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HDAC阻害薬ツシジノスタット+VEN+AZA+CAG療法、初発AMLの新レジメンとなるか
公開日:2025年2月28日
Yang J, et al. Int Immunopharmacol. 2025 Feb 21. [Epub ahead of print]
急性骨髄性白血病(AML)は、死亡率の高い非常に異質な造血器悪性腫瘍である。AML治療において、エピジェネティック療法が重要な役割を果たすことが期待されている。しかし、複数のエピジェネティック作用薬と従来の化学療法との併用による臨床アウトカムは、いまだ明らかになっていない。中国・The Fifth Medical Center of Chinese PLA General HospitalのJingjing Yang氏らは、AML患者を対象に、CAG療法およびベネトクラクス+アザシチジンを組み合わせたVEN+AZA+CAG療法にHDAC阻害薬ツシジノスタットを併用した際の臨床的安全性および有効性を評価するため、第II相試験を実施した。International Immunopharmacology誌オンライン版2025年2月21日号の報告。
対象患者には、アクラルビシン(day1、3、5:10mg/m2)、シタラビン(day1〜5:75mg/ m21日2回)、G-CSF(5μg/kg/日)ベネトクラクス(day1:100mg、day2:200mg、day3〜14:400mg)、アザシチジン(day1〜7:75 mg/m2)、ツシジノスタット(30mg週2回、2週間)による導入療法を行った。
主な結果は以下のとおり。
・1コース後の全奏効率(OR)は96.7%、複合完全奏効率(CR)93.3%。
・NCCNリスク分類不良な患者における複合CRは86.7%。
・2コース後の複合CRは100%であった。
・12ヵ月間の全生存率(OS)は69.7%。
・導入療法後の回復までの中央値は、血小板数5万/μL以上の場合で19日、好中球絶対数が500cell/μL以上の場合で17日であった。
・シングルセルRNAシーケンシングでは、腫瘍細胞を除去したのち、ほとんどの免疫細胞の割合に大きな変化は認められなかった。
著者らは「ツシジノスタット+VEN+AZA+CAG療法は、新たに診断されたAML患者に対において良好なCRを達成し、とくに不良リスクの患者で顕著であった。また、本レジメンは、細胞免疫にほとんど影響を及ぼさないことも確認された」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)
原著論文はこちら
Yang J, et al. Int Immunopharmacol. 2025 Feb 21. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39986194
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