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二重特異性抗体エルラナタマブと重症COVID-19リスクとの関連、そのメカニズムは?
公開日:2025年1月31日
Li Z, et al. J Transl Med. 2025; 23: 117.
免疫療法は、多発性骨髄腫(MM)患者において重症COVID-19リスク因子である。このメカニズムを理解することは、患者の臨床アウトカム改善にとって重要である。中国・Peking Union Medical College HospitalのZiping Li氏らは、二重特異性抗体、抗CD38モノクローナル抗体、プロテアソーム阻害薬ベースのレジメンで治療を行ったMM患者におけるタンパク質発現を調査した。Journal of Translational Medicine誌2025年1月26日号の報告。
対象は、二重特異性抗体(9例)、抗CD38モノクローナル抗体(10例)、プロテアソーム阻害薬ベースレジメン(10例)で治療を行ったMM患者29例。対象患者における440個のタンパク質発現を調査した。Differentially expressed proteins(DEP)は、バイオインフォマティクス解析を用いて特定および分析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・二重特異性抗体群では、重症COVID-19の発生率上昇と関連が認められた。 ・特定されたDEPは、二重特異性抗体群と抗CD38モノクローナル抗体群との間で21、二重特異性抗体群とプロテアソーム阻害薬群との間で29、抗CD38モノクローナル抗体群とプロテアソーム阻害薬群との間で25であった。 ・主成分分析およびクラスタリングにより、二重特異性抗体群とプロテアソーム阻害薬群との間でタンパク質発現プロファイルが異なることが示唆された。 ・遺伝子オントロジー(GO)解析では、二重特異性抗体群とプロテアソーム阻害薬群との間のDEPは、サイトカイン活性および白血球遊走と関連していることが明らかとなった。 ・京都遺伝子ゲノム百科事典(KEGG)分析では、これらのDEPは、サイトカインと受容体の相互作用およびJAK-STATシグナル伝達経路に多いことが示唆された。 ・白血病抑制因子(LIF)は、他のDEPと最も相関性が高く、いずれの経路においても重要な役割を果たしている可能性があり、LIFタンパク質レベルは、二重特異性抗体群で最も高かった。
著者らは「二重特異性抗体による治療は、炎症性サイトカインストリームによる重症COVID-19リスクの増加と関連しており、LIFおよびJAK-STAT経路が重要な役割を果たしていると考えられる。LIFおよびJAK-STAT経路を標的とすることで、二重特異性抗体治療を行ったMM患者の重症COVID-19を軽減できる可能性が示唆された」と結論付けている。
対象は、二重特異性抗体(9例)、抗CD38モノクローナル抗体(10例)、プロテアソーム阻害薬ベースレジメン(10例)で治療を行ったMM患者29例。対象患者における440個のタンパク質発現を調査した。Differentially expressed proteins(DEP)は、バイオインフォマティクス解析を用いて特定および分析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・二重特異性抗体群では、重症COVID-19の発生率上昇と関連が認められた。 ・特定されたDEPは、二重特異性抗体群と抗CD38モノクローナル抗体群との間で21、二重特異性抗体群とプロテアソーム阻害薬群との間で29、抗CD38モノクローナル抗体群とプロテアソーム阻害薬群との間で25であった。 ・主成分分析およびクラスタリングにより、二重特異性抗体群とプロテアソーム阻害薬群との間でタンパク質発現プロファイルが異なることが示唆された。 ・遺伝子オントロジー(GO)解析では、二重特異性抗体群とプロテアソーム阻害薬群との間のDEPは、サイトカイン活性および白血球遊走と関連していることが明らかとなった。 ・京都遺伝子ゲノム百科事典(KEGG)分析では、これらのDEPは、サイトカインと受容体の相互作用およびJAK-STATシグナル伝達経路に多いことが示唆された。 ・白血病抑制因子(LIF)は、他のDEPと最も相関性が高く、いずれの経路においても重要な役割を果たしている可能性があり、LIFタンパク質レベルは、二重特異性抗体群で最も高かった。
著者らは「二重特異性抗体による治療は、炎症性サイトカインストリームによる重症COVID-19リスクの増加と関連しており、LIFおよびJAK-STAT経路が重要な役割を果たしていると考えられる。LIFおよびJAK-STAT経路を標的とすることで、二重特異性抗体治療を行ったMM患者の重症COVID-19を軽減できる可能性が示唆された」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)
原著論文はこちら
Li Z, et al. J Transl Med. 2025; 23: 117.
▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39865264
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