ライブラリー フレッドハッチンソンがん研究センターの慢性GVHD発生率が減少、その詳細を分析/Blood Adv
公開日:2024年8月22日
Carpenter PA, et al. Blood Adv. 2024 Aug 21. [Epub ahead of print]
2005年以降、フレッドハッチンソンがん研究センターにおける慢性移植片対宿主病(cGVHD)の発生率は、着実に減少している。この現象をより理解するため、米国・フレッドハッチンソンがん研究センターのPaul A. Carpenter氏らは、2005〜19年の生存患者3,066例を対象に、造血幹細胞移植を行った時期を関数として、全身免疫抑制療法を必要とするcGVHD(cGVHD-IS)リスクを評価した。Blood Advances誌オンライン版2024年8月21日号の報告。
造血幹細胞移植を行った時期とcGVHDの原因特有のハザード比(HR)との関連を評価するため、未調整および調整済みのCox回帰モデルを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・平均フォローアップ期間は7.0年(範囲:1.0〜17.2)。
・全生存者における2年以内に発生したcGVHD-ISの発生率は、2005〜07年の45〜52%から、2008〜12年の約40%に減少し、2017年には約26%にまで減少が認められた。
・小児生存患者502例における分析では、2013年以降のcGVHD-ISの発生率は10%未満であった。
・非悪性疾患で移植を行った成人および小児生存患者305例では、cGVHDの発生率により大きな変動が認められ、2016年以降は20%未満であった。
・造血幹細胞移植を行った時期が5年進むごとに、cGVHDの原因別HRは27%低下した(未調整HR:0.73、95%CI:0.68〜0.78、p<0.0001)。この関連は、cGVHDの減少につながる可能性あるさまざまな因子(年齢、ドナー/幹細胞ソース、人種、性別、コンディショニング強度、GVHD予防など)で調整した後でも同様であり、HRは0.81(95%CI:0.75〜0.87、p<0.0001)であった。
・cGVHDの減少は、人口動態の変化やcGVHD低下が期待される移植アプローチの使用率増加などの普及が考えられるが、これを完全に説明することは困難であった。
著者らは「cGVHDの減少因子を明らかにするためにも、対照を過去の事例に設定するのではなく、同時期の対照群を用いた観察研究が必要とされる」としている。
(エクスメディオ 鷹野 敦夫)
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Carpenter PA, et al. Blood Adv. 2024 Aug 21. [Epub ahead of print]▶https://hpcr.jp/app/article/abstract/pubmed/39167805
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