ライブラリー 再発・難治性MMに対するILd療法の有効性に対するレナリドミドまたはプロテアソーム阻害薬曝露の影響
公開日:2024年5月17日
Lee HC, et al. Eur J Haematol. 2024 Apr 23. [Epub ahead of print]
米国・テキサス大学のHans C. Lee氏らは、再発・難治性の多発性骨髄腫(MM)におけるイキサゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(ILd)の有効性および安全性に対するレナリドミドまたはプロテアソーム阻害薬の治療歴と難治性への影響を評価した。European Journal of Haematology誌オンライン版2024年4月23日号の報告。
INSIGHT MM試験、UVEA-IXA試験、REMIX試験より、2ライン以上の治療でIRd療法を行った成人再発・難治性MM患者562例を対象に、統合解析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・全体として、治療歴別の患者の内訳は、次の通りであった。
【レナリドミド】未治療:391例、治療歴:100例、不応:68例
【プロテアソーム阻害薬】未治療:37例、治療歴:411例、不応:110例
・治療期間(DOT)中央値の治療歴別の患者の内訳は、次の通りであった。
【レナリドミド】未治療:15.3ヵ月、治療歴:15.6ヵ月、不応:4.7ヵ月
【プロテアソーム阻害薬】未治療:20.4ヵ月、治療歴:15.2ヵ月、不応:6.9ヵ月
・無増悪生存期間(PFS)中央値の治療歴別の患者の内訳は、次の通りであった。
【レナリドミド】未治療:21.6ヵ月、治療歴:25.8ヵ月、不応:5.6ヵ月
【プロテアソーム阻害薬】未治療:未達、治療歴:19.8ヵ月、不応:11.4ヵ月
・INSIGHT MM試験において、有害事象により治療薬を中止した患者の割合は、治療歴別で次の通りであった。
●イキサゾミブ治療中止
【レナリドミド】未治療:31.6%、治療歴:28.2%、不応:28.0%
【プロテアソーム阻害薬】未治療:44.4%、治療歴:28.8%、不応:27.8%
●レナリドミド治療中止
【レナリドミド】未治療:21.9%、治療歴:28.2%、不応:16.0%
【プロテアソーム阻害薬】未治療:33.3%、治療歴:22.0%、不応:19.4%
●デキサメタゾン治療中止
【レナリドミド】未治療:18.4%、治療歴:20.5%、不応:16.0%
【プロテアソーム阻害薬】未治療:33.3%、治療歴:17.4%、不応:16.7%
・UVEA-IXA試験において、有害事象により治療薬を中止した患者の割合は、治療歴別で次の通りであった。
●イキサゾミブ治療中止
【レナリドミド】未治療:18.6%、治療歴:6.7%、不応:10.5%
【プロテアソーム阻害薬】未治療:22.2%、治療歴:16.7%、不応:15.7%
●レナリドミド治療中止
【レナリドミド】未治療:16.1%、治療歴:6.7%、不応:10.5%
【プロテアソーム阻害薬】未治療:16.7%、治療歴:15.9%、不応:11.8%
●デキサメタゾン治療中止
【レナリドミド】未治療:10.6%、治療歴:0%、不応:10.5%
【プロテアソーム阻害薬】未治療:16.7%、治療歴:9.5%、不応:7.8%
・REMIX試験では、有害事象により治療薬を中止した患者の割合は、入手できなかった。
著者らは「IRd療法は、過去の治療歴とは無関係に、再発・難治性MM患者の日常的な臨床診療において有効であり、レナリドミド/プロテアソーム阻害薬に対する不応性がなくとも良好なアウトカムが期待できることが示唆された」としている。
(エクスメディオ 鷹野 敦夫)
原著論文はこちら
Lee HC, et al. Eur J Haematol. 2024 Apr 23. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38654611
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