「BR療法」の記事一覧

ベンダムスチン療法のリンパ球回復までの期間はどの程度か?
ベンダムスチン療法のリンパ球回復までの期間はどの程度か?
公開日:2024年9月2日 Donzelli L, et al. Ann Hematol. 2024 Aug 30. [Epub ahead of print]  ベンダムスチン+リツキシマブ療法(BR療法)またはベンダムスチン+リツキシマブ+シタラビン療法(R-BAC療法)は、マントル細胞リンパ腫(MCL)の高齢患者、集中治療または自家移植適応のない患者に対する標準的な第1選択化学療法である。ベンダムスチンは、長期にわたるリンパ球減少を引き起こすことが知られているが、MCL患者における持続性に関するエビデンスは乏しい。イタリア・ローマ・ラ・サピエンツァ大学のLivia Donzelli氏らは、CAR-T細胞療法による免疫療法の可能性も考慮し、MCL患者におけるベンダムスチン療法後のリンパ球回復までの期間を推定するため、レトロスペクティブに分析を行った。Annals of Hematology誌オンライン版2024年8月30日号の報告。  対象は、2011年5月~2022年4月にサピエンツァ大学病院血液内科においてベンダムスチンによる第1選択治療(BR療法またはR-BAC療法)を行ったMCL患者44例(連続登録)。患者データを収集し、レトロスペクティブに分析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・BR療法は24例(55%)、R-BAC療法は20例(45%)に用いられた。 ・ベースライン時のリンパ球数中央値は1,795/μL(範囲:370〜1万1,730)であった。 ・治療終了から1ヵ月後には450/μL(範囲:50〜3,300)、3ヵ月後には768/μL(範囲:260〜1,650)であった。 ・リンパ球数中央値は徐々に増加し、6、9ヵ月後には900/μLまで回復した(6ヵ月後:370〜2,560、9ヵ月後:130〜2,770)。 ・12ヵ月後のリンパ球数中央値は、1,256/μL(範囲:240〜4,140)であった。  著者らは「MCL患者におけるベンダムスチン療法後のリンパ球数中央値は、治療後1、3、6、9ヵ月時点ではベースラインより有意に低かったが、12ヵ月後には回復がみられた」とし「MCL患者に対するCAR-T細胞療法を検討する際、ベンダムスチン投与とリンパ球除去との間に9ヵ月以上間隔を空ける必要がある」とまとめている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Donzelli L, et al. Ann Hematol. 2024 Aug 30. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39212720 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
イブルチニブ+BR療法、再発・難治性B細胞リンパ腫に対する有効性は示されるか
イブルチニブ+BR療法、再発・難治性B細胞リンパ腫に対する有効性は示されるか
公開日:2024年12月17日 Kedmi M, et al. Hematol Oncol. 2024; 42: e70001.  自家造血幹細胞移植(ASCT)後の再発・難治性の進行期B細胞性非ホジキンリンパ腫または高齢患者に対する治療は、しばしば困難である。イスラエル・Sheba Medical CenterのMeirav Kedmi氏らは、1stまたは2ndライン後に再発した移植適応のないまたはASCT後に2回目の再発を認めた再発・難治性の進行期B細胞性非ホジキンリンパ腫患者を対象に、ベンダムスチン+リツキシマブ(BR療法)にイブルチニブを併用した場合の有効性を評価するため、単一施設シングルアーム第II相臨床試験を実施した。Hematological Oncology誌2024年11月号の報告。  対象は、1stまたは2ndライン後に再発した移植適応のないまたはASCT後に2回目の再発を認めた再発・難治性の進行期B細胞性非ホジキンリンパ腫患者56例(男性の割合:54%、年齢中央値:69.7歳)。対象患者には、標準用量で28日6サイクルのBR療法+イブルチニブ(1日1回560mg)併用による治療を行った。主要エンドポイントは、全奏効率(ORR)とした。 主な結果は以下のとおり。 ・BR療法+イブルチニブ治療を1サイクル以上行った55例におけるORRは49.1%、3サイクル以上行った36例におけるORRは69.4%であった。 ・再発患者は、難治性患者よりもORRが有意に高かった(72.3% vs.37.8%、p=0.024)。 ・全生存期間(OS)中央値は11.6ヵ月(95%CI:7.1〜22.3)、無増悪生存期間(PFS)中央値は5.3ヵ月(95%CI:2.5〜7.4)。 ・完全奏効および部分奏効の患者は、安定および進行患者と比較し、OS中央値が有意に延長した(28.1ヵ月 vs.5.2ヵ月、p<0.0001)。 ・有害事象は、血小板減少(19.6%)、貧血(16.1%)、好中球減少(7.1%)、疲労(35.7%)、下痢(28.6%)、悪心(28.6%)などであった。 ・移植に移行した患者は、最初の有効性評価時点で8例、フォローアップ期間中で3例。 ・BR療法+イブルチニブ治療レジメンは、移植までのブリッジングとしても利用可能で、安全かつ効果的な治療オプションである可能性が示唆された。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Kedmi M, et al. Hematol Oncol. 2024; 42: e70001.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39572395 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
ザヌブルチニブはベストインクラスのBTK阻害薬なのか?〜SEQUOIA試験フォローアップ結果
ザヌブルチニブはベストインクラスのBTK阻害薬なのか?〜SEQUOIA試験フォローアップ結果
公開日:2024年12月25日 Shadman M, et al. J Clin Oncol. 2024 Dec 8. [Epub ahead of print]  臨床試験では、時期の異なる複数のエンドポイントを含めることが少なくない。通常、主要エンドポイントに基づく最初の報告では、計画されている一部の主要な分析または副次的評価が行われないまま、公開されることがある。そのため、臨床試験の最新情報アップデートは、既に主要エンドポイントが報告されている研究においても、新たな知見を得る機会となりうる。米国・フレッド・ハッチンソンがんセンターのMazyar Shadman氏らは、未治療の慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)患者を対象に、経口ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬であるザヌブルチニブとベンダムスチン+リツキシマブ(BR療法)を比較した第III相ランダム化オープンラベル試験であるSEQUOIA試験の長期フォローアップ結果を報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2024年12月8日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・フォローアップ期間中央値26.2ヵ月の事前に指定された解析結果とその後43.7ヵ月までフォローアップを行った解析結果では、BR療法群と比較し、ザヌブルチニブ群の方が、主要エンドポイントである無増悪生存期間(PFS)が良好であることが示唆された。 ・フォローアップ期間中央値61.2ヵ月におけるPFS中央値は、ザヌブルチニブ群で未達、BR療法群で44.1ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.29、片側p=0.0001)。 ・免疫グロブリン重鎖可変部体細胞遺伝子変異(IGHV)の変異あり(HR:0.40、片側p=0.0003)および変異なし(HR:0.21、95%CI:0.14〜0.33、片側p<0.0001)のいずれにおいても、BR療法群と比較し、ザヌブルチニブ群でPFSの延長が認められた。 ・両群ともに全生存期間(OS)は、中央値に達しなかったが、60ヵ月の推定OSは、ザヌブルチニブ群で85.8%、BR療法群85.0%であった。 ・新たな安全性シグナルは検出されなかった。 ・ザヌブルチニブ群の有害事象は、想定の範囲内であり、心房細動の発生率は7.1%であった。  著者らは「SEQUOIA試験の長期フォローアップ(期間中央値:61.2ヵ月)において、最初に報告されたザヌブルチニブの有用性が裏付けられた」とし「未治療のCLL/SLL患者に対するザヌブルチニブ治療は、望ましい治療選択肢である」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Shadman M, et al. J Clin Oncol. 2024 Dec 8. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39647999 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら