「急性リンパ性白血病(ALL)」の記事一覧

血液内科 Journal Check Vol.20(2022年10月14日号)
血液内科 Journal Check Vol.20(2022年10月14日号)
CMLに対するSTAMP阻害薬アシミニブへの期待【ASCEMBL試験の長期フォローアップ結果】 Rea D, et al. Clin Lymphoma Myeloma Leuk. 2022; 22 Suppl 2: S295-S296. ≫血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ≫Bibgraphを読む CMLに対するSTAMP阻害薬アシミニブへの期待【ASCEMBL試験の日本人サブグループ解析】 Yuda J, et al. Cancer Med. 2022 Sep 27. [Online ahead of print] ≫血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ≫Bibgraphを読む CMLに対するSTAMP阻害薬アシミニブへの期待【T315I変異だけでない、アシミニブの3rdライン治療オプションの有用性】 Monestime S, et al. Am J Health Syst Pharm. 2022 Oct 5. [Online ahead of print] ≫血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ≫Bibgraphを読む CAR-T細胞療法による感染症リスクはどの程度か Telli Dizman G, et al. Expert Rev Anti Infect Ther. 2022 Sep 28. [Online ahead of print] ≫血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ≫Bibgraphを読む 再発難治性の小児ALLに対するカルフィルゾミブ使用は支持されるか Burke MJ, et al. Pediatr Blood Cancer. 2022 Oct 10. [Online ahead of print] ≫血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ≫Bibgraphを読む 再発難治性多発性骨髄腫に対する「belantamab mafodotin」実臨床下での長期フォローアップ結果 Shragai T, et al. Br J Haematol. 2022 Oct 7. [Online ahead of print] ≫血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ≫Bibgraphを読む 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
日本人血液悪性腫瘍患者に対する局所管理ハイドロゲル創傷被覆・保護材の有効性
日本人血液悪性腫瘍患者に対する局所管理ハイドロゲル創傷被覆・保護材の有効性
公開日:2024年5月24日 Fukutani T, et al. BMC Oral Health. 2024; 24: 522.  エピシル®︎は口腔内病変の被覆および保護を目的とする非吸収性の液状機器である。いくつかの研究において、頭頸部がん患者に対する有効性が報告されているが、血液悪性腫瘍患者への使用に関する報告はほとんどない。広島大学の福谷 多恵子氏らは、急性骨髄性白血病(AML)、悪性リンパ腫、急性リンパ性白血病(ALL)、多発性骨髄腫(MM)、骨髄異形成症候群(MDS)患者における口腔粘膜の治療に対するエピシル®︎の有効性を評価するため、本研究を実施した。BMC Oral Health誌2024年5月3日号の報告。  対象は、2018年5月〜2019年3月に広島赤十字・原爆病院で口腔粘膜の治療のためにエピシル®︎を使用したAML、悪性リンパ腫、ALL、MM、MDS患者37例。口腔粘膜炎の重症度を評価するため、37例中22例にインタビューを実施した。有害事象の客観的な評価には、有害事象共通用語規準(CTCAE)v3.0を用いた。口腔粘膜炎の影響を主観的に評価するため、独自の評価プロトコルを用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・37例中31例(84%)は、エピシル®︎の使用が「非常に良い」または「良い」と回答した。 ・さらに、22例中7例(19%)では、エピシル®︎使用後に粘膜炎の重症度の軽減が認められた。とくに複数の部位に粘膜炎を有する患者で顕著であった。 ・患者評価では、疼痛の軽減、言語機能の改善、摂食機能の改善が報告された。 ・粘膜炎がグレード3以上の患者は、グレード2の患者と比較し、疼痛、言語機能、摂食機能のより大きな改善が報告された。  著者らは「血液悪性腫瘍患者、とくに複数の部位に口内粘膜炎を有する患者に対する口腔粘膜炎の治療におけるエピシル®︎の有効性が示唆された。エピシル®︎は、疼痛の軽減に加え、言語機能や摂食機能も改善する可能性がある」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Fukutani T, et al. BMC Oral Health. 2024; 24: 522.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38698387 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
日本人CML、Ph+ALLに対するポナチニブの市販後調査結果
日本人CML、Ph+ALLに対するポナチニブの市販後調査結果
公開日:2024年5月28日 Takahashi N, et al. Jpn J Clin Oncol. 2024 May 15. [Epub ahead of print]  前治療薬に抵抗性または不耐容の慢性骨髄性白血病(CML)、再発または難治性のフィラデルフィア染色体陽性(Ph+)急性リンパ性白血病(ALL)の治療薬として、2016年に日本で承認されたポナチニブ。秋田大学の高橋 直人氏らは、日本の実臨床におけるポナチニブの安全性および有効性を評価するため、市販後の全例調査の結果を分析した。Japanese journal of Clinical Oncology誌オンライン版2024年5月15日号の報告。  ポナチニブの国内市販後全例調査データを用いて、とくに動脈の血管閉塞性事象の焦点を当て、ポナチニブの安全性および有効性を評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・対象は、2年間のポナチニブ投与を行なった患者724例。 ・血管閉塞性事象は、47例(6.49%)で報告され、曝露調整後の発生率は100人年当たり6.8であった。 ・血管閉塞性事象と関連するリスク因子は、年齢および高血圧や糖尿病などの併存疾患であった。 ・104週時点での慢性期CMLにおける分子遺伝学的大奏功(MMR)率は67.2%、Ph+ALLにおける細胞遺伝学的完全奏効(CCyR)率は80.0%であった。 ・1年推定全生存率は、慢性期CMLで98.5%、Ph+ALLで68.6%であった。  著者らは「ポナチニブは、日本人患者に対し良好な安全性および有効性プロファイルを有している」としたうえで「高齢者やアテローム性動脈硬化の因子を有する患者では、血管閉塞性事象をより注意深くモニタリングする必要性がある」とまとめている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Takahashi N, et al. Jpn J Clin Oncol. 2024 May 15. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38747937 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
難治性B細胞性ALLに対するNKTR-255+CAR19-22〜第I相試験
難治性B細胞性ALLに対するNKTR-255+CAR19-22〜第I相試験
公開日:2024年7月9日 Srinagesh HK, et al. Blood. 2024 Jul 5. [Epub ahead of print]  CAR-T細胞療法は、B細胞性リンパ腫治療に革命をもたらしたが、いまだ多くの患者が再発してしまうため、抗腫瘍免疫治療戦略には改善の余地が残っている。著者らはこれまで、CD19およびCD20を標的とする二重特異性CAR(CAR19-22)を設計した。CAR19-22は、忍容性が良好で、高い奏効率が認められたものの、再発も多かった。インターロイキン-15(IL15)は、多様な免疫細胞の増殖を誘導し、リンパ球のトラフィックを増強することが知られている。そこで、米国・スタンフォード大学のHrishikesh Krishna Srinagesh氏らは、再発・難治性B細胞性急性リンパ芽球性白血病(ALL)の成人患者を対象に、CAR19-22と新規ポリマー結合組み換えIL15受容体アゴニスト(NKTR-255)との初めての併用試験として第I相臨床試験を実施し、その結果を報告した。Blood誌オンライン版2024年7月5日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・登録患者数11例中9例は、CAR19-22による治療に続き、NKTR-255による治療に成功した。 ・用量制限毒性は認められず、一過性の発熱および骨髄抑制が最も多く認められた。 ・9例中8例(89%)において、測定可能残存病変(MRD)陰性化が達成され、良好な有効性が確認された。 ・12ヵ月時点での、NKTR-255の無増悪生存期間(PFS)は、従来の対象薬と比較し、約2倍であった(67% vs. 38%)。 ・IL15受容体アゴニストの影響を評価するため、相関分析を行った。 ・サイトカインプロファイリングでは、IL15とケモカインCXCL9およびCXCL10の有意な増加が示唆された。 ・ケモカインの増加は、リンパ球の絶対数の減少、血中のCD8陽性CAR-T細胞の減少、CSF CAR-T細胞の10倍増と関連が認められ、組織へのリンパ球のトラフィックが示唆された。  著者らは「NKTR-255とCAR19-22の併用は、安全かつ実行可能であり、持続的な高い奏効率が期待できることが示唆された」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Srinagesh HK, et al. Blood. 2024 Jul 5. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38968138 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
初発Ph陽性ALLの第1選択治療、ポナチニブ vs. イマチニブ/JAMA
初発Ph陽性ALLの第1選択治療、ポナチニブ vs. イマチニブ/JAMA
公開日:2024年9月12日 Jabbour E, et al. JAMA. 2024;331:1814-1823.  初発フィラデルフィア染色体(Ph)陽性の急性リンパ性白血病(ALL)では、第1世代または第2世代のBCR-ABL1チロシンキナーゼ阻害薬に対する耐性獲得による病勢進行が一般的であるが、ポナチニブはBCR-ABL1およびT315Iを含むすべての単一変異体を阻害する第3世代のチロシンキナーゼ阻害薬である。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのElias Jabbour氏らは、初発Ph陽性ALL成人患者にに対する第1選択薬であるポナチニブとイマチニブとの比較を行った。JAMA誌2024年6月4日号の報告。  本試験は、18歳以上のPh陽性ALL成人患者を対象に実施した第III相国際共同ランダム化非盲検比較試験「PhALLCON試験」である。2019年1月〜2022年5月に77施設で登録されたPh陽性ALL患者は、ポナチニブ群(1日1回30mg)またはイマチニブ群(1日1回600mg)に2:1でランダムに割り付けられた。両群ともに、強度減弱化学療法と併用投与を行い、20サイクル終了後、それぞれ単剤投与を継続した。有効性の減弱、許容不能な毒性発現、造血幹細胞移植(HSCT)の開始まで継続投与を行った。ポナチニブ群では、導入療法終了後、微小残存病変(MRD)陰性完全寛解(CR)が得られた時点で15mgに減量し、MRD陰性が消失した場合は30mgに漸増した。なお、3サイクル終了時にMRD陰性CRが得られなかった患者は、試験治療を中止した。主要エンドポイントは、寛解導入(3サイクル)終了時のMRD陰性CR(BCR-ABL1≦0.01%[MR4])かつCRが4週以上維持とした。主な副次的エンドポイントは、無イベント生存期間(EFS)とした。2022年8月12日までのフォローアップ調査のデータに基づき、分析を行なった。 主な結果は以下のとおり。 ・ランダム化された245例(年齢中央値:54歳、女性:133例[54.3%])のうち、中央検査にてp190/p210が確認された232例(ポナチニブ群154例、イマチニブ群78例)を主要エンドポイントの解析対象に含めた。 ・フォローアップ期間中央値20.1ヵ月において、主要エンドポイントであるMRD陰性CR率は、ポナチニブ群34.4%(53/154例)、イマチニブ群16.7%(13/78例)であり、ポナチニブ群が有意に高かった(リスク差:0.18、95%CI:0.06~0.29、p=0.002)。 ・EFSは、事前に規定されたイベント数に達しておらず、EFS中央値はポナチニブ群未達、イマチニブ群29.0ヵ月であった。 ・有害事象の発現率は、同程度であった。グレード3〜4の治療下における有害事象(TEAE)は、ポナチニブ群85.3%、イマチニブ群87.7%であり、治療関連有害事象(TRAE)はポナチニブ群65.6%、イマチニブ群59.3%であった。閉塞性動脈イベントの発現は稀であり、ポナチニブ群2.5%、イマチニブ群1.2%であった。  著者らは「初発Ph陽性ALL成人患者において、ポナチニブは、イマチニブと比較し、導入療法終了時のMRD陰性CR率が有意に高いことが示唆された。安全性プロファイルについては、両群間で同等であった」としている。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Jabbour E, et al. JAMA. 2024;331:1814-1823.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38722621 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
第一寛解期Ph-like ALLに対する同種造血幹細胞移植の治療成績〜多施設共同研究
第一寛解期Ph-like ALLに対する同種造血幹細胞移植の治療成績〜多施設共同研究
公開日:2024年10月3日 Rahman ZA, et al. Transplant Cell Ther. 2024 Sep 25. [Epub ahead of print]  フィラデルフィア染色体様急性リンパ性白血病(Ph-like ALL)は,B細胞性ALLの高リスク群であり、従来の治療では予後不良である。最適な治療結果につながらない要因として、診断の難しさや標準化された治療プロトコルの欠如が挙げられる。さらに、成人Ph-like ALL患者には、同種造血幹細胞移植(HSCT)が推奨されるが、これを裏付けるデータも限られている。ヨルダン・King Hussein Cancer CenterのZaid Abdel Rahman氏らは、HSCTを行った第一寛解期Ph-like ALL成人患者の治療アウトカムを、Ph陽性ALLおよびPh陰性ALLと比較するため、多施設共同レトロスペクティブ研究を実施した。Transplantation and Cellular Therapy誌オンライン版2024年9月25日号の報告。  全米の5つの学術センターよりALL患者のHSCTの焦点を当てたデータを収集した。対象は、2006〜21年に第一寛解期でHSCTを行った患者673例とした。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者673例のうち、Ph-like ALLが83例(12.3%)、Ph陽性ALLが271例(40.3%)、Ph陰性ALLが319例(47.4%)。 ・第一寛解期Ph-like ALL患者に対するHSCT後の治療アウトカムは、Ph陰性ALL患者と同等であり、3年全生存率(OS:66% vs. 59%、p=0.1)、無増悪生存期間(PFS:59% vs. 54%、p=0.1)、再発率(22% vs. 20%、p=0.7)に有意な差は認められなかった。 ・対照的に、Ph陽性ALLの治療アウトカムは、3年OS(75%、p<0.001)、PFS(70%、p=0.001)、再発率(12%、p=0.003)ともに良好であり、これはチロシンキナーゼ阻害薬治療によるものであると考えられる。  著者らは「HSCTと効果的な第2選択治療を組み合わせることで、Ph-like ALLの予後不良を軽減し、有用な治療アウトカムをもたらす可能性が示唆された」としている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Rahman ZA, et al. Transplant Cell Ther. 2024 Sep 25. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39332807 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
Ph陽性ALLに対するアシミニブ+ダサチニブ+プレドニゾロン〜第I相試験/Blood
Ph陽性ALLに対するアシミニブ+ダサチニブ+プレドニゾロン〜第I相試験/Blood
公開日:2024年10月15日 Luskin MR, et al. Blood. 2024 Oct 7. [Epub ahead of print]  ダサチニブは、フィラデルフィア染色体(Ph)陽性急性リンパ性白血病(ALL)の治療薬として承認されているが、耐性を生じる患者も少なくない。ダサチニブとSTAMP標的BCR-ABL特異的アロステリック阻害薬アシミニブの併用は、奏効率を高め、ダサチニブ耐性クローンの発現を抑制する可能性がある。米国・ダナ・ファーバー癌研究所のMarlise R. Luskin氏らは、Ph陽性ALLおよびリンパ芽球性急性転化慢性骨髄性白血病(CML-LBC)患者を対象に、アシミニブ+ダサチニブ+プレドニゾロンの最大耐量(MTD)を決定するため、第I相試験を実施した。Blood誌オンライン版2024年10月7日号の報告。  対象は、Ph陽性ALL患者22例(p190:16例、p210:6例)およびCML-LBC患者2例を含む成人患者24例。ダサチニブ140mg/日、プレドニゾロン60mg/m2/日にアシミニブの1日用量を段階的に増量し、MTGを決定した。28日間の導入療法後、ダサチニブおよびアシミニブは、無期限または造血幹細胞移植まで継続した。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者の年齢中央値は64.5歳(範囲:33〜85、65歳以上:50%)。 ・ダサチニブ、プレドニゾロンと併用する際のアシミニブの第II相試験における用量は、80mg/日に決定した。 ・160mg/日での用量制限毒性(DLT)は、無症候性(症状、膵炎と伴わない)の膵酵素上昇(グレード3)であった。 ・血管閉塞性イベントは認められなかった。 ・初発ALL患者における血液学的完全寛解、28日目で84%、84日目で100%であった。 ・84日目では、すべての患者が細胞遺伝学的寛解を達成した。また、マルチカラーフローサイトメトリーによる測定可能残存病変陰性(0.01%未満)達成率89%、BCR::ABL1 RT-PCR(0.1%未満)達成率74%、BCR::ABL1 RT-PCR(0.01%未満)達成率26%であった。  著者らは「初発Ph陽性ALL患者に対するアシミニブ+ダサチニブ+プレドニゾロン併用療法は、安全かつ有望な治療選択肢となりうる可能性が示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Luskin MR, et al. Blood. 2024 Oct 7. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39374521 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
移植前MRD陽性のPh陽性ALL、HSCT後の予防的TKI投与が有望
移植前MRD陽性のPh陽性ALL、HSCT後の予防的TKI投与が有望
公開日:2024年12月10日 Liu H, et al. Am J Hematol. 2024 Nov 16. [Epub ahead of print]  同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)を行ったフィラデルフィア染色体(Ph)陽性急性リンパ性白血病(ALL)における治療失敗の主な原因は、再発である。中国・南方医科大学のHui Liu氏らは、Ph陽性ALL患者におけるallo-HSCT後の予防的チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)による再発予防効果を評価するため、プロスペクティブ研究を実施した。American Journal of Hematology誌オンライン版2024年11月16日号の報告。  対象は、allo-HSCTを行うPh陽性ALL患者110例。対象患者は、移植前の微小残存病変(MRD)に基づき予防群または対照群に割り付けられた。主要エンドポイントは、再発累積発生率とした。 主な結果は以下のとおり。 ・予防群には、移植前MRD陽性であった患者38例、対照群にはMRD陰性であった患者72例を含めた。 ・4年間の再発累積発生率は、予防群で25.3%(95%CI:12.1〜41.0)、対照群で20.3%(95%CI:11.6〜30.7)であった(HR:1.272、95%CI:0.551〜2.940、p=0.549)。 ・再発以外の死亡率は、予防群で10.5%(95%CI:3.3〜22.7)、対照群で9.7%(95%CI:4.2〜17.9)であった(HR:1.094、95%CI:0.320〜3.738、p=0.928)。 ・4年間の全生存率は、予防群で71.8%(95%CI:53.2〜84.1)、対照群で84.1%(95%CI:72.9〜90.9)であった(HR:1.746、95%CI:0.741〜4.112、p=0.196)。 ・白血病フリーの無病生存率は、予防群で64.1%(95%CI:45.8〜77.7)、対照群で70.0%(95%CI:57.6〜79.4)であった(HR:1.212、95%CI:0.607〜2.421、p=0.585)。  著者らは「移植前にMRD陽性であったPh陽性ALL患者に対するHSCT後の予防的TKI投与による治療アウトカムは、移植前にMRD陰性であった患者と同レベルまで引き上げられる可能性が示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Liu H, et al. Am J Hematol. 2024 Nov 16. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39548804 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
承認から5年、B-ALLに対するtisa-celの国内治療成績を分析
承認から5年、B-ALLに対するtisa-celの国内治療成績を分析
公開日:2024年12月23日 Kato I, et al. Transplant Cell Ther. 2024 Nov 30. [Epub ahead of print]  CAR-T細胞療法は、再発・難治性B細胞性急性リンパ性白血病(B-ALL)の小児、青年、若年成人患者に対する新たな治療選択肢となった。世界中でCAR-T細胞療法のアウトカムに関するリアルワールドでの使用経験が蓄積されている。とくに医学的および民族的背景が異なる患者におけるCAR-T細胞療法のアウトカムを比較することは、非常に重要である。京都大学の加藤 格氏らは、日本において承認から5年以上経過したチサゲンレクル ユーセル(tisa-cel)の国内リアルワールドにおける使用経験を調査し、その結果を報告した。Transplantation and Cellular Therapy誌オンライン版2024年11月29日号の報告。  全国規模の日本CAR-Tコンソーシアム(JCTC)は、tisa-cel市販後にCAR-T細胞療法を行った小児、青年、若年成人患者を対象に、多施設レトロスペクティブ研究を実施した。解析対象は、tisa-cel市販後に白血球アフェレーシスサンプルをノバルティスに輸送した再発・難治性B-ALL患者42例。本報告では、ベースラインパラメータと臨床アウトカムとの関連を評価した。奏効、毒性、生存の解析には、CAR-T輸注を行ったすべての患者を含めた。 主な結果は以下のとおり。 ・最良総合効果率は93%。 ・CAR-T輸注後の1年全生存割合(OS)は82%、無イベント生存割合(PFS)は56%。 ・tisa-cel輸注前、低腫瘍量(骨髄中のリンパ芽球が5%未満)であった患者は27例(64%)。 ・低腫瘍量は、良好な臨床アウトカムとの関連が認められた。 ・1年無イベント生存割合(EFS)は、低腫瘍量では80%であり、高腫瘍量(骨髄中のリンパ芽球が5%以上)の24%と比較し、高値であった。 ・多変量解析では、造血幹細胞移植(HSCT)歴と良好なアウトカムとの関連が特定され、1年EFSは75%であり、HSCT歴のない患者(24%)と比較し、高値であった。  著者らは「日本において市販後にtisa-celによる治療を行った小児、青年、若年成人の再発・難治性B-ALLに関する最初の解析において、臨床試験や他のリアルワールド研究と同様に、有効性が確認された。低腫瘍量やHSCT歴は、良好なEFSと関連していることが示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Kato I, et al. Transplant Cell Ther. 2024 Nov 30. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39617098 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
日本人Ph陽性ALL患者の移植後再発予防に有効なテーラーメイドTKI戦略
日本人Ph陽性ALL患者の移植後再発予防に有効なテーラーメイドTKI戦略
公開日:2025年1月27日 Nishiwaki S, et al. Int J Hematol. 2025 Jan 17. [Epub ahead of print]  フィラデルフィア染色体(Ph)陽性急性リンパ性白血病(ALL)に対する同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)後の再発予防に、チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の移植後投与は有望である。しかし、実臨床における使用やその有効性は、十分に明らかとなっていない。名古屋大学の西脇 聡史氏らは、日本においてallo-HSCTを実施したPh陽性ALL患者に対するTKIの使用状況および有用性を評価した。International Journal of Hematology誌オンライン版2025年1月17日号の報告。  2002〜22年にallo-HSCTを実施したPh陽性ALL患者を対象に、7施設による包括的な研究を行なった。 主な結果は以下のとおり。 ・完全寛解で移植を行った173例中49例(28%)で移植後にTKIが投与されていた。 ・内訳は、分子遺伝学的完全奏効(CMR)における予防的投与は7%、微小残存病変(MRD)陽性への対処として21%であった。 ・移植後、最初のTKI投与期間中央値は、予防的投与で13.7ヵ月、MRD陽性で4.0ヵ月。 ・予防的TKI投与は、allo-HSCTでCMRを達成していない患者に、とくに有用であると考えられ、予防的TKI投与を行わなかった患者と比較し、5年無再発生存期間(RFS)が向上する傾向が示唆された(100% vs.73%、p=0.11)。 ・予防的、非TKI投与、MRD陽性との間では、RFSの有意な差が認められた。 ・診断時に白血球数が1万5,000/μl未満およびその他の染色体異常のない患者では、TKI戦略とは無関係に、同等の5年RFSを示した(100% vs.85% vs.80%、p=0.87)。  著者らは「特定の低リスク患者におけるMRD陽性に対するTKI投与の潜在的な有効性が示唆され、リスク因子に基づくテーラーメイドTKI戦略の重要性が確認された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Nishiwaki S, et al. Int J Hematol. 2025 Jan 17. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39821010 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら