悪性リンパ腫患者のHRQoLはどの程度悪化しているのか〜REALYSAコホート
DLBCL

悪性リンパ腫患者のHRQoLはどの程度悪化しているのか〜REALYSAコホート

公開日:2024年7月17日

Anota A, et al. Eur J Cancer. 2024 Jul 4. [Epub ahead of print]
 近年、悪性リンパ腫の治療は、著しく進歩を遂げている。そのため、悪性リンパ腫患者の健康関連QOL(HRQoL)の評価は、臨床研究や日常診療において重要なポイントとなっている。しかし、診断時における悪性リンパ腫特有のHRQoLプロファイルに関するデータは、十分ではない。フランス・Centre Leon BerardのAmelie Anota氏らは、フランスのプロスペクティブ非介入多施設コホートであるREALYSAコホートの登録患者を対象に、新規悪性リンパ腫患者における診断時のHRQoLの評価を行った。European Journal of Cancer誌オンライン版2024年7月4日号の報告。
 対象は、REALYSAコホートに含まれる成人悪性リンパ腫患者3,922例。高悪性度非ホジキンリンパ腫(NHL-HG)患者1,994例、低悪性度非ホジキンリンパ腫(NHL-LG)患者1,053例、ホジキンリンパ腫(HL)患者875例の診断時のHRQoLを評価した。疾患特有のHRQoLを評価するため、3つの検証済みEORTC質問票をそれぞれ用いた(NHL-HG:QLQ-NHL-HG29、NHL-LG:QLQ-NHL-LG20、HL:QLQ-HL27)。
主な結果は以下のとおり。
・本コホートにおける質問票の完了率は高く、QLQ-HG29の84%からQLQ-HL27の88%にまで達していた。 ・全般的な健康状態が悪化している患者の割合は、T細胞リンパ腫67%、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)62%、バーキットリンパ腫61%、HL 53%、辺縁帯リンパ腫49%、マントル細胞リンパ腫48%、濾胞性リンパ腫(FL)47%であった。 ・DLBCL、FL、HLの多変量回帰分析では、性別、PS、B症状がすべてのHRQoLと独立して関連していることが示唆された。ただし、各サブタイプ間で、年齢とステージによるさまざまな影響が観察された。
 著者らは「本研究により、各悪性リンパ腫患者の診断時におけるHRQoLプロファイルが明らかとなった。本研究で使用した最近検証されたEORTC質問票は、今後の研究でHRQoL結果の解釈を促進する上で役立つであろう」としている。


(エクスメディオ 鷹野 敦夫)

原著論文はこちら Anota A, et al. Eur J Cancer. 2024 Jul 4. [Epub ahead of print]
https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39002346

※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら

ヒポクラは会員登録すると便利に!

約7万人の医師が会員登録。ヒポクラへの相談や論文の日本語での検索、勉強会情報などの診療に役立つサービスが全て無料で利用できるようになります。

01知見共有

約7万人が参加する医師限定の相談所。たくさんの相談症例・アドバイスを見ることで、全国の先生の臨床経験を効率的に学べます。

02専門医コンサルト

皮膚悪性腫瘍以外にも、皮膚科・眼科・心不全、心電図・肺などの専門医に1対1のクローズドな環境で相談できます。

03論文検索

PubMedを日本語検索できます。また検索結果のアブストラクトも和訳して表示するため、論文検索の時短に繋がります。

04勉強会まとめ

Web上に公開されている勉強会情報を、診療科別にお届け。「興味あり」を選択した勉強会は、開催前にリマインドメールが届くため見逃しを防ぎ、情報収集を1本化できます。

ヒポクラに会員登録する

「血液内科 Journal Check」記事一覧へ戻る