再発・難治性CLLに対するアカラブルチニブの有効性・安全性〜メタ解析
血液内科 Journal Check

再発・難治性CLLに対するアカラブルチニブの有効性・安全性〜メタ解析

公開日:2024年6月5日

Park D, et al. J Chemother. 2024 May 27. [Epub ahead of print]
 ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬イブルチニブが承認されたことにより、慢性リンパ性白血病(CLL)に対する効果的な標的療法が実現可能となった。しかし、一部の患者では、副作用プロファイルが問題となっていた。アカラブルチニブは、不可逆的な次世代BKT阻害薬であり、イブルチニブよりもより選択的にBTKに共有結合することで作用を発現する薬剤である。新規BTK阻害薬の開発により、その有効性や副作用をより深い理解に繋がり、臨床医と患者の共同意思決定(SDM)に役立つ可能性がある。米国・カリフォルニア大学のDaniel Park氏らは、再発・難治性CLLに対するアカラブルチニブの有効性・安全性を評価するため、メタ解析を実施した。Journal of Chemotherapy誌オンライン版2024年5月27日号の報告。
 PICOSモデルとPRISMAガイドラインを用いて、検索を実施した。アカラブルチニブ、アカラブルチニブ単剤療法、チロシンキナーゼ阻害薬、再発・難治性CLLをキーワードとし、PubMeb、Embase、Cochrane Libraryデータベースより検索した。文献レビュー後、12件の研究をメタ解析に含めた。メタ解析およびフォローアップメタ回帰モデルを行った。
主な結果は以下のとおり。
・全奏効率(ORR):82%(95%CI:74〜90、I2=84.14%、p<0.01) ・完全奏効率(CR):4%(95%CI:2〜6、I2=0.00%、p=0.99) ・死亡率:12%(95%CI:6〜19、I2=87.23%、p<0.01) ・副作用による死亡率:7%(95%CI:3〜10、I2=67.67%、p=0.01) ・肺炎による死亡率:2%(95%CI:1〜3、I2=0.00%、p=0.43) ・CLL進行による死亡率:4%(95%CI:2〜6、I2=61.03%、p=0.04) ・好中球減少症(グレード3以上):18%(95%CI:15〜20、I2=0.00%、p=0.70) ・血小板減少症(グレード3以上):7%(95%CI:4〜11、I2=54%、p=0.09) ・貧血(グレード3以上):9%(95%CI:6〜12、I2=36.93%、p=0.18) ・肺炎(グレード3以上):10%(95%CI:6〜14、I2=66.37%、p=0.02) ・心房細動:7%(95%CI:3〜11、I2=80.13%、p=0.00)
 著者らは「再発・難治性CLLに対するアカラブルチニブ、有効性および許容可能な副作用を有する治療薬である」としている。


(エクスメディオ 鷹野 敦夫)

原著論文はこちら Park D, et al. J Chemother. 2024 May 27. [Epub ahead of print]
https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38803142

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