ライブラリー 同種HSCT後に再発した多発性骨髄腫、DLIや新規治療薬で長期病勢コントロールが可能に
公開日:2024年11月21日
Nozzoli C, et al. Transplant Cell Ther. 2024 Nov 4. [Epub ahead of print]
同種造血幹細胞移植(HSCT)は、多発性骨髄腫(MM)の一部の患者において、治療効果をもたらす。同種HSCT後に再発したMM患者では、長期生存を経験することがあり、これには同種HSCT後に用いられる治療薬とドナーT細胞との相乗効果が示唆されている。イタリア・カレッジ大学のChiara Nozzoli氏らは、同種HSCTを行ったMM患者のアウトカムをレトロスペクティブに評価した。Transplantation and Cellular Therapy誌オンライン版2024年11月4日号の報告。
対象は、Gruppo Italiano Trapianto Midollo Osseo e Terapia Cellulare(GITMO)ネットワークに登録された2009〜18年に同種HSCTを行ったMM患者242例。対象患者のアウトカムをレトロスペクティブに評価した。すべての患者における長期アウトカムおよび再発患者118例における再発後の全生存期間(OS)延長の予測因子を特定した。
主な結果は以下のとおり。
・同種HSCT後のフォローアップ期間中央値は40.9ヵ月、すべての患者のOS中央値は39.4ヵ月、無増悪生存期間(PFS)中央値は19.0ヵ月。
・非再発死亡率(NRM)の累積発生率は、1年で10.3%、5年で27.6%。
・グレード2〜4の急性GVHDの累積発生率は19.8%、中等度〜重度の慢性GVHDの5年累積発生率は31.8%であった。
・多変量モデルでは、OS不良と関連する重要な因子として、移植時年齢の高さ(p=0.020)、移植前治療歴が2ライン以上(p=0.003)、非血縁または半合致ドナーからの移植(p=0.025)が特定された。
・同種HSCT後に再発した患者は118例(59%)、中央値は14.3ヵ月(IQR:7.2〜26.9)。
・治療の内訳は、ステロイド、放射線療法、支持療法のみが20例(17%)、救援療法1ラインが41例(35%)、2ライン23例(19%)、3または4ライン34例(29%)。
・救援療法の内訳は、化学療法のみが9例、免疫調整薬(IMiDs)を含む9例、プロテアソーム阻害薬を含む43例、モノクローナル抗体を含む37例(ダラツムマブ:33例、エロツズマブ:1例、イサツキシマブ:1例、belantamab:2例)。
・再発患者のOS中央値は、移植後38.5ヵ月、再発後20.2ヵ月であった。
・多変量解析では、再発後のOS延長に関連する因子として、移植後の再発までの期間の長さ(6〜24ヵ月:p=0.016、24ヵ月以上:p<0.001)、3ライン以上の救援療法(p<0.036)、ドナーリンパ球輸注(DLI:p=0.020)が特定された。
著者らは「初期段階およびHLA一致同胞ドナーから移植を受けた患者は、長期生存の可能性が最も高かった。同種HSCT後の再発期間、複数回の救援療法、DLIは、長期病勢コントロールの重要な因子である可能性が示唆された」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)
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Nozzoli C, et al. Transplant Cell Ther. 2024 Nov 4. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39505212
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