TKI抵抗性・不耐容のCMLに対するポナチニブ vs.アシミニブ
血液内科 Journal Check

TKI抵抗性・不耐容のCMLに対するポナチニブ vs.アシミニブ

公開日:2024年12月13日

Garcia-Gutierrez V, et al. Front Oncol. 2024:14:1455378.
 ガイドラインでは、2剤抵抗性または不耐容の慢性期慢性骨髄性白血病(CML)に対しポナチニブおよびアシミニブが推奨されており、米国においてT315I変異を有するCMLに唯一承認されている薬剤である。また、欧州では、T315I変異を有するCMLには、ポナチニブのみが承認されている。スペイン・アルカラ大学のValentin Garcia-Gutierrez氏らは、第2世代TKI治療抵抗性またはT315I変異を有する慢性期CML患者に対するポナチニブまたはアシミニブによる治療効果を評価するため、マッチング調整間接比較による検討を行った。Frontiers in Oncology誌2024年11月20日号の報告。
 1つ以上の第2世代TKI治療抵抗性またはT315I変異を有する慢性期CML患者を対象にポナチニブまたはアシミニブを評価した臨床試験を、医学文献データベースのシステマテックレビューにより特定した。ポナチニブの患者レベルでのデータを使用したマッチング調整間接比較(MAIC)分析を用いて、ポナチニブとアシミニブのベースライン特定のバランスを調整した。マッチング後、各患者のMAIC重み付けを用いて奏効率を算出し、その差を2つの独立した比率の差z検定を用いて評価した。ベースライン時に奏効していない患者におけるBCR::ABL1IS≦1%および分子遺伝学的大奏効(MMR)の累積率を比較した。対象患者は、T315I変異の有無によりさらに分類した。
主な結果は以下のとおり。
・4試験をMAIC分析に含めた。 ・ベースライン時、BCR::ABL1IS≦1%でない患者では、12ヵ月時点での調整済みBCR::ABL1IS≦1%率の差は9.33%であり、ポナチニブの方が良好であった。 【ポナチニブ vs.アシミニブの調整済みBCR::ABL1IS≦1%率の差】9.33%(95%CI:0.79〜17.86) 【ポナチニブ vs.アシミニブの調整済みMMR率の差】6.84%(95%CI:−0.95〜14.62) ・T315I変異を有する患者では、12ヵ月時点での調整済みBCR::ABL1IS≦1%率の差は43.54%であった。 【ポナチニブ vs.アシミニブの調整済みBCR::ABL1IS≦1%率の差】43.54%(95%CI:22.20〜64.87) 【ポナチニブ vs.アシミニブの調整済みMMR率の差】47.37%(95%CI: 28.72〜66.02)
 著者らは「ベースライン時に奏効していない慢性期CML患者では、主なベースライン特性を調整後の12ヵ月までのほとんどの比較において、ポナチニブは、アシミニブよりもアウトカムが良好であった。さらに、T315I変異を有する患者においては、ポナチニブの有効性アウトカムは、より強化された」と結論付けている。


(鷹野 敦夫)

原著論文はこちら Garcia-Gutierrez V, et al. Front Oncol. 2024:14:1455378.
https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39634261

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