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Ph陽性ALLにおける同種HSCT後のTKI維持療法、p190とp210の予後の違いは?
公開日:2025年2月7日
Zhen J, et al. Clin Lymphoma Myeloma Leuk. 2025 Jan 7. [Epub ahead of print]
中国・中山大学附属第一医院のJiayi Zhen氏らは、フィラデルフィア染色体(Ph)陽性急性リンパ性白血病(ALL)における同種造血幹細胞移植(HSCT)後のチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)維持療法が、BCR::ABL融合遺伝子のタイプであるp190とp210患者の再発率および予後に及ぼす影響を分析するため、多施設共同研究を実施した。Clinical Lymphoma, Myeloma & Leukemia誌オンライン版2025年1月7日号の報告。
HSCTを行ったPh陽性ALL患者58例を対象に、臨床データをレトロスペクティブに分析した。すべての対象患者に対し、移植後TKI維持療法を行った。p190群(43例)およびp210群(15例)の臨床的特徴および予後を比較した。
主な結果は以下のとおり。
・臨床的特徴は、両群間で有意な差が認められなかった。
・多変量解析により、T315I変異が移植後の無再発生存期間(RFS)の独立したリスク因子であることが明らかとなった(HR:5.021、95%CI:1.129〜22.300、p=0.034)。
・さらに、1年超のTKI維持療法は、RFSの保護因子であることが確認された(HR:0.315、95%CI:0.115〜0.860、p=0.025)。
・RFS中央値は、p190群で89.4ヵ月、p210群で59.1ヵ月であり、有意な差が認められた(p=0.031)。
・1年超のTKI維持療法を行った患者におけるサブグループ解析では、RFS中央値は、p190群で95.3ヵ月、p210群で90.5ヵ月であり、有意な差は認められなかった(p=0.080)。
著者らは「Ph陽性ALL患者に対するHSCT後のTKI維持療法における予後は、p190群と比較し、p210群で不良であった。しかし、寛解導入療法後の早期HSCTおよび移植後の長期TKI維持療法により、p210群の予後が改善され、p190群と同程度になる傾向が示された」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)
原著論文はこちら
Zhen J, et al. Clin Lymphoma Myeloma Leuk. 2025 Jan 7. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39875277
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