「ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬(HDAC阻害薬)」の記事一覧

ダブルエクスプレッサーリンパ腫の第1選択治療、HDAC阻害剤+R-CHOP療法の有用性
ダブルエクスプレッサーリンパ腫の第1選択治療、HDAC阻害剤+R-CHOP療法の有用性
公開日:2024年11月22日 Chen X, et al. Ther Adv Hematol. 2024: 15: 20406207241292446.  アグレッシブB細胞リンパ腫のうち、免疫組織化学でMYC陽性かつBCL2陽性を有するダブルエクスプレッサーリンパ腫(DEL)は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の約20〜30%に認められる。しかし、DELに対する最も効果的な治療戦略は、いまだ明らかになっていない。中国・四川大学のXi Chen氏らは、DEL治療におけるR-CHOP療法と新規ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDAC阻害薬)との併用による有効性を評価するため、レトロスペクティブ研究を実施した。Therapeutic Advances in Hematology誌2024年10月28日号の報告。  対象は、DEL患者62例(2016年12月〜2020年12月)。すべての患者に対し、HDAC阻害薬+R-CHOP療法による第1選択治療を実施した。短期的な有効性、生存状況、副作用を調査し、予後因子の分析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者の年齢中央値は53.9歳(範囲:19〜77)。 ・治療サイクル数は平均6サイクル(範囲:1〜8)、完全奏効(CR)率は79.0%、全奏効(OR)率は88.7%。 ・フォローアップ期間中央値は45.5ヵ月(範囲:1〜82)、無増悪生存期間(PFS)およびOS中央値は未達。 ・3年PFS率は71%(95%CI:61〜83)、3年OS率は87%(95%CI:79〜96)、5年PFS率は67%(95%CI:55〜80)、5年OS率は85%(95%CI:77〜95)。 ・PFSの独立した予測因子は、CRまたは部分奏効(PR)後の年齢および自家造血幹細胞移植であった。一方、OSアウトカムとの関連が認められた因子はなかった。 ・グレード3〜4の主な血液毒性は白血球減少(46.7%)、非血液毒性は感染症(21%)であった。  著者らは「未治療のDELに対するHDAC阻害薬+R-CHOP療法は、短期的な有効性および安全性が良好であり、生存アウトカムの改善にも有望であることが示唆された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Chen X, et al. Ther Adv Hematol. 2024: 15: 20406207241292446.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39494243 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
HDAC阻害薬ツシジノスタット+VEN+AZA+CAG療法、初発AMLの新レジメンとなるか
HDAC阻害薬ツシジノスタット+VEN+AZA+CAG療法、初発AMLの新レジメンとなるか
公開日:2025年2月28日 Yang J, et al. Int Immunopharmacol. 2025 Feb 21. [Epub ahead of print]  急性骨髄性白血病(AML)は、死亡率の高い非常に異質な造血器悪性腫瘍である。AML治療において、エピジェネティック療法が重要な役割を果たすことが期待されている。しかし、複数のエピジェネティック作用薬と従来の化学療法との併用による臨床アウトカムは、いまだ明らかになっていない。中国・The Fifth Medical Center of Chinese PLA General HospitalのJingjing Yang氏らは、AML患者を対象に、CAG療法およびベネトクラクス+アザシチジンを組み合わせたVEN+AZA+CAG療法にHDAC阻害薬ツシジノスタットを併用した際の臨床的安全性および有効性を評価するため、第II相試験を実施した。International Immunopharmacology誌オンライン版2025年2月21日号の報告。  対象患者には、アクラルビシン(day1、3、5:10mg/m2)、シタラビン(day1〜5:75mg/ m21日2回)、G-CSF(5μg/kg/日)ベネトクラクス(day1:100mg、day2:200mg、day3〜14:400mg)、アザシチジン(day1〜7:75 mg/m2)、ツシジノスタット(30mg週2回、2週間)による導入療法を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・1コース後の全奏効率(OR)は96.7%、複合完全奏効率(CR)93.3%。 ・NCCNリスク分類不良な患者における複合CRは86.7%。 ・2コース後の複合CRは100%であった。 ・12ヵ月間の全生存率(OS)は69.7%。 ・導入療法後の回復までの中央値は、血小板数5万/μL以上の場合で19日、好中球絶対数が500cell/μL以上の場合で17日であった。 ・シングルセルRNAシーケンシングでは、腫瘍細胞を除去したのち、ほとんどの免疫細胞の割合に大きな変化は認められなかった。  著者らは「ツシジノスタット+VEN+AZA+CAG療法は、新たに診断されたAML患者に対において良好なCRを達成し、とくに不良リスクの患者で顕著であった。また、本レジメンは、細胞免疫にほとんど影響を及ぼさないことも確認された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Yang J, et al. Int Immunopharmacol. 2025 Feb 21. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39986194 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ アンケート:ご意見箱 ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら