「オビヌツズマブ(ガザイバ)」の記事一覧

再発CLLに対するアカラブルチニブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブ療法〜CLL2-BAAG試験の最終分析
再発CLLに対するアカラブルチニブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブ療法〜CLL2-BAAG試験の最終分析
公開日:2024年5月14日 Furstenau M, et al. Blood. 2024 Apr 15. [Epub ahead of print]  再発または難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)患者を対象とした第II相CLL2-BAAG試験では、ベンダムスチン減量オプション後のアカラブルチニブ、ベネトクラクス、オビヌツズマブの3剤併用療法による微小残像病変(MRD)の変化が調査された。ドイツ・ケルン大学のMoritz Furstenau氏らは、CLL2-BAAG試験の最終的な有効性および循環腫瘍DNA(ctDNA)解析結果の報告を行った。Blood誌オンライン版2024年4月15日号の報告。  対象は再発または難治性CLL患者45例(除外基準に違反したため、解析からは1例除外)。MRDは末梢血中のフローサイトメトリー(FCM)を用いて測定し(検出可能なMRD<10-4)、循環腫瘍DNA(ctDNA)は、血漿中のVDJ遺伝子再構成およびCLL関連変異のデジタルPCR(ddPCR)により測定した。MRD再発の定義は、MRD陰性/ctDNA陰性を達成したのち、ctDNA陽性および/またはMRD≧10-4の場合と定義した。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者における過去の治療回数の中央値は1回(範囲:1〜4)、18例(40%)は本試験前にBTK阻害薬および/またはベネトクラクスによる治療を行なっていた。14例(31.8%)はTP 53遺伝子の異常が見られ、34例(75.6%)はIGHV変異なしであった。 ・フォローアップ期間は36.3ヵ月(中央値)、治療中止までの期間は21.9ヵ月(中央値)であった。 ・末梢血におけるMRD陰性は、全体として45例中42例(93.3%)で達成された。BTK阻害薬/ベネトクラクスの治療歴を有する患者では18例中17例(94.4%)、TP53遺伝子異常が認められる患者では14例中13例(92.9%)において、MRD陰性が達成された。 ・3年間の無増悪生存期間は85.0%、全生存率は93.8%であった。 ・全体でFCM /ctDNAサンプル585件を分析したところ、治療終了後のMRD再発は18件で認められた(臨床的進行あり:5件、臨床的進行なし:13件)。最初にctDNAで検出された検体は12件、FCMが3件、同時に検出された検体は3件であった。 ・ctDNAにより早期に検出された患者は、遺伝的リスクが高い特徴を有しているようであった。  著者らは「本試験では、再発または難治性のCLL患者に対するアカラブルチニブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブ療法は、MRD陰性において多くの患者で寛解を達成することが可能であった。MRDの評価では、FCMにctDNAを追加することで、再発の早期発見の向上が期待できる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Furstenau M, et al. Blood. 2024 Apr 15. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38620072 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性FL、DLBCLに対するポラツズマブ+ベネトクラクス+坑CD20モノクローナル抗体の有効性・安全性
再発・難治性FL、DLBCLに対するポラツズマブ+ベネトクラクス+坑CD20モノクローナル抗体の有効性・安全性
公開日:2024年5月23日 Yuen S, et al. Am J Hematol. 2024 May 3. [Epub ahead of print]  再発・難治性濾胞性リンパ腫(FL)に対するポラツズマブ ベドチン+ベネトクラクス+オビヌツズマブおよび再発・難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対するポラツズマブ ベドチン+ベネトクラクス+リツキシマブの有効性・安全性を評価した非盲検国際多施設共同非ランダム化第Ib/II相試験が行われた。その結果について、オーストラリア・Calvary Mater Newcastle HospitalのSam Yuen氏らが、報告を行った。American Journal of Hematology誌オンライン版2024年5月3日号の報告。  再発・難治性FLには、ポラツズマブ ベドチン(1.8mg/kg)+ベネトクラクス(800mg)+オビヌツズマブ(1,000mg)、再発・難治性DLBCLには、ポラツズマブ ベドチン(1.8mg/kg)+ベネトクラクス(800mg)+リツキシマブ(375mg/m2)の導入療法後(21日サイクル6回)、完全奏効(CR)または部分奏効(PR)を達成した患者に対し、ベネトクラクス+オビヌツズマブまたはリツキシマブによる治療を継続した。主要エンドポイントは、導入療法後のCR率とした。 主な結果は以下のとおり。 ・安全性評価対象患者はFLで74例(年齢中央値:64歳、1次治療24ヵ月以内の疾患進行率:25.7%、FLIPIスコア 3〜5:54.1%、過去の治療歴が2以上:74.3%)、DLBCLで57例(年齢中央値:65歳、IPIスコア 3〜5:54.4%、過去の治療歴が2以上:77.2%)であった。 ・最も一般的な非血液学的有害事象(主にグレード1〜2)は、下痢(FL:55.4%、DLBCL:47.4%)、悪心(FL:47.3%、DLBCL:36.8%)であり、最も一般的な血液毒性(グレード3〜4)は、好中球減少症(FL:39.2%、DLBCL:52.6%)であった。 ・有効性評価対象患者には、推奨される第II相試験の用量で治療を行なった患者を含めた(FL:49例、DLBCL:48例)。 ・導入療法後のCR率は、FLで59.2%、DLBCLで31.3%であった。 ・無増悪生存期間の中央値は、FLで22.8ヵ月(95%信頼区間[CI]:14.5〜評価不能)、DLBCLで4.6ヵ月(95%CI:3.6〜8.1)であった。  著者らは「再発・難治性のFLまたはDLBCLに対するポラツズマブ ベドチン+ベネトクラクス+オビヌツズマブ/リツキシマブは、許容可能な安全性を有しており、とくに高リスク患者を含む再発・難治性FLにおいては、有望な奏効率が認められた」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Yuen S, et al. Am J Hematol. 2024 May 3. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38700035 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発DLBCLに対するベネトクラクス+イブルチニブ+プレドニゾン+オビヌツズマブ+レナリドミド併用療法
再発DLBCLに対するベネトクラクス+イブルチニブ+プレドニゾン+オビヌツズマブ+レナリドミド併用療法
公開日:2024年6月24日 Melani C, et al. N Engl J Med. 2024; 390: 2143-2155.  びまん性大細胞性B細胞リンパ腫(DLBCL)における発癌変異の特定により、それらをターゲットとする薬剤が次々と開発されている。しかし、複数のターゲットに対する薬剤を併用した場合の有効については不明である。米国・国立がん研究所のChristopher Melani氏らは、再発・難治性DLBCL患者を対象に、ベネトクラクス+イブルチニブ+プレドニゾン+オビヌツズマブ+レナリドミド併用療法の有用性を評価した。The New England Journal of Medicine誌2024年6月20日号の報告。  再発・難治性DLBCL患者を対象に、ベネトクラクス+イブルチニブ+プレドニゾン+オビヌツズマブ+レナリドミド併用(ViPOR)療法に関する単施設第Ib-II相試験を実施した。DLBCLおよび低悪性度リンパ腫患者を含む第Ib相試験では、ベネトクラクスの4段階の用量を評価し、第II相試験での推奨用量を特定した(その他4剤の用量は固定)。胚中心B細胞(GCB)および非GCBのDLBCL患者を対象に、第II相拡大試験を行った。ViPOR療法は、21日ごとに6サイクル実施した。 主な結果は以下のとおり。 ・第 Ib相試験の対象患者20例(DLBCL患者10例を含む)において、グレード3の頭蓋内出血(用量制限毒性作用)が1件発生した。その結果、第II相試験のベネトクラクス推奨用量は、800mgと特定した。 ・第II相試験には、DLBCL患者40例が登録された。 ・毒性作用は、グレード3または4の好中球減少症(24%/サイクル)、血小板減少症(23%/サイクル)、貧血(7%/サイクル)、発熱性好中球減少症(1%/サイクル)であった。 ・評価可能なDLBCL患者48例のうち54%で客観的奏効が認められ、完全奏効(CR)は38%で認められた。CRは、非GCBのDLBCL患者およびMYC遺伝子およびBCL2またはBCL6遺伝子(またはその両方)の再構成を伴う高悪性度B細胞リンパ腫患者で認められた。 ・ViPOR療法終了時、血中内腫瘍循環DNAが検出されなかった患者は33%であった。 ・フォローアップ期間中央値は40ヵ月、2年無増悪生存期間(PFS)は34%(95%信頼区間[CI]:21〜47)、全生存期間は36%(95%CI:23〜49)であった。  著者らは「ViPOR療法は、特定のDLBCLサブタイプ患者の持続的な寛解と関連していたが、可逆的な有害事象との関連も認められた」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Delimpasi S, et al. Am J Hematol. 2024 Jun 10. ▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38856176 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
未治療の日本人CLLに対するアカラブルチニブ+オビヌツズマブ〜第I相試験
未治療の日本人CLLに対するアカラブルチニブ+オビヌツズマブ〜第I相試験
公開日:2024年7月11日 Takizawa J, et al. Leuk Lymphoma. 2024 Jul 1. [Epub ahead of print]  新潟大学の瀧澤 淳氏らは、未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)の日本人患者を対象に、アカラブルチニブとオビヌツズマブ併用療法の安全性、薬物動態、薬力学、抗腫瘍活性を評価した多施設共同非盲検第I相試験パート3に焦点を当て、報告した。Leukemia & Lymphoma誌オンライン版2024年7月1日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者は、未治療の日本人CLL患者10例(年齢中央値:68歳)。 ・治療期間中央値は27.2ヵ月。 ・治療中に発生した有害事象(AE)は、すべての患者において認められ(グレード3以上:70%)、最も多かったAEは貧血および頭痛であった(各々、40%)。 ・グレード4の好中球減少症が1例で認められた(唯一の用量制限毒性)。 ・薬物動態の結果から、オビヌツズマブの併用は、アカラブルチニブに明らかな影響を及ぼさないことが示唆された。 ・薬力学評価では、併用療法により、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)占有率が98%以上になることが示唆された。 ・全奏効率は100%、奏効期間中央値と無増悪生存期間中央値は未達であった。  著者らは「アカラブルチニブとオビヌツズマブ併用療法は、未治療の日本人CLL患者において、概ね安全かつ有効な治療法であることが示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Takizawa J, et al. Leuk Lymphoma. 2024 Jul 1. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38952054 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
未治療CLLに対するベネトクラクス+オビヌツズマブ〜第III相CLL14試験の長期フォローアップ結果
未治療CLLに対するベネトクラクス+オビヌツズマブ〜第III相CLL14試験の長期フォローアップ結果
公開日:2024年8月1日 Al-Sawaf O, et al. Blood. 2024 Jul 10. [Epub ahead of print]  未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)に対するBCL-2阻害薬ベネトクラクス+抗CD20抗体薬オビヌツズマブ併用療法の有効性および安全性を評価した第III相試験CLL14試験の6年長期フォローアップ結果を、ドイツ・ケルン大学のOthman Al-Sawaf氏らが報告した。Blood誌オンライン版2024年7月10日号の報告。  CLL14試験では、未治療CLL患者を12サイクルのベネトクラクス+オビヌツズマブ群(216例)またはchlorambucil+オビヌツズマブ群(216例)に、ランダムに割り付けた。主要エンドポイントは、無増悪生存期間(PFS)とした。副次的エンドポイントは、次治療開始までの期間(TTNT)、微小残存病変(MRD)陰性率、全生存期間(OS)および有害事象発生率とした。QOL悪化までの期間に関する患者報告アウトカムについても分析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・観察期間中央値76.4ヵ月でのPFSでは、ベネトクラクス+オビヌツズマブ群(PFS中央値:76.2ヵ月)はchlorambucil+オビヌツズマブ群(PFS中央値:36.4ヵ月)よりも、継続的に良好であった(HR:0.40、95%CI:0.31〜0.52、p<0.0001)。 ・同様に、TTNTにおいても、ベネトクラクス+オビヌツズマブ群の方が延長された(6年TTNT:65.2% vs. 37.1%、HR:0.44、95%CI:0.33〜0.58、p<0.0001)。 ・ベネトクラクス+オビヌツズマブ群において、PFS短縮の独立したリスク因子として、17p欠失あり、免疫グロブリン重鎖可変部体細胞遺伝子変異(IGHV)変異なし、リンパ節サイズ5cm以上が特定された。 ・治療から5年後にMRD陰性(末梢血中10〜4未満)を示した患者は、ベネトクラクス+オビヌツズマブ群17例(ITT:7.9%)、chlorambucil+オビヌツズマブ群4例(ITT:1.9%)であった。 ・6年OSは、ベネトクラクス+オビヌツズマブ群78.7%、chlorambucil+オビヌツズマブ群69.2%であった(HR:0.69、95%CI:0.48〜1.01、p=0.052)。 ・ベネトクラクス+オビヌツズマブ群(中央値:82.1ヵ月)は、chlorambucil+オビヌツズマブ群(中央値:65.1ヵ月)と比較し、全体的な健康状態/QOLの悪化までの期間を有意に延長することが確認された(HR:0.70、95%CI:0.51〜0.97)。 ・フォローアップ調査で調整された1,000患者月当たりの二次原発性悪性腫瘍(SPM)の発生率は、ベネトクラクス+オビヌツズマブ群2.3、chlorambucil+オビヌツズマブ群1.4であった。  著者らは「未治療CLLに対する12サイクルのベネトクラクス+オビヌツズマブ併用療法は、持続的な長期生存、MRD陰性化、QOLの維持などにおいて、長期の有用性が示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Al-Sawaf O, et al. Blood. 2024 Jul 10. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39082668 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
低悪性度B細胞リンパ腫の再発例に対するオビヌツズマブ+レナリドミド併用療法〜第I/II相試験
低悪性度B細胞リンパ腫の再発例に対するオビヌツズマブ+レナリドミド併用療法〜第I/II相試験
公開日:2024年8月21日 Gurumurthi A, et al. EClinicalMedicine. 2024: 74: 102747.  リツキシマブ+レナリドミドは、再発の低悪性度B細胞非ホジキンリンパ腫に対する有用な選択肢の1つである。オビヌツズマブは、リツキシマブと比較し、抗体依存性細胞傷害や貪食作用に優れることから、レナリドミドとの併用薬として、有望な候補薬剤と考えられる。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのAshwath Gurumurthi氏らは、再発・難治性低悪性度B細胞非ホジキンリンパ腫における固定用量のオビヌツズマブと併用したレナリドミドの推奨用量を明らかにするため、第II相試験を実施した。EClinicalMedicine誌2024年7月27日号の報告。  テキサス大学MDアンダーソンがんセンターで再発・難治性のWHOグレード1〜3Aの濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫の患者(ECOG PS:0〜2)を対象に、単群非盲検第I/II相試験を実施した。アグレッシブリンパ腫への進行が確認された患者は除外した。フェーズIでは、レナリドミド20mgをフェーズIIの推奨用量とするため、3+3ドーズエスカレーションデザインにより、オビヌツズマブ1,000mg静脈内投与と3つの定義済みレベルのレナリドミド経口を併用した。フェーズIIでは、導入療法として28日サイクルのオビヌツズマブ1,000mg+レナリドミド20mgを6サイクル行った。リツキシマブ+レナリドミド治療によるこれまでの経験に従い、併用療法に治療反応が認められた場合には、最大6サイクル(計12サイクル)の併用療法を行った。治療反応が認められたすべての患者に対し、6サイクル後も2ヵ月毎にオビヌツズマブ投与を継続し、最大30ヵ月継続した。6サイクル以上の併用療法の回数については、治験責任医師の判断に委ね、曝露を最小限としながらも治療反応を最大化するための個別化治療を可能とした。共同主要目的は、安全性および全奏効(OS)の評価とした。OSの定義は、再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫において、導入療法終了時の完全奏効(CR)または部分奏効(PR)を達成した患者の割合とした(Chesoらの2007年基準)。副次的エンドポイントは、導入療法後のCR、無増悪期間(TTP)、無増悪生存期間(PFS)、OSを含むイベント発生までの期間とした。解析は、いずれかの治療を1回以上行ったすべての患者を対象に、有効性(ITT)および安全性(各治療群)を評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・2014年6月3日〜2019年3月7日に66例(フェーズI:9例、フェーズII:57例)が登録された。 ・すべての患者について安全性評価を実施し、フェーズII推奨用量であるレナリドミド20mgで治療された患者60例は、有効性評価可能であった。 ・グレード3〜4の血液毒性は、好中球減少21%(66例中14例)、血小板減少11%(66例中7例)であり、発熱性好中球減少は認められなかった。 ・グレード3〜4の非血液毒性は、肺感染症8%(66例中5例)、疲労8%(66例中5例)、発疹6%(66例中4例)であった。 ・導入療法終了時のOS達成率は90%(60例中54例、95%CI:79〜96)、事前に指定した有効性エンドポイントを満たしていた。 ・導入療法終了時のCRは33%(60例中20例、95%CI:22〜47)であった。 ・フォローアップ期間中央値41.7ヵ月において、PFS、TTP、OSは中央値に達しなかった。 ・推定4年PFSは55%(95%CI:42〜73)、TTPは56%(95%CI:43〜74)、OSは84%(95%CI:74〜95)であった。  著者らは「再発・難治性の低悪性度B細胞非ホジキンリンパ腫に対し、オビヌツズマブ+レナリドミドの併用は、安全かつ有効であり、奏効期間の延長に寄与することが示唆された。本研究は、対照群を採用していないため評価に制限があることを踏まえ、今後はリツキシマブ+レナリドミドと比較したランダム化試験が求められる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Gurumurthi A, et al. EClinicalMedicine. 2024: 74: 102747.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39161543 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
オビヌツズマブはリツキシマブよりCOVID-19重症化リスクが本当に高いのか〜アジア人対象研究
オビヌツズマブはリツキシマブよりCOVID-19重症化リスクが本当に高いのか〜アジア人対象研究
公開日:2024年9月10日 Shu W, et al. Virol J. 2024; 21: 212.  抗CD20モノクローナル抗体で治療を行った患者では、COVID-19による有害アウトカムリスクが上昇する可能性がある。新規抗CD20モノクローナル抗体であるオビヌツズマブは、リツキシマブと比較し、B細胞減少効果が高く、in vitroでの優れた有効性が示されている。中国・Ningbo Medical Center Li Huili HospitalのWenxiu Shu氏らは、オビヌツズマブがリツキシマブよりもCOVID-19によるアウトカムを悪化させるかを評価するため、レトロスペクティブ単施設コホート研究を実施した。Virology Journal誌2024年9月9日号の報告。  対象は、2022年にNingbo Medical Center Li Huili Hospital に入院し、抗CD20モノクローナル抗体による治療を行ったB細胞リンパ腫患者124例(リツキシマブ群:106例、オビヌツズマブ群:18例)。COVID-19による有害アウトカムを、両群間で比較した。 主な結果は以下のとおり。 ・リツキシマブ群の86.8%はアグレッシブリンパ腫であったのに対し、オビヌツズマブ群の多くはインドレントリンパ腫であった。 ・リツキシマブ群の57.5%、オビヌツズマブ群の88.9%は、COVID-19波の3ヵ月以内に抗CD20モノクローナル抗体治療が行われており、オビヌツズマブ群ではリツキシマブ群よりもベンダムスチンを投与した患者の割合が高かった(22.2% vs. 4.7%、p=0.031)。 ・COVID-19による主な有害アウトカムの比較は次のとおりであり、オビヌツズマブ群はリツキシマブ群よりも高リスクであったが、COVID-19関連死亡率に有意な差は認められなかった。 【入院した患者の割合】55.6% vs. 20.8%(p=0.005) 【SARS-CoV-2の長期感染した患者の割合】38.9% vs. 2.9%(p<0.001) 【重度のCOVID-19を発症した患者の割合】33.3% vs. 4.7%(p<0.001) ・ベンダムスチンの影響を排除するため、ベンダムスチンを使用しなかった患者を対象としたサブグループ解析においても、依然としてオビヌツズマブ群(14例)はリツキシマブ群(101例)よりも高リスクであった。 【入院した患者の割合】50.0% vs. 19.8%(p=0.031) 【SARS-CoV-2の長期感染した患者の割合】28.6% vs. 2.0%(p=0.002) 【重度のCOVID-19を発症した患者の割合】21.4% vs. 4.0%(p=0.038) ・多変量解析の結果では、オビヌツズマブ治療は、SARS-CoV-2感染の長期化(OR:27.05、95%CI:3.75〜195.22、p=0.001)、重症COVID-19の発生率上昇(OR:15.07、95%CI:2.58〜91.72、p=0.003)との関連が示唆された。  著者らは「オビヌツズマブ群は、リツキシマブ群よりもSARS-CoV-2感染の長期化および重症COVID-19のリスクが高いことが示唆された。本研究は、アジア人集団におけるオビヌツズマブとリツキシマブを投与された患者のCOVID-19のアウトカムを比較した最初の研究である」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Shu W, et al. Virol J. 2024; 21: 212.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39252096 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
Richter形質転換DLBCLに対する抗PD-L1抗体アテゾリズマブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブ/Lancet Oncol
Richter形質転換DLBCLに対する抗PD-L1抗体アテゾリズマブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブ/Lancet Oncol
公開日:2024年9月20日 Tedeschi A, et al. Lancet Oncol. 2024 Sep 10. [Epub ahead of print]  Richter形質転換びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、通常、化学療法に抵抗性を示し、予後不良である。イタリア・Niguarda Cancer CenterのAlessandra Tedeschi氏らは、抗腫瘍免疫反応をターゲットとした化学療法なしでの治療レジメンを開発することを目的とし、Richter形質転換DLBCLに対する抗PD-L1抗体アテゾリズマブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブ併用療法の第II相試験を実施した。The Lancet. Oncology誌オンライン版2024年9月10日号の報告。  本第II相試験は、イタリアおよびスイスの15施設において、プロスペクティブ非盲検多施設単群医師主導試験として実施した。対象患者は、IWCLL2008基準に従い、慢性リンパ性白血病(CLL)または小リンパ球性リンパ腫(SLL)と診断され、生検でDLBCLへの形質転換が認められた18歳以上の患者で、CLL治療を実施した可能性はあるが、Richter形質転換DLBCLに対する治療は未実施、ECOGのPSが0〜2であり、過去にアテゾリズマブ、ベネトクラクス、オビヌツズマブのいずれも未使用の患者。患者には、オビヌツズマブ静脈内投与(1サイクル目:day1 100mg、day2 900mg、day8・day15 1,000mg、2〜8サイクル目:day1 1,000mg)、アテゾリズマブ静脈内投与(1サイクル目:day2 1,200mg、2〜18サイクル目:day1 1,200mg)、ベネトクラクス経口投与(CLLの投与スケジュールに従い、1サイクル目:day15 20mg/日から増量し、3〜35サイクルのday21まで400mg/日)を行った。主要エンドポイントは、ITTにおける6サイクル目day21時の全奏効(OR)率とした。OR率が67%以上の場合、臨床的に有効であるとみなし、奏効率が40%以下の場合、帰無仮説を棄却とみなした。 主な結果は以下のとおり。 ・2019年10月9日〜2022年10月19日に、28例(男性:12例[43%]、女性:16例[57%])が登録された。 ・フォローアップ期間中央値は16.8ヵ月(IQR:7.8〜32.0)。 ・6サイクル目に28例中19例で奏効がみられ、OR率は67.9%(95%CI:47.6〜84.1)であった。 ・グレード3以上の治療関連有害事象は、28例中17例(61%、95%CI:40.6〜78.5)で認められ、好中球減少の報告が最も多かった(28例中11例、39%、95%CI:21.5〜59.4)。 ・治療中に発生した重篤な有害事象は8例(29%、95%CI:14.2〜48.7)、感染症が最も多かった(28例中5例、18%、95%CI:6.1〜36.9)。 ・有害事象による死亡例は2例(7%)、その内訳は敗血症1例、真菌性肺炎1例であり、いずれも治療との直接的な関連性は低いと考えられた。 ・免疫関連有害事象は、6例(21.4%)で認められたが、いずれも治療中止には至らなかった。 ・腫瘍崩壊症候群は、認められなかった。  著者らは「Richter形質転換DLBCLに対するアテゾリズマブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブの3剤併用は、有効かつ安全であることが示唆されており、本レジメンが、Richter形質転換DLBCLに対する新たな第1選択治療アプローチとなりうる可能性がある」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Tedeschi A, et al. Lancet Oncol. 2024 Sep 10. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39270702 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
コロナ時代のFL治療、オビヌツズマブを恐れる必要があるのか
コロナ時代のFL治療、オビヌツズマブを恐れる必要があるのか
公開日:2024年10月2日 Choy J, et al. Br J Haematol. 2024 Sep 27. [Epub ahead of print]  2020年のCOVID-19パンデミック以来、2023年までに世界の感染者は7億7,200万人以上、死者数は約700万人にものぼるといわれている。血液悪性腫瘍患者におけるCOVID-19のアウトカムを評価した研究、大規模メタ解析などが、数多く実施された。中でも、イタリアで行われたURBAN研究は、未治療の進行期濾胞性リンパ腫(FL)患者におけるオビヌツズマブベースの化学療法および維持療法の有効性および安全性を評価した多施設共同観察研究であり、対象患者の組織学的診断が均一であり、治療も比較的均一な研究である。オーストラリア・Sir Charles Gairdner HospitalのJoleen Choy氏らは、URBAN研究でオビヌツズマブベースの化学療法および維持療法を行った未治療の進行期FL患者299例におけるCOVID-19アウトカムを評価するため、URBAN研究サブ解析を実施し、その結果を報告した。British Journal of Haematology誌オンライン版2024年9月27日号の報告。  本研究は、2019年9月より登録を開始し、2022年1月までのデータを分析したものである。 主な結果は以下のとおり。 ・URBAN研究では、主治医の治療選択により、第一選択治療として、オビヌツズマブとの併用によるベンダムスチン(142例、47.5%)、CHOP療法(139例、46.5%)、CVP療法(18例、6%) が行われた。 ・これまでの研究とは対照的に、オビヌツズマブ+ベンダムスチンによる治療を行った患者とCHOP療法またはCVP療法による導入療法を行った患者では、COVID-19、入院、死亡の発生率に統計的に有意な差は認められなかった。 ・同様に、オビヌツズマブ維持療法を開始した患者(266例、88.9%)と開始しなかった患者との間で、COVID-19の発生率に統計的に有意な差は認められなかった。 ・データカットオフ時点で維持療法を完了した患者は少数(10.4%)であった。 ・オビヌツズマブ維持療法を完了した患者と行わなかった患者では、COVID-19による入院率(37.5% vs. 50%、p=0.888)および死亡率(0% vs. 25%、p=0.394)に差は認められなかった。 ・多数の患者(65%)は、維持療法完了前にレジメン変更が行われており、パンデミックに影響された可能性が示唆された。 ・レジメン変更により、ワクチン接種の有効性およびCOVID-19からの回復がより促進された可能性があるものの、詳細な情報は入手できず、不明なままである。 ・本サブ解析は、治療の有効性を評価するために設計されたものではないが、導入療法終了時の有効性は64.6%(193例)、全奏効(OR)は90.7%であり、パンデミック前のランダム化試験(GALLIUM試験)においてオビヌツズマブで治療を行なった患者と同等であった。 ・無増悪生存期間(PFS)またはPOD24イベントに関するデータは入手できず、治療の遅延または変更が治療結果に及ぼす影響は不明である。 ・COVID-19の全体的な発生率は16.1%(48例)であり、より感染力の高いオミクロン変異体が優勢だったパンデミック後期(2021年11月以降)の予測値よりも低かった。 ・ワクチン接種が利用可能になる前の第1波の登録患者数が少なかったため、この研究ではCOVID-19の有害事象の軽減に対するワクチン接種の有効性が過小評価されている可能性が示唆された。  結果を踏まえ、著者らは「ワクチン接種を行った未治療の進行期FL患者に対するオビヌツズマブによる治療は、COVID-19の臨床アウトカムへの影響が少ないと考えられる」としている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Choy J, et al. Br J Haematol. 2024 Sep 27. [Epub ahead of print]▶https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/39331693 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
