「DLd療法」の記事一覧

日本における新規MM患者に対する治療、最も選択される治療は?
日本における新規MM患者に対する治療、最も選択される治療は?
公開日:2024年10月1日 Moribe T, et al. PLoS One. 2024; 19: e0310333.  日本における新たに診断された多発性骨髄腫(MM)に対する治療は、これまで十分に評価されていなかった。また、再発・難治性MMにおいてトリプルクラス曝露患者の予後は不良であり、治療選択肢も限られている。ファイザーの森部 豊輝氏らは、日本におけるMM患者の特徴、治療傾向、トリプルクラス曝露の現状を明らかにするため、レトロスペクティブ非介入研究を実施した。PLoS ONE誌2024年9月30日号の報告。  2015〜22年の日本のレセプトデータよりMM患者のデータを抽出した。本研究では、第1選択治療としてダラツムマブ、レナリドミド、ボルテゾミブを使用した新規MM患者を特定した。患者の特徴および治療傾向は、非移植群と移植群について分析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・分析対象患者数は1,784例。 ・非移植群1,656例の年齢中央値は75歳(範囲:37〜94)、第1選択の治療レジメンはLd療法(24.7%)、Bd療法(23.8%)、BLd療法(15.6%)の順で実施されていた。 ・移植群128例の年齢中央値は61歳(範囲:35〜73)、第1選択の治療レジメンはBLd療法(49.5%)、Bd療法(18.7%)、DBd療法(8.4%)の順で実施されていた。 ・非移植群に対する治療レジメンは、75歳以上でLd療法、65〜74歳でBd療法、65歳未満でBLd療法が一般的に行われていた。 ・腎機能障害を有する患者ではBd療法、心機能障害を有する患者ではLd療法が一般的であった。 ・移植群では、1stラインでの移植が107例(83.6%)、2ndラインが20例(15.6%)。 ・1stラインでの移植例における上位3つの導入療法は、BLd療法(49.5%)、Bd療法(18.7%)、DBd療法(8.4%)であった。 ・5thラインまでの累積トリプルクラス曝露患者は、非移植群で351例(21.2%)、移植群で56例(43.8%)であった。 ・各ラインでのトリプルクラス曝露率は、1stラインから5thラインにかけて徐々に増加していた(非移植群:11.1〜69.2%、移植群:21.1〜100%)。 ・非移植群のトリプルクラス曝露患者184例に対する第1選択治療は、89.7%でDLd療法、BLd療法、DBd療法を含む治療が行われており、10.3%でD-BLd療法が行われていた。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Moribe T, et al. PLoS One. 2024; 19: e0310333.▶https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/39348401 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
移植適応のない多発性骨髄腫の1stライン、DLd療法 vs. BLd療法
移植適応のない多発性骨髄腫の1stライン、DLd療法 vs. BLd療法
公開日:2024年11月12日 Hansen DK, et al. Cancer Med. 2024; 13: e70308.  未治療で移植適応のない多発性骨髄腫(MM)に対して、ダラツムマブ+レナリドミド+デキサメタゾン(DLd療法)が推奨されている。しかし、DLd療法とボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(BLd療法)のランダム化直接比較試験は、これまで行われていない。米国H. Lee Moffitt Cancer CenterのDoris K. Hansen氏らは、DLd療法とBLd療法における次回治療までの期間(TTNT)または死亡リスクの比較を行った。Cancer Medicine誌2024年11月号の報告。  1stラインでDLd療法またはBLd療法を行った新規MM患者を、Acentrusデータベース(2018年1月〜2023年5月)より特定した。造血幹細胞移植歴のある患者または65歳未満の患者は、移植適応のない集団の分析を限定するため、除外した。逆確率重み付け法(IPTW)を用いて、ベースラインの患者特性を調整した。両群間のTTNTまたは死亡リスクを比較するため、doubly robust Cox比例ハザードモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・DLd療法群149例、BLd療法群494例。 ・重み付け後(weighted NDLd:302例、weighted NBLd:341例)、両群とも同様のベースライン特性を示した。 ・このうち、その後の治療を受けるまたは死亡した患者の割合は、DLd療法群32.4%(98例)、BLd療法群51.2%(175例)であり、TTNIまたは死亡の中央値は、DLd療法群で37.8ヵ月、BLd療法群で18.7ヵ月であった(ハザード比:0.58、95%CI:0.35〜0.81、p<0.001)。  著者らは「未治療で移植適応のないMM患者に対するDLd療法は、BLd療法と比較し、TTNTまたは死亡リスクが42%低下することから、移植適応のない新規MM患者に対する1stラインとして、DLd療法がより有効であることが裏付けられた」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Hansen DK, et al. Cancer Med. 2024; 13: e70308.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39486091 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら