CAR-T細胞療法により再発・難治性LBCLの予後は変化したか
DLBCL

CAR-T細胞療法により再発・難治性LBCLの予後は変化したか

公開日:2024年7月5日

Yagi Y, et al. J Clin Exp Hematop. 2024; 64: 107-118.
 初回化学療法に奏効しないまたは早期再発の再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)患者のアウトカムは不良である。3rdライン以降でのCAR-T細胞療法に関する有効性は報告されているが、これらのアウトカムが、3rdラインCAR-T細胞療法で一貫しているかは、よくわかっていない。東京・都立駒込病院の八木 悠氏らは、再発・難治性LBCL患者107例を対象に、レトロスペクティブに解析を行い、その結果を報告した。Journal of Clinical and Experimental Hematopathology誌2024年号の報告。
主な結果は以下のとおり。
・初回化学療法後12ヵ月以上経過したのち再発した患者(後期再発群:25例)では、難治性または12ヵ月以内の早期再発患者(早期再発群:82例)よりも、全生存期間(OS)が有意に延長された(OS中央値:未達 vs. 18.4ヵ月、p<0.001)。 ・自家造血幹細胞移植(auto-HSCT)を行なった患者のうち、後期再発群は、早期再発群よりも無イベント生存期間(EFS)が有意に延長された(EFS中央値:26.9ヵ月 vs. 3.1ヵ月、p=0.012)。 ・CAR-T細胞療法を行った患者では、EFSに統計学的に有意な差が認められなかった(EFS中央値:未達 vs. 11.8ヵ月、p=0.091)。 ・制限付き三次スプラインCox回帰モデルでは、再発のタイミングは、auto-HSCT患者のEFSに有意な影響を及ぼしたが、CAR-T細胞療法患者では影響を及ぼさないことが示唆された。 ・CAR-T細胞療法が予定されていた患者のうち、後期再発患者は早期再発患者よりも、CAR-T細胞療法を行える可能性が有意に高かった(90% vs. 57%、p=0.008)。
 著者らは「3rdライン以降でのCAR-T細胞療法が承認された後でも、早期再発患者におけるアウトカムは不良であった」としている。


(エクスメディオ 鷹野 敦夫)

原著論文はこちら Yagi Y, et al. J Clin Exp Hematop. 2024; 64: 107-118.
https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38925972

※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら

ヒポクラは会員登録すると便利に!

約7万人の医師が会員登録。ヒポクラへの相談や論文の日本語での検索、勉強会情報などの診療に役立つサービスが全て無料で利用できるようになります。

01知見共有

約7万人が参加する医師限定の相談所。たくさんの相談症例・アドバイスを見ることで、全国の先生の臨床経験を効率的に学べます。

02専門医コンサルト

皮膚悪性腫瘍以外にも、皮膚科・眼科・心不全、心電図・肺などの専門医に1対1のクローズドな環境で相談できます。

03論文検索

PubMedを日本語検索できます。また検索結果のアブストラクトも和訳して表示するため、論文検索の時短に繋がります。

04勉強会まとめ

Web上に公開されている勉強会情報を、診療科別にお届け。「興味あり」を選択した勉強会は、開催前にリマインドメールが届くため見逃しを防ぎ、情報収集を1本化できます。

ヒポクラに会員登録する

「血液内科 Journal Check」記事一覧へ戻る