CLLの第1選択治療、30レジメンを比較〜ネットワークメタ解析
CLLの第1選択治療、30レジメンを比較〜ネットワークメタ解析
公開日:2024年10月18日 Wen T, et al. J Natl Cancer Inst. 2024 Oct 11. [Epub ahead of print]  慢性リンパ性白血病(CLL)の治療戦略は、化学療法や免疫化学療法からchemo-freeレジメン時代に移行した。さまざまな治療法による直接的および間接的な比較は、頻度論的ネットワークメタ分析により可能となった。天津医科大学腫瘤医院のTingyu Wen氏らは、CLLの第1選択治療に関するネットワークメタ解析を実施した。Journal of the National Cancer Institute誌オンライン版2024年10月11日号の報告。  対象は、CLLに対する第1選択治療を評価したランダム化比較試験。アウトカムは、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、検出可能な微小残存病変(MRD)、客観的奏効率、有害事象とした。類似特性を有する研究についても、年齢、併存疾患、免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子(IGHV)変異、細胞遺伝学的異常により層別化を行い、サブグループ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・30研究(1万2,818例)が適格基準を満たし、30種類の治療法を分析対象に含めた。 【有効性】 ・アカラブルチニブは、65歳以上またはIGHV変異なしの患者において、イブルチニブおよびオビヌツズマブ+ベネトクラクスよりもPFSが優れていることが示唆された。 ・併存疾患を有する若年患者では、アカラブルチニブ+オビヌツズマブは、イブルチニブ+オビヌツズマブ、イブルチニブ+ベネトクラクス、オビヌツズマブ+ベネトクラクスよりも優れたPFSが認められた。 ・併存疾患を有する高齢者では、アカラブルチニブ、アカラブルチニブ+オビヌツズマブは、オビヌツズマブ+ベネトクラクスと比較し、いずれも有意な差は認められなかった。 ・併存疾患のない患者では、MRDに基づくイブルチニブ+ベネトクラクスが、オビヌツズマブ+ベネトクラクスよりも有用であった。 ・IGHV変異ありまたはdel(17p)/TP53変異ありの患者では、イブルチニブ+オビヌツズマブは、オビヌツズマブ+ベネトクラクスよりも、PFSの延長が認められた。 【安全性】 ・イブルチニブ+ベネトクラクス、イブルチニブ+オビヌツズマブは、オビヌツズマブ+ベネトクラクスよりも、好中球減少リスクが低かった。 ・イブルチニブ+ベネトクラクスは、アカラブルチニブ、アカラブルチニブ+オビヌツズマブよりも、感染症リスクが低かった。 ・アカラブルチニブ+オビヌツズマブは、イブルチニブ+ベネトクラクスよりも下痢が少なかったが、イブルチニブ+オビヌツズマブ、オビヌツズマブ+ベネトクラクスよりも頭痛が多かった。 ・オビヌツズマブ+ベネトクラクスは、イブルチニブ+オビヌツズマブよりも高血圧が少なかった。 ・イブルチニブ+ベネトクラクスは、アカラブルチニブ+オビヌツズマブよりも関節痛が少なかった。 ・二次性悪性腫瘍のいずれのグレードにおいても、イブルチニブ+ベネトクラクス、オビヌツズマブ+ベネトクラクスは、アカラブルチニブ+オビヌツズマブより低かった。  著者らは「本研究は、年齢、併存疾患、IGHV変異、細胞遺伝学的異常に基づいてカスタマイズされたchemo-freeレジメンの選択、さまざまな奏効スペクトラムを考慮した治療アウトカムの最適化に役立つであろう」としている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Wen T, et al. J Natl Cancer Inst. 2024 Oct 11. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39392788 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら