「アカラブルチニブ(カルケンス)」の記事一覧

再発CLLに対するアカラブルチニブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブ療法〜CLL2-BAAG試験の最終分析
再発CLLに対するアカラブルチニブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブ療法〜CLL2-BAAG試験の最終分析
公開日:2024年5月14日 Furstenau M, et al. Blood. 2024 Apr 15. [Epub ahead of print]  再発または難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)患者を対象とした第II相CLL2-BAAG試験では、ベンダムスチン減量オプション後のアカラブルチニブ、ベネトクラクス、オビヌツズマブの3剤併用療法による微小残像病変(MRD)の変化が調査された。ドイツ・ケルン大学のMoritz Furstenau氏らは、CLL2-BAAG試験の最終的な有効性および循環腫瘍DNA(ctDNA)解析結果の報告を行った。Blood誌オンライン版2024年4月15日号の報告。  対象は再発または難治性CLL患者45例(除外基準に違反したため、解析からは1例除外)。MRDは末梢血中のフローサイトメトリー(FCM)を用いて測定し(検出可能なMRD<10-4)、循環腫瘍DNA(ctDNA)は、血漿中のVDJ遺伝子再構成およびCLL関連変異のデジタルPCR(ddPCR)により測定した。MRD再発の定義は、MRD陰性/ctDNA陰性を達成したのち、ctDNA陽性および/またはMRD≧10-4の場合と定義した。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者における過去の治療回数の中央値は1回(範囲:1〜4)、18例(40%)は本試験前にBTK阻害薬および/またはベネトクラクスによる治療を行なっていた。14例(31.8%)はTP 53遺伝子の異常が見られ、34例(75.6%)はIGHV変異なしであった。 ・フォローアップ期間は36.3ヵ月(中央値)、治療中止までの期間は21.9ヵ月(中央値)であった。 ・末梢血におけるMRD陰性は、全体として45例中42例(93.3%)で達成された。BTK阻害薬/ベネトクラクスの治療歴を有する患者では18例中17例(94.4%)、TP53遺伝子異常が認められる患者では14例中13例(92.9%)において、MRD陰性が達成された。 ・3年間の無増悪生存期間は85.0%、全生存率は93.8%であった。 ・全体でFCM /ctDNAサンプル585件を分析したところ、治療終了後のMRD再発は18件で認められた(臨床的進行あり:5件、臨床的進行なし:13件)。最初にctDNAで検出された検体は12件、FCMが3件、同時に検出された検体は3件であった。 ・ctDNAにより早期に検出された患者は、遺伝的リスクが高い特徴を有しているようであった。  著者らは「本試験では、再発または難治性のCLL患者に対するアカラブルチニブ+ベネトクラクス+オビヌツズマブ療法は、MRD陰性において多くの患者で寛解を達成することが可能であった。MRDの評価では、FCMにctDNAを追加することで、再発の早期発見の向上が期待できる」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Furstenau M, et al. Blood. 2024 Apr 15. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38620072 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
未治療MCLに対するアカラブルチニブ+ベネトクラクス+リツキシマブの2年間の安全性および有効性
未治療MCLに対するアカラブルチニブ+ベネトクラクス+リツキシマブの2年間の安全性および有効性
公開日:2024年5月31日 Wang ML, et al. Blood Adv. 2024 May 23. [Epub ahead of print]  米国・テキサス大学のMichael L. Wang氏らは、未治療のマントル細胞リンパ腫(MCL)に対するアカラブルチニブ+ベネトクラクス+リツキシマブの安全性および有効性を評価するため、第Ib相試験を実施した。Blood Advances誌オンライン版2024年5月23日号の報告。  疾患の進行または毒性が発現するまで、アカラブルチニブ(1〜24サイクル)、リツキシマブ(1〜6サイクル+24サイクルまで隔サイクル)、ベネトクラクス(2〜24サイクル)を投与した。 主な結果は以下のとおり。 ・21例が登録された。6サイクルが完了した患者は95.2%、アカラブルチニブによる維持療法を継続した患者は47.6%であった。 ・グレード3、4の有害事象は61.9%(13例)に見られた。最も多い有害事象は好中球減少症(33.3%)であった。 ・COVID-19感染患者は7例(33.3%)であった(重篤な有害事象:6例、死亡:5例、すべてワクチン未接種)。 ・グレード3以上の心房細動、心室頻拍、出血、腫瘍崩壊症候群は見られなかった。 ・Lugano基準に基づく全奏効率(ORR)は100%(95%CI:83.9〜100.0)、完全奏功率(CR)は71.4%であった。 ・フォローアップ期間中央値は27.8ヵ月、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)は、中央値に到達しなかった。 ・1年PFSは90.5%(95%CI:67.0〜97.5)、2年PFSは63.2%(95%CI:34.7〜82.0)であった。COVID-19による死亡を除外すると、いずれも95%であった。 ・1年OSは95.2%(95%CI:70.7〜99.3)、2年OSは75.2%(95%CI:50.3〜88.9)であった。COVID-19による死亡を除外すると、いずれも100%であった。 ・全体として、微小残存病変(MRD)を有する患者の87.5%が、治療中にMRD陰性(次世代シーケンス:10-6)を達成した。  著者らは「アカラブルチニブ+ベネトクラクス+リツキシマブは、未治療MCLに対するケモフリーレジメンであり、高いORRおよびMRD陰性率が期待できる治療である」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Wang ML, et al. Blood Adv. 2024 May 23. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38781315 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
