ライブラリー 日本人血液悪性腫瘍患者に対する局所管理ハイドロゲル創傷被覆・保護材の有効性
公開日:2024年5月24日
Fukutani T, et al. BMC Oral Health. 2024; 24: 522.
エピシル®︎は口腔内病変の被覆および保護を目的とする非吸収性の液状機器である。いくつかの研究において、頭頸部がん患者に対する有効性が報告されているが、血液悪性腫瘍患者への使用に関する報告はほとんどない。広島大学の福谷 多恵子氏らは、急性骨髄性白血病(AML)、悪性リンパ腫、急性リンパ性白血病(ALL)、多発性骨髄腫(MM)、骨髄異形成症候群(MDS)患者における口腔粘膜の治療に対するエピシル®︎の有効性を評価するため、本研究を実施した。BMC Oral Health誌2024年5月3日号の報告。
対象は、2018年5月〜2019年3月に広島赤十字・原爆病院で口腔粘膜の治療のためにエピシル®︎を使用したAML、悪性リンパ腫、ALL、MM、MDS患者37例。口腔粘膜炎の重症度を評価するため、37例中22例にインタビューを実施した。有害事象の客観的な評価には、有害事象共通用語規準(CTCAE)v3.0を用いた。口腔粘膜炎の影響を主観的に評価するため、独自の評価プロトコルを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・37例中31例(84%)は、エピシル®︎の使用が「非常に良い」または「良い」と回答した。
・さらに、22例中7例(19%)では、エピシル®︎使用後に粘膜炎の重症度の軽減が認められた。とくに複数の部位に粘膜炎を有する患者で顕著であった。
・患者評価では、疼痛の軽減、言語機能の改善、摂食機能の改善が報告された。
・粘膜炎がグレード3以上の患者は、グレード2の患者と比較し、疼痛、言語機能、摂食機能のより大きな改善が報告された。
著者らは「血液悪性腫瘍患者、とくに複数の部位に口内粘膜炎を有する患者に対する口腔粘膜炎の治療におけるエピシル®︎の有効性が示唆された。エピシル®︎は、疼痛の軽減に加え、言語機能や摂食機能も改善する可能性がある」としている。
(エクスメディオ 鷹野 敦夫)
原著論文はこちら
Fukutani T, et al. BMC Oral Health. 2024; 24: 522.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/38698387
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