「belantamab(国内未承認)」の記事一覧

MMに対するbelantamab+Pd療法 vs. PBd療法〜DREAMM-8試験
MMに対するbelantamab+Pd療法 vs. PBd療法〜DREAMM-8試験
公開日:2024年6月10日 Dimopoulos MA, et al. N Engl J Med. 2024 Jun 2. [Epub ahead of print]  プロテアソーム阻害薬、免疫抑制薬、抗CD38抗体を組み合わせた3剤、4剤の併用療法により、新規多発性骨髄腫(MM)患者の生存期間は延長されたが、ほとんどの患者で再発が見られる。第1選択治療にレナリドミドを使用することで、初回再発時にレナリドミド抵抗性を有する患者が増加している。ギリシャ・National and Kapodistrian University of AthensのMeletios Athanasios Dimopoulos氏らは、レナリドミドを含むレジメンで治療後に再発または治療抵抗性を呈したMM患者を対象に、belantamab mafodotinを併用したポマリドミド+デキサメタゾン(Pd療法)の有効性および安全性を評価した第III相ランダム化オープンラベル試験(DREAMM-8試験)の結果を報告した。NEJM誌オンライン版2024年6月2日号の報告。  対象は、レナリドミドを含む1ライン以上の治療後に再発または治療抵抗性を呈したMM患者302例。対象患者は、belantamab+Pd療法群またはポマリドミド+ボルテゾミブ+デキサメタゾン(PBd療法)群にランダムに割り付け、両群の比較評価を行った。主要エンドポイントは、無増悪生存期間(PFS)とし、病勢進行および安全性も合わせて評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者は、belantamab+Pd療法群155例、PBd療法群147例にランダムに割り付けられた。 ・フォローアップ期間中央値は21.8ヵ月(範囲:0.1未満〜39.2)。 ・12ヵ月の推定PFS率は、belantamab+Pd療法群で71%(95%CI:63〜78)、PBd療法群で51%(95%CI: 42〜60)であった(病勢進行または死亡のハザード比:0.52、95%CI:0.37〜0.73、p<0.001)。 ・全生存期間(OS)は未達であった。 ・部分奏効(PR)以上の奏効率は、belantamab+Pd療法群で77%(95%CI:70〜84)、PBd療法群で72%(95%CI:64〜79)であった。完全奏効(CR)以上の奏効率は、belantamab+Pd療法群で40%(95%CI:32〜48)、PBd療法群で16%(95%CI:11〜23)であった。 ・グレード3以上の有害事象の発生率は、belantamab+Pd療法群で94%、PBd療法群で76%であった。 ・眼の有害事象の発生率は、belantamab+Pd療法群で89%(グレード3/4:43%)、PBd療法群で30%(グレード3/4:2%)であった。belantamab+Pd療法群における眼の有害事象は、belantamabの用量調節により管理可能であった。 ・眼の有害事象による治療中止率は、belantamab+Pd療法群で9%に見られたが、PBd療法群では1例もなかった。  著者らは「レナリドミド抵抗性の再発・難治性MM患者のPFSおよびより持続的な寛解に関して、belantamab+Pd療法はPBd療法よりも、有意に大きなベネフィットを示した。眼の有害事象については注意が必要だが、belantamabの用量調節により制御可能であった」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Dimopoulos MA, et al. N Engl J Med. 2024 Jun 2. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38828951 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
MMに対するbelantamab+Bd療法 vs. DBd療法〜DREAMM-7試験
MMに対するbelantamab+Bd療法 vs. DBd療法〜DREAMM-7試験
公開日:2024年6月11日 Hungria V, et al. N Engl J Med. 2024 Jun 1. [Epub ahead of print]  belantamab mafodotinは、再発・難治性の多発性骨髄腫(MM)に対し、単剤療法で有効であり、この結果は、標準療法と併用したbelantamabの更なる評価を支持するものである。ブラジル・Clinica Sao GermanoのVania Hungria氏らは、1ライン以上の前治療歴がある再発・難治性MM患者を対象にbelantamabを併用したボルテゾミブ+デキサメタゾン(Bd療法)の有効性および安全性を評価した第III相オープンラベルランダム化試験(DREAMM-7試験)の結果を報告した。NEJM誌オンライン版2024年6月1日号の報告。  対象は、1ライン以上の治療後に病勢が進行したMM患者494例。対象患者は、belantamab+Bd療法群またはダラツムマブ+ボルテゾミブ+デキサメタゾン(DBd療法)群にランダムに割り付け、両群の比較評価を行った。主要エンドポイントは、無増悪生存期間(PFS)とした。主要副次的エンドポイントは、全生存期間(OS)、奏効期間、微小残存病変(MRD)陰性化率とした。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者は、belantamab+Bd療法群243例、DBd療法群251例にランダムに割り付けられた。 ・フォローアップ期間中央値は28.2ヵ月(範囲:0.1〜40.0)。 ・PFS中央値は、belantamab+Bd療法群で36.6ヵ月(95%CI:28.4〜未達)、DBd療法群で13.4ヵ月(95%CI:11.1〜17.5)であった(病勢進行または死亡のハザード比:0.41、95%CI:0.31〜0.53、p<0.001)。 ・18ヵ月時点でのOS率は、belantamab+Bd療法群で84%、DBd療法群で73%であった。 ・境界内平均奏効期間の分析では、belantamab+Bd療法群はDBd療法群よりも優れていた(p<0.001)。 ・完全奏効(CR)以上のMRD陰性化率は、belantamab+Bd療法群で25%、DBd療法群で10%に認められた。 ・グレード3以上の有害事象の発生率は、belantamab+Bd療法群で95%、DBd療法群で78%であった。 ・眼の有害事象の発生率は、belantamab+Bd療法群で79%、DBd療法群で29%であった。belantamab+Bd療法群における眼の有害事象は、belantamabの用量調節により大部分は管理可能であった。  著者らは「belantamab+Bd療法は、DBd療法と比較し、1ライン以上の前治療歴がある再発・難治性MM患者に対しPFSに関して有意なベネフィットを示した。一方で、ほとんどの患者においてグレード3以上の有害事象が発現することには注意が必要である」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Hungria V, et al. N Engl J Med. 2024 Jun 1. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38828933 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
抗体薬物複合体に関連する眼の有害事象〜FDA有害事象報告システム分析
抗体薬物複合体に関連する眼の有害事象〜FDA有害事象報告システム分析
公開日:2024年9月6日 Mao K, et al. Front Pharmacol. 2024: 15: 1425617.  抗体薬物複合体(ADC)は、がん医療で注目され、ホットスポットとなっているが、ADCに伴う眼毒性は、過小評価されている。中国・温州医科大学のKaiLi Mao氏らは、さまざまなADCに関連する眼毒性リスクを包括的に評価するため、FDA有害事象報告システム(FAERS)データベースを用いて、分析を行った。Frontiers in Pharmacology誌2024年8月20日号の報告。  2011年第3四半期〜2023年第3四半期のデータをFAERSデータベースより抽出した。ADC関連の眼の有害事象の臨床的特徴を分析した。ADC誘発性の眼の有害事象のシグナルを検出するため、比例分析およびベイズアプローチによりデータマイニングを行なった。眼の毒性の発現までの期間についても評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・ADCに関連すると判断された眼の有害事象は、1,246件抽出された。 ・眼毒性の兆候が報告された薬剤は、belantamab mafodotin、ブレンツキシマブ ベドチン、エンホルツマブ ベドチン、mirvetuximab soravtansine、sacituzumab govitecan、トラスツズマブ デルクステカン、トラスツズマブ エムタンシンであった。 ・微小管重合阻害剤を結合させたADC(belantamab mafodotin、トラスツズマブ エムタンシン、mirvetuximab soravtansine)は、眼毒性の影響を受けやすかった。 ・ADCに関連する主な眼の有害事象シグナルは、以下のとおりであった。 【角膜症】ROR=1,273.52(95%CI:1,129.26〜1,436.21) 【視力低下】ROR=22.83(95%CI:21.2〜24.58) 【ドライアイ】ROR=9.69(95%CI:8.81〜10.66) 【夜盲症】ROR=259.87(95%CI:228.23〜295.89) 【霧視】ROR=1.78(95%CI:1.57〜2.02) 【羞明】ROR=10.45(95%CI:9.07〜12.05) 【眼の異物感】ROR=23.35(95%CI:19.88〜27.42) 【眼毒性】ROR=144.62(95%CI:117.3〜178.32) 【点状角膜炎】ROR=126.21(95%CI:101.66〜156.69) 【眼障害】ROR=2.71(95%CI:2.21〜3.32) ・発現時期に関しては、最も早かったのはsacituzumab govitecanで21日目、最も遅かったのはトラスツズマブ デルクステカンで223日目であった。  著者らは「ADCは、がん患者の眼毒性リスクを高め、重篤な死亡リスクにもつながる可能性がある。また、添付文書に記載されていない新たな眼毒性シグナルも検出されている」とし「新規ADCが世界各国で汎用されているため、FAERSデータと他のデータを連携し、ADCの眼毒性をモニタリングする必要がある」とまとめている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Mao K, et al. Front Pharmacol. 2024: 15: 1425617.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39228525 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら