「末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)」の記事一覧

再発・難治性のCCR4陽性PTCL、CTCLに対するモガムリズマブの有用性〜国内市販後調査
再発・難治性のCCR4陽性PTCL、CTCLに対するモガムリズマブの有用性〜国内市販後調査
公開日:2024年6月19日 Ishitsuka K, et al. Hematol Oncol. 2024; 42: e3292. [Epub ahead of print]  CCケモカイン受容体4(CCR4)を標的としたヒト化モノクローナル抗体であるモガムリズマブは、2014年に再発または難治性のCCR4陽性の末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)および皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)への適応拡大が承認された。鹿児島大学の石塚 賢治氏らは、モガムリズマブの市販後調査結果を報告した。Hematological Oncology誌2024年7月号の報告。  本市販後調査は、再発・難治性のCCR4陽性PTCLまたはCTCTに対するモガムリズマブの安全性および有効性を確認するため、2014〜2020年に日本で実施された。安全性および有効性のデータは、治療開始後最大31週間収集した。 主な結果は以下のとおり。 ・登録総患者数は142例、安全性評価対象は136例。 ・投与回数の中央値は、8.0回(範囲:1〜18)。 ・治療中止の主な原因は、治療反応不十分(22.1%)、有害事象(13.2%)であった。 ・すべてのグレードの有害事象の発生率は57.4%であり、主な有害事象は、皮膚障害(26.5%)、感染症および免疫系障害(16.2%)、注射部位反応(13.2%)などであった。 ・モガムリズマブ投与後、同種造血幹細胞移植を行った2例のうち1例において、GVHD(グレード2)の発症が認められた。 ・有効性評価対象131例の内訳は、PTCLが103例、CTCLが28例。 ・最良総合評価(best overall response)は45.8%(PTCL:47.6%、CTCL:39.3%)であった。 ・31週時点での生存率は69.0%(95%CI:59.8〜76.5)であり、PTCLは64.4%(95%CI:54.0〜73.0)、CTCLは90.5%(95%CI:67.0〜97.5)であった。 ・安全性および有効性は、70歳未満と70歳以上、再発と難治性との間で同等であった。  著者らは「リアルワードにおけるPTCLおよびCTCLに対するモガムリズマブの安全性・有効性は、これまでの臨床試験で報告されたデータと同等であった」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Ishitsuka K, et al. Hematol Oncol. 2024; 42: e3292. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38847317 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性の高齢者PTCLに対するGDP療法+ロミデプシン〜国内第II相試験
再発・難治性の高齢者PTCLに対するGDP療法+ロミデプシン〜国内第II相試験
公開日:2024年7月1日 Yamasaki S, et al. Hematol Rep. 2024; 16: 336-346.  末梢性T細胞リンパ種(PTCL)の重要な治療選択肢の1つであるロミデプシンは、投与するタイミングについて、議論の余地が残っている。九州大学別府病院の山崎 聡氏らは、ゲムシタビン+デキサメタゾン+シスプラチン(GDP療法)後のconsolidationとしてのロミデプシンの安全性および有効性を検討した。Hematology Reports誌2024年5月28日号の報告。  本国内第II相試は、2019年3月〜2021年3月に治療を行った65歳以上の再発・難治性PTCL患者を対象に、PTCL -GDPR試験として実施した。GDP療法を2〜4サイクル実施後、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、安定(SD)であった場合、ロミデプシンを4週間ごとに1年間投与した。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者は、再発・難治性PTCL 7例(T濾胞ヘルパー細胞起源節性リンパ腫:1例、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫:6例)。 ・フォローアップ期間(平均は34ヵ月)中の、2年全生存期間(OS)は71%、治療後の全奏効率(OR)は57%であった。 ・主な有害事象として、好中球減少症などの血液毒性がみられたが、支持療法により改善が認められた。 ・治療に関連する死亡は認められなかった。  著者らは「ロミデプシンは、移植適応のない高齢者の最初・難治性PTCLに安全かつ効果的に使用可能であると考えられるが、さらなる調査が求められる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Yamasaki S, et al. Hematol Rep. 2024; 16: 336-346.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38921182 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性の成熟T/NK細胞リンパ腫の臨床アウトカムと予後〜PETALコンソーシアム/Blood Adv
再発・難治性の成熟T/NK細胞リンパ腫の臨床アウトカムと予後〜PETALコンソーシアム/Blood Adv
公開日:2024年11月13日 Han JX, et al. Blood Adv. 2024 Oct 31. [Epub ahead of print]  再発・難治性の成熟T細胞/NK細胞リンパ腫(MTCL/MNKCL)に対する現在の治療によるメリットを理解することは、薬剤や治療法が世界でばらついているため困難である。米国・マサチューセッツ工科大学のJessy Xinyi Han氏らは、再発・難治性MTCL/MNKCL患者925例を対象に、国際的なレトロスペクティブコホート研究を実施した。Blood Advances誌オンライン版2024年10月31日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・非特定型末梢性T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)、ALK陰性未分化大細胞リンパ腫(ALK陰性ALCL)では、再発患者は、難治性患者と比較し、2次治療から全生存期間(OS)中央値が優れていた。 ・再発・難治性リンパ腫のOSの独立した予測因子として、60歳超、治療抵抗性疾患、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)以外の組織学的サブタイプ、リンパ節外部位1つ超、Ki67 40%以上、リンパ球絶対数正常限界値未満などが挙げられた。 ・これらを組み込んだ多変量モデルにより、再発・難治性T細胞リンパ腫の予後指標を形成した。予後指標は、低リスク群(リスク因子:0〜1)、中リスク群(リスク因子:2〜3)、高リスク群(リスク因子:4以上)に分類された。 ・各リスク群における3年OSは、低リスク群57.14%(95%CI:17.1〜83.7)、中リスク群23.30%(95%CI:8.7〜41.9)、高リスク群7.00%(95%CI:0.4〜26.9)であった。 ・2次治療では、新規単剤療法(35%)または細胞障害性化学療法(60%)のいずれかが行われた。 ・全体では、新規単剤療法は、細胞障害性化学療法よりも無増悪生存期間(PFS)が良好で、AITLおよびALK陰性ALCLでは、3年OSが良好であった。 ・AITLにおいて低分子阻害薬単剤療法は、細胞障害性化学療法よりもOSが良好であることが示唆された。  著者らは「本結果は、再発・難治性MTCL/MNKCLに対する新薬の有効性および新たな予後予測モデルの可能性を示唆している」とまとめている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Han JX, et al. Blood Adv. 2024 Oct 31. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39481087 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら