「ポナチニブ(アイクルシグ)」の記事一覧

血液内科 Journal Check Vol.14(2022年8月9日号)
血液内科 Journal Check Vol.14(2022年8月9日号)
再発難治性慢性リンパ性白血病に対するベネトクラクス+イブルチニブによる微小残存病変陰性反応 慢性リンパ性白血病の微小残存病変寛解達成にはBCL-2阻害薬ベネトクラクスの単剤療法または BTK 阻害薬イブルチニブの併用療法が有用である。本試験では、再発難治性慢性リンパ性白血病患者を対象に、ベネトクラクス単剤療法またはイブルチニブ追加後における微小残存病変陰性達成率を評価した。【Blood誌オンライン版8月3日号の報告】 ≫Bibgraphで続きを読む CAR-T細胞療法時代の難治性大細胞型B細胞リンパ腫患者に対する最良の治療選択肢~リアルワールドエビデンス 難治性大細胞型 B 細胞リンパ腫(LBCL)に対するCAR-T細胞療法の有用性を明らかにするため、スペインの実臨床下でCAR-T細胞療法を実施したLBCL患者192例をレトロスペクティブに分析した。【Frontiers in Immunology誌7月12日号の報告】 ≫Bibgraphで続きを読む 末梢性T細胞リンパ腫におけるNK細胞媒介性細胞毒性の感受性に対するCD48の影響 成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)は、予後不良を伴うアグレッシブな末梢T細胞腫瘍の1つである。これまで、ATLL細胞のNK細胞を介した免疫を回避するメカニズムについてはよくわかっていなかった。北海道大学の中川 雅夫先生らは、ATLL細胞におけるCD48の発現が、ATLL細胞に対するNK細胞媒介性細胞毒性の感受性に影響を及ぼすかを検討した。【Blood誌オンライン版8月3日号の報告】 ≫Bibgraphで続きを読む 実臨床における慢性骨髄性白血病に対するポナチニブ治療 慢性骨髄性白血病に対するポナチニブ治療の実臨床下における有用性を評価するため、イタリアのAIFAレジストリより日常診療管理、治療変更、転帰に関するデータを収集し、分析を行った。【British Journal of Haematology誌オンライン版7月29日号の報告】 ≫Bibgraphで続きを読む 高リスク好中球減少症患者に対するフルコナゾール予防戦略:empiric vs. pre-emptive therapy 好中球減少時、抗菌薬不応性発熱が持続する場合には抗真菌薬の経験的治療(empiric therapy)が推奨されている。一方、感染のエビデンスはあるが、疾病を発症していない状態で抗真菌薬による治療を開始するpre-emptive therapyも注目されている。本研究では、ガラクトマンナン抗原検査と胸部CTによるpre-emptive therapy戦略が、高リスク好中球減少症患者の生存率や侵襲性真菌症リスクに及ぼす影響を検討した。【Clinical Infectious Diseases誌オンライン版7月30日号の報告】 ≫Bibgraphで続きを読む 血液内科 Proへ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら 血液内科 Journal Check Vol.13(2022年8月2日号) 再発難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対するPola-BR療法による長期生存率 ≫その他4本 血液内科 Journal Check Vol.12(2022年7月26日号) 再発難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対する4つの新規薬剤による全生存期間の比較 ≫その他4本 血液内科 Journal Check Vol.11(2022年7月19日号) 未治療のステージIII、IV期の古典的ホジキンリンパ腫患者に対するA+AVD療法~ECHELON-1試験 ≫その他4本 血液内科 Journal Check Vol.10(2022年7月12日号) 未治療のiNHL、MCL、rrDLBCLに対するベンダムスチンの有用性~第I/II相試験 ≫その他4本 血液内科 Journal Check Vol.9(2022年7月5日号) LBCLのセカンドライン治療、CAR-T細胞療法はASCTにとってかわるか ≫その他4本 血液内科 Journal Check Vol.8(2022年6月28日号) DLBCLに対するR-CHOP療法、10年後の臨床転帰は ≫その他4本 血液内科 Journal Check Vol.7(2022年6月21日号) 再発難治性LBCLのセカンドライン治療におけるliso-celに有用性~TRANSFORM試験中間報告 ≫その他4本 血液内科 Journal Check Vol.6(2022年6月14日号) 再発難治性FL患者におけるAUMA-5試験とSCHOLAR-5試験の比較 ≫その他4本 血液内科 Journal Check Vol.5(2022年6月7日号) 血液悪性腫瘍患者における予防的トラネキサム酸:プラセボ対照RCT ≫その他4本 血液内科 Journal Check Vol.4(2022年6月1日号) 日本人再発難治性LBCLに対するCAR-T細胞療法liso-cel~第II相臨床試験 ≫その他2本 血液内科 Journal Check Vol.3(2022年5月24日号) 再発難治性多発性骨髄腫のサルベージ療法におけるDVdとDRdの比較 ≫その他4本 血液内科 Journal Check Vol.2(2022年5月17日号) 大細胞型B細胞リンパ腫患者におけるCAR-T療法に対するブリッジング療法の影響~メタ解析 ≫その他2本 血液内科 Journal Check Vol.1(2022年5月10日号) 血液悪性腫瘍または造血細胞移植患者におけるCOVID-19管理に関する推奨事項 ≫その他2本
日本人CML、Ph+ALLに対するポナチニブの市販後調査結果
日本人CML、Ph+ALLに対するポナチニブの市販後調査結果
公開日:2024年5月28日 Takahashi N, et al. Jpn J Clin Oncol. 2024 May 15. [Epub ahead of print]  前治療薬に抵抗性または不耐容の慢性骨髄性白血病(CML)、再発または難治性のフィラデルフィア染色体陽性(Ph+)急性リンパ性白血病(ALL)の治療薬として、2016年に日本で承認されたポナチニブ。秋田大学の高橋 直人氏らは、日本の実臨床におけるポナチニブの安全性および有効性を評価するため、市販後の全例調査の結果を分析した。Japanese journal of Clinical Oncology誌オンライン版2024年5月15日号の報告。  ポナチニブの国内市販後全例調査データを用いて、とくに動脈の血管閉塞性事象の焦点を当て、ポナチニブの安全性および有効性を評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・対象は、2年間のポナチニブ投与を行なった患者724例。 ・血管閉塞性事象は、47例(6.49%)で報告され、曝露調整後の発生率は100人年当たり6.8であった。 ・血管閉塞性事象と関連するリスク因子は、年齢および高血圧や糖尿病などの併存疾患であった。 ・104週時点での慢性期CMLにおける分子遺伝学的大奏功(MMR)率は67.2%、Ph+ALLにおける細胞遺伝学的完全奏効(CCyR)率は80.0%であった。 ・1年推定全生存率は、慢性期CMLで98.5%、Ph+ALLで68.6%であった。  著者らは「ポナチニブは、日本人患者に対し良好な安全性および有効性プロファイルを有している」としたうえで「高齢者やアテローム性動脈硬化の因子を有する患者では、血管閉塞性事象をより注意深くモニタリングする必要性がある」とまとめている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Takahashi N, et al. Jpn J Clin Oncol. 2024 May 15. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38747937 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
慢性期CMLに対する一次治療薬としてのポナチニブ〜第II相長期フォローアップ試験
慢性期CMLに対する一次治療薬としてのポナチニブ〜第II相長期フォローアップ試験
公開日:2024年6月7日 Haddad FG, et al. Cancer. 2024 May 28. [Epub ahead of print]  ポナチニブは、フィラデルフィア染色体陽性(Ph+)白血病に強力な活性を有する第3世代のBCR-ABL1を標的とするチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)である。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのFadi G. Haddad氏らは、慢性期の慢性骨髄性白血病(CML)におけるポナチニブの第II相試験の長期フォローアップ調査の結果を報告した。Cancer誌オンライン版2024年5月28日号の報告。  慢性期CML患者を対象に、ポナチニブ30〜45mg/日投与を行った。主要エンドポイントは、6ヵ月の細胞遺伝学的完全奏効(CCyR)率とした。本試験は、心毒性リスクのためにTKIを変更する必要があったため、2014年6月に実施された。 主な結果は以下のとおり。 ・対象は、ポナチニブ治療を行った患者51例(平均用量:45mg/日)。 ・年齢中央値は48歳(範囲:21〜75歳)、ベースライン時に心血管合併症を有していた患者は30例(59%)であった。 ・治療期間の中央値は13ヵ月(範囲:2〜25ヵ月)。 ・毒性のためにポナチニブを中止した患者は14例(28%)、FDAの研究終了後の中止患者は36例(71%)、服薬コンプライアンス不良による中止患者が1例であった。 ・第2選択TKIとして最も選択された薬剤は、ダサチニブ(34例、66%)であった。 ・6ヵ月時点で評価可能であった46例のうち、CCyRが44例(96%)、分子遺伝学的大奏効(MMR)が37例(80%)、MR4達成が28例(61%)、MR4.5達成が21例(46%)であった。 ・6ヵ月間の累積達成率は、CCyRで96%、MMRで78%、MR4で50%、MR4.5で36%であった。 ・持続的なMR4達成率は、24ヵ月以上で67%、60ヵ月以上で51%の患者で認められた。 ・24ヵ月の無イベント生存期間(EFS)は97%であった。 ・フォローアップ終了後(中央値:128ヵ月)の10年全生存割合(OS)は90%であった。 ・重篤なグレード2〜3の心血管系有害事象は8例(16%)で認められ、治療中止は5例(10%)であった。  著者らは「ポナチニブは、新規の慢性期CMLに対して細胞遺伝学的および分子学的反応の高さが確認されたが、動脈閉塞性/血管閉塞性およびその他の重篤な毒性が、第1選択治療としての妨げとなっている」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Haddad FG, et al. Cancer. 2024 May 28. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38804723 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
初発Ph陽性ALLの第1選択治療、ポナチニブ vs. イマチニブ/JAMA
初発Ph陽性ALLの第1選択治療、ポナチニブ vs. イマチニブ/JAMA
公開日:2024年9月12日 Jabbour E, et al. JAMA. 2024;331:1814-1823.  初発フィラデルフィア染色体(Ph)陽性の急性リンパ性白血病(ALL)では、第1世代または第2世代のBCR-ABL1チロシンキナーゼ阻害薬に対する耐性獲得による病勢進行が一般的であるが、ポナチニブはBCR-ABL1およびT315Iを含むすべての単一変異体を阻害する第3世代のチロシンキナーゼ阻害薬である。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのElias Jabbour氏らは、初発Ph陽性ALL成人患者にに対する第1選択薬であるポナチニブとイマチニブとの比較を行った。JAMA誌2024年6月4日号の報告。  本試験は、18歳以上のPh陽性ALL成人患者を対象に実施した第III相国際共同ランダム化非盲検比較試験「PhALLCON試験」である。2019年1月〜2022年5月に77施設で登録されたPh陽性ALL患者は、ポナチニブ群(1日1回30mg)またはイマチニブ群(1日1回600mg)に2:1でランダムに割り付けられた。両群ともに、強度減弱化学療法と併用投与を行い、20サイクル終了後、それぞれ単剤投与を継続した。有効性の減弱、許容不能な毒性発現、造血幹細胞移植(HSCT)の開始まで継続投与を行った。ポナチニブ群では、導入療法終了後、微小残存病変(MRD)陰性完全寛解(CR)が得られた時点で15mgに減量し、MRD陰性が消失した場合は30mgに漸増した。なお、3サイクル終了時にMRD陰性CRが得られなかった患者は、試験治療を中止した。主要エンドポイントは、寛解導入(3サイクル)終了時のMRD陰性CR(BCR-ABL1≦0.01%[MR4])かつCRが4週以上維持とした。主な副次的エンドポイントは、無イベント生存期間(EFS)とした。2022年8月12日までのフォローアップ調査のデータに基づき、分析を行なった。 主な結果は以下のとおり。 ・ランダム化された245例(年齢中央値:54歳、女性:133例[54.3%])のうち、中央検査にてp190/p210が確認された232例(ポナチニブ群154例、イマチニブ群78例)を主要エンドポイントの解析対象に含めた。 ・フォローアップ期間中央値20.1ヵ月において、主要エンドポイントであるMRD陰性CR率は、ポナチニブ群34.4%(53/154例)、イマチニブ群16.7%(13/78例)であり、ポナチニブ群が有意に高かった(リスク差:0.18、95%CI:0.06~0.29、p=0.002)。 ・EFSは、事前に規定されたイベント数に達しておらず、EFS中央値はポナチニブ群未達、イマチニブ群29.0ヵ月であった。 ・有害事象の発現率は、同程度であった。グレード3〜4の治療下における有害事象(TEAE)は、ポナチニブ群85.3%、イマチニブ群87.7%であり、治療関連有害事象(TRAE)はポナチニブ群65.6%、イマチニブ群59.3%であった。閉塞性動脈イベントの発現は稀であり、ポナチニブ群2.5%、イマチニブ群1.2%であった。  著者らは「初発Ph陽性ALL成人患者において、ポナチニブは、イマチニブと比較し、導入療法終了時のMRD陰性CR率が有意に高いことが示唆された。安全性プロファイルについては、両群間で同等であった」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Jabbour E, et al. JAMA. 2024;331:1814-1823.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38722621 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
TKI抵抗性・不耐容のCMLに対するポナチニブ vs.アシミニブ
TKI抵抗性・不耐容のCMLに対するポナチニブ vs.アシミニブ
公開日:2024年12月13日 Garcia-Gutierrez V, et al. Front Oncol. 2024:14:1455378.  ガイドラインでは、2剤抵抗性または不耐容の慢性期慢性骨髄性白血病(CML)に対しポナチニブおよびアシミニブが推奨されており、米国においてT315I変異を有するCMLに唯一承認されている薬剤である。また、欧州では、T315I変異を有するCMLには、ポナチニブのみが承認されている。スペイン・アルカラ大学のValentin Garcia-Gutierrez氏らは、第2世代TKI治療抵抗性またはT315I変異を有する慢性期CML患者に対するポナチニブまたはアシミニブによる治療効果を評価するため、マッチング調整間接比較による検討を行った。Frontiers in Oncology誌2024年11月20日号の報告。  1つ以上の第2世代TKI治療抵抗性またはT315I変異を有する慢性期CML患者を対象にポナチニブまたはアシミニブを評価した臨床試験を、医学文献データベースのシステマテックレビューにより特定した。ポナチニブの患者レベルでのデータを使用したマッチング調整間接比較(MAIC)分析を用いて、ポナチニブとアシミニブのベースライン特定のバランスを調整した。マッチング後、各患者のMAIC重み付けを用いて奏効率を算出し、その差を2つの独立した比率の差z検定を用いて評価した。ベースライン時に奏効していない患者におけるBCR::ABL1IS≦1%および分子遺伝学的大奏効(MMR)の累積率を比較した。対象患者は、T315I変異の有無によりさらに分類した。 主な結果は以下のとおり。 ・4試験をMAIC分析に含めた。 ・ベースライン時、BCR::ABL1IS≦1%でない患者では、12ヵ月時点での調整済みBCR::ABL1IS≦1%率の差は9.33%であり、ポナチニブの方が良好であった。 【ポナチニブ vs.アシミニブの調整済みBCR::ABL1IS≦1%率の差】9.33%(95%CI:0.79〜17.86) 【ポナチニブ vs.アシミニブの調整済みMMR率の差】6.84%(95%CI:−0.95〜14.62) ・T315I変異を有する患者では、12ヵ月時点での調整済みBCR::ABL1IS≦1%率の差は43.54%であった。 【ポナチニブ vs.アシミニブの調整済みBCR::ABL1IS≦1%率の差】43.54%(95%CI:22.20〜64.87) 【ポナチニブ vs.アシミニブの調整済みMMR率の差】47.37%(95%CI: 28.72〜66.02)  著者らは「ベースライン時に奏効していない慢性期CML患者では、主なベースライン特性を調整後の12ヵ月までのほとんどの比較において、ポナチニブは、アシミニブよりもアウトカムが良好であった。さらに、T315I変異を有する患者においては、ポナチニブの有効性アウトカムは、より強化された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Garcia-Gutierrez V, et al. Front Oncol. 2024:14:1455378.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39634261 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
TKI治療抵抗性CMLに対して新規TKIであるvodobatinibの有用性は示されるか
TKI治療抵抗性CMLに対して新規TKIであるvodobatinibの有用性は示されるか
公開日:2025年2月19日 Cortes JE, et al. Lancet Haematol. 2025 Feb 7. [Epub ahead of print]  慢性骨髄性白血病(CML)において、チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)に対する抵抗性または不耐性は、依然として治療上の大きな課題である。米国・オーガスタ大学のJorge E. Cortes氏らは、ポナチニブおよびアシミニブを含む3つ以上のTKIにより治療を行ったフィラデルフィア染色体(Ph)陽性CML患者に対する、新しい選択的BCR-ABL1 TKIであるvodobatinibの安全性、抗白血病作用、薬物動態を明らかにするため、非盲検多施設共同国際第I/II相試験を実施した。The Lancet. Haematology誌オンライン版2025年2月7日号の報告。  本非盲検多施設共同国際第I/II相試験は、10ヵ国(ベルギー、フランス、ハンガリー、インド、イタリア、ルーマニア、韓国、スペイン、英国、米国)、28施設で実施された。対象は、ECOG PSが2以下の18歳以上のPh陽性CMLおよびALL患者(ALLは第I相試験のみ)。第I相試験では、3つ以上のTKIによる治療歴があり、他に利用可能な治療オプションがなかった患者を含めた。第II相試験では、3つ以上のTKIで奏効が消失およびポナチニブ治療歴を有する治療抵抗性およびまたは不耐性の患者を対象とした。Thr315Ile変異を有する患者は、第Iおよび第II相試験より除外した。対象患者には、有害事象、病勢進行、フォローアップ調査の失敗、死亡により治療を中止しない限り、1コース28日間で1日1回経口vodobatinib(12〜240mg)の自己投与を最大60ヵ月(65コース)実施した。主要エンドポイントは、vodobatinibの第I相試験の用量制限毒性に基づく最大耐用量、抗白血病作用(第II相試験における慢性期の細胞遺伝学的大奏効[CCyR+PCyR]、移行期または急性転化期の血液学的大奏効)の評価とした。Vodobatinibの安全性、抗白血病作用、薬物動態の評価は、第Iおよび第II相試験のデータを統合分析することにより決定した。なお、データカットオフ時点(2023年7月15日)で、対象患者募集の課題により、第II相試験は早期終了した。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者数は78例。すべての患者で1回以上vodobatinibが投与され、安全性および有効性の分析対象に含めた。 ・第I相試験登録患者数は58例(2017年4月6日〜2023年6月20日)、第II相試験登録患者数は20例(2023年3月3日〜2023年3月29日)。 ・病期分類では、慢性期66例(85%)、移行期8例(10%)、急性転化期4例(5%)。 ・男性が43例(55%)、女性が35例(45%)。 ・年齢中央値は、59.0歳(IQR:47.0〜66.0)。 ・フォローアップ期間中央値は、22.3ヵ月(IQR:11.1〜43.9)。 ・vodobatinibを240mg投与した患者2例で用量制限毒性が認められたため(グレードIIIの呼吸困難:1例、グレードIIの体液過剰)、最大耐用量は204mgとみなした。 ・治療関連有害事象が認められた患者は73例(94%)、多くはグレードII以下の血液学的または消化器系の有害事象であった。 ・グレードIII以上の治療関連有害事象は47例(60%)でみられ、主な有害事象は、血小板減少(14例、18%)、好中球減少(10例、13%)、貧血(9例、12%)、リパーゼ増加(8例、10%)などであった。 ・試験中に死亡した患者は7例(9%)、そのうち1例は、治験責任医師の判断により治療に関連する死亡とされた。 ・慢性期のCML患者におけるCCyR+PCyRは、データカットオフ時点で63例中44例(70%)、そのうち第II相試験で16例中12例(75%)に認められた。 ・移行期のCML患者における血液学的大奏効は、データカットオフ時点で7例中6例(86%、期間中央値:17.8ヵ月[IQR:10.2〜24.3])、そのうち第II相試験で評価可能であった3例(100%)すべてに認められた。 ・急性転化期のCML患者における血液学的大奏効は、データカットオフ時点で4例中2例(50%)、奏効期間中央値は6.2ヵ月(IQR:3.2〜9.3)であった。なお、第II相試験での患者登録はなかった。  著者らは「第I/II相試験の統合解析により、ポナチニブやアシミニブを含む複数のTKI治療歴を有する進行期CML患者に対し、vodobatinibは臨床的に意味のある抗白血病作用および許容可能な安全性プロファイルを有する薬剤であり、いまだ満たされていない臨床ニーズを改善する可能性が示唆された。第II相試験は、統計学的に検出力が不十分なため、第III相ランダム化試験およびより早期の治療ラインでのさらなる調査が必要とされる」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Cortes JE, et al. Lancet Haematol. 2025 Feb 7. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39929221 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら