ライブラリー 慢性期CMLに対する一次治療薬としてのポナチニブ〜第II相長期フォローアップ試験
公開日:2024年6月7日
Haddad FG, et al. Cancer. 2024 May 28. [Epub ahead of print]
ポナチニブは、フィラデルフィア染色体陽性(Ph+)白血病に強力な活性を有する第3世代のBCR-ABL1を標的とするチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)である。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのFadi G. Haddad氏らは、慢性期の慢性骨髄性白血病(CML)におけるポナチニブの第II相試験の長期フォローアップ調査の結果を報告した。Cancer誌オンライン版2024年5月28日号の報告。
慢性期CML患者を対象に、ポナチニブ30〜45mg/日投与を行った。主要エンドポイントは、6ヵ月の細胞遺伝学的完全奏効(CCyR)率とした。本試験は、心毒性リスクのためにTKIを変更する必要があったため、2014年6月に実施された。
主な結果は以下のとおり。
・対象は、ポナチニブ治療を行った患者51例(平均用量:45mg/日)。
・年齢中央値は48歳(範囲:21〜75歳)、ベースライン時に心血管合併症を有していた患者は30例(59%)であった。
・治療期間の中央値は13ヵ月(範囲:2〜25ヵ月)。
・毒性のためにポナチニブを中止した患者は14例(28%)、FDAの研究終了後の中止患者は36例(71%)、服薬コンプライアンス不良による中止患者が1例であった。
・第2選択TKIとして最も選択された薬剤は、ダサチニブ(34例、66%)であった。
・6ヵ月時点で評価可能であった46例のうち、CCyRが44例(96%)、分子遺伝学的大奏効(MMR)が37例(80%)、MR4達成が28例(61%)、MR4.5達成が21例(46%)であった。
・6ヵ月間の累積達成率は、CCyRで96%、MMRで78%、MR4で50%、MR4.5で36%であった。
・持続的なMR4達成率は、24ヵ月以上で67%、60ヵ月以上で51%の患者で認められた。
・24ヵ月の無イベント生存期間(EFS)は97%であった。
・フォローアップ終了後(中央値:128ヵ月)の10年全生存割合(OS)は90%であった。
・重篤なグレード2〜3の心血管系有害事象は8例(16%)で認められ、治療中止は5例(10%)であった。
著者らは「ポナチニブは、新規の慢性期CMLに対して細胞遺伝学的および分子学的反応の高さが確認されたが、動脈閉塞性/血管閉塞性およびその他の重篤な毒性が、第1選択治療としての妨げとなっている」としている。
(エクスメディオ 鷹野 敦夫)
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Haddad FG, et al. Cancer. 2024 May 28. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38804723
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