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日本人再発・難治性MMに対するエルラナタマブの有効性・安全性〜MagnetisMM-2,3日本人サブグループ解析
日本人再発・難治性MMに対するエルラナタマブの有効性・安全性〜MagnetisMM-2,3日本人サブグループ解析
公開日:2024年6月3日 Iida S, et al. Jpn J Clin Oncol. 2024 May 24. [Epub ahead of print]  近年、多発性骨髄腫(MM)に対する治療成績は、大きく改善したものの、いまだ多くの患者は再発を経験し、複数の治療ラインを繰り返しており、再発・難治性MM患者のアンメットニーズが浮き彫りとなっている。新たに再発・難治性MMの治療薬として日本でも承認された二重特性性抗体に対する期待は高まっている。名古屋市立大学の飯田 真介氏らは、日本人再発・難治性MMに対する二重特性抗体エルラナタマブの有効性および安全性について、報告を行った。Japanese Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2024年5月24日号の報告。  再発・難治性MMに対するエルラナタマブの国内第I相試験(MagnetisMM-2試験)および国際共同第II相試験(MagnetisMM-3試験)においてエルラナタマブ単剤療法を行った日本人患者を分析した。免疫調節薬、プロテアソーム阻害薬、抗CD38モノクローナル抗体製剤の3クラスの薬剤でそれぞれ少なくとも1剤ずつに抵抗性を示した患者または疾患が進行した患者を対象に、エルラナタマブのプライミング投与を行い、その後週1回皮下投与を行った。主要エンドポイントは、MagnetisMM-2試験では用量制限毒性(DLT)、MagnetisMM-3試験では確定奏効率(confirmed ORR)であった。いずれの試験においても、副次的エンドポイントには、安全性、忍容性、奏効期間、奏効までの期間、無増悪生存期間、全生存期間が含まれた。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者数は、MagnetisMM-2試験より4例(年齢中央値:68.5歳)、MagnetisMM-3試験より12例(年齢中央値:66.5歳)。 ・MagnetisMM-2試験では、DLTは観察されなかった。 ・ORRは、MagnetisMM-2試験で50.0%(95%CI:6.8〜93.2)、MagnetisMM-3試験で58.3%(95%CI:27.7〜84.8)であった。 ・すべての患者において有害事象が認められた。グレード3/4発生率は、MagnetisMM-2試験で75.0%、MagnetisMM-3試験で100.0%であり、サイトカイン放出症候群(CRS)の発生率は、MagnetisMM-2試験で100.0%(グレード3/4:25.0%)、MagnetisMM-3試験で58.3%(グレード3/4:0%)であった。 ・いずれの研究においても、免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)は認められなかった。  著者らは「本検討より、新たな安全性に対する懸念は認められず、ORRもMagnetisMM-3試験の結果と類似していたことから、日本人再発・難治性MMに対するエルラナタマブの有効性・安全性が確認された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Iida S, et al. Jpn J Clin Oncol. 2024 May 24. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38794892 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら