「小リンパ球性リンパ腫(SLL)」の記事一覧

BTK阻害薬不耐容のB細胞性腫瘍に対するピルトブルチニブの有用性〜第I/II相BRUIN試験
BTK阻害薬不耐容のB細胞性腫瘍に対するピルトブルチニブの有用性〜第I/II相BRUIN試験
公開日:2024年10月7日 Shah NN, et al. Haematologica. 2024 Oct 3. [Epub ahead of print]  ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬は、B細胞性腫瘍の治療を一変させたが、いまだ不耐容により中止されるケースも少なくない。米国・ウィスコンシン医科大学のNirav N. Shah氏らは、再発・難治性B細胞性腫瘍患者を対象に、可逆的非共有結合型BTK阻害薬ピルトブルチニブを評価した第I/II相BRUIN試験から、BTK阻害薬に不耐容を示した患者の解析を行った。Haematologica誌オンライン版2024年10月3日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・対象は、病勢進行がなく、1回以上のBTK阻害薬不耐容を示した患者127例。 ・BTK阻害薬中止につながる最も多い有害事象は、心臓関連疾患(40例、31.5%)であり、とくに心房細動(30例、23.6%)が多かった。 ・フォローアップ期間中央値は17.4ヵ月、ピルトブルチニブ投与期間中央値は15.3ヵ月。 ・ピルトブルチニブ投与中止の最も多い理由は、病勢進行(26.8%)、有害事象(10.2%)、死亡(5.5%)であった。 ・治療中に最も多く発現した有害事象は、疲労(39.4%)、好中球減少(37.0%)であった。 ・心臓関連の問題のためBTK阻害薬の中止歴を有する患者のうち、75%では心臓関連有害事象の再発が認められなかった。 ・過去にBTK阻害薬中止に至った有害事象と同じ有害事象により、ピルトブルチニブ中止に至った患者はいなかった。 ・ピルトブルチニブの奏効率(ORR)は、過去にBTK阻害薬不耐容であった慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)患者78例で76.9%、マントル細胞リンパ腫(MCL)患者21例で81.0%であった。 ・無増悪生存期間(PFS)中央値は、CLL/SLLで28.4ヵ月、MCLでは推定不能であった。  著者らは「過去にBTK阻害薬不耐容であった患者に対するピルトブルチニブ治療は、安全性が良好で、忍容性が高く、有効な治療選択肢であることが示唆された」としている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Shah NN, et al. Haematologica. 2024 Oct 3. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39363864 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
ザヌブルチニブはベストインクラスのBTK阻害薬なのか?〜SEQUOIA試験フォローアップ結果
ザヌブルチニブはベストインクラスのBTK阻害薬なのか?〜SEQUOIA試験フォローアップ結果
公開日:2024年12月25日 Shadman M, et al. J Clin Oncol. 2024 Dec 8. [Epub ahead of print]  臨床試験では、時期の異なる複数のエンドポイントを含めることが少なくない。通常、主要エンドポイントに基づく最初の報告では、計画されている一部の主要な分析または副次的評価が行われないまま、公開されることがある。そのため、臨床試験の最新情報アップデートは、既に主要エンドポイントが報告されている研究においても、新たな知見を得る機会となりうる。米国・フレッド・ハッチンソンがんセンターのMazyar Shadman氏らは、未治療の慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)患者を対象に、経口ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬であるザヌブルチニブとベンダムスチン+リツキシマブ(BR療法)を比較した第III相ランダム化オープンラベル試験であるSEQUOIA試験の長期フォローアップ結果を報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2024年12月8日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・フォローアップ期間中央値26.2ヵ月の事前に指定された解析結果とその後43.7ヵ月までフォローアップを行った解析結果では、BR療法群と比較し、ザヌブルチニブ群の方が、主要エンドポイントである無増悪生存期間(PFS)が良好であることが示唆された。 ・フォローアップ期間中央値61.2ヵ月におけるPFS中央値は、ザヌブルチニブ群で未達、BR療法群で44.1ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.29、片側p=0.0001)。 ・免疫グロブリン重鎖可変部体細胞遺伝子変異(IGHV)の変異あり(HR:0.40、片側p=0.0003)および変異なし(HR:0.21、95%CI:0.14〜0.33、片側p<0.0001)のいずれにおいても、BR療法群と比較し、ザヌブルチニブ群でPFSの延長が認められた。 ・両群ともに全生存期間(OS)は、中央値に達しなかったが、60ヵ月の推定OSは、ザヌブルチニブ群で85.8%、BR療法群85.0%であった。 ・新たな安全性シグナルは検出されなかった。 ・ザヌブルチニブ群の有害事象は、想定の範囲内であり、心房細動の発生率は7.1%であった。  著者らは「SEQUOIA試験の長期フォローアップ(期間中央値:61.2ヵ月)において、最初に報告されたザヌブルチニブの有用性が裏付けられた」とし「未治療のCLL/SLL患者に対するザヌブルチニブ治療は、望ましい治療選択肢である」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Shadman M, et al. J Clin Oncol. 2024 Dec 8. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39647999 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら