「感染症」の記事一覧

思春期児を対象としたBNT162b2 Covid-19ワクチンの安全性、免疫原性および有効性
思春期児を対象としたBNT162b2 Covid-19ワクチンの安全性、免疫原性および有効性
Safety, Immunogenicity, and Efficacy of the BNT162b2 Covid-19 Vaccine in Adolescents N Engl J Med. 2021 Jul 15;385(3):239-250. doi: 10.1056/NEJMoa2107456. Epub 2021 May 27. 原文をBibgraph(ビブグラフ)で読む 上記論文の日本語要約 【背景】重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対するワクチンは、ごく最近まで16歳未満の小児への緊急使用が許可されていなかった。この集団を保護し、対面学習や人の集まりを促進し、集団免疫に貢献するため、安全かつ有効なワクチンが必要である。 【方法】この進行中の国際共同プラセボ対照観察者盲検試験では、参加者を無作為によりBNT162b2ワクチン30μgを21日間隔で2回注射するグループとプラセボを注射するグループに1対1の割合で割り付けた。12~15歳にみられるBNT162b2に対する免疫応答の16~25歳の免疫応答に対する非劣性を免疫原性の目的とした。12~15歳のコホートで安全性(反応原性および有害事象)および確定した新型コロナウイルス感染症2019罹患(Covid-19;発症、2回目接種から7日以上経過後)に対する有効性を評価した。 【結果】全体で、12~15歳の思春期児2,260例に接種した。1,131例にBNT162b2、1,129例にプラセボを投与した。他の年齢群にみられたように、BNT162b2は安全性と副反応が良好で、反応原性事象も主に一過性で軽度から中等度であった(主に注射部位疼痛[79~86%]、疲労[60~66%]、頭痛[55~65%])。ワクチンに起因する重篤な有害事象はなく、重度の有害事象も全体的に少なかった。12~15歳の参加者にみられた2回目接種後SARS-CoV-2 50%中和抗体価の16~25歳に対する幾何平均比は、1.76(95%信頼区間[CI]、1.47~2.10)であり、両側95%信頼区間の下限が0.67を超える非劣性基準を満たし、12~15歳のほうが応答が大きいことが示された。SARS-CoV-2感染歴の根拠がない参加者では、BNT162b2接種群に2回目接種から7日以上経過後のCOVID-19発症例はいなかったが、プラセボ接種群に16例認められた。観察されたワクチンの有効性は100%(95%CI、75.3~100)であった。 【結論】12~15歳の小児に接種したBNT162b2ワクチンは、安全性が良好で、若年成人よりも免疫応答が大きく、COVID-19に対する高い有効性が示された。 第一人者の医師による解説 思春期児童は接種後の血管迷走神経反射の発生率が高く 対策を取ることが重要 新井 智 国立感染症研究所感染症疫学センター第11室室長 MMJ. February 2022;18(1):4 本論文は、ファイザー・ビオンテック社製のメッセンジャー RNAワクチン(BNT162b2)を評価している第1/2/3相試験(C4591001試験)の一部として、米国内の12 ~ 15歳の思春期児童約2,300人をBNT162b2 30μg群とプラセボ(生理食塩水)群に1:1の比で無作為に割り付け安全性、免疫原性、有効性を比較し、さらに米国以外の国からも登録した16 ~ 25歳の青年集団約1,100人と免疫応答での非劣性の検証等を行った結果の報告 である。1回目接種 受けたBNT162b2群1,131人とプラセボ群1,129人、2回目接種を受けたそれぞれ1,124人と1,117人の解析結果から、BNT162b2 30μ g接種における12 ~ 15歳の思春期児童の副反応は、全体的に一過性で軽度~中等度であった。最も頻度が高かった局所反応は注射部位の疼痛で79 ~ 86%、頻度の高かった全身性反応は倦怠感(60 ~ 66%)、頭痛(55 ~ 65%)、悪寒(28 ~ 42%)、筋肉痛(24 ~ 32%)であった。局所反応の頻度は1回目接種時の方が高かったが(1回目86%、2回目79%)、全身性反応の倦怠感、頭痛、悪寒、筋肉痛のいずれも2回目接種時の方が高頻度にみられた。 また、12 ~ 15歳の思春期児童と16 ~ 25歳の青年集団におけるBNT162b2 30μg接種の比較を行ったところ、12 ~ 15歳の思春期児童の1、2回目接種時の副反応発生率は、16 ~ 25歳の青年集団とほとんど違いがなく(16 ~ 25歳の青年:倦怠感60 ~ 66%、頭痛54 ~ 61%、悪寒25 ~40%、筋肉痛27 ~ 41%)、安全性に違いは認められなかった。有効性の指標である50%中和幾何平均抗体価(GMT)は、2回目接種1カ月後の12 ~15歳の思春期児童群では1,283.0、16 ~ 25歳の青年群では730.8、両集団間の幾何平均比は1.76(95%信頼区間 , 1.47 ~ 2.10)であり、免疫応答は12 ~ 15歳の思春期児童群の方が良好であった。 BNT162b2やモデルナ製スパイクバックのメッセンジャー RNAワクチンでは、初回よりも2回目接種の方が発熱、倦怠感、頭痛、悪寒などの全身性反応の発生割合が高い(1),(2)。これらの副反応への対応に関してはアセトアミノフェンの服用も選択肢として提案されており、事前に十分な情報提供を行い安心して接種を受けられる環境の提供が重要である。思春期児童では、ワクチン接種後の血管迷走神経反射の発生割合が他の年齢群に比べ高いため、横たわって接種を受ける、あるいは接種後30分程度様子を見るなど対策を取ることも重要である。 1. Polack FP, et al. N Engl J Med. 2020;383(27):2603-2615. 2. Baden LR, et al. N Engl J Med. 2021;384(5):403-416.
COVID-19入院患者のCOVID後遺症 後ろ向きコホート研究
COVID-19入院患者のCOVID後遺症 後ろ向きコホート研究
Post-covid syndrome in individuals admitted to hospital with covid-19: retrospective cohort study BMJ. 2021 Mar 31;372:n693. doi: 10.1136/bmj.n693. 原文をBibgraph(ビブグラフ)で読む 上記論文の日本語要約 【目的】COVID-19患者の退院後に見られる臓器別障害の割合を、マッチさせた一般集団対照群と比較して定量化すること。 【デザイン】後ろ向きコホート研究。 【設定】英国のNHS病院。 【参加者】COVID-19のため入院し、2020年8月31日までに生存退院した患者4万7780例(平均年齢65歳、男性55%)と、英国内約5000万人の10年間の電子健康記録を元に患者背景と臨床像を正確にマッチさせて抽出した対照群。 【主要評価項目】2020年9月30日までの再入院率(対照群はあらゆる原因による入院)、全死因死亡率、呼吸器疾患、心血管疾患、代謝疾患、腎疾患および肝疾患の診断率。年齢、性別、民族別の率比のばらつき。 【結果】平均追跡期間140日間の間に、急性COVID-19を発症し退院した患者の約3分の1(4万7780例中1万4060例)が再入院し、1割以上(5875例)が退院後に死亡し、マッチさせた対照群と比べると再入院比率が4倍、退院後死亡比率は8倍であった。COVID-19退院患者ではこのほか、呼吸器疾患(P<0.001)、糖尿病(P<0.001)、心血管疾患(P<0.001)の割合が有意に高く、1000人・年当たりでそれぞれ770(95%CI 758~783)、127(同122~132)、126(同121~131)であった。70歳未満の方が70歳以上より、少数民族の方が白人集団よりも率比が高く、呼吸器疾患で最も大きな差が見られた(70歳未満10.5[同9.7~11.4] vs. 70歳以上4.6[同4.3~4.8]、非白人11.4[同9.8~13.3] vs. 白人5.2[5.0~5.5])。 【結論】COVID-19退院患者は、一般集団で予想されるリスクよりも多臓器不全の発生率が高かった。リスクの上昇は高齢者に限らず、民族間でもばらつきがあった。COVID-19後遺症の診断、治療および予防には、臓器や疾患に特化したものよりも統合的なアプローチを要し、危険因子を明らかにするため早急な研究が必要とされる。 第一人者の医師による解説 心臓では高感度トロポニン、MRIなどによる評価と経過観察が望まれる 廣井 透雄 国立国際医療研究センター病院循環器内科 循環器内科診療科長 MMJ. August 2021;17(4):107 英国では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に6月14日時点でおよそ460万人が感染、およそ47万人が入院し、約12.8万人が死亡した。院内死亡率は30%と高率であった。ワクチン接種の普及(1回接種率78.9%、2回接種率56.6%)により、新規感染者、死亡者は大きく減少した一方で、“long covid”、“post-covid syndrome”として知られる後遺症が問題となってきた。 今回の英国における後ろ向きコホート研究の報告によると、COVID-19で2020年8月末までに入院し生存退院した平均年齢64.5歳、男性54.9%の47,780人は、一般人口と比較し、男性、50歳以上、貧困地域在住、喫煙歴、肥満または過体重が多く、併存疾患が多い傾向にあった。過去10年の医療記録の50万人から条件(年齢、性別、人種、貧困指数、喫煙、体格指数[BMI]、併存疾患)をマッチさせた対照群との間で、2020年9月末までの再入院率(対照群では全入院)、全死亡率、呼吸器、主要循環器疾患(MACE:心不全、心筋梗塞、脳卒中、不整脈)、糖尿病、慢性腎臓病(ステージ 3~5、透析、腎移植)、慢性肝疾患の診断数を比較検討した。 平均観察期間140日(標準偏差 50日)で、5,875人(12.3%、320.0/1,000人・年)が退院後に死亡、14,060人(29.4%、766.0 /1,000 人・年)が再入院した。対照群ではそれぞれ830人(1.7%、41.3/1,000人・年)、4,385人(9.2%、218.9/1,000人・年)で、COVID-19患者のリスクは7.7、3.5倍であった。退院後に呼吸器疾患を診断された14,140人(29.6%、770.5/1,000人・年)のうち、新規診断 は6,085人(12.7%、538.9/1,000人・年)で、COVID-19患者のリスクはそれぞれ6.0、27.3倍であった。退院後に糖尿病 2,330人(4.9%、126.9/1,000人・年)、MACE 2,315人(4.8%、126.1/1,000人・年)、慢性腎臓病710人(1.5%、38.7/1,000人・年)、慢性肝疾患135人(0.3%、7.2/1,000人・年)と診断され、対照群と比較したリスクはそれぞれ1.5、3.0、1.9、2.8倍であった。すべてのアウトカムは70歳以上が70歳未満より多く、死亡は14.1倍、呼吸器疾患は10.5倍であった。糖尿病以外のアウトカムは非白人より白人で多く、呼吸器疾患は11.4倍であった。 COVIDで入院した米国退役軍人1,775人は、退院60日以内に20%が再入院し、9%が死亡し、本研究でも23%、9%と同様であった(1)。英国のリスクが低い201人でも、肺(33%)、心臓(32%)、腎臓(12%)、肝臓(10%)と障害が多臓器に及ぶ(2)。心臓では、高感度トロポニン、MRI、心エコーの長軸方向ストレイン(GLS)などによる評価と経過観察が望まれる(3)。 1. Donnelly JP, et al. JAMA. 2021;325(3):304-306. 2. Dennis A, et al. BMJ Open. 2021;11(3):e048391. 3. Puntmann VO, et al. JAMA Cardiol. 2020;5(11):1265-1273.
ISARIC WHOプロトコールを用いたCOVID-19入院患者のリスク層別化 4C死亡スコアの開発と検証
ISARIC WHOプロトコールを用いたCOVID-19入院患者のリスク層別化 4C死亡スコアの開発と検証
Risk stratification of patients admitted to hospital with covid-19 using the ISARIC WHO Clinical Characterisation Protocol: development and validation of the 4C Mortality Score BMJ. 2020 Sep 9;370:m3339. doi: 10.1136/bmj.m3339. 原文をBibgraph(ビブグラフ)で読む 上記論文の日本語要約 【目的】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のため入院した患者の死亡率を予測する実用的なリスクスコアを開発し、検証すること。 【デザイン】前向き観察コホート研究。 【設定】英イングランド、スコットランドおよびウェールズの病院260施設で実施された国際重症急性呼吸器・新興感染症コンソーシアム(ISARIC)世界保健機関(WHO)臨床的特徴プロトコールUK(CCP-UK)試験(ISARICコロナウイルス臨床的特徴評価コンソーシアム[ISARIC-4C]が実施)。2020年2月6日から同年5月20日の間に登録した患者コホートでモデルを訓練し、2020年5月21日から同年6月29日の間に登録した2つ目のコホートで検証した。 【参加者】最終データ抽出の4週間以上前にCOVID-19のため入院した18歳以上の患者。 【主要評価項目】院内死亡。 【結果】3万5463例(死亡率32.2%)を派生データ、2万2361例(死亡率30.1%)を検証データとした。最終的な4C死亡スコアには、病院での初期評価で容易に得られる8項目(年齢、性別、併存疾患数、呼吸数、末梢酸素飽和度、意識レベル、尿素値およびC反応性タンパク)を用いた(スコア0~21点)。4Cスコアは、死亡の識別能が高く(派生コホート:ROC曲線下面積0.79、95%CI 0.78~0.79;検証コホート:同0.77、0.76~0.77)、較正も良好であった(検証コホートのcalibration-in-the-large:0、calibration-slope:1.0)。スコア15点以上の患者(4158例、19%)の死亡率が62%(陽性的中率62%)であったのに対して、スコア3点以下の患者(1650例、7%)の死亡率は1%(陰性的中率99%)であった。識別能は、既存の15種類のリスク層別化スコア(ROC曲線下面積0.61~0.76)よりも高く、COVID-19コホートで開発した他のスコアも識別能が低いものが多かった(範囲0.63~0.73)。 【結論】簡便なリスク層別化スコアを開発し、通常の病院受診時に得られる変数に基づいて検証した。4C死亡スコアは既存のスコアより優れており、臨床上の意思決定に直ちに応用できる有用性が示され、COVID-19入院患者を各管理グループに層別化するのに用いることができる。このスコアをさらに詳細に検証し、他の集団にも応用できるか明らかにする必要がある。 第一人者の医師による解説 一定の外的妥当性はあるが 異なる医療環境での適用は慎重に 加藤 康幸 国際医療福祉大学成田病院感染症科部長 MMJ. August 2021;17(4):106 2019年末以来、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は世界中の国や地域が直面している公衆衛生上の緊急事態である。患者に対する医療はパンデミックにおける社会安定の基盤であり、限られた医療資源を多数の患者に有効に配分するため、臨床判断に役立つ予後予測ツールが求められてきた。 英国(北アイルランドを除く)の260病院が参加した本研究では、2020年2月6日~5月20日に入院したCOVID-19の成人患者35,463人(院内死亡率32.2%)について、事前に設計されたプロトコール(ISARIC-4C)に従って収集された41項目の情報が調査された。機械学習の手法を取り入れた解析により、入院時の8変数(年齢、性別、併存症 の 数、呼吸数、末梢血酸素飽和度、意識状態[Glasgow Coma Scaleスコア]、尿素窒素値、C反応性蛋白値)が死亡リスク関連因子として抽出された。連続変数にはカットオフ値を設けて、実用的な予後予測スコアが開発された(The 4C Mortality Score:0~21点)。 これを2020年5月21日~6月29日に入院し た 成人患者22,361人(院内死亡率30.1 %)を対象に検証したところ、ROC(受信者動作特性曲線)下面積は0.79(95 % 信頼区間 , 0.78~0.79)と良好な値を示した。スコア15点以上の院内死亡率は62%であったが、3点以下では1%であった。予測パフォーマンスは、市中肺炎や敗血症、COVID-19に関する既存の予後予測スコア(SOFA(*)、CURB65、A-DROPなど15種類)より優れていた。 COVID-19に対する有効な薬物療法は現時点で限られるため、医療環境や変異株の出現により、入院患者の予後が大きく左右される可能性がある。このため、本スコアを異なる国や地域、流行時期に単純に当てはめることには慎重であるべきであろう。しかし、すでにフランスやイタリアなどにおいて、本スコアの有用性が報告されていることから、一定の外的妥当性があると考えられる。 研究を主導したInternational Severe Acute Respiratory Infection Consortium(ISARIC)は2009パンデミックインフルエンザの経験を踏まえて、新興感染症の臨床的課題に取り組むことを目的に英国で設立された団体である。大規模な症例数を迅速に解析した本研究には、優れたビジョンと長年の準備があったことに学ぶべきことは多い。 *sequential organ failure assessment
COVID-19患者の退院6カ月後の転帰 コホート研究
COVID-19患者の退院6カ月後の転帰 コホート研究
6-month consequences of COVID-19 in patients discharged from hospital: a cohort study Lancet. 2021 Jan 16;397(10270):220-232. doi: 10.1016/S0140-6736(20)32656-8. Epub 2021 Jan 8. 原文をBibgraph(ビブグラフ)で読む 上記論文の日本語要約 【背景】COVID-19の長期的な健康上の影響は、大部分が明らかになっていない。この研究の目的は、COVID-19患者の退院後の長期的な健康転帰を評価し、危険因子、特に疾患重症度関連のものを検討することであった。 【方法】2020年1月7日から5月29日の間に金銀潭病院(中国・武漢市)を退院したCOVID-19患者を対象に、前後両方向コホート研究を実施した。追跡調査前に死亡した患者、精神病性障害、認知症、再入院のため追跡調査ができなかった患者、骨関節症を合併し自由に動けない患者、脳卒中や肺塞栓症などの疾患により退院前後に動けなかった患者、試験への参加を拒否した患者、連絡が取れなかった患者、武漢市以外の地域に居住している患者や介護施設または福祉施設に居住している患者を除外した。全例に一連の質問票を用いた問診で症状および健康関連QOLを評価し、身体診察、6分間歩行テスト、血液検査を実施した。入院中に評価した7段階重症度尺度の最高点3点、4点、5~6点で層別化した手順を用いて、患者から検体を採取し、肺機能検査、胸部の高解像度CT、超音波検査を実施した。Lopinavir Trial for Suppression of SARS-CoV-2 in Chinaに参加した患者には、SARS-CoV-2抗体検査を実施した。多変量調整線形回帰モデルまたはロジスティック回帰モデルを用いて、重症度と長期的な健康転帰の関連を評価した。 【結果】退院したCOVID-19患者2469例から736例を除外し、計1733例を組み入れた。参加者の年齢中央値は57.0歳(IQR 47.0~65.0)であり、897例(52%)が男性であった。追跡調査は2020年6月16日から9月3日の間に実施し、発症後の追跡期間中央値は186.0日(175.0~199.0)日であった。よく見られた症状に、疲労または筋力低下(63%、1655例中1038例)、睡眠障害(26%、1655例中437例)があった。患者の23%(1617例中367例)から不安または抑うつが報告された。6分間歩行距離の中央値が正常範囲下限以下であった患者の割合は、重症度尺度3点の患者24%、4点の患者22%、5~6点の患者29%であった。これに対応する肺拡散障害の割合はそれぞれ22%、29%、56%であり、CTスコア中央値はそれぞれ3.0(IQR 2.0~5.0)、4.0(3.0~5.0)、5.0(4.0~6.0)であった。多変量調整後の重症度尺度3点と比較したオッズ比(OR)は、肺拡散障害で4点1.61(95%CI 0.80~3.25)、5~6点4.60(1.85~11.48)、不安または抑うつで4点0.88(0.66~1.17)、5~6点1.77(1.05~2.97)、筋力低下で4点0.74(0.58~0.96)、5~6点2.69(1.46~4.96)であった。追跡調査時に血中抗体検査を実施した94例の血清陽性率(96.2% vs. 58.5%)および中和抗体の力価中央値(19.0 vs. 10.0)は、急性期(入院時)に比べると著しく低かった。急性期に急性腎障害がなく推定糸球体濾過量(eGFR)が90mL/分/1.73m^2以上であった822例のうち、107例で追跡調査時のeGFRが90mL/分/1.73m^2未満であった。 【解釈】COVID-19生存者に、急性感染後6カ月時、主に疲労または筋力低下、睡眠障害、不安または抑うつ傾向が認められた。入院中の重症度が高かった患者は、肺拡散障害や胸部画像所見異常の重症度が高く、長期回復のための介入の主な対象者となる。 第一人者の医師による解説 6カ月後にも疲労・筋力低下、睡眠障害、不安・抑うつが残存 重症患者は回復後も介入が必要 葉 季久雄 平塚市民病院救急科・救急外科部長 MMJ. August 2021;17(4):105 2021年7月9日時点で、日本での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者数は累計でおよそ81万人、回復者数は78万人、死亡者数は1万5,000人である(厚生労働省統計)。COVID-19回復後に続く後遺症はLong COVIDと称され、臨床家の注目を集めている。 本論文は、中国武漢市金銀潭病院を退院したCOVID-19患者1,733人を対象とした、発表時点で対象者数が最大かつ追跡期間が最長の前後両方向コホート研究の報告である。目的は退院患者の経過から残存症状を記述し危険因子を探ること、抗SARS-CoV-2抗体価の推移など肺外臓器機能の評価である。すべての対象患者に面接、診察、6分間徒歩テスト、血液検査、さらに7段階の重症度分類(#)で抽出した一部の患者に肺機能検査、高解像度胸部 CT、超音波検査が実施された。なお、抗体検査はロピナビルの臨床試験(LOTUS)参加者94人のみに行われた。 患者背景は、年齢中央値57歳、男性52%、観察期間中央値は発症後186日であった。患者のうち68%が入院中に酸素投与を必要とし、7%は高流量酸素療法(HFNC)、非侵襲的陽圧換気(NIV)または侵襲的機械換気(IMV)を必要とした。4%が集中治療室での治療を受けた。入院期間の中央値は14日であった。 発症6カ月後の主な残存症状は、疲労・筋力低下(63%)、睡眠障害(26%)、不安・抑うつ(23%)であった。1つ以上の症状を有した患者は76%で、女性の割合が高かった。重症度スケール 3の患者と比較し、重症度スケール 5~6の患者が発症6カ月後に何らかの症状を有するオッズ比は2.42(P<0.05)であった。肺拡散障害、不安・抑うつ、疲労・筋力低下のオッズ比は、スケール 5~6の患者はスケール 3の患者に比べ、それぞれ4.60(P=0.0011)、1.77(P=0.031)、2.69(P=0.0015)であった。女性は男性と比較し、それぞれ2.22(P=0.0071)、1.80(P<0.0001)、1.33(P=0.016)のオッズ比を示した。発症6カ月後、急性期と比較し、血清抗体陽性率は96.2%から58.5%へと低下し、中和抗体抗体価の中央値は19.0から10.0に低下していた。 本研究は、重症患者、女性患者は回復後も多彩な症状が残存し、治療介入を要することを示していた。退院が治療の終了ではなく、退院後も適切なフォローアップが必要である。中和抗体は発症6カ月後には減少しており、回復後の患者にも再感染のリスクがあることを念頭におく必要がある。COVID-19回復後の長期経過の全容解明には、より大規模で、より長期間に及ぶ追跡調査が求められる。 #脚注)重症度スケールの定義:スケール 6= 入院して ECMO、IMV もしくはその両方を要した。スケール 5= 入院して HFNC、NIV もしくはその両方を要した。スケール 3= 入院したが酸素投与は要さなかった。
米国の新型コロナウイルス感染症入院患者の死亡予防に用いる予防的抗凝固療法の早期開始:コホート研究
米国の新型コロナウイルス感染症入院患者の死亡予防に用いる予防的抗凝固療法の早期開始:コホート研究
Early initiation of prophylactic anticoagulation for prevention of coronavirus disease 2019 mortality in patients admitted to hospital in the United States: cohort study BMJ. 2021 Feb 11;372:n311. doi: 10.1136/bmj.n311. 原文をBibgraph(ビブグラフ)で読む 上記論文の日本語要約 【目的】予防的抗凝固療法の早期開始によって、米国で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のため入院した患者の死亡リスクが低下するかを評価すること。 【デザイン】観察コホート研究。 【設定】大規模な全国統合保健制度、退役軍人省の下で治療を受けている患者の全国コホート。 【参加者】2020年3月1日から7月31日までの間に検査で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染が確定し、抗凝固薬服用歴がない全入院患者4,297例。 【主要評価項目】主要評価項目は30日死亡率とした。死亡率、抗凝固薬による治療開始(血栓塞栓事象などの臨床的悪化の代用)および輸血を要する出血を副次評価項目とした。 【結果】COVID-19で入院した患者4,297例のうち3,627例(84.4%)が入院から24時間以内に予防的抗凝固療法を受けた。治療した患者の99%以上(3,600例)にヘパリンまたはエノキサパリンを皮下投与していた。入院から30日以内に622例が死亡し、そのうち513例が予防的抗凝固療法を受けていた。死亡のほとんど(622例中510例、82%)が入院中に発生した。逆確率重み付け解析を用いると、30日時の累積死亡率は、予防的抗凝固療法を受けた患者で14.3%(95%CI 13.1~15.5%)、予防的抗凝固療法を受けなかった患者で18.7%(15.1~22.9%)であった。予防的抗凝固療法を受けなかった患者と比べると、予防的抗凝固療法を受けた患者は30日死亡リスクが27%低かった(ハザード比0.73、95%CI 0.66~0.81)。入院中の死亡および抗凝固薬による治療開始にも同じ関連が認められた。予防的抗凝固療法に輸血を要する出血リスク上昇との関連は見られなかった(ハザード比0.87、0.71~1.05)。定量的バイアス解析から、結果が未測定の交絡に対しても頑強であることが示された(30日死亡率の95%CI下限のe-value 1.77)。感度解析の結果も一致していた。 【結論】COVID-19入院患者に対して早期に予防的抗凝固療法を開始すると、抗凝固薬を投与しなかった患者と比べて30日死亡率が低下し、重篤な出血事象リスクの上昇も見られなかった。この結果は、COVID-19入院患者の初期治療に予防的抗凝固療法を推奨するガイドラインを支持する実臨床の強力な科学的根拠を示すものである。 第一人者の医師による解説 軽症入院例では血栓症の合併は少ない 使用される薬剤や人種差にも注意 射場 敏明 順天堂大学大学院医学研究科救急・災害医学教授 MMJ. October 2021;17(5):139 本論文で報告された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者を集積した米国のコホート研究によれば、入院24時間以内に予防量ヘパリンによる抗凝固療法を開始した場合、抗凝固療法を実施しない場合に比べ、30日死亡率が絶対差で4.4%低かった(14.3%[実施群]対18.7%[非実施群];ハザード比、 0.73;95%信頼区間、 0.66?0.81)。一方、出血性有害事象に関しては有意差が認められなかった。今回の研究では患者全体の84.4%に入院24時間以内に抗凝固療法が開始され、使用された抗凝固薬の99.3%がヘパリン製剤(エノキサパリン 69.1%、ヘパリン 30.2%)*であった。死亡の大多数は院内死亡であった。 本研究は退役軍人を対象として実施された全国規模の後方視的コホート研究で、集積 COVID-19患者数は総計11万人を超え、この中からマッチングで選ばれた4,297人において比較が行われている。このような観点からは、実臨床に基づいた研究結果とすることができるが、やはり観察研究であるため治療による転帰の改善という因果関係を検証したものではない。しかし米国では予防的抗凝固療法が8割以上の患者に実施されていることを考えると、非治療群を設定した無作為化対照試験の実施はいまさら困難であることも理解できる。この背景としては、COVID-19では高率に血栓症の合併がみられること、また肺微小循環における血栓形成が呼吸機能の悪化に関わっていることが以前から指摘され(1)、国際血栓止血学会(ISTH)をはじめとして主要な国際機関が早々に予防的抗凝固療法の重要性を啓蒙してきたことなどが挙げられる(2)。よってCOVID-19入院患者に対するヘパリン療法は、基本的に実施が前提であり、研究に関してはすでに予防量と治療量の比較に視点が移っていることは否めない。ちなみに、治療量の有用性は複数の無作為化対照試験で評価されているが、今のところ予防量に比べ明らかな有用性はみられないとする結果が多いようである(3)。一方、今回の研究結果を本邦で解釈するにあたっては、使用される薬剤の種類や人種差などいくつかの点に注意する必要があるが、特に気をつける必要があるのは、海外においては入院の対象になるのは基本的に中等症以上であり、日本のように軽症例が入院することはないという点である。軽症入院例では血栓症の合併は少なく、抗凝固療法のメリットは少ないことは念頭に置いておく必要があるだろう。 * 予防量として、ヘパリン 5,000 ユニット、1 日 2 回または 3 回皮下投与、エノキサパリン 40mg1 日 1 回または 30mg1 日 2 回皮下投与 1. Iba T, et al. J Thromb Haemost. 2020;18(9):2103-2109. 2. achil J, et al. J Thromb Haemost. 2020;18(5):1023-1026. 3. Leentjens J, et al. Lancet Haematol. 2021;8(7):e524-e533.
中国・武漢の抗SARS-CoV-2抗体血清陽性率と体液性免疫の持続性:住民対象長期横断研究
中国・武漢の抗SARS-CoV-2抗体血清陽性率と体液性免疫の持続性:住民対象長期横断研究
Seroprevalence and humoral immune durability of anti-SARS-CoV-2 antibodies in Wuhan, China: a longitudinal, population-level, cross-sectional study Lancet. 2021 Mar 20;397(10279):1075-1084. doi: 10.1016/S0140-6736(21)00238-5. 原文をBibgraph(ビブグラフ)で読む 上記論文の日本語要約 【背景】武漢市は、中国で発生したCOVID-19大流行の中心地であった。著者らは、武漢市民の抗SARS-CoV-2抗体の血清陽性率と動態を明らかにし、ワクチン接種対策に役立てることを目的とした。 【方法】この長期横断研究では、多段階の人口層別型クラスター無作為標本抽出法を用いて、武漢市内13地区100地域を系統的に選択した。各地域から系統的に世帯を抽出し、全家族構成員に参加のため地域ヘルスケアセンターに来てもらった。2019年12月1日以降、武漢市に14日以上居住した住民を適格とした。参加に同意した全適格参加者が人口統計学および臨床的データに関するアンケートにオンラインで回答し、COVID-19に伴う症状やCOVID-19診断歴を自己申告した。2020年4月14~15日に免疫検査用に静脈血検体を採取した。血液検体でSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパクに対する汎免疫グロブリン、IgM、IgA、IgG抗体の有無を検査し、中和抗体を評価した。2020年6月11日~13日、10月9日~12月5日に2回連続で追跡調査を実施し、その際に血液検体も採取した。 【結果】無作為に選択した4,600世帯のうち3,599世帯(78.2%)、計9,702例が初回評価のため来院した。3,556世帯9,542例から解析に十分な検体を得た。9,542例のうち532例(5.6%)がSARS-CoV-2に対する汎免疫グロブリン陽性で、この集団の調査開始時データで調整後の血清陽性率は6.92%(95%CI 6.41~7.43)であった。汎免疫グロブリンが陽性であった532例のうち437例(82.1%)が無症状であった。調査開始時、この532例のうち69例(13.0%)がIgM抗体陽性、84例(15.8%)がIgA抗体陽性、532例(100%)がIgG抗体陽性、212例(39.8%)が中和抗体陽性であった。汎免疫グロブリンが陽性で、4月に中和抗体が陽性を示した参加者の割合は、2回の経過観察の来院でも一定であった(2020年6月は363例中162例[44.6%]、2020年10~12月は454例中187例[41.2%])。全3回の調査に参加し汎免疫グロブリンが陽性であった335例のデータでは、調査期間中に中和抗体値の有意な減少は認められなかった(中央値:ベースライン1/5.6[IQR 1/2.0~1/14.0] vs 初回追跡調査1/5.6[1/4.0~1/11.2]、P=1.0、2回目追跡調査1/6.3[1/2.0~1/12.6]、P=0.29)。しかし、無症候性症例の方が確定症例や症候例症例よりも中和抗体価が低かった。時間の経過とともにIgG抗体価が低下したが、IgG抗体保有者の割合は大きく減少しなかった(確定症例でベースライン30例中30例[100%]から2回目追跡調査時29例中26例[89.7%]に減少、症候性症例で65例中65例[100%]から63例中58例[92.1%]に減少、無症候症例で437例中437例[100%]から362例中329例[90.9%]に減少)。 【解釈】武漢市の横断的標本の6.92%でSARS-CoV-2抗体が産生され、そのうち39.8%が中和抗体を獲得した。液性応答に関する耐久性データから、集団免疫を獲得し流行の再燃を防ぐには大規模ワクチン接種が必要であることが示唆される。 第一人者の医師による解説 流行収束後もワクチンによる集団免疫を付けることが 再流行を防ぐために必須 森内 浩幸 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科小児科学教授 MMJ. October 2021;17(5):138 本論文の著者らは、中国における流行の中心であった武漢において経時的横断的研究を行い、多段階人口層化集落ランダム抽出法によって系統的に選ばれた世帯の成員に対して、人口統計学的データ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連症状の有無や診断歴を聴取するとともに、2020年4月、6月、および10~12月の間の3回にわたってSARS-CoV-2ヌクレオカプシド蛋白に対する抗体と中和抗体を測定した。 解析の対象となった3,556世帯の9,542人のうち532人(5.6%)が抗体陽性で、調整後の抗体保有率は6.92%(95%信頼区間 , 6.41~7.43)と推定された。陽性者の82.1%は無症状だった。また、抗体陽性者のうち4月の時点で39.8%、6月の時点で44.6%、最後の時点で41.2%が中和抗体も陽性で、その抗体価は期間中ほとんど減衰しなかった。無症状者は有症状者や診断確定者に比べ中和抗体価は低い傾向にあった。 この研究以前にも一般人口におけるSARSCoV-2抗体保有率の調査が行われている。例えばスイスの調査では、5歳以上の一般人口における診断確定例の11.6倍の抗体陽性者がいた(1)。米国の調査では1.0~6.9%の抗体保有率で、これは感染者の報告数の6~24倍に相当した(2)。アイスランドでは人口の0.9%が感染しており、抗体価は4カ月間で減衰しなかった(3)。武漢で以前行われた調査では成人の3.2%が抗体陽性だったが、統計解析のデザインは厳密なものではなかった。 どの地域のどのタイミングで調査が行われるかによって抗体保有率が異なるのは当然だが、一般人口における感染率を正しく捉えられる研究デザインだったか、無症状の感染者の割合がどれくらいだったか、そして抗体価の経時的推移がどうだったかについて、これまでの調査では十分に捉えられていなかった。今回の武漢における研究では、抽出法を工夫して一般人口を反映させ、かつ縦断的にフォローすることで武漢における流行が残した集団免疫の程度を明らかにすることができた。 この研究が意味することは、大きな流行が駆け抜けた地域においても住民の多くは感受性を持ったままであり、再び流行が起こるのを阻止するためにはワクチンによって集団免疫を構築すべきだということだ。また、不顕性感染の割合が非常に高かったことも、予防対策上重要な知見と思われる。 1. Stringhini S, et al. Lancet. 2020;396(10247):313-319. 2. Havers FP, et al. JAMA Intern Med. 2020.;180(12):1576-1586. 3. Gudbjartsson DF, et al. N Engl J Med. 2020;383(18):1724-1734.
抗がん剤治療に用いる中心静脈アクセスデバイス(CAVA試験):無作為化対照試験
抗がん剤治療に用いる中心静脈アクセスデバイス(CAVA試験):無作為化対照試験
Central venous access devices for the delivery of systemic anticancer therapy (CAVA): a randomised controlled trial Lancet. 2021 Jul 31;398(10298):403-415. doi: 10.1016/S0140-6736(21)00766-2. Epub 2021 Jul 21. 原文をBibgraph(ビブグラフ)で読む 上記論文の日本語要約 【背景】中心静脈を介した全身性抗がん剤治療(SACT)の送達に、Hickman型トンネルカテーテル(Hickman)、末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC)、完全埋め込み型ポート(PORT)が使用されている。この3つのデバイスで合併症の発生率とコストを比較し、SACTを受ける患者の受容性、臨床効果および費用効果を明らかにすることを目的とした。 【方法】3つの中心静脈アクセスデバイスを検討する非盲検多施設共同無作為化対照試験(Cancer and Venous Access[CAVA])を実施し、PICCとHickman(非劣性マージン10%)、PORTとHickman(優越性マージン15%)、PORTとPICC(優越性マージン15%)を比較した。英国内18カ所の腫瘍内科で、固形がんまたは血液がんのためSACT(12週以上)を受ける成人(18歳以上)を対象とした。無作為化の選択肢を4つ用意し、ヒックマン、PICC、PORT(2対2対1)、PICCとヒックマン(1対1)、PORTとヒックマン(1対1)、PORTとPICC(1対1)をそれぞれ比較することとした。最小化アルゴリズムで施設、BMI、がん種、デバイス使用歴、治療モードで層別化し、無作為化による割り付けを実施した。主要評価項目は、合併症の発生率(感染症、静脈血栓症、肺塞栓、血液吸引不能、機械的不具合、その他の複合)とし、デバイスの除去、試験からの離脱または1年後の追跡調査まで評価した。この試験はISRCTNに登録されている(ISRCTN44504648)。 【結果】2013年11月8日から2018年2月28日までに、適格性をスクリーニングした2,714例のうち1,061例を登録し、無作為化により該当する1つまたは複数の比較に割り付けた(PICCとHickmanの比較計424例、PICC 212例[50%]とHickman 212例[50%];PORTとHickmanの比較計556例、PORT 253例[46%]とHickman 303例[54%];PORTとPICCの比較計346例、PORT 147例[42%]、PICC 199例[58%])。PICC(212例中110例[52%])とHickman(212例中103例[49%])の合併症発生率がほぼ同じであった。観察された差は10%未満であったが、検出力が不十分であった可能性があるため、PICCの非劣性は確認されなかった(オッズ比[OR]1.15[95%CI 0.78~1.71])。PORTのHickmanに対する優越性が示され、合併症発生率が29%(253例中73例)と43%(303例中131例)であった(OR 0.54[95%CI 0.37~0.77])。PORTのPICCに対する優越性が示され、合併症発生率が32%(147例中47例)と47%(199例中93例)であった(OR 0.52[95%CI 0.33~0.83])。 【解釈】SACTを受ける患者のほとんどで、PORTがHickmanおよびPICCよりも有効かつ安全である。この結果から、英国National Health Serviceで、固形がんでSACTを受ける患者のほとんどが、PORTを使用すべきであることが示唆される。 第一人者の医師による解説 埋め込み型ポートが推奨されるが英国と日本では臨床背景が異なる点に留意 冲中 敬二 国立がん研究センター東病院感染症科科長・中央病院造血幹細胞移植科医員(併任) MMJ. February 2022;18(1):15 外来化学療法において、埋め込み型ポートは非常に重要な役割を果たしている。本論文は、比較的長期間使用する中心静脈アクセスデバイスである埋め込み型ポート(PORT)、トンネル型(Hickman)、末梢挿入型 (PICC)を3種類の2群間比較で評価した英国のCAVA試験の報告である(詳細版1)。これらデバイスを直接比較した無作為化試験はなく、どのアクセスを選択するか悩む際の参考となる。 CAVA試験には12週以上の抗がん剤治療(各群内訳:固形腫瘍87~97 %、血液腫瘍3~13 %)が予定されている18歳以上の患者1,061人が登録された。主要評価項目は合併症(デバイス関連感染症、静脈血栓症、ルートのつまり、故障など)の発生率であった。留置期間中央値はPICC 115日前後、Hickman 160日前後、PORT 380日前後であった。PORTの挿入は放射線科医によるものが多く(59~78%)、14~18%に予防的抗菌薬が使用された。一方 PICCの多く(67~73%)は看護師が挿入しており予防的抗菌薬の使用は2%以下であった。合併症の発生率はPICCとHickmanでは43~52%で同程度であったが、PORTでは30%前後と低かった。デバイス特異的な生活の質(QOL)はPORTが最も良好で、PICCとHickmanの間には差がなかった。総費用はPICC・PORT< Hickmanで、週当たりの費用でも同様であった。PICCとPORTの比較では総費用はPORTが高く、週当たりの費用はPICCが高かったが、後者に有意差はなかった。PORT(n=147)とPICC(n=199)の 直接比較では、挿入時の合併症はいずれも少なかった(PICC4%、PORT 0%)。PORTではカテーテル・週当たりの合併症件数が0.05であったがPICCでは0.13と多く、合併症による抜去(24% 対 38%)や静脈血栓症(2% 対 11%)の頻度もPICCが高かった。感染症の合併頻度はPORTの方が高かったが(12%vs 8%)、カテーテル・週当たりではいずれも0.02件と差はなかった。これらの結果を踏まえ、3カ月以上抗がん剤治療を受ける多くの固形がん患者ではPORTを利用すべきである、と著者らは結論している。 このような研究での課題として、問題が起きた場合に簡単に抜去できるか否かという点がある。また、今回の試験では挿入時合併症が非常に少なかったことから、処置に慣れた医療者が挿入したと考えられるが、特にPORT挿入に慣れていない医療者では動脈穿刺や気胸など挿入時の安全性も考慮する必要がある。なお、本試験ではPICCの90%以上が外来管理され、かつ大半を看護師が挿入している(研究期間中に英国で看護師によるPICCサービスが拡充された)など、日本の一般診療とは異なる点があり、今回のデータをそのまま日本に適用するのは難しい。 1. Wu O, et al. Health Technol Assess. 2021;25(47):1-126.
2017年の米国の老人介護施設にみられる抗菌薬の使用
2017年の米国の老人介護施設にみられる抗菌薬の使用
Antimicrobial Use in a Cohort of US Nursing Homes, 2017 JAMA. 2021 Apr 6;325(13):1286-1295. doi: 10.1001/jama.2021.2900. 原文をBibgraph(ビブグラフ)で読む 上記論文の日本語要約 【重要性】抗菌薬耐性の制御が公衆衛生の優先事項であるが、米国の老人介護施設での抗菌薬使用に関するデータが少ない。 【目的】老人介護施設入居者の抗菌薬使用割合を評価し、抗菌薬の種類と頻度の高い適応症を記載すること。 【デザイン、設定および参加者】2017年4月から2017年10月までに実施した抗菌薬使用に関する横断的な1日点有病率調査。最終調査日が2017年10月31日であった。新興感染症プログラム(EIP)に参加する10州から選定した161の老人介護施設に調査日時点で入居していた入居者15,276例を対象とした。EIPのスタッフが施設の記録を確認し、入居者のデータおよび調査時に投与されていた抗菌薬に関するデータを収集した。施設のスタッフやNursing Home Compareウェブサイトから施設に関するデータを入手した。 【曝露】調査時点で参加施設に居住。 【主要評価項目】調査対象を入居者総数で除した、調査時に抗菌薬を投与していた入居者数と定義した入居者100人当たりの抗菌薬使用割合。抗菌薬使用の多変量ロジスティック回帰モデルおよび各分類内の薬剤の割合。 【結果】対象とした老人介護施設の入居者15,276例(平均[SD]年齢77.6歳[13.7]、女性9,475例[62%])のうち、96.8%から完全なデータを入手した。全体の抗菌薬使用割合は、入居者100人当たり8.2(95%CI、7.8~8.8)であった。調査前30日以内に施設へ入居した入居者の抗菌薬使用率が高く(入居者100人当たり18.8;95%CI、17.4~20.3)、この入居者は中心静脈カテーテル(62.8;95%CI、56.9~68.3)または尿道カテーテル(19.1;95%CI、16.4~22.0)を留置している割合が高かった。抗菌薬は活動性感染症(77%[95%CI、74.8-79.2])に用いられることが最も多く、主に尿路感染症(28.1%[95%CI、15.5-30.7])の治療が理由であった。一方、18.2%(95%CI、16.1~20.1)が予防的投与であり、尿路感染症に対する投与が最も多かった(40.8%[95%CI、34.8~47.1])。フルオロキノロン系抗菌薬(12.9%;95%CI、11.3~14.8)が最も多く使用され、使用された抗菌薬の33.1%(95%CI、30.7~35.6)が広域スペクトラム抗菌薬であった。 【結論および意義】2017年に米国の老人介護施設で実施した横断的調査では、抗菌薬使用割合が入居者100人当たり8.2であった。この試験から、老人介護施設の入居者にみられる抗菌薬の使用パターンに関する情報が得られる。 第一人者の医師による解説 抗菌薬適正使用の指針や評価の検討のため介入前後の調査を繰り返し実施すべき 塩塚 美歌(医員)/岩田 敏(部長) 国立がん研究センター中央病院感染症部 MMJ. February 2022;18(1):22 近年、薬剤耐性菌対策は公衆衛生における重大な優先事項となり、抗菌薬適正使用の必要性が認識されている。一方で米国の療養施設(nursing home)は、長期療養目的だけでなく、リハビリテーション、創傷ケア、デバイス管理などを要する患者が急性期後治療を目的に入所しており、耐性菌の保菌や感染症発症のリスクが高く、耐性菌の温床となりうることが懸念されている。 本論文では、米国内161カ所の療養施設の入所者を対象に、2017年4月~10月のある1日における各施設での抗菌薬使用状況について調査した横断研究(点有病率調査)の結果を報告している。対象施設はカリフォルニア、ニューヨークなど10州で各々選択された地域にある公的医療保険認定施設の中から無作為に選ばれた。主要評価項目は入所者100人ごとの抗菌薬使用率である。対象者15,276人(平均年齢77.6歳、女性62%)のうち、1,258人(プール平均8.2%)に1,454剤の抗菌薬全身投与(経口、経消化管、筋肉内、静脈内、吸入のいずれかの経路)が行われており、そのうち1,082人(86%)で1種類、158人(12.6%)で2種類、18人(1.5%)で3または4種類の抗菌薬が投与されていた。使用率が最も高かったのは、急性期後治療目的の短期入所者、入所から間もない者やデバイス留置者であった。中でも、調査日前2日以内の入所者での使用率は21.0%と高かった。デバイスの中では、中心静脈カテーテル留置中の使用率が最も高く、調整オッズ比は11.1(95% CI, 8.5~14.5)であった。抗菌薬の80.4%は経口または経消化管投与、77.0%は感染症治療の目的で投与され(内科的予防投与18.0%)、適応症は29.0%が 尿路感染症、21.4 %が 皮膚軟部組織感染症、14.9%が呼吸器感染症であった。抗菌薬のクラスはニューキノロンが12.9%と最も多く、33.1%が広域抗菌薬であった。 同様の調査は各国で行われており、最近の欧州の長期療養施設における抗菌薬使用率は4.9%と報告されている1。また日本の介護老人保健施設における2019年の調査2では、調査票に回答した126施設(有効回収率8.4%)における入所者総数10,148人中、抗菌薬使用者は172人(1.7%)であり、肺炎、尿路感染症、蜂窩織炎の治療で第3世代セファロスポリン、キノロンが選択される傾向が認められた。施設の特徴の差や調査条件の違いなどを考慮すると、国際間での単純な比較は難しいが、これらの調査は抗菌薬適正使用推進活動で優先すべき介入事項の検討や、介入後の効果測定に不可欠な情報が得られるものであり、繰り返し実施されるべきである。 1. Ricchizzi E, et al. Euro Surveill. 2018;23(46):1800394. 2. 薬剤耐性(AMR)アクションプランの実行に関する研究班 . http://amr.ncgm.go.jp/pdf/20191125_report.pdf(2021 年 12 月アクセス)
発熱がない尿路感染症男性に用いる7日間と14日間の抗菌薬治療の症状消失に対する効果の比較:無作為化臨床試験
発熱がない尿路感染症男性に用いる7日間と14日間の抗菌薬治療の症状消失に対する効果の比較:無作為化臨床試験
Effect of 7 vs 14 Days of Antibiotic Therapy on Resolution of Symptoms Among Afebrile Men With Urinary Tract Infection: A Randomized Clinical Trial JAMA. 2021 Jul 27;326(4):324-331. doi: 10.1001/jama.2021.9899. 原文をBibgraph(ビブグラフ)で読む 上記論文の日本語要約 【重要性】一般的な感染症の最適な治療期間を明らかにすることが、抗菌薬の効果を維持するための重要な戦略である。 【目的】発熱がない男性の尿路感染症(UTI)の治療にシプロフロキサシンまたはトリメトプリム/スルファメトキサゾールを使用する場合、7日間の治療が14日間の治療に対し非劣性であるかを明らかにする。 【デザイン、設定および参加者】米国退役軍人省の2つの医療センターで、症候性UTIと推定された発熱のない男性にシプロフロキサシンまたはトリメトプリム/スルファメトキサゾールを投与した無作為化二重盲検プラセボ対照非劣性試験(2014年4月から2019年12月にかけて登録;最終追跡日2020年1月28日)。適格男性1058例中272例を無作為化した。 【介入】担当医が処方した抗菌薬を7日間継続したのち、参加者を無作為化により8~14日目に抗菌薬治療を継続するグループ(136例)とプラセボを投与するグループ(136例)に割り付けた。 【主要評価項目】主要評価項目は、実際の抗菌薬治療終了から14日後までのUTI症状消失とした。非劣性マージンを10%とした。主解析にはas-treated集団(28回中26回以上服薬し、連続未服薬が2回以下の参加者)を用いた。治療のアドヒアランスに関係なく無作為化した全患者を副次解析の対象とした。試験薬投与中止後28日以内のUTI症状再発または有害事象を副次評価項目とした。 【結果】無作為化した272例(年齢中央値[四分位範囲]69[62~73]歳)のうち、100%が試験を完了し、254例(93.4%)をas-treated集団として主解析の対象とした。7日群の131例中122例(93.1%)および14日群の123例中111例(90.2%)に症状の消失が認められ(差2.9%[片側97.5%CI -5.2%~∞])、非劣性の基準を満たした。無作為化した患者を対象とした副次解析では、7日群の136例中125例(91.9%)および14日群の136例中123例(90.4%)に症状の消失が認められた(差、1.5%[片側97.5%CI -5.8%~∞])。7日群の131例中13例(9.9%)および14日群の123例中15例(12.9%)にUTI症状再発が認められた(差、-3.0%[95%CI -10.8~6.2%];P=0.70)。7日群の136例中28例(20.6%)および14日群136例中33例(24.3%)に有害事象が発現した。 【結論および意義】発熱はないがUTIが疑われる男性に対するシプロフロキサシンまたはトリメトプリム/スルファメトキサゾールの7日間投与が、抗菌薬治療後14日目までのUTI症状消失で14日間投与に対し非劣性であった。この結果は、発熱がない男性のUTI治療に用いるシプロフロキサシンまたはトリメトプリム/スルファメトキサゾールの14日間投与の代案として7日間投与を支持するものである。 第一人者の医師による解説 短期間でも効果は劣らないが白人の高齢者が多いなどさまざまな前提条件に留意 石倉 健司 北里大学医学部小児科学主任教授 MMJ. February 2022;18(1):21 さまざまな感染症で、抗菌薬投与は従来から行われているより短期間でも有効であることが示されている。しかし男性の無熱性尿路感染症に対する同様の検討は行われておらず、短期間投与の有効性が示されれば、特にグラム陰性菌に対する抗菌薬使用量の減少に寄与することが期待される。そこで本論文の著者らは、これらの患者を対象に米国の2つの退役軍人病院で、抗菌薬の7日間と14日間投与の非劣性検証デザインによる無作為化プラセボ対照試験を計画した。 試験方法はpragmaticであり、対象者は無熱性尿路感染症に対してすでに臨床的診断のもとにシプロフロキサシンまたはトリメトプリル /スルファメトキサゾールによる治療が開始されている男性患者の中から登録された。尿路感染症は症状により診断され、尿培養は推奨されているが必須でなかった。対象者は8日以降の治療に関して、すでに使用されている抗菌薬の継続群もしくはプラセボ投与群に無作為に割り付けられた。主要評価項目は治療遵守群における抗菌薬投与終了14日後の症状改善率とされ、非劣性マージンは効果の差10%以内と設定された。 計画では290人の登録が必要であったが、実際には272人が無作為化された(各群136人)。年齢中央値は各群とも70歳、白人は79%(7日治療群)と78%(14日治療群)、間歇的カテーテル使用は18%と17%、糖尿病の合併率は34%と44%、最も頻度の高い症状はともにdysuriaで68%と65%であった。主要評価項目である抗菌薬終了14日後の症状消失(治療遵守例254人で評価)は、7日治療群で93.1%、14日治療群で90.2%(群間差 ,2.9%;95% CI, -5.2%~∞)であり、事前に定めた非劣性の定義を満たしていた。272人全体での評価、試験終了後14日後での評価などでも結果は変わらなかった。有害事象でも大きな差はなかった。以上から、男性無熱性尿路感染症の症状改善効果に関して、抗菌薬の7日間投与は14日間投与に対して非劣性であることが示された。 本試験の結果に関しては、さまざま前提条件に留意することが必要である。すなわち、米国における白人の男性退役軍人を主な対象にしていること、糖尿病合併が多いこと、抗菌薬が2剤に限られていることなどである。一方、試験の実施には学ぶ点が多い。Pragmaticなことに加え、study personnelの協力の下、データベースから患者候補をリストアップして積極的に患者にアプローチして登録している。さらに電話、メールに加え、状況によっては実際に患者宅に訪問するなど、その後の進捗管理も整備されている。日本での臨床試験の実施においても、大いに参考にしたい。
血液内科 Journal Check Vol.20(2022年10月14日号)
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