「Pola-R-CHP療法」の記事一覧

ポラツズマブ併用療法時のG-CSF製剤予防投与はどの程度有用なのか
ポラツズマブ併用療法時のG-CSF製剤予防投与はどの程度有用なのか
公開日:2024年8月29日 Kodama A, et al. Gan To Kagaku Ryoho. 2024; 51: 741-745.  びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療では、ポラツズマブ ベドチン(Pola)併用療法が広く用いられる。Pola併用療法の臨床試験では、90%以上の症例に対しG-CSF製剤が一次予防目的で投与されているが、予防投与のメリットを調査した報告はほとんどない。大阪・市立吹田市民病院の児玉 暁人氏らは、Pola併用療法時における持続型G-CSF製剤による1次予防の有無により、発熱性好中球減少症(FN)の発生率に影響を及ぼすかを調査した。癌と化学療法2024年7月号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・Pola-BP療法によるFN発生率は、G-CSFあり群で0%、G-CSFなし群で9.5%であった。 ・Pola-R-CHP療法によるFN発生率は、G-CSFあり群で0%、G-CSFなし群で31.2%であり、より高くなる傾向が認められた。 ・Pola-BP療法G-CSFあり群の入院期間は11日、G-CSFなし群は18日であり、G-CSF予防投与による入院期間の有意な短縮が認められた(p=0.046)。 ・G-CSF予防投与によりグレード3以上の白血球減少、好中球減少の発生率に減少傾向が認められたが、統計学的に有意な差は認められなかった。 ・Pola併用療法におけるG-CSF製剤の一次予防投与は、血液毒性の軽減に寄与する可能性が示唆された。 (エクスメディオ 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Kodama A, et al. Gan To Kagaku Ryoho. 2024; 51: 741-745.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39191692 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
DLBCLの1stライン、Pola+R-CHPはR-CHOPを超えられるか
DLBCLの1stライン、Pola+R-CHPはR-CHOPを超えられるか
公開日:2024年12月24日 Zhao P, et al. Hematol Oncol. 2025; 43: e70017.  ポラツズマブ ベドチン併用R-CHP(Pola-R-CHP)療法は、国際共同第III相ランダム化二重盲検試験であるPOLARIX試験に基づき、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対する新たな第1選択治療として承認された。しかし、リアルワールドにおける有効性および安全性に関するデータは、十分とはいえない。中国・天津医科大学のPeiqi Zhao氏らは、中国の日常診療におけるPola-R-CHP療法とR-CHOP療法のアウトカムを評価するため、レトロスペクティブコホート研究を実施した。Hematological Oncology誌2025年1月号の報告。  2024年2月までにポラツズマブ ベドチンによる治療を1回以上行ったすべての患者を対象に、多施設レトロスペクティブコホート研究を実施した。6施設より適格患者600例(Pola-R-CHP療法群:131例、R-CHOP療法群:469例)が特定された。1:2の傾向スコアマッチング後、128組が生存および予後分析に含また。 主な結果は以下のとおり。 ・フォローアップ期間中央値は12.8ヵ月、12ヵ月無増悪生存割合(PFS)は、Pola-R-CHP療法群の方がR-CHOP療法群よりも高かった(90.3% vs.84.1%、p=0.18)。 ・分子生物学的サブグループ全体で一貫したベネトットが認められ、とくに進行期、全身状態(ECOG)2以上、リンパ節外病変2以上、non-GCB-DLBCLにおいて顕著であった。 ・完全奏効率は、Pola-R-CHP療法群の方がR-CHOP療法群よりも高かったが、統計学的に有意な差は認められなかった(86.8% vs.79.7%、p=0.09)。 ・安全性プロファイルは、両群間で同等であり、新たな懸念は見当たらなかった。 ・Pola-R-CHP療法群128例のうち、96例でゲノムシーケンス解析を実施した。結果の内訳は、MCDタイプ(25.0%)、EZBタイプ(13.5%)、複合サブタイプ(12.5%)、ST2タイプ(12.5%)、その他/分類不能(30.2%)。 ・25%以上で認められた最も一般的な変異は、PIM1、TP53、BCL-6、KMT2D、SOCS1、BCL-2であった。 ・遺伝子検査の結果では、遺伝子型やPIM1/TP53の遺伝子変異と治療効果との相関関係が示唆された。  著者らは「Pola-R-CHP療法は、リアルワールドの対象集団において、DLBCLに対する有効な第1選択治療であることが裏付けられ、R-CHOP療法よりも持続的な有効性が示された。12ヵ月PFSに有意差は認められなかったものの、サブグループ解析では、Pola-R-CHP療法の方が良好であった」と結論付け「今後は、より大規模な研究、長期フォローアップ研究、より有効な患者群を対象とした研究が求められる」としている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Zhao P, et al. Hematol Oncol. 2025; 43: e70017.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39641321 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
モスネツズマブはリツキシマブを超えられるか、初発DLBCLに対するモスネツズマブ+Pola-CHP療法/Blood Adv
モスネツズマブはリツキシマブを超えられるか、初発DLBCLに対するモスネツズマブ+Pola-CHP療法/Blood Adv
公開日:2025年2月12日 Westin JR, et al. Blood Adv. 2025 Feb 5. [Epub ahead of print]  抗CD20/CD3二重特異性抗体であるモスネツズマブは、本邦において再発・難治性濾胞性リンパ腫(FL)で承認を取得した。本剤は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対する新たな治療選択肢の1つとしても期待され、併用療法による臨床試験も進行している。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのJason R. Westin氏らは、DLBCLに対する第1選択治療の1つであるポラツズマブ ベドチン併用R-CHP(Pola-R-CHP)療法とリツキシマブをモスネツズマブに変更したモスネツズマブ+Pola-CHP療法の有効性および安全性を比較するため、第II相試験を実施し、最終結果を報告した。Blood Advances誌オンライン版2025年2月5日号の報告。  対象は、未治療のDLBC患者62例。モスネツズマブ+Pola-CHP群40例、Pola-R-CHP群22例にランダムに割り付けた。21日間6コースでday1に投与を行った。モスネツズマブは、1コース目にステップアップドーズで30mgまで増量した。主要エンドポイントは、独立審査委員会により評価したPET-CT検査による完全奏効(CR)率とした。 主な結果は以下のとおり。 ・CR率は、両群間で同等であった(モスネツズマブ+Pola-CHP群:72.5%、Pola-R-CHP群:77.3%)。 ・治験責任者により評価した24ヵ月無増悪生存期間(PFS)は、モスネツズマブ+Pola-CHP群で70.8%(95%CI:55.6〜86.1)、Pola-R-CHP群で81.8%(95%CI:65.7〜97.9)であった。 ・モスネツズマブ+Pola-CHP群において最も多かった有害事象は、サイトカイン放出症候群(CRS:68.4%)であり、その多くはグレードI(52.6%)、1コース目に限定的に認められた。 ・Pola-R-CHP群で最も多かった有害事象は、好中球減少症/好中球数減少(54.4%)。 ・好中球減少症/好中球数減少は、両群で最も高頻度に認められたグレードIII以上の有害事象であった(モスネツズマブ+Pola-CHP群:36.8%、Pola-R-CHP群:22.7%)。 ・グレードIII以上の有害事象、重篤な有害事象、治療中止に至る有害事象の発生率は、モスネツズマブ+Pola-CHP群の方が、Pola-R-CHP群よりも高かった。  【グレードIII以上の有害事象】モスネツズマブ+Pola-CHP群:86.8%、Pola-R-CHP群:59.1%  【重篤な有害事象】モスネツズマブ+Pola-CHP群:63.2%、Pola-R-CHP群:13.6%  【治療中止に至る有害事象】モスネツズマブ+Pola-CHP群:13.2%、Pola-R-CHP群:0% ・薬理学的変化は、モスネツズマブの作用機序とPola-CHP療法併用を支持するものであった。  著者らは「初発DLBCLに対する第1選択治療として、モスネツズマブ+Pola-CHP療法は有用であったが、この小規模な研究では、Pola-R-CHP療法を上回る臨床的ベネフィットは示されなかった」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Westin JR, et al. Blood Adv. 2025 Feb 5. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39908481 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら
80歳以上の日本人DLBCLに対する減量Pola-R-CHP療法、実臨床での有用性は
80歳以上の日本人DLBCLに対する減量Pola-R-CHP療法、実臨床での有用性は
公開日:2025年2月14日 Sato S, et al. Blood Res. 2025; 60: 10.  80歳以上で未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者に対するポラツズマブ ベドチンとR-CHP療法(リツキシマブ+シクロホスファミド+ドキソルビシン+プレドニゾロン)の併用療法(Pola-R-CHP療法)の有効性および安全性は、ほとんど調査されていない。神奈川県・湘南鎌倉総合病院の佐藤 淑氏らは、高齢者コホートであるPOLARIX試験の結果を拡張し、リアルワールドにおける80歳以上の日本人DLBCL患者における減量Pola-R-CHP療法の有効性および安全性を評価するため、レトロスペクティブに分析を行った。Blood Research誌2025年2月5日号の報告。  対象は、2022年9月〜2024年2月に当院でPola-R-CHP療法を行った80歳以上のDLBCL患者38例。毒性や病勢進行により早期に治療を中止した患者も含め、1コース以上の化学療法を行った。すべての患者の相対用量強度(RDI)をモニタリングした。Pola-R-CHP療法の用量調整は、主治医の裁量で実施した。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者の年齢中央値は84.3歳(範囲:80〜95)、PS2以上の患者は8例(21%)。 ・MYCおよびBCL2再構成を伴う高悪性度B細胞リンパ腫患者1例も対象に含めた。 ・ステージIII〜IVが30例(79%)、IPIの高リスク群16例(42%)、CNS-IPIの高リスク群4例(10%)。 ・治療コース中央値は5コース(範囲:1〜6)、全6コースを完了した患者は24例(63%)。 ・フォローアップ期間中央値は11.6ヵ月(範囲:1〜24)。 ・12ヵ月後の全生存割合(OS)は86.2%(95%CI:70.0〜94.0)、無増悪生存割合(PFS)は78.5%(95%CI:59.2〜89.5)。 ・発熱性好中球減少症の発生率は、比較的高かったものの(32%)、平均RDIが70%未満の患者では、治療強度が低下してもリスク増加が認められた。 ・末梢神経障害のためにポラツズマブ ベドチンの減量が必要であった患者はいなかった。  著者らは「新たにDLBCLと診断された80歳以上の高齢患者に対し、減量Pola-R-CHP療法は、実行可能な効果的な治療選択肢である可能性が示された」と結論付けている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Sato S, et al. Blood Res. 2025; 60: 10.▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39907880 血液内科 Pro(血液内科医限定)へ ※「血液内科 Pro」は血液内科医専門のサービスとなっております。他診療科の先生は引き続き「知見共有」をご利用ください。新規会員登録はこちら