再発・難治性CLLに対するアカラブルチニブの有効性・安全性〜メタ解析
再発・難治性CLLに対するアカラブルチニブの有効性・安全性〜メタ解析
公開日:2024年6月5日 Park D, et al. J Chemother. 2024 May 27. [Epub ahead of print]  ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬イブルチニブが承認されたことにより、慢性リンパ性白血病(CLL)に対する効果的な標的療法が実現可能となった。しかし、一部の患者では、副作用プロファイルが問題となっていた。アカラブルチニブは、不可逆的な次世代BKT阻害薬であり、イブルチニブよりもより選択的にBTKに共有結合することで作用を発現する薬剤である。新規BTK阻害薬の開発により、その有効性や副作用をより深い理解に繋がり、臨床医と患者の共同意思決定(SDM)に役立つ可能性がある。米国・カリフォルニア大学のDaniel Park氏らは、再発・難治性CLLに対するアカラブルチニブの有効性・安全性を評価するため、メタ解析を実施した。Journal of Chemotherapy誌オンライン版2024年5月27日号の報告。  PICOSモデルとPRISMAガイドラインを用いて、検索を実施した。アカラブルチニブ、アカラブルチニブ単剤療法、チロシンキナーゼ阻害薬、再発・難治性CLLをキーワードとし、PubMeb、Embase、Cochrane Libraryデータベースより検索した。文献レビュー後、12件の研究をメタ解析に含めた。メタ解析およびフォローアップメタ回帰モデルを行った。 主な結果は以下のとおり。 ・全奏効率(ORR):82%(95%CI:74〜90、I2=84.14%、p<0.01) ・完全奏効率(CR):4%(95%CI:2〜6、I2=0.00%、p=0.99) ・死亡率:12%(95%CI:6〜19、I2=87.23%、p<0.01) ・副作用による死亡率:7%(95%CI:3〜10、I2=67.67%、p=0.01) ・肺炎による死亡率:2%(95%CI:1〜3、I2=0.00%、p=0.43) ・CLL進行による死亡率:4%(95%CI:2〜6、I2=61.03%、p=0.04) ・好中球減少症(グレード3以上):18%(95%CI:15〜20、I2=0.00%、p=0.70) ・血小板減少症(グレード3以上):7%(95%CI:4〜11、I2=54%、p=0.09) ・貧血(グレード3以上):9%(95%CI:6〜12、I2=36.93%、p=0.18) ・肺炎(グレード3以上):10%(95%CI:6〜14、I2=66.37%、p=0.02) ・心房細動:7%(95%CI:3〜11、I2=80.13%、p=0.00)  著者らは「再発・難治性CLLに対するアカラブルチニブ、有効性および許容可能な副作用を有する治療薬である」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Park D, et al. J Chemother. 2024 May 27. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38803142 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
未治療の日本人CLLに対するアカラブルチニブ+オビヌツズマブ〜第I相試験
未治療の日本人CLLに対するアカラブルチニブ+オビヌツズマブ〜第I相試験
公開日:2024年7月11日 Takizawa J, et al. Leuk Lymphoma. 2024 Jul 1. [Epub ahead of print]  新潟大学の瀧澤 淳氏らは、未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)の日本人患者を対象に、アカラブルチニブとオビヌツズマブ併用療法の安全性、薬物動態、薬力学、抗腫瘍活性を評価した多施設共同非盲検第I相試験パート3に焦点を当て、報告した。Leukemia & Lymphoma誌オンライン版2024年7月1日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者は、未治療の日本人CLL患者10例(年齢中央値:68歳)。 ・治療期間中央値は27.2ヵ月。 ・治療中に発生した有害事象(AE)は、すべての患者において認められ(グレード3以上:70%)、最も多かったAEは貧血および頭痛であった(各々、40%)。 ・グレード4の好中球減少症が1例で認められた(唯一の用量制限毒性)。 ・薬物動態の結果から、オビヌツズマブの併用は、アカラブルチニブに明らかな影響を及ぼさないことが示唆された。 ・薬力学評価では、併用療法により、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)占有率が98%以上になることが示唆された。 ・全奏効率は100%、奏効期間中央値と無増悪生存期間中央値は未達であった。  著者らは「アカラブルチニブとオビヌツズマブ併用療法は、未治療の日本人CLL患者において、概ね安全かつ有効な治療法であることが示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Takizawa J, et al. Leuk Lymphoma. 2024 Jul 1. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38952054 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら