、第1選択治療としてダラツムマブ、レナリドミド、ボルテゾミブを使用した新規MM患者を特定した。患者の特徴および治療傾向は、非移植群と移植群について分析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・分析対象患者数は1,784例。 ・非移植群1,656例の年齢中央値は75歳(範囲:37〜94)、第1選択の治療レジメンはLd療法(24.7%)、Bd療法(23.8%)、BLd療法(15.6%)の順で実施されていた。 ・移植群128例の年齢中央値は61歳(範囲:35〜73)、第1選択の治療レジメンはBLd療法(49.5%)、Bd療法(18.7%)、DBd療法(8.4%)の順で実施されていた。 ・非移植群に対する治療レジメンは、75歳以上でLd療法、65〜74歳でBd療法、65歳未満でBLd療法が一般的に行われていた。 ・腎機能障害を有する患者ではBd療法、心機能障害を有する患者ではLd療法が一般的であった。 ・移植群では、1stラインでの移植が107例(83.6%)、2ndラインが20例(15.6%)。 ・1stラインでの移植例における上位3つの導入療法は、BLd療法(49.5%)、Bd療法(18.7%)、DBd療法(8.4%)であった。 ・5thラインまでの累積トリプルクラス曝露患者は、非移植群で351例(21.2%)、移植群で56例(43.8%)であった。 ・各ラインでのトリプルクラス曝露率は、1stラインから5thラインにかけて徐々に増加していた(非移植群:11.1〜69.2%、移植群:21.1〜100%)。 ・非移植群のトリプルクラス曝露患者184例に対する第1選択治療は、89.7%でDLd療法、BLd療法、DBd療法を含む治療が行われており、10.3%でD-BLd療法が行われていた。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Moribe T, et al. PLoS One. 2024; 19: e0310333.▶https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/39348401 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
多発性骨髄腫に対する第1選択治療、BLd療法 vs. BCd療法
多発性骨髄腫に対する第1選択治療、BLd療法 vs. BCd療法
公開日:2024年9月25日 Kastritis E, et al. Clin Lymphoma Myeloma Leuk. 2024 Aug 21. [Epub ahead of print]  ボルテゾミブ+シクロホスファミド+デキサメタゾン(BCd療法)は、抗腫瘍効果と低毒性の観点から、依然として汎用されているレジメンであるが、欧米では、ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(BLd療法)が広く用いられている。いずれも抗CD38モノクローナル抗体を併用薬として用いているが、十分な検出力を有するプロスペクティブ研究において、BCd療法とBLd療法を直接比較した研究は行われていない。ギリシャ・アテネ国立カポディストリアン大学のEfstathios Kastritis氏らは、リアルワールドにおけるBCd療法とBLd療法で治療を行った患者の臨床アウトカムを比較した。Clinical Lymphoma, Myeloma & Leukemia誌オンライン版2024年8月21日号の報告。  対象は、リアルワールドでBCd療法を行った患者690例、BLd療法を行った患者526例。すべての患者の臨床アウトカムを比較した。 主な結果は以下のとおり。 ・BCd療法群は、重度の腎機能障害、ISS-III、高カルシウム血症、LDH上昇、貧血、血小板減少、パフォーマンス不良がより多かった。 ・BLd療法群は、より高齢で、自家移植の頻度は低く、維持療法を行う割合は高かったものの、導入期間は同様であった。 ・BLd療法群は、とくに標準リスク群、腎機能障害が認められない患者、高齢者において、導入療法に対する全奏効(OR)および完全奏効(CR)/最良部分奏効(VGPR)率が有意に高く(p<0.001)、単変量解析においても無増悪生存期間(PFS)およびOSの改善が認められた。しかし、多変量解析では、PFSまたはOSについて統計学的に有意な差は認められなかった。 ・主要な予測変数に関して、厳密に1:1でマッチした患者(両群それぞれ188例)では、奏効率および奏効の深さについてBLd療法の優位性が確認されたが、PFSまたはOSについては、有意な差が認められなかった。  著者らは「BLd療法は、BCd療法よりも積極的な導入療法であるが、レナリドミド維持療法は、PFSまたはOSに対するメリットが減少する可能性がある。BCd療法は、特別な状況において、依然として選択肢の1つとなりうる。モノクローナル抗体の導入により、BLd療法を利用できない患者や不耐性の患者では、BCd療法を検討する余地がある」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Kastritis E, et al. Clin Lymphoma Myeloma Leuk. 2024 Aug 21. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39304364 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
イキサゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン療法を用いる最適なタイミングは?
イキサゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン療法を用いる最適なタイミングは?
公開日:2024年8月30日 Fric D, et al. Eur J Haematol. 2024 Aug 26. [Epub ahead of print]  実臨床において、ダラツムマブによる治療歴を有する再発・難治性多発性骨髄腫(MM)に対してイキサゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン療法(ILd療法)を行った患者における有用性を評価するため、チェコ・マサリク大学のDominik Fric氏らは、レトロスペクティブに分析を行った。European Journal of Haematology誌オンライン版2024年8月26日号の報告。  本研究は、ダラツムマブによる治療歴を有する再発・難治性MM患者に対するILd療法の有効性を評価し、ILd療法によるメリットが最も大きい患者サブタイプを明らかにすることを目的として実施した。全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)のハザード比(HR)の評価も行った。 主な結果は以下のとおり。 ・対象は、ダラツムマブによる治療歴を有する再発・難治性MM患者43例。 ・最小奏効(MR)以上を達成した患者は53.3%であった。 ・PFS中央値は4.56ヵ月(95%CI:2.56~8.03)、OS中央値は28.92ヵ月(95%CI:5.4~未達)であった。 ・奏効持続期間(DOR)の評価が可能であった28例におけるDOR中央値は21.3ヵ月(95%CI:6.85~未達)に達した。 ・3クラス抵抗性でない患者(HR:0.39、95%CI:0.14~1.10、p=0.07)および前治療歴が3ライン未満の患者(HR:0.13、95%CI:0.03~0.6、p=0.003)で、OSの改善が認められた。 ・OSと同様に、3クラス抵抗性でない患者(HR:0.52、95%CI:0.25~1.10、p=0.08)において、PFSの改善も認められた。  著者らは「ダラツムマブによる治療歴を有する再発・難治性MM患者においてILd療法が最も有効であった患者は、3クラス抵抗性でなく、前治療歴が3ライン未満の患者であることが示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Fric D, et al. Eur J Haematol. 2024 Aug 26. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39187373 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性MMに対する実臨床での処方パターンとその結果/Blood Adv
再発・難治性MMに対する実臨床での処方パターンとその結果/Blood Adv
公開日:2024年8月9日 Dhakal B, et al. Blood Adv. 2024 Aug 7. [Epub ahead of print]  多発性骨髄腫(MM)の治療では、早い段階での免疫調節薬レナリドミドの使用により、早期のレナリドミド抵抗性MM患者が増加しているが、このような患者におけるアウトカムは明らかになっていない。米国・ウィスコンシン医科大学のBinod Dhakal氏らは、プロテアソーム阻害薬で治療を行ったレナリドミド抵抗性MM患者における第1〜3選択治療(LOT)の治療パターン、生存アウトカム、予後変数、脱落率について、調査を行った。Blood Advances誌オンライン版2024年8月7日号の報告。  2016年1月〜2022年4月にFlatiron Healthデータベースに登録されたMM患者1万2,767例のうち、選択基準を満たした1,455例を対象に分析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・最も多かった治療は、3剤併用療法であり(41.6%)、レジメンでは、ダラツムマブ+ポマリドミド+デキサメタゾン(DPd療法)が13.2%で最も多かった。 ・実臨床における無増悪生存期間(RW-PFS)中央値は6.5ヵ月、全生存期間(OS)中央値は44.4ヵ月であった。 ・RW-PFS中央値は、LOTが1〜3回のいずれにおいても同様であった。 ・RW-PFSおよびOSの悪化と関連している因子として、ベースライン時の国際病期分類(ISS)ステージIII、ECOGパフォーマンスステータス1、ヘモグロビン値12g/dL未満、high-risk cytogenetics、抗CD38抗体抵抗性が挙げられた。 ・NCCNガイドライン推奨治療を受けた患者と2020年以降に治療を受けた患者のアウトカムは同様であった。 ・登録時にLOTが1回のみの患者は561例では、LOT2〜5の累積脱落率が85%、そのうち死亡例が25%であり、60%はそれ以上の治療を行っていなかった。  著者らは「LOTが1〜3回のレナリドミド抵抗性MM患者では、アウトカムが不良であり、利用可能な治療法による病勢進行が速いため、治療を脱落する前に早期段階での効果的な治療を行う必要性が浮き彫りとなった」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Dhakal B, et al. Blood Adv. 2024 Aug 7. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39110988 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
レナリドミド治療抵抗性MMの初回再発に対するIXA-Pd療法/Blood Adv
レナリドミド治療抵抗性MMの初回再発に対するIXA-Pd療法/Blood Adv
公開日:2024年7月29日 Voorhees PM, et al. Blood Adv. 2024 Jul 26. [Epub ahead of print]  レナリドミド治療抵抗性の多発性骨髄腫(MM)患者の初回再発は増加しているが、最適な治療法は十分に検討されていない。米国・Atrium Health Wake Forest BaptistのPeter M. Voorhees氏らは、レナリドミド治療抵抗性MMの初回再発に対する経口プロテアソーム阻害薬イキサゾミブ(IXA)とポマリドミド+デキサメタゾン(Pd療法)の併用による有効性および安全性を評価するため、ランダム化第II相試験を実施した。Blood Advances誌オンライン版2024年7月26日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・Pd療法の全奏効率(ORR)は43.6%、IXA-Pd療法のORRは63.2%であった。 ・奏効の深さ(最良部分奏効[VGPR]の達成度により測定)は、3剤併用(28.9%)が2剤併用(5.1%)よりも優れていた(p=0.0063)。 ・進行イベントの75%が発生した後に計画されていた中間解析では、無増悪生存期間(PFS)は、IXA-Pd療法の方が良好であり、事前に定義した優位性の基準を超えていた。 ・追加のフォローアップ調査では、PFS中央値は、Pd療法で7.5ヵ月(95%CI:4.8〜13.6)、IXA-Pd療法で20.3ヵ月(95%CI:7.7〜26.0)であった(HR:0.437、upper 90% bound:0.657)。 ・進行時に2剤併用から3剤併用へ移行した30例中26例のORRは23.1%、PFS中央値は5.6ヵ月であった。 ・全生存期間(OS)は、両群間で差は認められなかった。 ・3剤併用では、より多くの血液毒性がみられたが、非血液学的有害事象は両群間で同様であった。  著者らは「Pd療法にIXAを追加することで、初回再発時のレナリドミド抵抗性MM患者のPFSが改善し、3剤併用療法の安全性プロファイルも比較的良好であった」とし「本結果は、経口薬3剤による治療に関する第III相試験を支持するものである」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Voorhees PM, et al. Blood Adv. 2024 Jul 26. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39058954 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
高リスクくすぶり型多発性骨髄腫の治療戦略
高リスクくすぶり型多発性骨髄腫の治療戦略
公開日:2024年7月24日 Mateos MV, et al. J Clin Oncol. 2024 Jul 22. [Epub ahead of print]  スペイン・サラマンカ大学のMaria-Victoria Mateos氏らは、2年時点での進行リスクが50%超となる高リスクくすぶり型多発性骨髄腫(MM)の移植適応のある患者を対象に、カルフィルゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(KLd療法)による寛解導入療法6サイクル後、大量メルファランによる自家幹細胞移植(HDM-ASCT)、KLd療法による地固め療法2サイクルおよび維持療法として2年間のLd療法の有効性を評価した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2024年7月22日号の報告。  主要エンドポイントは、ASCT後のnext-generation flowによる検出不能な測定可能病変(uMRD)の割合とした。副次的エンドポイントは、ASCT4年後時点でのuMRDの継続とした。 主な結果は以下のとおり。 ・2015年6月〜2017年6月、対象患者90例が登録された。登録患者の31%は、CRAB症状を認めた。 ・ASCTの3ヵ月後(フォローアップ期間中央値70.1ヵ月)、ITT集団では、90例中56例(62%)においてuMRDがみられた。4年後、29例(31%)においてuMRDの継続が認められた。 ・MMへ進行した患者は5例、70ヵ月進行率は94%(95%CI:84〜89)であった。 ・CRAB症状は、MMへの進行の予測因子であった(5例中4例、ハザード比:0.12、95%CI:0.14〜1.13、p=0.03)。 ・36例で生化学的進行が認められ、その予測因子は、治療終了時のuMRD未達であった。 ・70ヵ月の全生存率は92%(95%CI:82〜89)であった。 ・治療中に最も発生した有害事象は、好中球減少と感染症であり、治療関連の死亡は、1件報告された。 ・二次原発性悪性腫瘍は、3件報告された。  著者らは「より長期にわたるフォローアップ調査が必要ではあるものの、31%の患者において、4年後もuMRDが継続していることからも本治療法は有望であり、活動性のMMよりも効果的な可能性が示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Mateos MV, et al. J Clin Oncol. 2024 Jul 22. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39038268 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性の高齢者PTCLに対するGDP療法+ロミデプシン〜国内第II相試験
再発・難治性の高齢者PTCLに対するGDP療法+ロミデプシン〜国内第II相試験
公開日:2024年7月1日 Yamasaki S, et al. Hematol Rep. 2024; 16: 336-346.  末梢性T細胞リンパ種(PTCL)の重要な治療選択肢の1つであるロミデプシンは、投与するタイミングについて、議論の余地が残っている。九州大学別府病院の山崎 聡氏らは、ゲムシタビン+デキサメタゾン+シスプラチン(GDP療法)後のconsolidationとしてのロミデプシンの安全性および有効性を検討した。Hematology Reports誌2024年5月28日号の報告。  本国内第II相試は、2019年3月〜2021年3月に治療を行った65歳以上の再発・難治性PTCL患者を対象に、PTCL -GDPR試験として実施した。GDP療法を2〜4サイクル実施後、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、安定(SD)であった場合、ロミデプシンを4週間ごとに1年間投与した。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者は、再発・難治性PTCL 7例(T濾胞ヘルパー細胞起源節性リンパ腫:1例、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫:6例)。 ・フォローアップ期間(平均は34ヵ月)中の、2年全生存期間(OS)は71%、治療後の全奏効率(OR)は57%であった。 ・主な有害事象として、好中球減少症などの血液毒性がみられたが、支持療法により改善が認められた。 ・治療に関連する死亡は認められなかった。  著者らは「ロミデプシンは、移植適応のない高齢者の最初・難治性PTCLに安全かつ効果的に使用可能であると考えられるが、さらなる調査が求められる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Yamasaki S, et al. Hematol Rep. 2024; 16: 336-346.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38921182 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性MMに対するILd療法の有効性に対するレナリドミドまたはプロテアソーム阻害薬曝露の影響
再発・難治性MMに対するILd療法の有効性に対するレナリドミドまたはプロテアソーム阻害薬曝露の影響
公開日:2024年5月17日 Lee HC, et al. Eur J Haematol. 2024 Apr 23. [Epub ahead of print]  米国・テキサス大学のHans C. Lee氏らは、再発・難治性の多発性骨髄腫(MM)におけるイキサゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(ILd)の有効性および安全性に対するレナリドミドまたはプロテアソーム阻害薬の治療歴と難治性への影響を評価した。European Journal of Haematology誌オンライン版2024年4月23日号の報告。  INSIGHT MM試験、UVEA-IXA試験、REMIX試験より、2ライン以上の治療でIRd療法を行った成人再発・難治性MM患者562例を対象に、統合解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。 ・全体として、治療歴別の患者の内訳は、次の通りであった。 【レナリドミド】未治療:391例、治療歴:100例、不応:68例 【プロテアソーム阻害薬】未治療:37例、治療歴:411例、不応:110例 ・治療期間(DOT)中央値の治療歴別の患者の内訳は、次の通りであった。 【レナリドミド】未治療:15.3ヵ月、治療歴:15.6ヵ月、不応:4.7ヵ月 【プロテアソーム阻害薬】未治療:20.4ヵ月、治療歴:15.2ヵ月、不応:6.9ヵ月 ・無増悪生存期間(PFS)中央値の治療歴別の患者の内訳は、次の通りであった。 【レナリドミド】未治療:21.6ヵ月、治療歴:25.8ヵ月、不応:5.6ヵ月 【プロテアソーム阻害薬】未治療:未達、治療歴:19.8ヵ月、不応:11.4ヵ月 ・INSIGHT MM試験において、有害事象により治療薬を中止した患者の割合は、治療歴別で次の通りであった。 ●イキサゾミブ治療中止 【レナリドミド】未治療:31.6%、治療歴:28.2%、不応:28.0% 【プロテアソーム阻害薬】未治療:44.4%、治療歴:28.8%、不応:27.8% ●レナリドミド治療中止 【レナリドミド】未治療:21.9%、治療歴:28.2%、不応:16.0% 【プロテアソーム阻害薬】未治療:33.3%、治療歴:22.0%、不応:19.4% ●デキサメタゾン治療中止 【レナリドミド】未治療:18.4%、治療歴:20.5%、不応:16.0% 【プロテアソーム阻害薬】未治療:33.3%、治療歴:17.4%、不応:16.7% ・UVEA-IXA試験において、有害事象により治療薬を中止した患者の割合は、治療歴別で次の通りであった。 ●イキサゾミブ治療中止 【レナリドミド】未治療:18.6%、治療歴:6.7%、不応:10.5% 【プロテアソーム阻害薬】未治療:22.2%、治療歴:16.7%、不応:15.7% ●レナリドミド治療中止 【レナリドミド】未治療:16.1%、治療歴:6.7%、不応:10.5% 【プロテアソーム阻害薬】未治療:16.7%、治療歴:15.9%、不応:11.8% ●デキサメタゾン治療中止 【レナリドミド】未治療:10.6%、治療歴:0%、不応:10.5% 【プロテアソーム阻害薬】未治療:16.7%、治療歴:9.5%、不応:7.8% ・REMIX試験では、有害事象により治療薬を中止した患者の割合は、入手できなかった。  著者らは「IRd療法は、過去の治療歴とは無関係に、再発・難治性MM患者の日常的な臨床診療において有効であり、レナリドミド/プロテアソーム阻害薬に対する不応性がなくとも良好なアウトカムが期待できることが示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Lee HC, et al. Eur J Haematol. 2024 Apr 23. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38654611 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
日本人再発・難治性MMに対するISA-Pd療法〜国内市販後調査
日本人再発・難治性MMに対するISA-Pd療法〜国内市販後調査
公開日:2024年6月6日 Tagami N, et al. Int J Hematol. 2024 May 29. [Epub ahead of print]  日本のリアルワードにおける再発・難治性多発性骨髄腫(MM)に対するイサツキシマブ+ポマリドミド+デキサメタゾン(ISA-Pd療法)の有効性および安全性を評価した国内市販後調査の結果について、サノフィ株式会社の田上 奈海氏らは、報告を行った。International Journal of Hematology誌オンライン版2024年5月29日号の報告。  対象は、2020年10月〜2021年10月、日本においてISA-Pd療法で治療を行った再発・難治性MM患者211例。ISA-Pd療法開始後、最大12ヵ月間または治療中止までフォローアップを実施した。薬物有害反応(ADR)、とくにInfusion reaction、骨髄抑制、感染症、心臓障害、グレード3以上のその他ADRおよび重篤なADRの発生率を評価した。最良総合効果(BOR)、全奏効率(ORR)も評価した。 主な結果は以下のとおり。   ・安全性解析対象患者は120例、ADRの発生率は57.5%であった。 ・ほとんどのADRは、血液学的であり、重篤なADRの発生率は28.3%であった。  骨髄抑制:46.7%(重篤なADR:19.2%)  Infusion reaction:18.3%(重篤なADR:6.7%)  感染症:11.7%(重篤なADR:8.3%)  重篤な心臓障害:1例  グレード3以上のその他ADR:3.3%(重篤なADR:1.7%) ・有効性解析対象患者は108例、最も多く見られたBOPは最良部分奏効(VGPR)で24.1%、ORRは51.9%であった。  著者らは「日本のリアルワールドにおける再発・難治性MMに対するISA-Pdの安全性および有効性が、本結果より裏付けられた」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Tagami N, et al. Int J Hematol. 2024 May 29. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38811413 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら